■「私たち三期生が気持ちを込めて、先輩たちが大切にしてきたものを引き継いでいきます」
乃木坂46五期生、櫻坂46三期生、日向坂46四期生の坂道グループの新メンバー(新参者)が2023年11月3日から12月3日まで、1ヵ月にわたり実施するロングラン公演『新参者 Live at THEATER MILANO-Za』。
11月30日に日向坂46四期生がひと足先に千秋楽を迎えたが、続いて櫻坂46三期生の最終公演が12月2日、東急歌舞伎町タワーにある劇場・THEATER MILANO-Zaにて開催された。
各グループ10公演ずつ、計30公演が行われるこのライブは、チケットが全公演即完売。各グループの最終公演はネット生配信や映画館でのライブビューイングも行われ、大勢のBuddies(櫻坂46ファン)がモニターやスクリーンの前で櫻坂46三期生を見守った。
遠藤理子、小島凪紗、中嶋優月の影アナに続いて、ライブは三期生初のオリジナル曲「夏の近道」からスタート。センターの谷口愛季を中心に、メンバー11人は過去9公演での経験をここにぶつけようと、早くも熱量の高いパフォーマンスで観客を魅了する。
その勢いは、中嶋をセンターに据えた「Anthem time」にも引き継がれ、会場は早くもクライマックスのような熱気に包まれた。
最初のMCに続いて、ライブは「思ったよりも寂しくない」に突入。客席がオレンジ色のペンライトで染まるなか、ステージ上では的野美青を中心に多幸感に満ちたパフォーマンスが展開される。
続いて、山下が「Buddies、もっと声出せますよね?」とオーディエンスを煽ると、彼女が中心に立つ「それが愛なのね」で会場をダンスフロアへと一変させる。かと思えば、石森璃花をセンターに迎えた「Microscope」では可愛らしい側面を打ち出すなど、幅広い楽曲群と曲ごとに変わるセンターメンバーとともにグループの多面性を見事に提示してみせた。
ライブの合間には、メンバーそれぞれダンスの技量の高さをアピールするダンストラックパートも用意。ここでライブの流れに変化を与えると、続く谷口センター曲「偶然の答え」や村井優センター曲「ブルームーンキス」では切なくも情熱的な側面を打ち出した歌とダンスで、観る者を惹きつける。
そのエモーショナルさは「五月雨よ」で最高潮に到達。客席が緑色のペンライト一色に染め上げられるなか、山下を中央に据えた三期生たちは優しさのなかにも強い意志が感じられる歌声で、先輩たちが作り上げたこの名曲を自分たちらしいかたちで表現してみせた。
その後のMCブロックでは、小田倉麗奈が「ここまでみんなと走り抜けてきて、いちばん何を吸収できたんだろうと考えたときに、一人ひとりが楽曲に対して『ここはこういう感情なのかな?』とかどんどんいいものを作ろうという意識を、みんなの中で共有できたことが宝物になったかなと思います」とリハーサル期間を回想する一幕も。
また、小島がオーディエンスとコール&レスポンスの練習をする場面では、彼女が中嶋に『おもてなし会』のときに披露したチアを再現してほしいとムチャ振りし、メンバー11人の名前を全員でコールして会場の一体感を高めることに成功した。
MCパートで和んだあとは、ダンストラックからライブを再開。先輩メンバーが櫻坂46デビュー時に着用していた衣装を身にまとった彼女たちは、そこから村井をセンターに据えて「Nobody’s fault」を披露する。
豪快さと美しさが共存するこの曲を、三期生は先輩メンバーの意志を踏襲したパフォーマンスで見事に表現。続く「なぜ 恋をして来なかったんだろう?」では的野をセンターに迎え、オリジナル同様に糸を用いた演出でBuddiesを魅了する。
さらに「半信半疑」ではセンター村山美羽の、ダイナミックながらも繊細さも伝わるダンスを軸に、短期間で急成長を続ける11人の姿を楽しむことができた。
ライブ中盤戦のMCでは、谷口が「1年前の私たちは何をしていたんだろうと調べたら、みんなで『BAN』のフルサイズを練習していた頃で。あの頃は1曲でさえ大変だったのに、この『新参者』ではいろんな先輩方の曲をやらせていただいたりして、自分の中でも成長したなと思うことがあります」をここまでの道のりを振り返る。
また、向井純葉は毎公演後のミーティングについて触れ、「私は毎公演(の映像を)観ることで、個々の良さも伸びていると思うし、何より三期生全体のパフォーマンスから伝わるものが、どんどん大きくなっているなと思って。これからもっともっと頑張って、みんなでいろんないろんな三期生を見せていけたらいいなと思いました」と前向きなコメントを寄せた。
そして、村山の「『新参者』最終公演。最後まで、力尽きるまで駆け抜けます」の言葉に続いて披露されたのは、三期生のオリジナル曲「静寂の暴力」。客席からペンライトの明かりが消えて静まり返るなか、三期生11人は全身全霊のパフォーマンスでBuddiesたちを圧倒させる。
