日本はもちろん、ドイツ、ブラジル、サウジアラビア、シンガポール、香港と世界中を駆け巡っているグローバルなアニソンフェス『SACRA MUSIC FES.』が、マレーシアに上陸。2024年2月3日、Zepp Kuala Lumpurにて『SACRA MUSIC FES. 2024 IN MALAYSIA』が開催された。会場のZepp Kuala Lumpurには、約2000人を超えるアニソンファンが集結。FLOW、ASCA、スピラ・スピカ、Who-ya Extended、あかせあかりのステージに、大声援が贈られた。コスプレイベントを中心に、これまでも日本のアニメ文化が大人気を博してきたマレーシアだが、アニソンフェスが開かれるのはこれが初めて。エポックメイキングなライブとなった。
■EDテーマを歌う『着せ恋』ヒロインのコスプレでも魅了!あかせあかり海外初ステージ
オープニングアクトとして登場したのは、再現度の高いアニメキャラクターのコスプレでZ世代から絶大なる人気を博し、現在TikTokフォロワー数140万人を突破。俳優としても活躍するあかせあかりだ。大歓声に迎えられた最初のナンバーは、彼女のデビューシングル「恋ノ行方」。「恋ノ行方」がEDテーマに起用されたTVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』のメインヒロイン・喜多川海夢の制服姿で、かわいいピースサインを客席に投げると、歓声はさらに大きくなる。キュートな歌声と満面の笑顔、ポップな振り付けに見入られた客席に、色とりどりのペンライトがいくつも舞っていた。
はにかんだ笑顔で元気に手を振りながら「ハロー、マレーシア!」と挨拶。日本語で「皆さん、日本のアニメ好きですかー?」と問いかけると、割れんばかりの大歓声が応える。初めての海外でのライブステージ、「楽しみにしてました。名前だけでも覚えて帰ってください!」の声にもエールが飛んだ。
ここからは、あかせのYouTubeチャンネルでも公開されている人気アニソンのカバーを2曲。TVアニメ『魔法少女まどか☆マギカ』のOPテーマ、ClariSの「コネクト」と、TVアニメ『【推しの子】』OPテーマ、YOASOBIの「アイドル」だ。日本のアニソンフェスに負けない大声援と掛け声が飛び、心がひとつになった。初海外ライブで緊張していたと言うあかせだったが、温かいマレーシアのアニソンファンの声を浴び、笑顔でステージを後にした。
■日本文化も伝授!スピラ・スピカならではのバラエティ感が一体感を演出
幹葉(Vo)のソロユニットとして活躍中のスピラ・スピカは、海外での『SACRA MUSIC FES.』をもう何度も経験済み。この日もマレーシアのファンに、明るい笑顔と弾けるような歌声を思い切り届けてくれた。
最初のナンバーは、アニメ『ガンダムビルドダイバーズRe:RISE』1st Season OPテーマの「リライズ」。イントロで「SACRA MUSIC FES. IN MALAYSIA―!」と大きく叫ぶと、軽快なリズムに合わせてカラフルなペンライトが揺れ、クラップが響く。大きく伸ばした幹葉の手に突き動かされるように大きなコールが重なり、立て続けに放たれたのは、昨年の香港、シンガポール公演でも披露されていた、いきものががりの「ブルーバード」(TVアニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』OPテーマ)カバーだ。幹葉の「Let’s singing together!」のシャウトに応えたオーディエンスの大合唱が、鳴り響く。曲のタイトルに合わせて、客席のペンライトが青色多めに変化していたのも、アニソンファンの息の合った応援スタイルが、海を越えたマレーシアにも浸透している証に思えた。
海外でのMCも手慣れたものだ。英語と日本語を交えながら、マレーシアで歌うのは今日が2回目とアピール。「初めての方も2回目の方も、私のこと“スピスピ”って呼んでください!」と歓声を浴びて顔をクシャッとほころばせ、「トゥディは、エブリワンでダンシングしたいな! コピー・マイ・ダンス!」と、次のナンバー「ピラミッド大逆転」(TVアニメ『俺だけ入れる隠しダンジョン』OPテーマ)の振り付けを指導。元気いっぱいにフリを合わせ、ライブならではの一体感を楽しむ。続いて「ジャパニーズ・トラディショナル・ダンスをみんなに紹介したい!」と言って、今度は幹葉の故郷・徳島県の“Awa‐Odori”=阿波踊りをティーチング。世界中どんな場所でも、幹葉らしいフレンドリーな世界に巻き込んでいくのも、スピラ・スピカの魅力だ。
