■「来年もこのユニット(=“奥田民生はっとり”)の活動の可能性はあるんでしょうか?」(はっとり)「オレは再来年、還暦で忙しいからあとはよろしく♪」(奥田民生)
12月27日~29日にかけて大阪・インテックス大阪で開催されるイベント『FM802 RADIO CRAZY』より、1日目となる12月27日のライブレポートが到着した。
【ライブレポート】
12月27日~29日の3日間、大阪・インテックス大阪にてライブイベント『FM802 RADIO CRAZY 2023』(以下『レディクレ』)が開催。
本イベントはラジオ局FM802が主催する毎年恒例の“ロック大忘年会”。関西はもとより全国から人気を集めており、2023年は3日間で総勢100組のアーティストが出演。計4ヵ所のライブステージでの音楽ライブだけでなく、『レディクレ』限定コラボライブやアーティスト参加型の飲食ブースや弾き語りイベント、ラジオ局ならではの番組公開収録なども展開。さらに2023年はコロナ禍を経て、全力での声出しなどもすべて解禁に。“一年のライブ納め”となる饗宴を楽しもうと、初日となる12月27日だけでも約2万人もの観客が集まった。
■DISH//
L-STAGEのトップバッターに登場したDISH//は、「HAPPY」からハイテンションなステージで観客を盛り上げていく。「(『レディクレ』)楽しみにしてたんでしょ? ほら! 叫べ!」と豪快に観客を煽ると、「Get Power」「勝手にMY SOUL」などライブ定番曲を次々と披露。レディクレ初登場の彼ら、念願だったイベントへの初出演ということもあってか、北村匠海(Vo&Gu)は「最高の気分をぶつけて帰ります!」と、「猫」を全身全霊で表現力豊かに歌い上げる。ライブ後半は「みんなの顔見て(『レディクレ』は)なんて愛されたフェスなんだろうって。今日一日ここから楽しめそう♪」と思いを噛み締め、代表曲「沈丁花」まで全8曲を走り抜けた。
■milet
12月31日に放送される『第74回NHK紅白歌合戦』への出演が決まっているmiletは、鮮明な赤が美しいドレッシーなパンツ姿でステージに登場。まずは広いステージに座り込み、弾き語りで「imagine」(John Lennon)をカバー。深くたゆたう歌声で観客を引き込むと、赤く煌々と光る照明のもと「inside you」をセンセーショナルに歌い上げる。色、香りまでも体現するような歌声に観客は誰もが息を呑み込み、ただじっと彼女の姿に魅せられていた。「いつでもどこでもあなたのそばにいなくても…。あなたの中に私が、私の中にあなたがいると思って書いた曲」と繋いだのは、アニメ『葬送のフリーレン』のエンディング曲として注目を集める「Anytime Anywhere」。心の奥底へ、丁寧に寄り添うように言葉を紡いでいく。2024年3月15日・16日には、大阪城ホールにて初のアリーナ公演を控えている彼女。MCでは2023年を振り返りつつ、「2024年はもっとみんなと歌いたい。新世界となる一年へ」と、2024年のデビュー5周年へ向け意気込みを語ってくれた。
■10-FEET
同じく『第74回NHK紅白歌合戦』への出演が決まっている10-FEETのステージは、開演前から入場規制がかかるほど大きな注目を集めていた。彼らのライブではおなじみ、バンドタオルが高く掲げられるなか、「RIVER」からハイテンションなライブパフォーマンスで観客を圧倒。“大阪でひとつになる♪”と歌詞をアレンジするなど、この日のステージも遊び心もたっぷりだ。「ハローフィクサー」では重厚なビートで観客の心を奮い立たせ、「2%」では“かかってこいや!!”と観客をこれでもかと煽っていく。ワンマンライブでもイベントでも変わらない、真っ向勝負なパフォーマンスが観客の心を奮い立たせる。その後も「Re:方程式」など、新旧の楽曲を次々に披露。MCでは「ラジオ好きか? オレ、めっちゃラジオ好きやねん。ラジオマンはスピーカーやイヤホンで聴いている人の顔を想像して喋ってるって伝わる。(FM802の)DJはみんな面白くて優しくて男前、女前ばかり。オマエらも男前、女前にやれよ~! ライブにはいろんな人、いろんな楽しみ方がある。みんなうまいこと楽しめるように」とラジオ愛を語ると、バンドの名を一躍世間に広めた「第ゼロ感」など、全8曲のライブアンセムを次々に打ち上げていった。