センターの山下を中心に、叫びにも似た歌とメッセージを届ける姿に、客席から惜しみない拍手が送られると、続く「流れ弾」で空気は一変。ここでは遠藤が堂々とセンターを務め、先輩たちのパフォーマンスにも負けず劣らずのアグレッシブさで、オーディエンスを魅了する。
さらに、研修時代から続けてパフォーマンスしてきた「BAN」では、披露するたびにダンスの完成度が向上していることも伝わり、心の底から湧き上がる感情を吐き出すセンター石森のみならず、メンバー全員から自身の限界を突破しようとする思いが伝わってきた。
本編最後の楽曲に入る前、メンバーを代表して小島が深々とお辞儀すると、「先輩方が築き上げてくださっている櫻坂46という美しい歴史。今度は私たちの番です。自分には何ができるのだろうか。私たち三期生には何ができるのだろうか。そのことを一途に、大切に思い続けて、私たち三期生11人は大切なこの場所で、しっかりと根を張って、大好きな先輩方と、大好きなBuddiesの皆さんと、この“櫻の木”を守っていくことを、ここに誓います」と宣言し、最新の三期生楽曲「マモリビト」を全力で披露。
彼女たちが今持てるすべての力が込められた歌とダンスに、きっと会場や画面越しで見守るBuddiesは心を鷲掴みにされたのではないだろうか。
気持ちがたっぷり込められたパフォーマンスを終えると、感極まった小島が「『新参者』を三期生だけでやらせていただくと初めて聞いたときは、今の実力でこの会場を埋められるのか、三期生が櫻坂46の名を背負ってこの会場を任せられるとファンの皆さんに思ってもらえるのか、不安や心配もありました」とここまでの心境を吐露。続けて、「でも、もし私たちの誰かひとりが欠けてしまったり傷だらけになってしまったら、一緒に手を取り合おうということで、『Everyday smile』、毎日笑顔で楽しくいようということを掲げてきました」と笑顔でここまで走り抜けられたことに喜びをにじませつつ、Buddiesへの感謝を告げてライブ本編を終えた。
「Buddies」からアンコールが始まると、中嶋を中心とした11人は眩しい笑顔とともにポジティブな空気を届ける。そして、再び観てくれた人たちへの感謝を伝えると、最後は「櫻坂の詩」で千秋楽公演をしっとりと締めくくった。が、本来はここで終了するはずだった『新参者』櫻坂46三期生公演だが、会場のBuddiesからの「櫻坂 三期生」コールは鳴り止むことはなかった。
すると、ステージ上に見覚えのある衣装を着た三期生が再登場。照明が当たると、欅坂46時代の初期衣装を身にまとった11人が姿を現し、客席からどよめきの声が上がる。
先頭に立つ村山は「先日のZOZOマリンスタジアムの『ANNIVERSARY LIVE』で土生瑞穂さんが卒業されました。そして先日、小林由依さんが卒業を発表れました。私たち三期生が気持ちを込めて、先輩たちが大切にしてきたものを引き継いでいきます」と涙ながらに宣言すると、ダブルアンコールとして欅坂46時代の楽曲「語るなら未来を…」をサプライズで披露。
櫻坂46に改名後は一度も披露されていないこの曲を、これまで一度も欅坂46の楽曲をパフォーマンスしていない三期生が、オリジナル当時の衣装を着て披露することに、彼女たちが“櫻の木”のみならず“欅の木”までをも守っていこうとする強い覚悟が伝わってきた。
すべての力を振り絞ってこの曲に臨むその姿に、客席からは惜しみない拍手と声援が送られ、全10公演にわたる『新参者』櫻坂46三期生公演はすべて終了した。
デビューから1年経たずして全国ツアーやZOZOマリンスタジアムでの『3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE』を経験し、着実なステップアップを続ける櫻坂46三期生。ここでの経験が今後の彼女たちにどんな未来をもたらすのか。そして2024年にどんな飛躍を遂げるのか。ぜひ楽しみにしておいてほしい。
TEXT BY 西廣智一
PHOTO BY 上山陽介
【セットリスト】
00. Overture
01. 夏の近道
02. Anthem time
03. 思ったよりも寂しくない
04. それが愛なのね
05. Microscope
06. 偶然の答え
07. ブルームーンキス
08. 五月雨よ
09. Nobody’s fault
10. なぜ 恋をして来なかったんだろう?
11. 半信半疑
12. 静寂の暴力
13. 流れ弾
14. BAN
15. マモリビト
<アンコール>
16. Buddies
17. 櫻坂の詩
<ダブルアンコール>
18. 語るなら未来を…
リリース情報
2023.10.18 ON SALE
SINGLE「承認欲求」
櫻坂46 OFFICIAL SITE
https://sakurazaka46.com/