■「2日目だけど全然慣れません。相模原でこんな景色が見られるなんて!」([Alexandros]川上洋平)
[Alexandros] 主催の野外音楽フェス『THIS FES ’24 in Sagamihara』が10月26日・27日に、川上洋平(Vo/Gu)と白井眞輝(Gu)の出身地である神奈川県・相模原市、相模原ギオンフィールドにて開催。2日目公演には[Alexandros]をはじめ、WurtS、Kroi、04 Limited Sazabys、sumika、WANIMA、MAN WITH A MISSIONという7バンドが出演し、約2万人を熱狂させた。この記事では2日目公演の模様をレポートする。
【ライブレポート】
THIS FES2日目。「Burger Queen」が流れ、[Alexandros]の4人が登場。川上洋平が「1CHANCE FESにようこそ! YON FESにようこそ!」と叫び会場を湧かせると、すかさず地元が愛知県の磯部寛之が「何なら俺はYON FESの会場でフェスをやりたかった(笑)」と吐露。川上が初日の盛り上がりに拍手を送りつつ「2日目の皆さん、わかってますよね!?」と言うと大きな歓声が上がり、2日目の幕が上がった。
■WurtS
トップバッターは[Alexandros]とは事務所が一緒で「VANILLA SKY」でのコラボでも知られるWurtS。「エヴォリューション」と「Talking Box(Dirty Pop Remix)」を立て続けに披露。WurtSのライブではお馴染みのうさぎさんがステージの端から端まで手を振りながら歩き、それと呼応するようにオーディエンスも両手を振って盛り上がる。「洋平さんから『トップバッターとしてちゃんと湧かしてくれ』というLINEが来て、ちゃんと湧かせられるよう頑張ります!」「10月31日の武道館の準備がまだ終わってなくて大忙しなんですが(笑)、大先輩である超リスペクトの[Alexandros]がフェスをやるということで、武道館もあるけれど、絶対出たいと思って出ました!」と力強く宣言。最後はWurtSの存在を瞬く間に広めた「分かってないよ」。WurtSが「THIS FESのみんなはもっとできると信じてます!」と口にすると特大の「分かってないよ」のコール&レスポンスが巻き起こり、「THIS FES最高です! ありがとう!!」という声が響きわたった。
TEXT BY 小松香里
PHOTO BY 村井香
■Kroi
おもむろに内田怜央が歌い出し、「Hyper」からライブをスタートさせたKroi。どす黒いグルーヴで温度を上げ、自然と歓声が上がった。内田が「Kroiちゃん、初めましての方?」と呼び掛けると結構な数の手が上がり、内田は笑顔で「好きに乗ってください」と伝えた。内田の美しいファルセットが響いた「Monster Play」ではハンドクラップやコール&レスポンスが起こりつつ、各メンバーの超絶なプレイヤビリティが炸裂。内田が「ようこそ皆さんお越しくださいました! こんな長いソロをやってる我々を呼んでくれるTHIS FESの器の大きさに感謝します」と言ったあと、「雨止んだね? 良かった。今日1日死ぬほど楽しんでください!」と言って、「Sesame」へ。ファンキーなイントロでひときわ歓声が上がった「Balmy Life」。内田が「皆さん調子はどうですか?」と呼び掛け、千葉のメロディアスな鍵盤の音が響きわたり、オーディエンスが心地よさそうに体を揺らす。最後は「Fire Brain」。内田のシャープな歌とファンキーでグルーヴィーなアンサンブルが合わさり、面白いようにテンションを高めていく。「こういう音楽が世の中にあったらなって思って日々曲を作ってます」と言ったあと、内田がマイクに向かってスピーディーに言葉を吐き出すなか、それぞれの楽器がうなりを上げ、たくさんの拍手が送られた。
TEXT BY 小松香里
PHOTO BY 河本悠貴
■04 Limited Sazabys
