■初のワンマンライブツアーは、「EGO」「LOVE」「LOVEGO」という3種類の異なるコンセプトで開催!
2022年1月のデビュー作「AURORA TOKIO」から、2023年7月にリリースした最新作、テレビアニメ「AIの遺電子」OPテーマ「No Frontier」まで、約1年半の活動をぎゅっと詰め込んだ
Aile The Shota初のワンマンライブツアー『Aile The Shota -1st Oneman Tour 「Prologue」』が、7月29日に大阪・GORILLA HALL OSAKAで終了。全国5ヵ所、すべてソールドアウトで終えた初のワンマンツアーのライブレポートを届ける。
【ライブレポート】
2023年7月、Aile The Shotaが初の全国ワンマンツアー『Aile The Shota -1st Oneman Tour 「Prologue」』を開催した。7月2日、神奈川・KT Zepp Yokohamaよりスタートした本ツアーは、宮城・仙台darwin、福岡・DRUM Be-1、愛知・ElectricLadyLandを経て、7月29日、GORILLA HALL OSAKAにて幕を閉じた。
Aile The ShotaとはJ-POPとR&B、ヒップホップ、ダンスカルチャーなどをクロスオーバーさせた音楽を生み出しているソロアーティスト。SKY-HI率いるマネジメント/レーベル「BMSG」より昨年1月にデビュー。これまでの1年半に Shin Sakiura、Novel Core、STAMP、春野、SG、AK-69、tofubeats、Soulflexなどとコラボレーションを行い、シーンや国境を跨ぐ存在として縦横無尽に動き回ってきた。現在はテレビアニメ『AIの遺電子』の主題歌を務めていることでも話題だ。
『Aile The Shota -1st Oneman Tour 「Prologue」』は、Aile The Shota名義でデビューする前から地続きにあるものと、デビューから1年半の歩み、そして「J-POPシーンのど真ん中に立つ」という次の章に向けた強い意志を表すものとなった。
1ヵ月間のツアーにもかかわらず3種類の内容で構成され、5本の公演がストーリーのように展開されるという、業界的にも“前例がない”ツアーに。3rd EP『LOVEGO』のテーマであり、現在のAile The Shotaの表現の軸となっている「愛」と「エゴ」をもとに、横浜は「EGO」、仙台、福岡、名古屋は「LOVE」、そしてツアーファイナルの大阪は「LOVEGO」のコンセプトを掲げて開催された。
「EGO」と題して神奈川。KT Zepp Yokohamaにて行われた、ツアー初日。Aile The Shotaがどんなスタンスで音楽シーンを駆け回り、いかにして前例のない存在になっていくのかを宣言する「IMA」からスタート。そして旧友であるKia Vella、Js Morganを呼び込み「Mermaid」を披露。Js Morganとの未発表曲でも重低音のビートでぶち上げた。
続けて「数10人のライブハウスで歌っていた」頃からの仲間である無雲を招いて、「Eve feat. 無雲」を届ける。そうしてAile The Shotaのルーツを見せたかと思えば、中盤にはダンスユニット・Dot.がサプライズで登場。Aile The ShotaとDJ HIRORONがこの日のために作ったトラックにDot.が踊ったあと、Dot.のふたりのあいだに立ってAile The Shota自身も踊りながら「DEEP」を歌う。
そこからさらにダンスアーティスト・GANMIも登場したことが、会場をとてつもなく驚かせた。
7月26日にリリースされたGANMI feat. Aile The Shotaの「M.L.N.D」を、GANMIの11人とAile The Shotaで初披露。すべての楽曲においてビートへの強いこだわりを感じさせるAile The Shotaらしく、「僕のルーツのひとつにはダンスがあります。ダンスがあったから僕は今この音楽をやれていると強く思っているし、ダンスを通して出会った仲間たちのおかげで僕はここにいます。Aile The Shotaは日本のダンスカルチャーごと盛り上げていこうと思ってます」と力強く表明。
アンコールでは、まだアニメの予告編でしか聴くことのできなかった「No Frontier」を初歌唱。クラブシーンやダンスカルチャーなど、異なるシーンに軸足を置く表現者たちをAile The Shotaが結びつけた上で牽引し、アンダーグラウンドではなくJ-POPのど真ん中でこそ「Aile The Shotaにしか見せられない景色」を作っていくことを示したのが「EGO」公演だった。
仙台、福岡、名古屋の「LOVE」公演のオープニングを飾ったのは「Yumeiro」。今年1月にリリースされた、デビューからの1年間に発表した楽曲の要素が散りばめられている一曲だ。
Aile The Shotaが自主公演を行うのは初めてとなった仙台、福岡、名古屋では待ちわびたファンたちが熱狂し、1曲目からすさまじい熱気が会場中を満たす。その大きな愛と熱量を全身で受け止める、Aile The Shota。
中盤では「LOVEメドレー」と題して、コラボ楽曲である「Mermaid feat. Js Morgan & Aile The Shota」(chameleon)、「Overnight Remix feat. Aile The Shota」(Kalassy Nikoff)に加えて、BE:FIRSTのMANATO、SOTAとのユニット・ShowMinorSavageの「Thinkin’ bout you」を、ふたりのパートもAile The Shotaが歌う形で披露。
