■「またこんな感じでやりたいっす。めっちゃ遊びに来てください」(TAKU INOUE)
3月6日、東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)にて『TAKU INOUE EXHIBITION MATCH』が開催された。本イベントにはゲストDJとしてkz(livetune)とPAS TASTAが、ゲストボーカルとしてARuFa、春野、SARUKANI、天音みほ(東雲和音役)from 電音部、水槽、WON、ナナヲアカリが告知されており、前売り券はソールドアウト。追加で当日券も販売され、平日にもかかわらずフロアは満員の観客で溢れかえっていた。
開演時間を迎えると、ステージ中央やや奥のDJブースにPAS TASTAのメンバーであるウ山あまね、Kabanagu、hirihiri、phritz、quoree、yuigotの6人が登場。PAS TASTA名義の「sunameri smoke(ft. Cwondo)」、「byun G(ft. JUMADIBA & LIL SOFT TENNIS)」、「B.B.M.(ft. ピノキオピー)」にXG「IYKYK」やKOTOKO「さくらんぼキッス ~爆発だも~ん~」を絡めたサウンド・ギークらしい選曲でフロアを沸かせた。
セット後半、ブレイクダウン的に祭囃子をぶっ込んだポップでカオスな「peanut phenomenon(ft. ピーナッツくん)」でギアを上げ、さらに「BULLDOZER+」と「river relief(ft. 崎山蒼志)」ではウ山がマイクをとり盛り上がりはピークに。最後はlivetune feat. 初音ミクの「Tell Your World(PAS TASTA Remix)」を置き土産に、kzにブースを預けた。
kzが「Tell Your World」からTokyo 7th シスターズ「Intro~Are You Ready 7th-TYPES??~」につなぐと、フロアからは大歓声。同じく「ナナシス」楽曲であり同作のアンセムといえるセブンスシスターズ「SEVENTH HAVEN」からのAXiS「HEAVEN’S RAVE」(とRay Volpe「Laserbeam」のマッシュアップ)という反則なつなぎにはそれを上回る大きなどよめきが起こった。
終盤には「ray -livetune Cover- (Presented by BUMP OF CHICKEN)」「Hand in Hand」「never ender」と立て続けに初音ミク楽曲を投下し、kz自身もブースを飛び出し観客を煽る。鳴り止まないクラップのなか、にじさんじの戌亥とこ「白夜(kz Remix)」、そしてシスター・クレア「sumire iro amulet(kz Remix)」をかけながら今夜の主役、TAKU INOUEにスイッチした。
PAS TASTAとkzのDJによって温まった、というよりすでにクライマックスを経た感すらあるフロアに向けてINOUEが放ったのは、「THE IDOLM@STER」シリーズの「MUSIC♪ -TAKU INOUE Remix-」。
ビッグバンド的なダイナミクスが盛られたゴージャスなリミックスは開幕の1曲として申し分なく、また「始まる世界 LISTEN!! 私のMUSIC♪」という歌詞は「TAKU INOUE EXHIBITION MATCH」というパーティーのステートメントのようでもある。
ブチ上がる観客に対し、INOUEは追い打ちをかけるように同じくアイマスの「ダンス・ダンス・ダンス」へとつなぎ、「踊ろう」という極めてシンプルなメッセージを示した。
「本日は『TAKU INOUE EXHIBITION MATCH』ということで、私がDJしながらいろんな人に来てもらってバトルをしようじゃないかというコンセプトになっておりますんで、さっそくひとり目呼んじゃおうかな」というINOUEのMCのあと、「ベータソング」のイントロが流れ、ステージにARuFaが登場。
四つ打ちの軽快なトラックに乗せてクリアなハイトーンボーカルを響き渡らせ、会場中をハッピーかつヘルシーな空気で包みこむ。さわやかなパフォーマンスで一番手という大役を見事に果たし、風のように去っていった。
「アイマス」シリーズの「ミラーボール・ラブ」を挟んで、続いてステージに現れたのはWON。先のARuFaとは対照的ともいえるハスキーなボーカルで「Unique」と「ありきたり」の2曲をときにクールに、ときにエモーショナルに歌い上げ、観客もハンズアップやジャンプで熱唱に応えた。
ここまでセット的にはディスコ~ハウスなノリで、それらをシームレスにつないでいくINOUEの手際も見事。
WONがステージをあとにすると、ステージ後方のスクリーンにMori Calliopeの姿が映し出され、観客は騒然。「いろんな方とイノタクさんがバトルをするらしいですが、死神と闘うと大変なことになってしまうので、ビデオメッセージでご挨拶をさせていただきます」「次は私が歌っている曲なので、皆さんもっともっとノっていきましょう!」というコメントに合わせて「Yona Yona Journey」が届けられた。
「Yona Yona Journey」における武嶋聡のサックスソロがループされるなか、INOUEの「次のゲストをお呼びしたいと思います……電音部より天音みほ!」という紹介を受け、「盛り上がってますかー!」と観客を煽りながら天音が登場。同じく武嶋のサックスをフィーチャーした2stepナンバー「Mani Mani」、メランコリックなフューチャーベース「トアルトワ」で、ダンスを交えたメリハリのある歌唱によって観客を魅了した。