サウンドチェックからRYU-TAのTHIS FESコールで熱気を高めた04 Limited Sazabysは、1曲目の「swim」から鋭くも温かに吹き抜ける風のような演奏でオーディエンスを巻き込んでいく。目まぐるしい展開を見せる「Galapagos II」やヘヴィな「Jumper」など、多様な音楽性がバンドの一塊のエネルギーに鮮やかな色彩を塗っていくようだ。GENは「新しいフェスが産声を上げた瞬間に立ち会えて光栄です」と感謝を伝えつつ、「THIS FES、初開催だけど裏側も完璧。さすがアレキ。トイレのハンドソープまでお洒落なんだよ。楽屋に冷蔵庫もあるしケータリングも豪華。ひとつ言うことがあるとしたら…おぼんがなかった」と、地元・愛知で『YON FES』を開催しているフェス主催者ならではの発言も。さらに「地元に招いていただくということは本当に光栄なことです。呼んでもらったので、呼び返さなきゃいけないなと思ってます」と語ると、オーディエンスからは大きな歓声が上がった。GENはこの日が衆議院選挙の当日であることにも触れながら、「未来への不安は一生尽きないけど、[Alexandros]が皆さんにこびりついたネガティブを剥がしてくれてくれると思うので、一緒に楽しんでください」と伝え、「Harvest」と「Squall」を披露。この世界に、音楽が奏でられる空間があることの幸福を伝える、熱く、楽しく、切実なステージだった。
TEXT BY 天野史彬
PHOTO BY Emily Inoue
■sumika
「THIS FES、ステージを降りたときに一滴も愛情が残っていないように。全部出し尽くして帰ります!」――そんな片岡健太の言葉と共に幕を開けた、sumikaのステージ。初っ端の「Lovers」から、片岡は音楽を隅々にまで浸透させるように、ステージ上を練り歩きながら歌う。8人編成の大所帯が奏でるパワフルで華やかなサウンド。小川貴之とのツインボーカルスタイルでの「ふっかつのじゅもん」ではポップに盛り上げ、「VINCENT」はオーディエンスの合唱も重なって壮大なアンセムとして威風堂々と響き、「Traveling」はメロウに、穏やかに、誰しもの中にある“小さな声”をすくい上げるように繊細に奏でられた。MCで片岡は、10年以上前に[Alexandros]の面々と出会った頃のことを振り返って「他のアーティストと一緒に何かをやるマインドじゃない、一匹狼みたいなバンドだと思っていた」と語る。そして、誰かと一緒に何かを成すには、まず「自立すること」が大事なんだと告げた。[Alexandros]は自立し、「自分たち」を見つけたから、こうして数多のアーティストと手を組み、生まれた町でフェスを開催することができるのだ、と。「かっこいい孤独をみんなで集めて、面白いをやる…それが大人の醍醐味だと思う」そう語った片岡。その音と言葉を通して、sumikaは「ひとり」であることの誇り、孤独の尊さ、そして孤独と孤独が繋がることの喜びを、THIS FESのオーディエンスに伝えた。
TEXT BY 天野史彬
PHOTO BY 後藤壮太郎
■WANIMA
「THIS FES 相模原! アレキ!アレキ!」というお囃子交じりのSEと共に登場したWANIMA。KENTAが「THIS FES相模原、まずは“ここから”始めようか!」と言って、「ここから」を演奏。「みんながコロナで声出せない時に作った曲です。よかったらここにいる2万人で歌いましょう」と呼び掛け、歌詞を“ディディディディスフェス”に変えてのシンガロングが響いた「Cheddar Flavor」でさらに盛り上げた。
KENTAは「アレキのメンバーが熊本県で俺らがやってる『1CHANCE FES』に出てくれたときに、地元を大切にすることを再確認してTHIS FESを開催することになったと教えてくれました。ステージ横にはワンチャンフェスにもある櫓が同じ場所にあるので地元みたいな気分。相模原は第二の地元だと思ってます。このフェスがずっと続いてほしいです。来年もなんとか都合合わせてこのフェスに来ようと思ってます!」と語り、来年のTHIS FES開催と出演を早くも宣言。「みんなが歌える大事な曲を用意したので自分たちの曲、2~3曲削りました」と言って「I wanna fly so high」と歌い始める。テンポやキーをオーディエンスとすり合わせた上で、[Alexandros]の「ワタリドリ」を「ワニマドリ」としてカバー。大合唱が巻き起こった。「最後は“ともに”歌ってもらってよかですか!」とオーディエンスに問いかけ「ともに」を披露。「アレキ、これからも相模とともに!」とシャウトし、「日本でいちばんアレキが好き! WANIMAでした!」という言葉を残し、2万人と一斉にジャンプをして締め括った。
TEXT BY 小松香里
PHOTO BY Jon…
■MAN WITH A MISSION
