■コラボ楽曲は観客の投票で決定!「楽しかったです! ありがとうございます」(羊文学・塩塚モエカ)
ライブイベント『J-WAVE presents INSPIRE TOKYO 2023 WINTER MUSICLICK LIVE』が、12月2日に東京・LINE CUBE SHIBUYAで開催され、KREVAと羊文学がスペシャルコラボレーションを披露した。
このライブはジョン・カビラがMCを務めるJ-WAVEのラジオ番組『~JK RADIO~TOKYO UNITED』との連動企画。ステージ上にはラジオブースが用意され、カビラが軽妙なトークを繰り広げながら、羊文学とKREVAがライブを披露するというまさにJ-WAVEから飛び出してきたようなイベントだ。
さらに、番組内のコーナー「MUSICLICK」同様、KREVAとKREBand、羊文学の塩塚モエカ(Vo、Gu)がコラボし、カバー曲を1曲披露する。候補曲はUA「情熱」と宇多田ヒカル「traveling」の2曲で、演奏曲は来場者による投票で決定する。
■羊文学
カビラの説明とともに1回目の演奏曲投票を経て、最初にステージに登場したのは羊文学。クラシカルな衣装に身を包んだ3人は、塩塚の力強いボーカルとギターから始まる「FOOL」でアグレッシブにライブをスタートさせた。TVアニメ『呪術廻戦』「渋谷事変」のエンディングテーマ「more than words」ではイントロから歓声とクラップが。疾走感と重厚さを併せ持つ羊文学らしい四つ打ちと分厚いコーラスを“渋谷”で鳴らし、勢いを加速させた。
MCでは塩塚がこのあと披露するコラボ曲について「始まる30秒前くらいまで曲がわからないのでドキドキなの」と、この日ならでの試みに心躍らせる場面も。その後3人は、12月6日にリリースされるニューアルバム『12 hugs (like butterflies)』収録曲「honestly」やクリスマスソング「1999」など盤石のアンサンブルを聴かせていった。
最後の曲を前に塩塚が「ずっと言おうと思ってたんだけど…立ちたい人がいたら立っていいんだよ」と、それまで座って見ていた観客に声をかけると「待ってました」とばかりに一斉に観客が立ち上がる。その様子に「立ちたくない人は立たなくていいけど」と言いつつもうれしそうな3人。「これからも自由にライブ楽しんでね」と言うと「夜を越えて」へ。演奏前に「そんなにノれる曲じゃないんだけど(笑)」と話していたが、巧みなスキルと熱量で場内をいっそうヒートアップさせた。
演奏後には、ステージ上のラジオブースに羊文学メンバーが登場。ラジオのように、リスナーから届いたメールをもとにトークを展開していく。「行ったことのある世界遺産は?」という質問では、塩塚が「ストーンヘンジ。思ったよりも小さかった(笑)」と笑えば、ベースの河西ゆりかは「グランド・キャニオン……に行きたい」、ドラムのフクダヒロアは「サグラダ・ファミリアとか…はどうですか?」と個性溢れる回答をした。
ここで、コラボパフォーマンスに向けたKREBand× 塩塚による“予告編”の演奏が行われた。数秒ずつでありながらも、豪華なコラボに演奏後には大歓声が上がった。ステージ上で聴いていた河西は「生演奏はカッコいいですね」、フクダは「クオリティが高くてもう多幸感が。幸せです」とメンバーも興奮。歌い終えた塩塚も「すっごい楽しいです。ありがとうございます」と高揚した様子を見せた。
予告編のあとに2回目の集計結果を見ると、それまでは「traveling」が200票ほどの差をつけて上回っていたが、「情熱」が400票差で追い越す結果に。予想外の展開に、場内からはざわめきが起こった。
■KREVA
続いてはKREVAのライブ。「パーティはIZUKO? ~2019 Ver.~」でライブをスタート。曲中のMCでは「きっかけはなんでもいい なんならなくったっていい 今日はみんなが何を楽しみにきたかわかんないけど、なんだっていい」と焚き付け、「パーティーはIZUKO?」「ここだ!」のコール&レスポンスで盛り上げ、さっそく場内を“UNITE”させていく。
「これから俺はいいラップ、高い技術のラップを見せたいと思います」との前置きから「基準 ~2019 Ver.~」では迫真のラップを聞かせ、「コーラス+キーボードとして参加しているSONOMIとの曲「ひとりじゃないのよ feat. SONOMI」を披露するなど、KREBandとの息の合ったやりとりを挟みながら、多彩な楽曲とラップを次々と繰り出していく。
