■「これからもこの作品を、キャラクター達を、沢山愛してあげてください。愛してくださる皆さんのことを僕も愛したいと思います」(佐久間大介)
3月15日時点で観客動員50万人、興行収入も7億円を突破し、さらに公開館数も拡大と、まだまだ盛り上がりを見せる映画『マッチング』。SNSでは「何度観ても、観るたびに発見がある!」「噛めば噛むほど違う味で楽しめる作品」などリピート鑑賞する人も続出し、大きな話題となっている。
この大ヒットを記念して3月17日、東京・六本木のTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて感謝御礼舞台挨拶が開催。土屋太鳳、佐久間大介、内田英治監督が登壇した。
それぞれが感謝の思いを綴った手紙を壇上で読み上げられ、土屋が内田監督からの感謝と労いの言葉に思わず涙ぐむひと幕もあった。
【イベントレポート】
舞台挨拶冒頭、土屋のイヤリングが外れて床に落ちるアクシデントがあったが、すかさず佐久間が拾い上げ「厄が落ちましたね」と優しくフォロー。本作は観客動員数50万人、興行収入7億円を突破する大ヒットとなっているが、佐久間は「うれしいよねぇ」と満面の笑み。土屋は、佐久間に「初日舞台挨拶のときより髪が伸びましたよね? それくらい長く、お礼をお伝えできるのがうれしいですよね」と笑顔で語った。
ちなみに土屋はこの日、クローバー(※劇中で金子ノブアキが演じる影山のイメージ)を意識したという緑色が入った衣装で登壇したが、佐久間も偶然、緑色が入った衣装を着ており、佐久間は「ちょうどいい具合にマッチングしてますね」と嬉しそうに語った。
内田監督は「いま、本当にオリジナル映画ってほとんどないので、その中でこうやって、盛り上げてくれるのが役者さんとお客さんという“劇場型”というか、みんなで盛り上げていく映画の新しい形なんじゃないかと思います。コンサートみたいですね」と語り、佐久間もその言葉に「観に来てくださった方が作り上げてくれた新しいものかもしれない」と同意する。
週を重ねるごとに、映画に対する様々な解釈がSNSなどを通して広がっているが、土屋は“犯人”についてのある考察について「(公開前は)全然思わなかったんですけど、ありうるかもしれないって。新しい発見でした」とまさに公開後も観客と一緒に作品が成長していくのを楽しんでいる様子。
内田監督も「考察が1~2周ではなく、5周くらいしてて、『すごいアイデアだな…』と思うのがいっぱいあって、パクっちゃおうかと(笑)」と語り、すかさず佐久間から「“パクる”じゃなくて、オマージュです!」とツッコミが入る。佐久間は、監督の手による原作小説も読んだことを明かし、各キャラクターの設定やバックボーンが「原作により書かれていて、『こんなこともしてるんだ』という意外性がありました。(原作も)読んだ方が『佐久間くん、ここまでやってるんだ』とか『吐夢をこう表現してるんだ』と言ってくださるんですけど、実はうまい具合にそこまで考えがいってなくて、そういう意味で、僕たちの芝居が原作での彼ら彼女たちの心情などにすごくマッチしていて、奇跡が折り重なって出来た作品なんだなと感じました」と明かした。
土屋、佐久間、内田監督は撮影前から公開前のプロモーション、そして公開後の舞台挨拶と長く一緒に時間を過ごしてきたが、互いが“マッチ”していると感じた瞬間を尋ねると、佐久間は撮影現場で内田監督が見せた意外な一面を指摘。それは屋上での撮影シーンで、内田監督がスタッフ陣に対し、“安全第一”を強い口調で訴えたという。佐久間は「内田組という、ほとんど“家族”のような仲が良い人に『ここは屋上で、危ないところなんだから気をつけよう』ということをおっしゃって、なかなか親しい人に厳しく注意するって難しいことだと思うんですけど、しっかり言われている姿を見て、良い意味で場が締まりました」と明かす。
