■「2024年5月29日、リアクション ザ ブッタは…ソニー・ミュージックレーベルズ、SACRA MUSICから…初めてのメジャーリリースをします!」(リアクション ザ ブッタ・佐々木直人)
埼玉発の3ピースロックバンド、リアクション ザ ブッタが、東名阪ワンマンツアーの最終公演『リアクション ザ ブッタ ONEMAN TOUR 2024 FINAL “Give me more distortion”』を、3月17日に東京・渋谷CLUB QUATTROにて開催した。
自身最大キャパシティとなった会場を埋め尽くす観客を前に、バイラルヒットとともに彼らの看板と言える楽曲となった「ドラマのあとで」からライブはスタート。“共感できる恋愛ソング”として広まった切ないミディアムナンバーに耳を傾ける観客の目は真剣そのもので、なかには1曲目から涙ぐむ人も。「一緒に唄おうか!?」(佐々木直人/Vo&Ba)と煽ると、会場はシンガロングと手を押し上げて応え、すでにフロアの空気は最高潮へ。「リアクション ザ ブッタ、ワンマンライブファイナル、渋谷CLUB QUATTROへようこそ! 今日は全員で楽しんでいこうぜ!」(佐々木)と投げかけ、「仮面」「オンステージ」とライブでの人気ナンバーを畳みかける。1ヵ月前にスタートした大阪・名古屋公演に来たファンは驚いたであろうが、ツアーの最終公演ながらも1曲目からガラリと変えたセットリストを繰り出し、この公演に賭ける並々ならぬ想いを感じさせる。
続く「Fantastic Chaos」ではクラップが巻き起こるなか、木田健太郎(Gu&Cho)のギターソロでフロアを沸かせ、内から溢れ出る荒れ狂うような感情を歌と凄烈なパフォーマンスに乗せた「クローン」、女々しさから抑えきれない感情が揺れ動く最新アルバムからのリードトラック「一目惚れかき消して」、ライブを意識して生み出されたとおりに会場中がタオルを振り回す「lowkey」と、ライブアンセムは止まらない。
「11月からの対バンツアーで全国10ヵ所を回ったんだけども、久々に行けた場所もあったのよ。コロナ明けで4年ぶりとかね。たくさんの人が待っていてくれてめっちゃうれしかったし。ここまで俺たちも来たから、みんなも3月の渋谷、今度は会いに来てよって全国どこでも言ってきて。そして今日この景色を見て、本当に全国から来てくれたんだなとマジでうれしく思います。みんな本当にありがとうございます!」(佐々木)、「セットリストを頭の中で反芻しながら、目を瞑って横になっているんだけど、これ絶対楽しいなって想像して、全然寝られなかったです(笑)」(木田)、「僕は2時くらいに寝て、8時くらいに目覚ましかけていたんですけど、6時くらいに起きました。寝られてないねぇ」(大野宏二朗/Dr)と、この日に向けて準備してきた想いを、全国から集まった一人ひとりに語りかけるように届けた。
ライブで久々の披露となる「ワスレナグサ」から「Colorful」「You」と続く後半ブロックでは、彼らがキャリアで培ったたしかな演奏に小気味よく体を揺らしながらも、そのリリックの登場人物に自分を重ねた瞬間、否応なしに感情が動かされていく。そんななか、木田が「好きなバンドも観に行ったし、友達のバンドだったり、先輩のバンドだったり、後輩のバンドだったり。観に行くたびに良いライブだったよって伝えるんだけど、顔が引き攣らないようにというか…。やっぱり早くこの場所に立ちたいな、悔しいなって想いもありつつ。やっと立てました。ありがとうございます」と語ったように、順風満帆ではなかったこれまでの道のりを振り返った。その悔しさを跳ね除けるように、ラストスパートへとライブは駒を進める。
“今の僕らを君はどう見てる? わりかしうまくやっているよね” という、恋愛ソングでありながらも、まさに今の境遇と重なるような歌い出しの「リード」は、感情を爆発させつつ、どこか感傷に浸ってしまうような、不思議な感覚に包まれる。木田と大野のセッションから佐々木のスラップへとリレーし、歓声に包まれるなか、強烈なロックナンバー「Loopy」を放ち、力強い誓いを掲げた応援歌「Voyager」を観客とともに歌い上げると、いよいよライブも終盤へ。
