■「人生を変えてくれた人とか、ターニングポイントになる人は頭に浮かぶと思います。そういう人がいたら、ぜひ映画を観て感謝な気持ちを伝えてくださいね」(永野芽郁)
映画『かくかくしかじか』の高校プレミアが4月15日に行われた。
本作は、漫画家・東村アキコが初めて自身の半生を描いた『かくかくしかじか』(集英社刊)が原作。完璧な形での実写化は不可能だろうと東村は映像化を断り続けていたが、東村自身が脚本を執筆し、映画化が実現した。
この日のイベントの会場になったのは、東京・宝仙学園高等学校。本作でも描かれる高校生が主人公の映画に合わせてふさわしい会場で実施される今回の高校プレミアイベントには、約530名にも及ぶ生徒たちが集結。ただごとではない会場の雰囲気を感じ取った生徒たちのテンションも一気に高まるなか、いよいよイベントがスタート。
MCの呼び込みにより、主演の永野芽郁を筆頭に、大泉洋、見上愛、畑芽育、鈴木仁、森愁斗、関和亮監督が姿を現すと、会場からは絶叫と拍手が起こった。そして永野や大泉らは生徒たちの熱気に圧倒されながらもレッドカーペットでマスコミ向けの取材に応じながら、集まった生徒たちにも手振りやサインなどで丁寧にファンサービスを行い、レッドカーペットを闊歩した。
レッドカーペットでの取材とファンサービスが終わると、再度登壇者がステージ上に集結。キャストと監督よりひと言ずつ挨拶が行われると、舞台挨拶がスタートした。高校の体育館でのレッドカーペットという珍しい形でのイベントとなったが、永野は「本当に皆さん元気で…朝眠かったのですが、一瞬で眠気覚めました(笑)」と挨拶。
大泉は「僕らが少し顔を向けるだけでぎゃあ~! と…関監督でもこんなに人気があるなんて(笑)。こんなに盛り上げていただいて感謝しかございません」と元気な高校生たちの勢いに圧倒されながらも笑顔を見せていた。
レッドカーペットでも息ぴったりな掛け合いを見せていた永野と大泉だが、今作は映画『こんにちは、母さん』(2024年)以来の再共演。前回は親子役を演じ、今回は生徒と恩師という役どころに扮しているが、永野は「(大泉との共演は)心強かったです! 前回(共演した際は)撮影日数自体はそこまでなかったので、今回がっつりご一緒させていただいて面白いし楽しいし、おいしいご飯も連れて行ってくださるし最高でした」と信頼を寄せ、対する大泉も「前は(永野さんは自分の)娘役で、しかも僕も気の弱いお父さんという役だったんですが、今回は厳しい恩師と生徒という関係性。今回のほうが濃密な絡みがたくさんあって、改めて永野芽郁という役者のすごさを目の当たりにするというか。共演していても油断すると観客になってしまうくらい、すごいなと見入ってしまいましたね」と絶賛し、相思相愛ぶりを垣間見せていた。
そんなふたりをそばで見守っていた関監督も「すごく和気藹々と撮影されているのは現場でも一緒でしたが、リハが始まると一気に緊張感が出て。明子と日高先生の関係性がものの数秒で作り出せるのが、おふたりともプロだなと」と現場での様子を明かし称賛した。
一方、見上、畑、鈴木、森は、みな明子(永野)と絵画教室仲間で、明子と同様に日高先生(大泉)の生徒役を演じたキャスト陣には、永野と大泉との共演や撮影当時のエピソードについての質問に。
印象的なシーンとして、明子が日高先生に引きずられるシーンを挙げたのは、明子の友人・北見役を演じた見上。「コミカルなシーンはもちろん、日高先生が竹刀で指導する気迫に満ちたシーンもあるなかで、皆さん切り替えが早くて。ついていきます! という気持ちでした」と当時の心境について触れ、永野や大泉らの姿に刺激を受けた様子。
明子の絵画教室の後輩で、のちの明子の漫画のアシスタントとなる佐藤役を演じた畑は、もともと原作の大ファンだったといい、「明子と日高先生を演じるのがこのおふたりだと聞いて、“キャスティングが天才!”と思っていました。観客としてもずっと感動していました」と熱量たっぷりにコメント。
同じく原作ファンだという、美術の魅力に気づき絵画教室に通い始める元ヤン・今ちゃん役を演じた鈴木は「今ちゃんというキャラクターを演じることに緊張もあったんですが、初日の撮影から大泉さん演じる日高先生と“ゼロ距離“で睨み合うシーンがあって、逆にもう大丈夫だと吹っ切ることができました(笑)」と笑い混じりに振り返った。
明子たちと同じく絵画教室の生徒、川崎くん役を演じた森は「僕(が演じる川崎くんも)日高先生から強い言葉を浴びるシーンがあるんですが、個人的にはすごく楽しい撮影でした。撮影前には“デスマスク”(※劇中に登場するデッサンのモチーフ)の型も取っていて。口を開けっぱなしで、20分くらい鼻呼吸で頑張っていたんですが(笑)なかなか経験できないことだったので楽しかったです」と笑顔を見せた。