そしてもう1曲、「みんなも絶対知ってる曲やけん、一緒に歌ってくださいね!」と紹介してカバーしたのは、LiSAの「紅蓮華」(TVアニメ「鬼滅の刃」オープニングテーマ)。真っ赤なペンライトの光を浴び、楽しいMCから一転、シリアスでパワフルな幹葉の歌声にオーディエンスも大興奮だ。バラエティに富んだ楽曲で楽しませてくれたステージのラストを飾ったのは、「またみんなに会えることを願って!」と届けられた「燦々デイズ」(TVアニメ『その着せ替え人形は恋をする』OPテーマ)。ステージ狭しと駆け回り、幸せをふりまいた。
■グローバルなサウンドを届けたWho-ya Extendedのクールな世界観
カラフルなスピラ・スピカに続いては、暗転の中、幻想的でミステリアスなBGMからスタートしたのは、ボーカリスト・Who-yaを中心としたクリエイターズユニット、Who-ya Extendedのステージだ。パッと照明が灯り、真っ白な衣装のWho-ya(Vo)が、ミクスチャーな「Q-vism」(TVアニメ『PSYCHO-PASS サイコパス 3』OPテーマ)を歌い始めると、ステージはグッとシリアスな雰囲気に。続く2曲目も、世界中で人気の『PSYCHO-PASS』シリーズからの1曲。ネイティブな英語で「Synthetic Sympathy」(劇場版『PSYCHO-PASS サイコパス 3 FIRST INSPECTOR』主題歌)を紹介すると、歓声がますます大きくなる。ノイジーなイントロ、きらびやかなテクノサウンド。ソフトだが深みのある歌声を響かせるWho-yaが左手を高く掲げて“Raise your hand, everybody”とオーディエンスをドライブ。彼ならではの音世界に観客を誘う。
流暢な英語で、今回がマレーシアでの初歌唱であること、そして今年最初のライブであることを説明し、『SACRA MUSIC FES.』に参加できたことを「I’m so so excited」と告げるWho-ya。次の楽曲は、最新シングル「Prayer」(TVアニメ「はめつのおうこく」EDテーマ)。それまでのリズミカルなナンバーから一転、自分自身の内面と世界との対比を描き、心情の深淵を覗き込むようなスタティックでドラマティックなバラードだ。Who-yaの歌声が、豊かに会場を包み込んだ。
「ありがとうー!」と歓声に応え、ニコリと爽やかな笑顔を見せたWho-ya。ステージに残されたあと4曲も「very very aggressive and excited song」だから、みんなからのパワーと声と拳が欲しいと言って、コール&レスポンス。「Make some noise!!」の叫びから、「Repentace Dance」(『パチスロ傷物語 -始マリノ刻-』テーマソング)~「Killing My Fear」~「A Shout Of Triumph」(TVアニメ『ビルディバイド -#FFFFFF-』EDテーマ)と、強いビートを叩きつける激しいナンバーを畳みかける。
汗を光らせながら「Terima kasih」と現地語で感謝を告げ、今度は日本語で「またライブで会いましょう。今日ここで会えたことをとても幸せに思います。愛情と熱量にあふれた夜を一緒に作ってくれてありがとうございます。またマレーシアに帰ってきます」と言葉を紡ぐ。ラストに届けたのは「VIVID VICE」(TVアニメ『呪術廻戦』第2クールOPテーマ)。ペンライトが真っ赤に揺れる客席に、疾走感あふれるWho-yaの歌声が響き渡った。
■スケールの大きなASCAの歌声を、全身全霊で届けたステージ
