■「これが終わりじゃない。まだまだ先に繋がっていきます」(川村壱馬)
THE RAMPAGEが、結成10周年を迎えた9月12日、単独で東京ドーム公演『THE RAMPAGE LIMITED LIVE 2024 *p(R)ojectR at TOKYO DOME』を行った。今回の公演は9月11日・12日の2日間にわたり開催。記念日である2日目は、大先輩のEXILE(AKIRA / TAKAHIRO / 橘ケンチ / TETSUYA / NESMITH / SHOKICHI)やGENERATIONS佐野玲於、ギタリストのMIYAVIなどが参戦し、THE RAMPAGEの誕生日を華やかに彩った。
彼らが単独で東京ドームに立つのは、2021年7月以来、2度目。コロナ禍だった前回は座席数に制限があり、声出しもかなわなかった。今回の公演はそのときの無念を晴らすリベンジ。並々ならぬ決意と情熱がパフォーマンスのあちらこちらから溢れだし、隅々までこだわり抜かれた演出と構成で観客を圧倒した。
今回の公演は、THE RAMPAGEがRAVERS(THE RAMPAGEファンの呼称)とともに未来の可能性を広げるための会議=Rプロジェクトを東京ドームで開き、不安定な世の中を変えていきたいという願いをTHE RAMPAGE流のエンタテインメントに昇華することがコンセプトになっていた。
その思い通り、ライブは苦しみ怒り叫びを表現したモノクローム調の重々しいオープニング映像からスタート。メンバー一人ひとりが背負う“R”の言葉――Real(LIKIYA)、Red(陣)、Relief(RIKU)、Reign(神谷健太)、Reveal(与那嶺瑠唯)、Rapid(山本彰吾)、Resist(川村壱馬)、Ray(吉野北人)、Resolute(岩谷翔吾)、Roughneck(浦川翔平)、Radiance(藤原樹)、Rize(武知海青)、Rad(長谷川慎)、Rage(龍)、Resonance(鈴木昂秀)、Raw(後藤拓磨)――そして、その言葉に込められたメッセージが次々に映し出されていく。
映像が終わると、それぞれの言葉が大きく印された黒マントを着た16人の男がオンステージ。かと思ったら、パッと場面展開し、中央の花道に白い衣装を着たTHE RAMPAGE16人が縦一列に並んで姿を現し、「THROW YA FIST」で幕開け。2019年に開催した初のアリーナツアーをリマインドさせるリバイバル演出でRAVERSを喜ばせた。
その後は「Lightning」「FULLMETAL TIRIGGER」「16BOOSTERZ」「The Typhoon Eye」と爆アガり必至の楽曲をメドレーのように次々と披露。メンバーはステージの左右に目一杯広がったり、花道を走ったりと序盤からパワー全開で場内を盛り上げていく。
特に「16BOOSTERZ」での開放感と熱気のブースト具合はすさまじく、「The Typhoon Eye」では歌詞どおり“もう止まれない”状態。RAVERSが振るサイリウムとフラッグが客席で乱舞し、ライブ開始から25分、息もつかせぬアップ曲の連続でライブは最初のピークを迎えた。
今回のステージセットは、本ステージの中央から1本の花道がT字型に延びる舞台と、本ステージの左右から2本の花道がV字型に延びる舞台がアリーナを埋める程の大きさで合体。そのTとVの先端が交わるところにサブステージが設けられていた。
正面スクリーンに「THE RAMPAGE×*(R)adically」の文字が浮かび、サブステージに登場したのは、世代継承型のKRUMPダンスチームRAG POUND。世界的ダンサーが集結したRAG POUNDに川村壱馬、武知海青、長谷川慎も加わり、肉体美を躍動させてアグレッシブなKRUMPで肉体美を繰り出していく。
Radicallyには根本的という意味があるが、この日はダンスの途中で、かつてRAG POUNDのメンバーだったGENERATIONSの佐野玲於がサプライズで登場。場内が絶叫に近い大歓声に包まれるなか、RAG POUND+THE RAMAPAGE+佐野によるスペシャルコラボで「HARD HIT」を力強くパフォーマンスして、会場のボルテージを上げていった。
