■「会場の反応が鮮やかで本当にびっくりしました」(上白石萌音)
映画『夜明けのすべて』が、現地時間2月15日から25日まで開催中の『第74回ベルリン国際映画祭』にて、個性や多様性のある物語に注目する「フォーラム部門」に選出。
2月21日夜にインターナショナルプレミア上映が行われ、ベルリン国際映画祭に初参加となる松村北斗(SixTONES)と上白石萌音、自身の長編監督作品すべてが同映画祭に招待されている三宅唱監督が舞台挨拶やQ&Aなどに登壇した。。
2月21日の昼間からそれぞれ現地でのメディア取材に応じた松村、上白石、三宅監督は、Zoo Palastにあるレッドカーペットを訪れた。シックで艶やかなジャケット衣裳を纏った松村はベルリンに到着した感想を聞かれ、「日本の東京の小さな街で撮影した映画なので、渡航してようやくこの(ベルリンの)街の風景を見て、やっと今世界に届いているんだと感動し始めています」とコメント。
さらに、昨年声優として出演した新海誠監督の『すずめの戸締まり』(2022年)が第73回ベルリン国際映画祭に正式出品されており、今年で2年連続の招待となるのだが、昨年松村は参加できなかったため、「リベンジの気持ちもあります! 」と意気込みを語った。
エレガントな黒いドレス姿を披露した上白石は「まさか、人生のなかで参加できると思っていなかった場所に、自分が大好きで大切に思っている作品を通して来ることができたのは何より嬉しいです」と、世界三大映画祭のひとつという大きな舞台に参加できる心境を嬉々として話した。
そのまま、映画祭メイン会場のBerlinale Palastに移動した一同。煌びやかなネオンのロゴと映画祭のシンボルとなる熊のマーク、そしてミラーボールが照らす会場は多くの一般参加者たちで活気づいており、現地の空気感を肌で感じた様子だった。
そしていよいよ迎えた、インターナショナルプレミア上映。会場は18世紀末に建造され、話題作のみが上映される劇場Delphi Filmpalastで、選出発表時のSNS反響を受けて、キャパの大きな劇場での上映実施が急遽決定した。上映会には、国籍・年齢・性別問わず多くの観客が足を運び、670席の会場が満席に。
すでに熱気に満ち溢れるなかで行われた上映前舞台挨拶では、大きな拍手で迎えられながら順番に壇上に上がった三宅監督、松村、上白石。松村と上白石は冒頭、「Guten Abend(グーテン・アーベント)!=こんばんは 」とドイツ語で会場に呼びかけ、続けて流ちょうな英語で挨拶。本編上映後には、会場中に大きな歓声と称賛の拍手が響き渡り、同席していた監督キャストらも拍手で讃えられた。
熱気冷めやらぬなか、松村、上白石、三宅監督はそのままQ&Aに登壇し、時間が許す限り観客から寄せられた質問に回答した。
PMSやパニック障害というそれぞれの“生きづらさ”抱えた男女を演じた松村と上白石。「これらのテーマに関心を持ったからこの映画に参加したのか」という質問に対して、「この映画を通してすべてを知ることは不可能だけれど、一歩、半歩でもその症状に対して寄り添ってくれたらいいな、という思いは強く持ちながら演じていました」と松村。
上白石は「まず初めにお聞きしたいんですが…」と切り出し、「日本では女性の生理の話を男性とはしづらいのですが、それはこちらも一緒ですか?」と問いかけた。会場から「そうでもない」という反応を受け、「日本もそうなるといいな、そういうきっかけにこの映画がなればいいな、と思っています 」と満面の笑みで語るなどし、観客とのコミュニケ―ションを楽しみながら終始和やかな雰囲気でQ&Aが行われた。
プレミア上映終了後の囲み取材では、映画を観た観客の反応について「想像以上だった」と振り返った3人。三宅監督は「上映後、お客さんから力強い拍手をいただき感激しましたし、ふたりのキャラクター(山添くんと藤沢さん)を友達みたいに愛して観てくれていたんだと感じました」と胸いっぱいの様子でコメント。
松村は「 この映画は、いろんな人の人生がそのまま映し出されている映画なのですが、人生のしんどいこともと笑えることも、お客さんが一緒になって感じてくれている空気が伝わってきました」、上白石は「会場の反応が鮮やかで本当にびっくりしました」と振り返った。
初めてベルリン国際映画祭に参加したと松村と上白石だが、「お客さんの観方がすごくプロだなと思い、たいへん心地よかったです」と松村。上白石は「国籍や人種が違ういろいろな方がいましたが、みんな同じところで笑ったり、張り詰めたりしていて、文化や言葉を超えた共通の何かがあるんだな、と感じました」と新鮮な体験をしみじみと噛み締めた。
Q&Aの感想を聞かれると、松村は「もっとこの映画のことを知りたいんだな、という質問ばかりで、さらにこの映画への自信が湧きました」、上白石は「たくさん手が挙がっていてうれしかったですし、本当にみんなに愛されている映画祭なんだと感じました」とコメントした。
2019年の『きみの鳥はうたえる』(フォーラム部門)、一昨年の『ケイコ 目を澄ませて』(エンカウンターズ部門)に続き、監督作品が3回目のベルリン国際映画祭選出となる三宅監督だが、「過去2作より今作のほうが、“日本”というものを客観的に見る経験になった気がします。この映画がPMSやパニック障害、あるいはそれ以外のいろんな苦しみを抱えながら生きている人たちの物語でありつつも、同時に登場人物たちは“日本”という目に見えない縛りのなかで生きているな、ということを、海外の方の反応を見たからこそ感じた部分はありました」とあらたな発見もあったという。
また、本作でのベルリン国際映画祭参加だけでなく、『第51回アニー賞』で声優賞(映画部門)へのノミネートを果たすなど、世界中から評価されている松村だが、「 (国際的に評価されることを)まだ野望と掲げていい立場に自分はいない」と謙虚に今の心境を語った。
映画『夜明けのすべて』は、大ヒット上映中。
映画情報
『夜明けのすべて』
大ヒット上映中
出演:松村北斗 上白石萌音
渋川清彦 芋生悠 藤間爽子 久保田磨希 足立智充
りょう 光石研
原作:瀬尾まいこ『夜明けのすべて』(水鈴社 刊)
監督:三宅唱
脚本:和田清人 三宅唱
配給:バンダイナムコフィルムワークス=アスミック・エース
(C)瀬尾まいこ/2024「夜明けのすべて」製作委員会
リリース情報
2024.01.10 ON SALE
SixTONES
ALBUM『THE VIBES』
映画『夜明けのすべて』作品サイト
yoakenosubete-movie.asmik-ace.co.jp
SixTONES OFFICIAL SITE
https://www.sixtones.jp/