オリエンタルで哀愁にみちた旋律から始まるインストゥルメンタル「Profusion」が流れ、幾何学模様が踊るスクリーン。暗闇から颯爽と姿を現したのは、ASCAだ。ステージ中央に凜と立ち、「マレーシア、楽しんで行きましょう!」と言葉を投げ、笑顔で両手を広げて歓声を受け止める。力強い歌声から始まったのは「Stellar」だ。大きく飛び跳ねながら「ジャンプ、ジャンプ!」とオーディエンスを煽ると、カラフルな光が客席で一緒に躍動。ASCAのスケール感のあるボーカルが、雄大な音世界を紡ぐ。続いて放たれたのはアップテンポな「Howling」(TVアニメ『魔法科高校の劣等生 来訪者編』OPテーマ)。ファンに手を振り、熱唱を聴かせる。「マレーシアのみんな、まだまだ行けるよね! 声出せ!」の声に、彼女に負けないパワーでオーディエンスが大声で叫ぶ。“叫び続けろ”“信じ続けろ”というメッセージが、強烈に迫ってくる。
歌い終わった彼女の名を、リズミカルに呼ぶ観客達。キラキラとドレスを輝かせながら、両手を挙げてオチャメに飛び跳ねていたASCAが「Terima kasih―!」から、現地の言葉で挨拶して自己紹介。マレーシアで歌うのは2回目という彼女は、「今日はここに来てくれたひとり一人に全身全霊、歌を届けて帰りたいと思っているので、最後までよろしくお願いします!」と語る。
英語で曲紹介をして、続いた曲は「雲雀」(TVアニメ『ロード・エルメロイII世の事件簿 -魔眼蒐集列車 Grace note-』EDテーマ)だ。シンと鎮まったステージに、伸びやかで美しいASCAの歌声が、ゆったりと広がっていく。静かな微笑みを浮かべながら、愛の形を見つけるために草原を高く飛ぶ雲雀の雄大な景色を、丁寧に優しく紡いでいくASCA。ボーカリストとしての力量を感じさせてくれる楽曲だ。そして躍動感に満ちた「凛」(TVアニメ『グランクレスト戦記』第2クールOPテーマ)へとセットリストは繋がれていく。ペンライトが一気にブルーに染まり、力のこもった激情がほとばしっていた。
「楽しんでますか、マレーシア!」とシャウトし、ニッコリ笑うASCA。「みんなまだ、声出せるんじゃないの? 次の曲、一緒に歌って!」と誘ったナンバーは、「Real Dawn」だ。一層アクティブにステージを行き交いながら、ハイスピード&アッパーなボーカルを聴かせる彼女。大きく振る手に合わせてシンガロングすると、客席にカラフルなワイパーが巻き起こった。ディーヴァの貫禄を見せつけたASCAステージ、ラストを飾ったのは、世界中で愛されるTVアニメ『ソードアート・オンライン アリシゼーション』第2クールOPテーマ「RESISTER」。表情豊かにパワフルなロックをぶつけるASCAの熱に、オーディエンスも全力で応えていた。
■『NARUTO -ナルト- 』ナンバーを中心に、9年ぶりのマレーシアでFLOWが躍動!
バトンを最後に受け取ったのは、世界中をまたにかけ、毎年のように海外ツアーを大成功させながら、デビュー20周年を超えて今もなお精力的にライブを繰り広げているFLOW。長いキャリアで培われたライブバンドとしての実力と、数々のアニソンを世に放ち続けてきたソングライターとしての魅力は、ここマレーシアのアニメファンにとっても羨望の的だ。
雄々しいコーラスをフィーチャーしたノリのいいインストゥルメンタルに、客席で舞うカラフルなペンライトの光が呼応する。ステージの照明が上がって、KEIGO(Vo)が「行くぞマレーシア!Put your hands up!」と「風ノ唄」(TVアニメ『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』OPテーマ)をコール。KOHSHI(Vo)との息の合ったボーカルとタイトなバンドサウンドが絡み合い、一体になったクラップがこだまする。1曲目から、オーディエンスは文字通りハイテンション。「Oh,Oh,Oh―!」のシンガロングが熱を吹き上げる。KOHSHIの「楽しんで行こうぜ!」の声に続いた「Sign」(TVアニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』OPテーマ)では、観客全員で大合唱。IWASAKI(Dr)のドラミングとGOT’S(B)のベースが軽快なリズムを刻み、カラフルな衣装を着込んだTAKE(Gu)がアクションしながらギターを掻き鳴らす。スクリーンに、ローマ字で書かれた歌詞も映し出されて、一緒に口ずさめるようになっているのも、FLOWのファンサービスだ。そして休む間もなく「COLORS」(TVアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』前期OPテーマ)と、ヒット曲を連発。FLOWファンだけでなく、日本のアニメを愛する人なら誰もが知るレパートリーを、いくつでも繰り出すことができるのが、彼らの最大の武器だ。
