■「最高のファイナルやった!まだまだみんなに会いにいきます」
2月13日、あいみょんが『AIMYON TOUR 2024-2025 “ドルフィン・アパート”』の大阪公演を大阪城ホールで開催した。
2024年9月に5枚目のフルアルバム『猫にジェラシー』を発表し、千葉・La La arenaからスタートしたアリーナツアーはこの日が30本目。台湾、韓国公演を含む追加公演が発表されているが、この日はひとまずのツアーファイナル。なおかつ、3月6日に30歳の誕生日を迎えるあいみょんにとって、20代のラストライブというメモリアルな1日となった。
会場の真ん中に作られた花道が特徴的なステージセットに期待が高まるなか、イルカにちなんで海を連想させる青い照明とともに幻想的なSEが流れ出し、1曲目の「リズム64」が始まると、あいみょんは花道の中央から飛び出して登場。いきなりのサプライズな演出に場内が響めくなか、ハンドマイクのあいみょんが手拍子を求めて、すぐに一体感が生まれていく。
「ラッキーカラー」でも花道を歩きながらオーディエンスとコミュニケーションを取り、ステージに戻るとタンバリンを鳴らし、アコギを持って披露されたのは2024年の『NHK紅白歌合戦』でも歌われた「会いに行くのに」。余裕を感じさせながらも確かな高揚感のある、素晴らしいオープニングだ。
この日のセットリストは『猫にジェラシー』からを中心にしつつも幅広く選曲され、インディーズ時代の楽曲である「幸せになりたい」は八橋義幸のバンジョーをフィーチャーしたトラッドフォークな雰囲気が印象的。
伊吹文裕のドラムとともに、スタンドマイクでスケール感のある曲調を歌い上げた「あのね」にしろ、八橋義幸とqurosawaがエモーショナルなギターソロの応酬を聴かせる「マトリョーシカ」にしろ、長くステージをともにしてきたメンバーとの呼吸はピッタリで、そんなメンバーを引っ張るかのように歌い、パフォーマンスをするあいみょんは実に頼もしい。
オーディエンスを映し出すお馴染みの双眼鏡コーナーでは、お客さんから「あいみょん、音楽続けてくれてありがとう!」という言葉が贈られる心温まるシーンもあった。
ライブ中盤ではあいみょんとともにベースの井嶋啓介、キーボードの山本健太、パーカッションの朝倉真司が花道の中央に集まって、アコースティックコーナーがスタート。
「猫にジェラシー」で猫の鳴き真似をしたり、鳥の鳴き声のような音を出す楽器「バードコール」を、あいみょんと井嶋のどちらがうまく鳴らせるかを競ったり、熱量の高いバンドセットとは異なる、親密な空気がとてもいい。
サポートの3人が花道を離れ、あいみょんがひとり残ると、弾き語りで披露されたのは「裸の心」。真っ暗な場内のなか、ひとりスポットライトに照らされたあいみょんが情感たっぷりに歌い上げ、場内は大きな拍手に包まれた。
お客さんの年齢層を尋ねるMCの流れで、あいみょんが学生時代に通ったことがファンの間ではよく知られている甲子園近くの喫茶店「ヘンゼルカフェ」のママを客席に見つけるという地元・関西ならではの場面もありつつ、ここから再びライブは熱を帯びていく。
ハンドマイクのあいみょんが駆け回る「私に見せてよ」ではドローンが大阪城ホールの広い空間を飛び、「マシマロ」でも場内は大盛り上がりとなった。
MCでは今回のツアーを振り返り、広島公演で『映画ドラえもん のび太の絵世界物語』の主題歌を担当することを発表したときに、オーディエンスが自分のことのように喜んでくれた思い出を語ると、「いろんな節目節目、いろんな記念の日にはみんながいつも近くにいてくれるんやなと思って、ライブという場所、みんなという存在はすごく自分にとって大切やなと、改めて感じたツアーでした。これからも、そして30歳になる私もよろしくお願いします」と語りかけてから披露された「愛の花」は、文字どおり愛に満ち溢れた空間を作り出していた。
いよいよライブは終盤戦。「君はロックを聴かない」で会場全体による感動的な大合唱が起きると、タオルを首に巻いてもう一度気合いを入れ直したあいみょんはステージを降りてフロアを駆け回り、オーディエンスとハイタッチを交わしていく。
さらに「夢追いベンガル」では花道の中央が迫り上がって、そのうえで歌う姿はさながら華やかなロックスターのよう。かと思えば、歌詞をスクリーンに映し出しながら歌われた「ざらめ」では、自分自身について綴った生々しい言葉を重厚な演奏とともに届けていき、この振り幅と説得力に20代を駆け抜けたあいみょんのパフォーマーとしての確かな成長を感じた。
この日の最後は“また会おうな まだただいま 言える場所はとっておくぜ”と歌う「葵」で大団円。「最高のファイナルやった!」と叫び、オーディエンスに改めて感謝を告げ、「まだまだみんなに会いにいきます」と伝えると、「またのご入居お待ちしております!」と言い残して、あいみょんはステージを降りていった。
20代最後のライブを充実の内容で終え、『映画ドラえもん』とともに始まるあいみょん30代最初のライブは、日本を飛び出して、台湾から始まっていく。
TEXT BY 金子厚武
PHOTO BY 永峰拓也
リリース情報
2024.02.14 ON SALE
DIGITAL SINGLE「スケッチ」
2025.03.05 ON SALE
SINGLE「スケッチ / 君の夢を聞きながら、僕は笑えるアイデアを!」
ツアー特設サイト
https://www.aimyong.net/feature/dolphinapart
あいみょん OFFICIAL SITE
http://www.aimyong.net/