また「勢いの曲だけが俺じゃない」と言うと、メロディアスの真骨頂で最新曲の「Expert」と「瞬間speechless」をしっとりと聴かせる。『~JK RADIO ~TOKYO UNITED』のテーマソングを手がけているKREVAは「自分が作った曲がラジオでかかったあとにカビラさんの雄叫びが聞こえると、やっていてよかったなって思えるんだよね」と感慨深く語る。そしてその感動をパフォーマンスに変え、「C’mon, Let’s go ~2019 Ver.~」ではアカペラの中で巧みなラップを聴かせたあと、「音色 ~2019 Ver.~」でエモーショナルにライブを締めくくった。
KREVAもライブ後にはカビラとトーク。いつもはカビラのラジオに呼ばれる形だが、この日は自身のホームとも言えるステージにカビラが来るという、この日だけの形を、KREVAは「中立地でやったホーム試合みたい」とサッカーにちなんだ言葉選びで表現。するとカビラが「本当に言葉のマジシャンですよね」と感嘆した。
また、LINE CUBE SHIBUYAは、2020年、リハーサルを行っていた際に政府からの緊急事態宣言が出され翌日のライブを急遽配信ライブに変更したという会場だといい、「この会場で、ファンがいて皆さんで声が出せるというのは特別」と噛み締めた。
トークの場に羊文学メンバーも呼び込み、KREBand × 塩塚で再び“予告編”を演奏。演奏の前には、アレンジが届いた際の感想を塩塚は「身が引き締まりました」と振り返り、バンドメンバーを見渡し「すっごく頼りになるって感じがします!」と信頼を寄せた。
KREVAと羊文学の2組によるクロストークでは、お互いの印象のbefore/afterを話すことに。KREVAは「ワンチャン、目が一生合わないと思ってたんですよ。めちゃくちゃ怖かったんですけど、すぐ挨拶に来てくれて、(目が)垣間見られてよかったです」と回答。羊文学メンバーは「挨拶したとき優しい方だなって」(河西)、「オーラがあります」(フクダ)、「(ライブで)“俺の強さ”みたいなをはっきり言えるのが、私にはできないなと思って。カッコいいなって思いました。でもお話ししたときは優しい方で、そのギャップが素敵です」(塩塚)とそれぞれの印象を明かした。
そしていよいよコラボパフォーマンス披露の時間に。集計の結果、演奏曲はUA「情熱」に決定。グルーヴィなKREBandの演奏に乗せて、塩塚は艶やかで迫力のある歌声を聴かせ、KREVAはDJで参加。自身の楽曲の声ネタをスクラッチしてサンプリングするという、一夜限りのコラボで会場を沸かせた。
演奏後にはカビラが「最高ー!」と雄叫び。KREVAは「情熱」が選ばれたことに驚き、塩塚は「楽しかったです! ありがとうございます」と声を弾ませた。また羊文学メンバーの生まれが「情熱」のリリース時期とほぼ同じということから、カビラが「こうやって名曲がステージで蘇り、また皆さんの記憶が紡がれていく素敵な企画……って自画自賛していいんですか?」と客席に問いかけ。「いいんです!」が帰ってくると、それに続いてKREVA、塩塚も「いいんですか?」と呼びかけ、会場からは笑いながら「いいんです!」とレスポンス。和やかな雰囲気の中、イベントは終幕した。
なおこのイベントの模様は、12月15日の『~JK RADIO~ TOKYO UNITED』で放送予定。
TEXT BY 小林千絵
PHOTO BY 上飯坂一
■羊文学 セットリスト
M1 FOOL
M2 永遠のブルー
M3 more than words
M4 honestly
M5 光るとき
M6 OOPARTS
M7 1999
M8 夜を越えて
■KREVA セットリスト
M1 パーティはIZUKO? ~2019 Ver.~
M2 基準~2019 ver.~
M3 人生
M4 ひとりじゃないのよ feat. SONOMI
M5 Expert
M6 瞬間speechless
M7 OH YEAH
M8 C’mon, Let’s go ~2019 Ver.~
M9 音色 ~2019 Ver.~
KREBand
DRUMS:白根佳尚
BASS:大神田智彦
GUITAR:近田潔人
MPC+DJ:熊井吾郎
KYEBOARD:アンドウヒデキ
CHORUS+KEYBOARD:SONOMI
『J-WAVE presents INSPIRE TOKYO 2023 WINTER MUSICLICK LIVE』公式サイト
https://www.j-wave.co.jp/special/inspire2023winter/
『~JK RADIO~TOKYO UNITED』番組サイト
https://www.j-wave.co.jp/original/tokyounited/
KREVA OFFICIAL SITE
https://www.kreva.biz/
羊文学 OFFICIAL SITE
https://www.hitsujibungaku.info/