■「また必ず会いましょう!一緒に遊ぼうぜ!ラブ&ピース!!!」(藤井フミヤ)
藤井フミヤがを6月9日に東京・日本武道館でコンサートを開催し、集まった1万4,000人のオーディエンスを沸かせた。
1983年9月、チェッカーズでデビューした藤井フミヤは、2023年9月23日の愛知県芸術劇場を皮切りに、全国47都道府県全てを廻る『40th Anniversary Tour』を開催。全60公演で11万6,000人を動員。この日、40周年記念イヤーを締めくくる61本目(奇しくもフミヤの年齢と同じ)のファイナル公演。フミヤにとってバンド時代から通算して111回目の日本武道館公演となった。
40周年イヤーのファイナル、ゾロ目の111回目となる記念すべきこの日の武道館は、アリーナエリアの中央に巨大な円形ステージが置かれた。360度に向けて組まれているので、どの席からもバンドを正面に見られ、八角形の日本武道館ならではの特設ステージだ。開演前に場内に流れるのは、チェッカーズがデビューした頃のホール&オーツ、ヴァン・ヘイレン、スタイル・カウンシルらの洋楽ヒット曲が流され、観客のモードは40年前に誘われる。
■ブロック1/THE CHECKERS
中央の円形ステージを取り囲むように真っ白な緞帳が吊られており、中の舞台は客席から見えない。17時6分、場内が暗転し緞帳にはメンバーのシルエットが映し出される。オーディエンスの期待がマックスまで昇華した瞬間、緞帳が切って落とされ舞台にメンバーが鮮やかに現れる。
フミヤが「Hello!Everybody! I am here again!」とシャウトし、イントロが演奏されるや1万4,000人の大歓声が会場を満たす。オープニングナンバーは40周年イヤー公演にふさわしく、チェッカーズのデビュー曲「ギザギザハートの子守唄」。この曲、『40th Anniversary Tour』でもセットリストに入っていたがオープニングで演奏したのは初めて。続けて「ジュリアに傷心」「星屑のステージ」とチェッカーズ・ナンバーが続けて演奏され、観客の興奮度は冒頭から最高潮に。
3曲の演奏を終えフミヤは「40周年アニバーサリー・コンサートへようこそ! 尚之もたまたま同じバンドにいたので、同じ40周年を迎えました。今日は40年分の皆さんの思い出と照らし合わせながら、最後まで楽しんでいってください!」と再び、チェッカーズ・ナンバーに。このコーナーではスタンドマイクを振り回すパフォーマンスも披露。倒したスタンドマイクを、つま先でグイッと上にあげるさまが実にカッコいい。
また円形ステージのセンターにサークルステージが設置され、フミヤがここに立つと回転し、360度どこからも見ることができる。6曲目に演奏した「NEXT GENERATION」はチェッカーズ時代にキュート・ビート・クラブ・バンド(C.B.C.B.)名義で発表した曲。こんなレアな選曲に古参ファンも大喜びだった。
■ブロック2/ F-BLOOD
「チェッカーズがデビューしたのはバブル期の1983年。最初の10年はスーパーアイドルでした」と話し、客席の笑いを誘うフミヤ。続けて「日本中どこに行っても、女の子からキャーキャー言われてまして(笑)。そんな経験なかなかできない」とデビュー当時を振り返る。
そして、「チェッカーズは解散しましたが、次はどっちかが死なない限り解散のないユニットやります!」とF-BLOOD コーナーに入る。1曲目はフミヤが作詞、尚之が作曲し猿岩石に提供した「白い雲のように」。尚之はサックスからアコースティックギターに持ち替えふたりで美しいハーモニーを聴かせる。続く「未来列車」「SHOOTING STAR」はアップチューンナンバー。フミヤも回転するセンターサークルステージに立ち360度のファンに向けて熱唱した。
■ブロック3/SOLO
藤井フミヤがチェッカーズ解散後、本格的にソロ活動を始めたのが1993年。「30年前、1曲目が運良くヒットしました」とこここからはソロコーナーに。「TRUE LOVE」「Another Orion」、とソロでのヒット曲を惜しげもなく披露した。
「DO NOT」では美しいファルセットボイスを聴かせ、「Go the Distance」では櫻田泰啓のピアノ、藤井尚之のサックスにフミヤのボーカルの三重奏が儚げも美しい。このコーナーではセンターサークルステージが日本武道館の天井近くまで上昇。フミヤの声は、あたかも天空から聞こえるような荘厳さを演出した。
■ブロック4/ALL