■キタニタツヤ
R-STAGEでは、『レディクレ』初出演となるキタニタツヤのステージにも大きな歓声が沸き上がった。「スカー」では初出演とは思えないほど、余裕たっぷりな表情で観客に視線を送り、余韻たっぷりな歌声を響かせる。彼もまた『第74回NHK紅白歌合戦』への出演が決まっている。さらに2024年5月には音楽活動10周年を記念し、日本武道館でのワンマンライブも決定するなど、さらなる飛躍が待ち構えている。観客からのたくさんの歓声を受け、「2023年はみんなが聴いてくれたおかげで充実した一年になりました!」と感謝の言葉を。その後も「Moonthief」「化け猫」など、濃厚な音世界を披露。実は、同日出演のヨルシカのステージにてベーシストとしても登場した彼。朝から観客と同様に、たくさんのステージに足を運んでいたという。「(みんなの)楽しそうな表情を見ていると、バンドのテンションも変わる。音楽は聴いてくれる人がいないと意味がない。来年もそうやってライブができたら」とライブに懸ける想いを語ると、「聖者の行進」「青のすみか」などキラーチューンを連発した。
■東京スカパラダイスオーケストラ
『レディクレ』ならではのコラボステージでリスナーを存分に楽しませてくれたのは、東京スカパラダイスオーケストラだ。バンドの自己紹介がてら「Dale Dale! ~ダレ・ダレ!~」や「DOWN BEAT STOMP」のゴキゲンなスカサウンドでフロアの熱気を高めると、「声が出せる世の中になったね♪ ライブで声を出すことはそれさえも音楽になる」と全力でライブができる楽しさを噛み締めるメンバーたち。さらに「ライブ納めを大阪でできることがうれしい。音楽が鳴っている間はパラダイス♪ 闘うように楽しんで!」と、「Howlin’ Wolves」など漢気溢れるサウンドで魅了。2024年11月16日には、バンド結成35周年を記念して甲子園でのライブが決定している彼ら。さらに、FM802でメインMCを担当する新コーナーがスタートするなど、サプライズを次々に発表。それだけでなく「たくさん応援してくれたみんなへギフトを!」と緑黄色社会・長屋晴子、10-FEET・TAKUMAとのコラボステージも披露。しかもTAKUMAとのコラボでは、11月に逝去したチバユウスケ(The Birthday)へ捧ぐ曲として「カナリヤ鳴く空」をセレクトするなど、特大の音のギフトで楽しませてくれた。
■奥田民生はっとり
コラボステージはそれだけではない。2023年は世代を超えたミュージシャン同士の音楽の繋がりも『レディクレ』のステージで楽しむことができた。R-STAGEでは、奥田民生とはっとり(マカロニえんぴつ)のふたりが“奥田民生はっとり”名義で登場。ふたりの出演は、FM802とJR西日本によるプロジェクト『MUSIC TRAVELLERS』のキャンペーンソング「旅をゆけ」を共作したことがきっかけ。出演同日に楽曲の配信リリースやMCも発表されるなど、大きな注目を集めていた。しかも、奥田はUNICORNとして、はっとりはマカロニえんぴつとしてもそれぞれの出演を経てのライブとあって、会場には世代を超えたたくさんの観客が集結。まずは「愛のために」(奥田民生)でおなじみのギターリフをふたりで弾き上げる。いつものようにリラックスした雰囲気でプレイする奥田とは対照的に、憧れのミュージシャンとの共演を噛み締めるように全力でステージに立ち向かうはっとり。奥田が「楽しんでいこう!」と声をかけると、続いて「ヤングアダルト」(マカロニえんぴつ)へ。互いの楽曲を共演する、この日限りのステージに誰もが興奮しきりで、互いに向き合ってのギタープレイにはさらに大きな歓声が湧き立った。「来年もこのユニットの活動の可能性はあるんでしょうか?」とはっとりが問うと、奥田は「オレは再来年、還暦で忙しいからあとはよろしく♪」と、さらりと流してしまう。はっとりは苦笑いしつつ「来年もあることを祈って」と、最後は共作した「旅をゆけ」で唯一無二の時間を作り上げた。
■『FM802 RADIO CRAZY』は楽しみが盛りだくさん