TVアニメ『バック・アロウ』2期EDテーマだった「United Sparrows」のトラックアレンジをBGMに、KEIGOが「改めまして、FLOWです!」と挨拶。9年ぶりにマレーシアに来られたことを喜び、“日本のアニメと日本の音楽、FLOWを愛してくれてありがとう。COVID-19で世界は分断されたけど、僕らはアニメと音楽で繋がっています。この繋がりは、決して終わることはありません”と英語で大切なメッセージを伝える。KEIGOのひと言、ひと言に同意の大歓声が挙がり、ステージはダンサブルな「DAYS」(TVアニメ『交響詩篇エウレカセブン』OPテーマ)へ。ディスコティークなストリングス、2MCによるクールなラップ。ミクスチャーバンド・FLOWの音楽性の豊かさを、改めて感じる曲だ。
ここでMCをKOHSHIにバトンタッチ。流暢な英語でユーモアを交えながら、9年前にFLOWのショーを見たことがある人は?と問いかけると、何人もの手が挙がり「Really!?」と笑顔になる。昨年デビュー20周年を記念して『THE FIRST TAKE』で公開された「GO!!!」に触れ、世界中から寄せられたコメントへの感動と感謝の気持ちを伝えた。
「Malaysia, Are you ready?」と煽って、アジアンなイントロから始まる新曲「烈火」(中国アニメ『烈火澆愁』日本語吹替版OPテーマ)を披露し、「FLOW×NARUTO THEME SONG COVER」プロジェクトの1曲、『NARUTO -ナルト- 疾風伝』16代目OPテーマ、KANA-BOONの「シルエット」をカバー。FLOWのエッセンスをアレンジに加えた新鮮な楽曲に、オーディエンスのテンションはさらにアップする。熱気の中で放たれたのは「GO!!!」(TVアニメ『NARUTO -ナルト-』4代目OPテーマ)だ。ステージを駆け回るKEIGOとKOHSHI、TAKEがトップスピードで大きくジャンプを決め、FLOWのライブではおなじみの会場全体を巻き込んだウェーブでさらに盛り上がる。大声でコールを交わすオーディエンス。
集まってくれたファンとスタッフに感謝し、「また絶対(マレーシアに)来るからな!」とKEIGOが告げた曲は「GOLD」(TVアニメ『BORUTO-ボルト- -NARUTO NEXT GENERATIONS-』10代目OPテーマ)。全員でジャンプを決めた。
そしてラスト、大熱狂のフェスを締めくくったのは、出演者全員によるORANGE RANGEの「ビバ☆ロック」(TVアニメ『「NARUTO-ナルト-」放送20周年記念完全新作アニメーション』EDテーマ)。最後はマレーシアの国旗を掲げながら、出演メンバーが名残惜しそうに、ファンとの別れを惜しんでいた。
TEXT BY 阿部美香
『SACRA MUSIC FES. 2024 IN MALAYSIA』
2024年2月3日 Zepp Kuala Lumpur
SET LIST
あかせあかり
1.恋ノ行方
2.コネクト(ClariSカバー)
3.アイドル(YOASOBIカバー)
スピラ・スピカ
1.リライズ
2.ブルーバード(いきものがかりカバー)
3.ピラミッド大逆転
4.紅蓮華 (LiSAカバー)
5.燦々デイズ
Who-ya Exteneded
1.Q-vism
2.Synthetic Sympathy
3.Prayer
4.Repentance Dance
5.Killing My Fear
6.A Shout Of Triumph
7.VIVID VICE
ASCA
1.Stellar
2.Howling
3.雲雀
4.凛
5.Real Dawn
6.RESISTER
FLOW
1.風ノ唄
2.Sign
3.COLORS
4.SE(United Sparrows_SE)
5.DAYS
6.烈火
7.シルエット(KANA-BOONカバー)
8.GO!!!
9.GOLD
ALL
ビバ☆ロック(ORANGE RANGEカバー)
SACRA MUSIC 公式プレイリスト
https://smu.lnk.to/SongsSelection
SACRA MUSIC公式WEBサイト
https://sacramusic.jp/