チェッカーズが初めて日本武道館でコンサートを開いたのが1985年12月25日。以来、この日でフミヤは111回目の日本武道館のステージに立った。ソロとなって最初にここでやったのが1994年6月29日。20世紀から21世紀に変わる瞬間の1999年12月31日に初めてカウントダウンコンサートを開き、2018年まで続けられた。
ここは「色々な思い出があるのが、武道館です」と、感慨深けに語るフミヤ。そして「俺と尚之はティーンエイジャーの頃、ロックンロールに身も心を持っていかれました」と中学生でバンド活動をスタートさせ、高校生でチェッカーズを結成した当時を振り返る。
「ロックンロールは男と女が踊るための音楽! 男女の恋のために作られたんです!」とロックとロックンロールの違いを話し、「求愛しようぜ! ロックンロール!」と豪快なロックンロールナンバー「REVOLUTION 2007になだれ込む。
続いての「NANA」では冒頭、キャノン砲から金と銀のテープが発射され、場内は巨大なパーティー会場に一変。 F-BLOODナンバーの「LOVE IT ! ドーナッツ !」では、尚之とフミヤが円形ステージを廻りながらツインボーカルを披露。
フミヤをがっつりとサポートするのは40周年ツアー60本をともにした5人編成バンド。バンドマスター/ドラムの大島賢治とベースの山田“Anthony”サトシのリズム隊がボトムをしっかり支え、沢頭たかしのギターと櫻田泰啓のキーボードが鮮やかに彩る。そして尚之のサックスが加わっての最強の布陣だ。
19曲目に演奏した「GIRIGIRI ナイト」はバンドマスター大島賢治とフミヤとの共作曲。本編ラストはデジタルロックナンバー「UPSIDE DOWN」。キラキラとした照明が場内を激しく交差し、会場はさながら巨大なフロア状態に。フミヤもスタンドマイクをぶんぶん振り回して360度に向けて客席を煽り続け、最高潮に盛り上がって本編は終了した。
■ブロック5/アンコール
最初に演奏した2曲はチェッカーズ・ナンバーの「Song for U.S.A」と「哀しくてジェラシー3」。フミヤはソロになってから演奏してきたチェッカーズ曲は、バンドのオリジナル曲が中心。この2曲はいずれも作詞・売野雅勇、作曲・芹澤廣明のアイドル時代のナンバーで、この時代の楽曲がステージで演奏されるようになったのは2021年のツアーから。それゆえ、古くからのファンにとってはたまらないプレゼントだ。
そしてアンコール3曲目に演奏されたのが藤井フミヤのコンサートで恒例の「紙飛行機」。曲中、ファンが持ち寄った紙飛行機が会場中に飛び交う人気コーナーだったが、40周年記念ツアーで演奏されるのはこの日が初めて。
フミヤから「用意はいいか! ここでしか見えない世界を見ようぜ! みんなの願いが叶いますように! 飛ばせ! 上げろ!」に応じて、紙飛行機が一斉に飛ばされる。広い武道館の紙飛行機の乱舞は圧巻の光景だ。
最後は「40年間、歌わせていただいてありがとうございます」と集まったファンにお礼をして「みんなで祈れば、でっかい祈りになります。世界から戦争がなくなることを願って」とチェッカーズのアルバム『I HAVE A DREAM』に収められたフミヤ・作詞、尚之・作曲の「I have a dream」を、歌詞のひとつひとつに想いを込めじっくりと歌唱。
そして、「また必ず会いましょう! 一緒に遊ぼうぜ! ラブ&ピース!!!」と残し、フミヤはゆっくりとステージを降りた。
全24曲、2時間30分。2023年9月から始まった全国47都道府県/61本の長いツアーが、111回となる日本武道館で締められた。
なお、この日の模様はWOWWOWで生中継され、6月11日23時59分までアーカイブ視聴ができる。
PHOTO BY 平野タカシ
<セットリスト>
01. ギザギザハートの子守唄
02. ジュリアに傷心
03. 星屑のステージ
04. I Love you,SAYONARA
05. Cherie
06. NEXT GENERATION
07. 夜明けのブレス
08. 白い雲のように
09. 未来列車
10. SHOOTING STAR
11. TRUE LOVE
12. DO NOT
13. Another Orion
14. Go the Distance
15. ALIVE
16. REVOLUTION 2007
17. NANA
18. LOVE IT ! ドーナッツ !
19. GIRIGIRI ナイト
20. UPSIDE DOWN
[ENCORE]
21. Song for U.S.A
22. 哀しくてジェラシー
23. 紙飛行機
24. I have a dream
藤井フミヤ OFFICIAL SITE
https://www.fumiyafujii.net/