「バンドのスタイルはそれぞれだと思うんだけど、みんなを引っぱっていかなきゃとか押し上げていかなきゃって、自分に課していたときがあって。でも、リアクション ザ ブッタってバンドはそうじゃないんじゃないかって気付いたんだよね。歌詞を見ても、あなたのおかげで景色が色づいたりとか、一緒に手を取って荒波を越えていこうっていう、そういう曲がたくさんあります。手を取って、肩を組んで、一緒に進んでいく。いろんな景色を見て、一緒に笑って、一緒に感動して。そうやっていろんな感情を分かち合えるようなバンドでありたいなと心から思いました。みんなに向けて、この曲を届けたいと思います」(佐々木)と、まさにシーソーのように、お互いの力で高め合っていける想いを歌った「Seesaw」をエモーショナルに届け、“希望”の象徴である“虹色”の照明に包まれながら、「虹を呼ぶ」で幕を閉じた。
「オンステージ」の歌詞になぞらえた「もう一回 もう一回」のアンコールに応え、「彗星」を演奏すると、神妙な面持ちで観客へと語り始めた。
「ここで事前に発表していました、大事な大事なお知らせをみんなに言いたいなと思います。僕らリアクション ザ ブッタはこう見えて、もう少ししたら丸17年活動しています。生きているなかで、ブッタをやっている時間の方が長くなりました。そんななかで楽しくて最高な景色、めちゃくちゃ見てきたのね。でも…それ以上に、もしかしたら悔しいこともめちゃくちゃ…めちゃくちゃめちゃくちゃあったの…。そこで折れないように、めげないように、なんとか自分を保とうとやってきて、それでもキツいなってひとり思うときがたくさんあって。ここQUATTROも正直もっともっと早く立てると思っていたの。でも、すげぇ難しかった、現実は。リアクション ザ ブッタは高校生の頃に結成したんだけど、その頃に思い描いていた未来の自分とは正直違う。でも、そのおかげで、本当に大事な人に出逢いました」(佐々木)
まさに、酸いも甘いも経験した過去を噛み締めるように、時折声を震わせながら吐露する。そして、迎えた発表の瞬間。「最近、新しく仲間が増えました。俺たちの音楽を大好きでいてくれる、めちゃくちゃ素敵な人たちです。2024年5月29日、リアクション ザ ブッタは…ソニー・ミュージックレーベルズ、SACRA MUSICから…初めてのメジャーリリースをします!」(佐々木)
会場からは割れんばかりの拍手が送られ、悲願のベストアルバムをメジャーレーベルからCDリリースするという発表に、観客の多くが涙し、思わずメンバーも瞳を潤ませる。そして「バンドでやっていこうと心から思えた曲を」と、「君へ」を全身全霊で届ける。最後に選んだナンバーは、ライブRECしてベストアルバムに収録したいという「ヤミクモ」。大合唱で会場が一体となり、たしかにこの日の瞬間が刻まれたことであろう。
この最高の瞬間を終わらせたくないと、会場からは再度アンコールの掛け声が。初めてだというWアンコールに応えたメンバーは、今回のベストアルバムのために再録する「ドラマのあとで – retake」を初披露。この日のスタートを飾ったナンバーを、あらたに生まれ変わったアレンジで届け、これからの未来を期待させる形で締め括った。
リアクション ザ ブッタは、5月29日にSACRA MUSICよりベストアルバム『REACTION THE BEST』をリリース、6月8日からは全国ツアー『BEST ALBUM「REACTION THE BEST」RELEASE ONE MAN TOUR “FROM NOW ON”』を地元・埼玉よりスタートさせる。念願のメジャーリリースを控え、あらたな口火を切る3人。これからの活躍に期待しよう。
PHOTO BY 松本いづみ
リリース情報
2024.05.29 ON SALE
ALBUM『REACTION THE BEST』
リアクション ザ ブッタ OFFICIAL SITE
https://rtb-music.com