興奮冷めやらぬなか、間髪入れず現れたのは世界を舞台に活躍する和太鼓集団DRUM TAO。続くコラボテーマは「(R)hytym」だ。DRUM TAOとともに演奏されたのは「Summer Riot ~熱帯夜~」「LA FIESTA」「Fandango」「HEATWAVE」。THE RAMPAGEの持ち味である妖艶なラテンフレイバーの楽曲に、DRUM TAOによる和のエッセンスが交わり、東京ドームにビーチパーティと夏祭りを合体させたような多国籍な祝祭ムードが広がっていく。
ライブ中盤は、「FEARS」「INVISIBLE LOVE」「Knocking Knocking」「One More Kiss」といったミドル/スロウテンポのラブソングセクション。初の全国ツアーで披露していたCOLORの「Lost Moments~置き忘れた時間~」のカバーや「MY PRAYER」では、優しさと色気の川村、甘くてナイーヴな吉野北人、太くて野性味のあるRIKUと、三者三様の歌声をつむぎ合わせ、オーディエンスをうっとり酔わせていった。
また、「FEARS」から始まり締めの「INTO THE LIGHT」まで、このセクションは歌詞の内容が、別れ~新しい恋の始まり~愛の誓いと一編のラブストーリーを追うような流れになっていて、粋な演出に脱帽。
さらに「FEARS」での鎖に繋がれた演出に始まり、「INVISIBLE LOVE」での目隠しダンス、「Knocking Knocking」でのふたりの女性の間で揺れるダンスなど、楽曲の世界観と調和した振り付け/ダンスを各パフォーマーが見せていたことも注目すべきポイントだ。
このセクションに限らず、全編通して曲間や楽曲のイントロ/間奏などに各パフォーマーがソロパフォーマンスを披露するパートが設けられていて、それぞれがスキルとセンスを存分に発揮できる構成になっていたのも見事だった。
その後はKADOKAWA DREAMSが登場し、ベストアルバム『16SOUL』にMVで収録されていた「PERFORMER’S SOUL」を披露。このセクションのコラボテーマは「(R)eborn」ということで、MVに様々なアレンジを加えて生まれ変わった進化版がパフォーマンスされた。
青い衣装のKADOKAWA DREAMSと赤い衣装のTHE RAMPAGEが入り交じる様は心臓を鼓動させる静脈と動脈のよう。2組合わせて32名がシンクロしたり、アシンメトリーになったりして躍動する多種多様なフォーメーションダンスは壮観のひと言だった。
ステージに残ったTHE RAMPAGEが「STRAIGHT UP」で客席をバウンスさせたあとは、ギタリストのMIYAVIが「Rockしようぜ!」とシャウトして登場。
センター花道をゆっくり歩きながら単独で「DAY 1」を披露したのち、“THE RAMPAGE×(R)ock”というテーマで「ROUND UP feat. MIYAVI」「VIP」「SWAG & PRIDE」をT字型・V字型のステージ全体を目一杯に使いながらテンションの高いコラボを繰り出した。白い衣装と白いギターのMIYAVIに対し、THE RAMPAGEは全員黒スーツ。ステージから四方八方に照射されるド派手なレーザーライトと白黒のコントラストによる目にも鮮やかなステージで魅了した。
そろそろライブは終盤へ。「DREAM YELL」「Dream On」といった楽曲でオーディエンスの手を左右にウェイブさせたあとは、ヴァン・ヘイレンの日本語カバー「JUMP」で場内をヒートアップさせ、「Shangri-La」でタオルを一斉に回して、会場がひとつに。
メンバー同士で肩を組んだり、じゃれ合ったりしながら和やかな雰囲気で披露された「Let’s Go Crazy」の最後には金テープが発射され、ハッピームードが最高潮に達した。
ここまでMCなしで約2時間。30曲以上を切れ間なく駆け抜けたところで、川村が「改めまして、遅くなりましたがTHE RAMPAGEです」と切り出し、グループを代表して5人が挨拶した。RIKUは「9月も半ばですけど引くほど暑いです。RAVERSの気合いのおかげです。皆さんの笑顔を見るたびに一緒に笑えたら幸せだなと思いました」と破顔一笑。