土屋もそのシーンについて「普段、監督は声が大きくない“ボソボソ”系なんですけど(笑)、その時は『危ないから』とおっしゃっていて、素敵でした」と語り、佐久間も「素敵な関係性だなと思いました」とうなずく。
土屋は、内田監督について「そんなに現場でしゃべったわけではないはずなんですけど、印象に残る言葉をいろいろ言ってくださいました。役者の心とマッチングするのがすごくお上手な監督です。『いま、感情が乗っているな』と思ったらカットを掛けないんです。久しぶりにそういう監督にお会いしてうれしかったし、役作りをしてよかったなと思いました」と明かす。
一方、佐久間については役柄の関係性上「お芝居でなかなかマッチングするのが難しかった」とふり返りつつ、佐久間が保護猫と暮らしているという点に触れ「私も小さい頃に、両親が保護猫を飼っていたんです」と明かし「佐久間さんが保護猫を飼っていると知ったとき、吐夢が保護猫みたいだなと思いました」と独特の表現で、吐夢という複雑な内面を抱えた役柄と、それを見事に演じた佐久間の“マッチング”を称えた。
そして、この日は3人がそれぞれの思いをしたためた手紙を持参し、壇上で披露。内田監督は、自身で読むのが照れくさいということでMCが代読した(以下、文面)。
拝啓
佐久間大介様
早いもので『マッチング』の撮影から1年半が過ぎ、2度目の桜が咲こうとしています。思えば最初の顔合わせのとき、誰よりも声が大きく、元気すぎるその笑顔に一抹の不安をおぼえたことをカミングアウトします。
経験があまりないという演技は大丈夫なんだろうか? テレビ出演に忙しくて役作りできるのだろうか? しかしそんな不安もすぐに払拭されました。
吐夢という複雑な人間の内面を理解しようと、長い時間話し合ったのを覚えています。生と死、愛の確認と存在、そして人間の孤独。スリラーという娯楽作に込めた私の想いを、見事に吐夢というキャラクターに命を吹き込むことで表現してくれました。映画作家として、これに勝る喜びはありません。そして、年々減ってゆくオリジナル映画を、お客さんも巻き込んで盛り上げてくれたこと。映画は見ていただいたお客さんの物であることを再認識しました。映画に一喜一憂していた自分の映画少年時代を重ね、映画への想いを、再び強く持つようになりました。
出会ったときの不安要素であった佐久間くんの明るさも、今はないと逆に不安になってしまうようになってしまいました。人間は現金なものですね。映画は擬似家族であり、出会いと別れと再会の場であると信じてます。出会わせてくれた映画と、ここまで作品を応援してくれたお客様と、そして佐久間くんに、感謝しています。本当にありがとう。
内田英治拝啓
土屋太鳳様
撮影、そして公開まで、長い長い時間を、、、季節の移り変わりをこの『マッチング』とともに歩んでくれましたね。等身大の女性像である主人公・輪花を演じるにあたり、想像を絶するほどに身を削ったことでしょう。
俳優が映画にとってどれほど大事なのかを、日々けわしくなってゆく太鳳ちゃんを見ながら、教えられた気がします。同時に、カメラの外での俳優の重要さも、太鳳ちゃんから学びました。ひとつの家族ともいえる映画の現場。長い共同時間と、過酷な創造性が求められる撮影において、やはり主演俳優が与える安心感が、マッチングという家族を支えたのだと思うのです。スタッフへの心遣い、現場の100人近い人間のモチベーションのキープ、自らの役作りが大変ななか、太鳳ちゃんの存在は本当にありがたかったし、感謝しかありません。