会場はライブステージ以外にも、境内STAGEでは弾き語りライブ、縁日ブースやオフィシャルガチャブース、フードエリアなど、楽しみが盛りだくさん。ライブの合間におみくじや書き納め、フェス飯を楽しむ人たちで終日賑わっていた。FM802料理部のステージでは、プロレスラー・真壁刀義(新日本プロレス)が出演。餅つきの他、トークライブや料理部考案のレシピなどがふるまわれた。さらに“こたつサテライトスタジオ”では、ライブを終えたばかりのアーティストが公開収録に登場。FM802のDJとともにこたつに入りながら、2023年を振り返るトークなどで盛り上がっていた。
■Creepy Nuts
『レディクレ』でいちばん大きなステージとなるZ-STAGEにも、注目のアーティストが次々に登場。なかでも、Creepy Nutsは「この一年を統括するような、そんな想いをステージにぶつけてほしい」と、「のびしろ」から極上のヒップホップサウンドでフロアを大きく揺らす。たくさんの出演者が顔を揃える『レディクレ』だが、ヒップホップユニットでの出演は彼らだけ。「歌ってコール&レスポンスもできるけど、楽器を弾かないヒップホップはオレたちだけ。ロックバンドたちのなか、ラップとDJで戦ってきた。このすごさを目に焼き付けてほしい。バンドサウンドに負けない。目と耳と全身で感じ取ってほしい。うまいラップやります!」と、「耳無し芳一Style」でR-指定とDJ松永は、ふたりのハイスキルぶりを徹底的に見せつけていく。「オレらのラップとDJ、ヤバいでしょ? これが生業ですから」の言葉どおりのステージに誰もが感嘆の表情を見せていた。
■SMA所属アーティストによる豪華セッションステージも
イベントの最後のステージを飾るのは、「OPEN MIC SPECIAL STAGE in FM802 RADIO CRAZY 2023 ~FM802 35th & SMA 50th pre Anniversary SPECIAL LIVE」。アーティスト同士のセッションをテーマにしたステージが繰り広げられ、初日には崎山蒼志、Rei、橋本絵莉子、関根史織&堀之内大介(Base Ball Bear)が登場。FM802だからこそ実現できた豪華なセッションステージを大いに満喫していた。
■28日、29日も見どころが盛りだくさん!
豪華絢爛なステージが繰り広げられた初日はあっという間に終了。イベントは残り2日間、12月28日にはクリープハイプ、Vaundy、LUNA SEAなどの他、ゲストボーカルが多数出演するイベント限定バンド『ROCK KIDS 802 EXTRA CRAZY BAND』のステージが。12月29日にはELLEGARDEN、SHISHAMO、BRAHMANなどの他、2023年に逝去したチバユウスケを偲んで、The Birthdayの『レディクレ』出演時のライブダイジェストが大型スクリーンで上映される予定だ。また、初日同様に「OPEN MIC SPECIAL STAGE in FM802 RADIO CRAZY 2023 ~FM802 35th & SMA 50th pre Anniversary SPECIAL LIVE」も開催され、FM802ゆかりのアーティストが登場する。
一年のライブの締め括り、“ロック大忘年会”を堪能したい人は、ぜひチケット情報をチェックしよう。中高生を対象にしたジュニアチケットなど、お得にチケットを購入できるシステムもあるので、詳細は公式サイトまで。
なお、3日間のイベントの模様は後日、FM802の特別番組にて放送が決定。ライブ音源やアーティストのコメントはもちろん、特別プレゼントもあるので、こちらも要チェックだ。
TEXT BY 黒田奈保子
PHOTO BY 田浦ボン、渡邉一生、ハヤシマコ、ヨシモリユウナ
番組情報
『FM802 RADIO CRAZY RADIO de LIVE CRAZY』
02/12(月・祝)18:00~27:00
第1部18:00~ DJ:浅井博章、土井コマキ
第2部21:00~ DJ:落合健太郎、田中乃絵
第3部24:00~ DJ:板東さえか、樋口大喜
※オンエアアーティスト詳細は後日発表(すべてのアーティストの音源オンエアはなし)
リリース情報
2023.12.27 ON SALE
奥田民生はっとり
DIGITAL SINGLE「旅をゆけ」
『FM802 ROCK FESTIVAL RADIO CRAZY 2023』公式サイト
https://radiocrazy.fm/