吉野は今日が結成10周年の日ということに触れながら「誰ひとり欠けることなくこのステージに帰って来られたことは当たり前じゃないと思っています」とこれまでの道のりを感慨深く振り返った。
LIKIYAは声を詰まらせながら「グループがどうなってしまうのかということもたくさんありました」と述べ、「僕らは器用じゃないですけど、皆さんにどうやったら愛が伝わるか頑張ってきました。これからも皆さんに愛してもらえるグループをめざしていきます」と熱弁。
陣は「ライブ最高―――!」と叫んだあと「THE RAMPAGEとRAVERSが僕の誇りです。10年後、今日のこの日がまだまだ序章だったと言えるようにこれから本気で突っ走っていきます」とメッセージ。
川村は2021年の東京ドーム公演を「半分のキャパシティで声も出せなかったけど、皆さんのパワーで半分には見えなかった」と回顧しつつ、「僕たちが夢見ていた東京ドームに戻って来られて今日は特別な日。本当にすてきな景色を僕たちに見せてくれてありがとうございます」と感謝を伝えた。
そして「これが終わりじゃない。まだまだ先に繋がっていきます」と言葉を添えて、本編ラスト曲「Seasons」をしみじみと歌唱。RIKUが「君にいつか何かを返したい」という歌詞を「皆さんにいつか何かを返したい」と変えて歌ったところに16人の嘘偽りのない真心がこもっていた。
アンコールは最新シングル「24karats GOLD GENESIS」からスタート。曲を終えるとDOBELMAN INFINITYが登場し、メンバーのP-CHOが「24karatsには長い歴史があることを教えに来たぜ!」と雄叫び一閃。まずはDOBELMAN INFINITYが書き下ろしのあらたなラップを繰り出し、24karatsの精神をTHE RAMPAGEに継承するように「24karats -type EX-」でふた組のコラボが実現した。
続いてEXILEの楽曲「24karats STAY GOLD」が鳴り出すと、EXILEからAKIRA、橘ケンチ、TETSUYA、NESMITH、SHOKICHIが登場。さらにこの日はTAKAHIROも駆けつけ、大歓声とともにTHE RAMPAGEの記念すべきドーム公演を盛り上げた。その「24karats STAY GOLD」はMA55IVEの5人と川村があらたにラップで参加したスペシャルバージョンを披露。ドリームコラボの連続投下で24karatsシリーズの一大絵巻を完成させ、会場を興奮と感動と熱狂の渦に巻き込んだ。
約3時間に及んだライブのラストは「100degrees」。摂氏100℃というタイトルどおり、16人は沸騰するくらいに血潮をたぎらせて熱いパフォーマンスを展開。最後にはメンバー全員が上裸になるほど熱のこもったステージで観客の心もたぎらせ、ライブを締めくくった。
その「100degrees」に入る前、川村は胸のつかえを吐き出すようにアカペラでラップを始めた。「不誠実で何が人に届く?/こちとら魂が商売道具/リアルじゃなきゃ何がHIP HOP/俺たちまだまだプロローグ」。最初はひと言ずつ噛みしめるようにゆっくりラップしていたが、最後は感情を剥き出しにして、怒りを爆発させるように、一気にこう畳みかけた。
「何度も聞いた再来年ドーム! 希望が絶望に変わっちまう前に!さっさと行こうぜ全国ドーム!」。
周囲からドーム公演を期待されても、たどり着けなかった現実。その悔しさをバネにして這い上がってきた結果、この日のTHE RAMPAGEがある。終演を告げるエンディング映像の最後にスクリーンに浮かび上がった「*p(R)ojectRは次なる世界へ進む」という文字。THE RAMPAGEが全国ドームを実現させる日はきっと近い。
TEXT BY 猪又孝
PHOTO BY 高田 梓 / 木村泰之 / Viola Kam(V’z Twinkle)/ 木下マリ / ヨシモリユウナ
THE RAMPAGE OFFICIAL SITE
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