■Omoinotake、3つの特大ニュースを発表!「いつも発表があると自分のことみたいに喜んでくれてありがとうございます」(福島智朗)
Omoinotakeが、12月14日に代官山UNITにてワンマンライブ『Omoinotake ONE MAN TOUR 2023 “Ammolite” 追加公演 “Ammo-re-light”』を開催した。
本公演は、メジャー1stアルバム『Ammolite』を引っさげたZeppツアー『Omoinotake ONE MAN TOUR 2023 “Ammolite”』の追加公演として開催されたもの。チケットはソールドアウト。
Omoinotakeは、人間とはなにか、幸福とはなにかを、声、楽器、言葉のすべてを使って表現し尽くすバンドである。そんなことを確かめさせてくれる『Omoinotake ONE MAN TOUR 2023 “Ammolite” 追加公演 “Ammo-re-light”』だった。
ツアーでは1曲目を飾った「Blessing」をアレンジした壮大なSEが流れるなか、藤井怜央(レオ/Vo&Key)、福島智朗(エモアキ/Ba)、冨田洋之進(ドラゲ/Dr)がステージに登場。1曲目に演奏されたのは、彼らの地元・島根県の若者たちから集めた「10年後の自分に宛てた手紙」をもとに制作された「オーダーメイド」。“正しさと優しさを 履き違えては/すれ違って流した 涙もあったな”という言葉が、今日はいっそう力強く聴こえてくる。
そこから「幸せ」「心音」と、ツアーでは最後に演奏された3曲を逆再生する形で披露。「今日は“Ammo-re-light”ということで、セットリストを変えることによって『Ammolite』を再び光らせたい。『Ammolite』や我々の違った魅力を見せられればいいなと思うのでよろしくお願いします。ここからもZeppツアーとはひと味、ふた味違うセットリストでお届けしたいと思います」とレオが挨拶してから、ライブでは久しぶりの演奏となる「Temptation」へと続けた。
泡と光が混じり合うなかで深海へと潜っていく音から「Ammonite」へと流れて、レオの伸びやかな声からドラゲのフィルで繋いで「空蝉」へ。“ライブハウス百戦錬磨”であるOmoinotakeとして「ツアーで大きな会場をまわらせてもらったけど、ギチギチに人が入っているライブハウスのよさもあるなと思い出させてもらってます」といったレオの言葉もあったが、ライブハウスだからこそ、細やかなアレンジや入念な音作りが施された各楽器の一音一音を、聴覚でも視覚でもダイレクトに堪能することができる。
中盤では、「この夜のロマンス」を「クリスマス目前の UNITで見つめ合う」と歌詞を変えて、赤と緑に彩られたステージの中でベルも華やかに鳴らしながらクリスマス仕立てで演奏。半分ほど終えた時点で、「今回のセットリスト、僕が考えたんですけど……めっちゃいいな(笑)」とレオが漏らすと客席からは大きな拍手と歓声が湧く。
「今日来ていただいている皆さん、それぞれの人生でいろんなことがあると思います。いろんな想いを抱えて今日僕たちのライブを見に来ていただいていると思います。ここからはみなさんの心の深いところに染みわたるような曲をお届けできれば」とレオが語ってから演奏したのは、壊れた時計の針のような音など、心の奥をじっとりと触れてくる音たちで構築された「トートロジー」。そこから「モラトリアム」で音の渦にオーディエンスを巻き込み、「渦幕」ではジャージードリルのビートや空気感をJ-POPに昇華することで、味わったことのない音の迫力を生み出す。思わず、ステージに吸い込まれそうな感覚になる。
レオが「曲というのは、順番や照明が違えば見え方が変わる。今日の流れで皆さんにお届けすることによって、曲の違った一面や深いところを感じていただけるのかなと思う」とも語っていたが、ライブの緩急を巧みにコントロールしたなかで演奏された「カエデ」は、ライブハウスという距離感や飾り気のなさと、震えまで美しく操るレオの歌い声も相まって、いつもに増して言葉が心の奥にまで突き刺さってきた。