イベントではひと足早く本作を鑑賞した生徒たちからの感想も紹介。「私にも歌を教えてくださる先生がいて、少しこの映画と重なる部分があり、これでもかというほど泣きました。ずっと教えてくださるのが当たり前ではない、寄り添ってくれる先生がいなくなってしまうこともある。今を大切にしなきゃと感動させられました」「とてつもなく感動しました。本当に最高に良い映画で号泣しちゃいました。でも笑っちゃうシーンも多かったのでとても楽しく見ることができました。全員演技が上手で引き込まれました。私も今年受験生なので、ダウジング法で乗り越えたいと思います」というリアルな感想が読み上げられ、胸が打たれた生徒も多かった様子。
そんなリアルな声に永野は「本当にうれしいです! ちょうど明子が皆さんと同じくらいの歳の頃からこの物語も始まるので、そんな年の近い皆さんの心に届いたのかなと思うと本当に光栄です」と目を輝かせていた。
さらにイベント終盤では、キャスト陣が高校時代に強く印象に残っている思い出についてのトークに。永野は「学生時代はもうこのお仕事をしていたので、学校にたくさん通えていたわけではなくて…。全日で通うのが難しいかもとなってお別れするときに友達が寄せ書きをくれたんですが、帰るときにも友達が窓から見送ってくれた記憶がずっと残ってます。学生時代の友達は大事だなと思いました」としみじみ。
大泉は「高校時代は目立たない子供でしたね。友達とお笑い研究会を作ろうとしていましたが、結局その友達と僕しか入らなくてやっぱりやめようかと(笑)」と笑いを誘いながら、「いわゆる帰宅部でしたが、学校祭は楽しかった記憶がありますね。フォークダンスをやったときには、自分のところに好きな子が来るのかドキドキしながら待っていたりもしたなぁと。淡いプラトニックな思い出もありますね」と懐かしむ。
そんな大泉の話を聞いた見上も「私は“マイムマイム”してました!」と口を開くが、「先生たちに相談してスピーカーをお借りして、校庭でみんなで集まってやろうとしたこともありました。けれど人が全然集まらなくて…(笑)」とまさかのオチを明かし、会場の笑いを誘っていた。
畑は「私はすこぶる勉強が苦手だったので、よく教卓で先生に怒られて泣いてました」と苦い思い出を振り返り、「(授業が)わからなくて、わからない自分にもどかしさを感じて泣けてくるという…。こういうことを繰り返してましたね」と知られざるエピソードを披露。
一方、鈴木は「幼稚園・小中高までずっとサッカーを続けていたので、思い出ですね。体育祭でやる全員参加のリレーも大好きで、毎年それだけを楽しみにしていました」、森は「僕は中学生のときにスケートボードにハマって放課後よく滑りに行っていたのですが、受験まで滑ってしまって…(笑)その後定時制の学校に入学して、そこまで大きな夢もなかったのですが、兄がきっかけでこの業界に入って夢を持つことができました。何があるかわからないので、目の前のことをがむしゃらにやっていた感じですね」(森)と当時を振り返った。そんな豪華キャスト陣の貴重な学生時代のエピソードに、生徒たちは終始聞き入っていた。
そして最後には、集まった生徒たち、そして映画を楽しみに待つファンに向け、永野と大泉からひと言ずつメッセージが。大泉は「授業もあるなか、朝から集まって“ワーキャー”してくれて、おじさんとっても元気になりました、ありがとうございます。時代も変わってコミュニケーションが取りにくい時代になってしまったなと思っているなかで、本作は自分の想いをストレートにぶつける教師と、その想いに応えたいという生徒がぶつかり合いながらも成長していく物語です。ぜひ友達にも観てもらえたらと思います」とコメント。
そして永野は「私自身も完成した本作を観たときに、結末を知っているのに泣きました。それでいて笑えて、なんて不思議な魅力のある映画なんだろうと。東村先生の自伝的な物語なので、先生の人生をほんの少しだけ知れた気もしましたし、明子にとっての日高先生のような恩師がいない人でも、人生を変えてくれた人とか、ターニングポイントになる人は頭に浮かぶと思います。そういう人がいたら、ぜひ映画を観て感謝な気持ちを伝えてくださいね」と、生徒たちにエールを送りイベントを締めくくった。
映画『かくかくしかじか』は、5月16日から全国ロードショー。
映画情報
『かくかくしかじか』
5月16日(金)全国ロードショー!
出演:永野芽郁、大泉洋、見上愛、畑芽育、鈴木仁、神尾楓珠、津田健次郎、有田哲平、MEGUMI、大森南朋
原作:東村アキコ
監督:関和亮
脚本:東村アキコ 伊達さん
主題歌:MISAMO「Message」(ワーナーミュージック・ジャパン)
音楽:宗形勇輝
配給:ワーナー・ブラザース映画
(C)東村アキコ/集英社 (C)025 映画「かくかくしかじか」製作委員会
『かくかくしかじか』作品サイト
https://wwws.warnerbros.co.jp/kakushika/