ジャン・ケン・ジョニーが「MAN WITH A MISSIONデス! ヨロシク! 踊レルカ相模!」と言って「Hey Now」へ。サビでは2万人が一斉にジャンプをしながら「Hey Now」というシンガロングが巻き起こった。ジャン・ケンが「ソノ場デ座レマスカ? 皆サン」と言って2万人を座らせ、「3、2、1、飛ベ!」と叫ぶと2万人が一斉にジャンプ。[Alexandros]とは対バン経験はほぼないけれど、キャリア初期からフェスなどで会う機会が多かったと話すジャン・ケン。「コンナ大切ナフェスニ僕ラ参加サセテモラッテ心ヨリ嬉シク思ッテマス」と感謝を伝えた。「アナタタチガ第一回ノオ客サン。フェスノ評判ヲ作ルノモアナタタチデス。相模ッテ言ウト相模原ノ人は喜ブト聞キマシタガ本当デスカ?」と問いかけると嬉しそうな歓声が上がった。AC/DCの「Thunderstruck」のカバーでは、ダイナミックでアップリフティングな音像で2万人を躍らせた。DJサンタモニカによるスクラッチが聴こえ、ラストは「FLY AGAIN」。もちろんサビは“Fly again, yeah ye-o”のシンガロングが巻き起こり、オーディエンスが腕を上げ下げする景色が広がった。ジャン・ケンが「コノ後ハオ待チカネ、[Alexandros]デス!」と言って、スペア・リブによる恒例の「1、2、3、ガゥ!」コールが響きわたり、2日目のトリの[Alexandros]にバトンを渡した。
TEXT BY 小松香里
PHOTO BY 酒井ダイスケ
■[Alexandros]
2日目のトリ、つまり2日間にわたった『THIS FES’ 24』の大トリを飾ったのは、主催者[Alexandros]。小雨が降るなか、ライブがはじまる直前に爆音で流れたOASISの「Don’t Look Back in Anger」のライブ音源で、空間は一気に緊張と高揚に包まれる。ステージに掲げた自らのバンドロゴと『THIS FES』のロゴ、そして2日間にわたりすべての出演者の名前を包み込んだ[ ]のネオンライトを背負い、ステージに登場した[Alexandros]の4人。1曲目は「Adventure」。青い照明がさらさらと雨に濡れる空間を鮮やかに彩り、バンドの確かなグルーヴと観客たちの合唱が重なって、絶景が生まれる。演奏の終わり際、川上がマイクスタンドを掴んで掲げた――美しい光景だ。立て続けに「Waitress, Waitress!」へ。「ついに雨が降ってきてしまいました! お待ちかねの雨です!」と川上が語り掛けると、大歓声で応えるオーディエンス。「いい声出すなあ。イヤモニ外していいか? その声もっと聞かせてくれ!」そう言って「Starrrrrrr」、さらに「Kick&Spin」へ。「相模原に最高のアーティストを連れてきたぜ!」――『1 CHANCE FESTIVAL』でのWANIMAにリスペクトとオマージュを込めた言葉で、川上は2日間に集まった出演者たちへの誇りと感謝を告げる。続く「VANILLA SKY 」ではWurtSがサプライズ登場し、川上と幸福なデュエットを披露した。そして強烈な照明演出と共に放たれた「Girl A」と「Boy Fearless」の2曲で、自然豊かな相模原は没入感溢れる異次元空間に染め上げられる。
「2日目だけど全然慣れません。相模原でこんな景色が見られるなんて!」その口ぶりから、この2日間の光景が相模原に生まれたことが本当に魔法のようなことなのだと実感する。「Backseat」「Run Away」とメロディアスな楽曲たちを披露すると、川上は「もっともっと続いていくフェスにしたいと思います」と未来に向けた意志を告げた。ラストは「閃光」、そして「ワタリドリ」が、この2日間に刻まれた数多の想いと景色を空に解き放つように壮大に奏でられる。「ワタリドリ」の演奏終わりには、夜空に色鮮やかな花火が。肩を組み挨拶をした4人がステージを去ったあと、昨日発表された来春のニューアルバムに続き、モニターには新アーティストビジュアル、さらに「次はワンマンツアーで会いましょう」の言葉。2025年5月2日のSENDAI GIGSを皮切りに全国18ヵ所24公演を行う『[Alexandros] Tour 2025(仮)』の開催が決定した。THIS FESの2日間の記憶を抱きしめながら、[Alexandros]は次の旅に出る。
PHOTO BY 河本悠貴
『THIS FES ’24 in Sagamihara』公式サイト
https://thisfes.com/
[Alexandros] OFFICIAL SITE
https://alexandros.jp/