続けてINOUEはフューチャーベースにジャージークラブをクロスオーバーさせた、「アイマス」シリーズの「クレイジークレイジー」に接続。そこから「今日、残念ながらあのちゃんは来られませんでしたが、楽屋に花が置いてありますから」と断りを入れつつ、ano「ちゅ、多様性。(TAKU INOUE Remix)」へとつないでいく。anoのボーカルを大胆にカットアップしたフロア向けのリミックスで観客を焚きつけながら、INOUEはギターを用意し「次はマジモンのバトルします」。PAS TASTA「My Mutant Ride(feat. 柴田聡子 & TAKU INOUE)」 でyuigotとギターバトルを繰り広げ、フロアは異様な盛り上がりを見せた。
ギターバトルの興奮冷めやらぬなか、会場に「チューリングラブ(TAKU INOUE Remix)」のイントロが鳴り響き、ステージにナナヲアカリが現れるともう何度目かわからない大歓声が上がる。ナナヲは続けて高速ブレイクビーツにラップを走らせた「雷火」を披露し、サビではZepp Shinjukuの、吹き抜けの高い天井を撃ち抜くようなロングトーンで観客を圧倒した。
「最高。次は誰がくるんだ」と笑顔を見せるINOUE。次の瞬間、再びスクリーンが稼働し「あー、あー。私の声、聞こえてますか?」という声とともに映し出されたのは、星街すいせい。「今日はZepp Shinjukuでいろんなアーティストさんとイノタクさんとのバトルが繰り広げられているとのことで、私もちょっと遠い場所から応援にやってまいりました。ここからはMidnight Grand Orchestraパートなので、みんな、もっと盛り上がれるよな?」「盛り上がれるよなあ?」という煽り気味のビデオメッセージに続き、「Midnight Mission」と「Allegro」がかけられた。
ミドグラパートが終わるとINOUEの「ネクストゲスト、水槽」というアナウンスから、「Allegro」のドラムンベースのビートを引き継ぐような形で、ジャズとドラムンベースをミックスした「README(prod. TAKU INOUE)」へと展開。水槽はラップパートではややルーズかつアグレッシブにフロウを刻み、サビでは切々とメロディアスに歌い上げる緩急のあるボーカルを聴かせ、大きな喝采を浴びた。
続いてのゲストは、日本を代表するビートボックス・クルー、SARUKANI。メンバーのSO-SO、RUSY、KAJI、Koheyの4人による生ヒューマンビートボックスは強烈で、とても人間の発声器官から発せられる音とは思えない。というより、そこいらのリズムマシンより音量も音圧も出ているのではないか。そこにもうひとりのゲスト、春野が加わり、INOUEを含む3組がコラボしたリキッドファンク「ハートビートボックス」をパフォーマンスした。
さらに「春野くんには居残りしてもらって、もう1曲、ふたりで作った曲をやりたいと思います」と、INOUEによって引き留められた春野は「Spring Has Come」を歌唱。チルめで柔らかいサウンドとともに、春野の中音域の優しい歌声がフロアに染み渡った。
INOUEはこのチルな空気をそのままジャズテイストなクラブ讃歌「3時12分」へつなぎ、「ちょっとこれ、いいイベントすぎない?」と満足げな表情を浮かべる。そして「めちゃくちゃ終わりみたいな雰囲気を醸し出してますが、今日、告知してない人がひとりいるんだよね」と観客の期待を煽り、「シークレットゲスト、なとり!」のかけ声とともに、「ライツオフ」のジャジーなイントロが鳴る。なとりはサビ前に「跳べるかZepp Shinjuku!」とシャウトし、疾走感溢れるダンスナンバーにライブならではの躍動感を加え熱唱した。
さらに、観客も完全燃焼したであろうタイミングで、「もうひとり、呼んでない人いるよね」とINOUE。
「最後のゲスト、kz!」と、再びDJブースに呼び戻されたkzは「Radio Happy(kz Remix)」をプレイした。徹底的に観客を踊らせ、自身も踊りまくっていたINOUEは「というわけで、マジで次で最後」「またこんな感じでやりたいっす。めっちゃ遊びに来てください」と告げ、星街すいせいに提供した「Stellar Stellar」でパーティーを締め括った。
PHOTO BY 横山マサト
■『TAKU INOUE EXHIBITION MATCH』
2025年3月6日(木)東京・Zepp Shinjuku(TOKYO)
<セットリスト>
01. MUSIC♪ -TAKU INOUE Remix- [short]
02. ダンス・ダンス・ダンス [short]
03. ベータソング / ARuFa
04. ミラーボール・ラブ [short]
05. Unique / WON
06. ありきたり / WON
07. Yona Yona Journey [short]
08. Mani Mani / 天音みほ(東雲和音役)
09. トアルトワ / 天音みほ(東雲和音役)
10. クレイジークレイジー [short]
11. ちゅ、多様性。(TAKU INOUE Remix) [short]
12. My Mutant Ride / yuigot(※ギター)
13. チューリングラブ(TAKU INOUE Remix) / ナナヲアカリ
14. 雷火 / ナナヲアカリ
15. Midnight Mission
16. Allegro
17. README(prod. TAKU INOUE) / 水槽
18. ハートビートボックス / 春野&SARUKANI
19. Spring Has Come / 春野
20. 3時12分
21. ライツオフ / なとり
22. Radio Happy(kz Remix)/ kz
23. Stellar Stellar [short]
TAKU INOUE OFFICIAL SITE
https://taku-inoue.com/