よい演技だけではよい映画は作れない。擬似でしかない家族に血を巡らせることこそ、映画における一番難しい部分であり、それを率先してやってくれましたね。土屋太鳳が作ってくれた家族は、俳優の結束を生み、作品を生み、たくさんのお客さんを巻き込み、今や大家族となりました。映画が持つ、力を、見せてくれてありがとう。そして公開までの間に、太鳳ちゃん、自身にも新しい家族ができたことも、なんとも喜ばしく、我が身のように嬉しい気持ちでいっぱいです。またいつの日か再び、土屋太鳳の元気とパワーで、私の映画に血を巡らせてくれる日を、心待ちにしています。
内田英治
佐久間は、内田監督の手紙に「うれしいですね。お父さんが手紙を書いてくれたみたい」とはにかみ、内田監督も「結婚式っぽかったですね(笑)。でも、本当の気持ちを書きました」と語る。土屋は、手紙が読み上げられている最中から思わず涙ぐみ、「感動しちゃいました。(手紙は)家宝にします」と感激した面持ちで語っていた。
続いて、佐久間はハートのシールが貼られた封筒を開けて、4ページにもわたる手紙を自ら朗読(以下、文面)。
マッチングを見てくれた全ての皆様へ
まずは映画マッチングを見ていただき本当にありがとうございます。
皆さんが沢山楽しんでくれて、この作品を好きになってくれて本当に嬉しいです。
世代性別問わず本当に幅広い方に見てもらえて感無量です。
特に僕のファンの皆さんは、僕が初めて単独で出演する映画だからこそ、「期待」と「気合」を入れて凄く意気込んでくれてると思います。ずっと応援してくれてる人達にとっての楽しみになってくれてるのが心から嬉しいです。僕にいろんな物をくれて本当にありがとう。
そして、作品を知ったキッカケは、どういう入り口でもいいと思っています。応援してる人が出てるから、知ってる人が出てるから、この人が作った作品を観たいから、このジャンルが好きだから、なんとなく来た、色んな方がいると思いますが、僕たちからすると観てもらえるだけで大丈夫です。一度見ればわかると思います、なので存分に作品の世界観に浸ってください。あなたをすぐにでも沼に引きずり下ろせるように、心を込めてみんなで作り上げた作品なので安心して浸かってください。土屋太鳳さん
以前から番組等で顔見知りだった太鳳ちゃんと、今回初めてお芝居で共演させていただきました。
現場で改めて太鳳ちゃんの人柄や、自分の役や、周りの人に対していつも誠実で一生懸命向き合って行く姿勢が本当に素敵で、先頭で旗を振ってくれる姿は、まるで令和のジャンヌダルクの様で、大きな背中に勇気をもらいました。ただついて行くだけではなくしっかりと自分自身がこの作品にとっての力なれる様、不慣れながらに全力で挑ませていただきました。太鳳ちゃんがカッコ良すぎて僕にとって憧れの役者さんになりました。
僕もいつか座長の座に着くことがあったら、太鳳ちゃんの様に関わる全ての人に優しく力強く作品をしっかり背負う座長になれる様に頑張ります。今回一緒になれて本当によかったです。これからもよろしくお願いします。内田英治監督
僕は最初に関わる監督が、内田監督で本当によかったと実感しています。監督が作り上げる世界観が好きです。そして役者を信じてくれて自由にアプローチした物を積極的に取り入れてくださる、否定がないからこそ役を愛することに没頭できたなと感じています。
関係各所のスタッフの皆さん、まずは僕に声をかけてくださって、この作品に出逢わせてくださって、ありがとうございます。毎度、たくさんの方がこの作品を楽しんでくれてるのを実感する度に一緒に喜んでくれる素敵なスタッフの皆さん、撮り終わった後も一緒にこの作品のために舞台挨拶とか色んなことをセッティングしてくださりとても感謝しています。今後ともよろしくお願いします。長くなりましたが、「愛」をテーマにしているこの作品を通して、皆様からたくさんの「愛」を感じることができてとても幸せです。これからもこの作品を、キャラクター達を、沢山愛してあげてください。愛してくださる皆さんのことを僕も愛したいと思います。これからも末長くよろしくお願いします。