冷静さと情熱も、喜びも痛みも、柔らかさも鋭利も持ち合わせているレオの歌声は、人生や人間の多面性を映し出すものであるように思う。『Ammolite』には「幸せとは何か」をテーマにした楽曲たちが収録されているが、Omoinotakeはレオの歌声、エモアキの歌詞、そしてすべての音を使って、「幸せ」という感情につきまとう心の揺れを「音楽」で表している。Omoinotakeの上質なポップスでは、滑らかなメロディの裏でドラゲが凝ったリズムを叩いていたり、聴き心地のいい音像の中に違和感のある音をまぎれこませていたりする。人生とはつねにそうであるだろう。人間のバイオリズムは一定ではないし、幸せな時間の中にも影が覗き込んできたりする。Omoinotakeの音楽は、そんな人間や日々のリアルを彩ってくれるのだ。
そんなことを考えていると、エモアキも「気分的に落ち込むときもあるんですけど、こうやってツアーで会えるという約束があるから頑張れた。頑張るというのもおかしいんだけど。素敵な仕事をもらったなと最近思ったんですよね」と語る。卓越した演奏で圧倒して、心の内を素直に語ったかと思えば、中学校から同級生である3人の関係性が見えるゆるい雰囲気になるのもまたOmoinotakeのライブの魅力。「この曲、しんみり入ることが多いじゃないですか? 今回、明るく入ってみたい」というエモアキの唐突な無茶振りから「その先陣は誰が切るん?」というレオのツッコミを経て、「One Day」を「常識を覆した」(エモアキ談)形で演奏すると盛り上がりはピークに。そこからラストスパートとして「EVERBLUE」「Blessing」と、ツアーではオープニングに演奏した2曲をひっくり返す流れで締めくくった。
アンコールでは「トロイメライ」を歌ってから、3つの特大ニュースが発表された。1つ目は、2024年3月に『春の大三角ツアー 2024』の開催が決定したこと。サポートメンバーを入れずに3人だけでまわり、東名阪それぞれのセットリストを各メンバーが決定して行われる。2つ目は、4月28日、Omoinotake初となる野音公演が大阪城音楽堂にて開催されること。そして3つ目は、4月に開催された、ホーンセクションを携えた特別公演『Omoinotake SPECIAL LIVE 2023 “SUEHIROGARI”』のライブ音源が12月20日に配信スタートすること。「いつも発表があると自分のことみたいに喜んでくれてありがとうございます」とエモアキらしい言葉で感謝を伝える。
最後は「By My Side」、「トニカ」で“音を今響かせ”という言葉とともにオーディエンスの声が響きわたり、Omoinotakeがコンセプトに掲げる“踊って泣ける”ムードのなかで幕を閉じた。
2024年1月からは、二階堂ふみ主演のTBS系火曜ドラマ『Eye Love You』の主題歌を担当することが決定している。新曲のタイトルは「幾億光年」。小西遼(CRCK/LCKS、象眠舎)のアレンジが華を添えながら、温かな愛と心の痛み、綻んだ顔と息苦しい表情などの表裏をOmoinotakeらしく表現した1曲となっている。Omoinotakeは熟せば熟すほど言葉、声、グルーヴ含む音全体の旨味が増していくバンドだと、ここまでの歩みを見ていると思う。2024年も、深い旨味が効いたポップスを丁寧に届けてくれることだろう。
TEXT BY 矢島由佳子
PHOTO BY Daikichi Motouchi
ライブ情報
『Omoinotake「春の大三角ツアー 2024」』
2024年
03/02(土)愛知・名古屋CLUB QUATTRO
03/03(日)大阪・梅田CLUB QUATTRO
03/14(木)東京・渋谷CLUB QUATTRO
『Omoinotake「SPECIAL LIVE 2024 “エアレンデル”」』
2024年
04/28(日)大阪・大阪城音楽堂
リリース情報
2023.12.20 ON SALE
ANALOG『Ammolite』
2023.12.20 ON SALE
DIGITAL ALBUM『Omoinotake SPECIAL LIVE 2023 “SUEHIROGARI” 2023.4.28 @Zepp DiverCity(TOKYO)』 ※ライブ音源
Omoinotake OFFICIAL SITE
http://omoinotake.com/