佐久間大介
土屋も、自らしたためてきた長文の手紙を朗読した(以下、文面)。
輪花に出会わせてくださった全ての方、この物語に関わる全ての方へ。
本当に、本当にありがとうございます。感謝を言葉にしたら、何日経っても足りません! ですので、今日は監督と佐久間さんにお伝えします。内田監督
私はこの手紙を書き始めた瞬間、吐夢の気持ちがわかりました。吐夢はもっと会いたいから来てしまうのではない。もう会えないかもしれないから来てしまうのですね。
私はいま、吐夢と同じ気持ちです。内田組とまたお会いする日は来るでしょうか? お仕事をご一緒したいなんて、おこがましいことは言いません。また楽しい話をたくさんできたら嬉しいです。そして「生きていてよかった」と思える時間をご一緒できたら嬉しいです。佐久間さん
12年前、初めて舞台で拝見した佐久間さんはまるで火の玉のようでした。私がその姿を忘れられないように、佐久間さんは本当にいろいろな姿をたくさんの人に刻みながら生きてこられたと思います。そして、いままた、新たに佐久間さんは吐夢と共に時を超えようとしています。
吐夢の痛みは、時代を超えて愛情とはいったい何なのか、考える種をまき続けるでしょう。吐夢がこれほどせつないのは、演じる佐久間さんご自身が愛情の正体をわかっていらっしゃるからだと思います。金子さんと一緒に温かい愛情を少年のように真っすぐ現場に注いでくださいました。本当に救われました。輪花
元気ですか? あなたの手を包んでくれる手はいまも優しいですか?吐夢くん
もうすぐ桜が咲きます。桜色のシャツ、ちゃんと着てくれていますか?影山さん
クローバーの季節になりました。少しでも心が温まりますように。そして、願わくばこの寂しさの向こうに、みんなと再会できる日が来ますように。
心からの感謝を込めて。
土屋太鳳
内田監督は、土屋、佐久間からの手紙に「いい舞台挨拶ですね。こういう話は現場ではしないので。いい日になりましたね」としみじみと語っていた。そして、土屋、佐久間、内田監督から、3月20日から配布される劇場入場者プレゼント第三弾、輪花・吐夢・影山の名台詞が入った「クリオネポストカード」の情報も発表された。
舞台挨拶の最後に土屋は「いまは、携帯があれば見たいもの、聞きたいことが簡単に手に入る時代です。この映画は、その携帯があることによって運命が変わっていく物語なんですけど、この時代にこの作品に、こういうふうに直接これだけの人が集まってくれていることが本当にうれしいです。映画は時代を超える力があるんだと感じましたし、作品は観てくださる方々によって育ててもらうものだと改めて感じました。これからも『マッチング』を見守ってくださったらうれしいですし、吐夢や影山さんと出会えるように発声練習をしておこうかなと思います(笑)。本日はありがとうございました」と語り、温かい拍手の中で舞台挨拶は幕を閉じた。
■映画『マッチング』劇場入場者プレゼント第3弾決定!
セリフ入りクリオネポストカード 特別映像が視聴できるQRコード付(大ヒット御礼舞台挨拶映像)
配布日:3月20日~24日
アイテム:特別映像が視聴できるQRコード付アイテム1種
※各劇場無くなり次第終了
※動画はダウンロード不可
映画情報
『マッチング』
全国公開中
出演:土屋太鳳
佐久間大介 金子ノブアキ
真飛聖 後藤剛範 片山萌美 片岡礼子
杉本哲太 斉藤由貴
監督・脚本:内田英治
原作:内田英治『マッチング』(角川ホラー文庫刊)
主題歌:Aimer「800」
制作・配給:KADOKAWA
(C)2024『マッチング』製作委員会
映画『マッチング』作品サイト
https://movies.kadokawa.co.jp/matching/