「SUPER ICY」でMANATOとSOTAのバースにオリジナルのバースを乗せてかましたことも、このツアーの印象的なシーンのひとつだ。
21日の名古屋公演では、SoulflexのKenTがサプライズゲストとして登場。「FANCITY」と「AURORA TOKIO」で、KenTのサックスとAile The Shotaの歌が絡み合った。聴く場所が変わると、さらには音が変わると、曲から浮かび上がってくる街のイメージが変わる。それはAile The Shotaが、聴く人の心情によって何色にも変わる筆致で歌詞とメロディを書いていることの証でもある。
「考えるきっかけを与えられる音楽を作りたい」という旨もインタビューで話してくれたが、Aile The Shotaが作ってきた詞やメロディは、聴いた人それぞれの思想や理想を映し出す。「俺が綴った言葉とメロディをJ-POPシーンのど真ん中に置ける日を信じて進んでいます」とたくましい想いも語られた。
そして最終日の大阪公演は、Aile The Shotaの最新曲「No Frontier」でスタート。「IMA」の宣言から始まり、1年間の活動を表す「Yumeiro」を経て、最新の「No Frontier」へとつなげる。
各公演のオープニングを並べると、Aile The Shotaの活動の「プロローグ」で築き上げてきたストーリーが浮かび上がってくる。このツアーを通してさらなる自信を手にしたAile The Shotaによる「過去最高の自分でラブをぶつけにきました」という言葉と、「SUPER ICY」を序盤に持ってきたあらたなセットリストで、頭からフロアを湧かせる。
「so so good」では、「僕の憧れ」であるSoulflexのMa-Nuがスペシャルゲストとして登場。Ma-NuのラップとAile The Shotaのソウルフルな歌が心地よく重なり合った。
終盤にはさらなるサプライズが。「Brave Generation -BMSG United Remix-」のトラックに乗せてMCを始めたAile The Shotaは、「自分が作る音楽と、それを受け取ってくれているあなたたちを信頼しています。それが僕の誇りだと思っています」と彼なりの言葉でファンへ感謝を伝えたあと、「Aile The ShotaとしてBMSGの音楽をシーンのど真ん中に持っていこうと思っています。俺には仲間がいるから」と宣言。
大きな拍手が響くなか、なんとNovel Coreがステージに現れる。さらにNovel Coreのバースが終わると、edhiii boiも登場。盛り上がりが最高潮に達するなか、SKY-HIまでマイクを持って駆けつけた。
「最高な俺の家族です!」というAile The Shotaに「最高だぜ、Aile The Shota!」と返すSKY-HI。「ようやくAile The Shotaとして客演で3人を呼ぶ夢を叶えました」という彼の言葉は、社長や仲間に頼る形で自分のステージに呼ぶのではなく、Aile The Shota自身が引っ張っていく姿勢をステージ上で示せる状態にならなければ呼ぶことはできなかったという想いの表れだろう。
SKY-HI、Novel Core、edhiii boiを携えてステージに立ったこの日のAile The Shotaの姿は自信に満ちていた。さらにSKY-HIとは「me time -remix- feat. Aile The Shota」も特別に披露。全員を送り出したあと、「BMSGの仲間も、僕を応援してくれるあなたも、幸せにします」と心からこぼして、エンディングへと向かっていった。
昔からの仲間やダンスクルーなど自身のルーツを大事にしながら音楽シーンのトップへと走っていく想いを、ゲストも交えて体現したのが「EGO」であり、各地で待ってくれていたファンの大きな愛を引き受けて音楽で返したのが「LOVE」、そして、それら総括する内容でありながら、Aile The Shotaが作り出すあらたなシーンにBMSGも巻き込んで引っ張っていくことを示したのが「LOVEGO」公演だった。
全公演に共通するのは、Aile The Shotaの過去から未来までを網羅し、彼の表現者としての個性を明確に表すセットリストになっていたこと。
冒頭では、「IMA」から「Yumeiro」「No Frontier」と、Aile The Shotaの1年半の進化を見せながらフロアのテンションを上げていく。次のパートではコラボレーション楽曲を並べて、楽曲の幅広さと様々なシーンの架け橋となっていることを示す。そして現実と別世界のあいだを浮遊するようなビートが流れた中盤では、Aile The Shota自身の心の奥底にあるものを垣間見せることで、Aile The Shotaの音楽とは体を揺らすだけでなく、聴き手自身の心を見つめさせてくれるものであることも表現。
そこから、出自であるダンスカルチャーをJ-POPとクロスオーバーさせながらAile The Shotaなりの方法で引っ張っていくことを宣言するパートがあり、未発表曲「Sweet」も挟んで、最後になるたけの「愛」をファンに手渡して終わる。そういった見事な流れになっていた。
そのなかで証明したのは、Aile The Shotaとは多彩なボーカリゼーションを操ることのできるシンガーであり、ビートを乗りこなしながら全身を使って表現できるパフォーマーであり、あらゆる個をつなぐ愛溢れるソングライターであるということ。
大阪公演のアンコールでは、「覚悟、気合い、願い、祈り、思い出」を全部詰め込んだ曲であり「これがあなたが愛したAile The Shotaです」という紹介を添えて「IMA」を披露。ツアー初日では真っ白な衣装を着てアンコールに登場していたが、最終日のアンコールは全身黒色だった。
「何色にも染まれるように」という意味で全身白色のビジュアルイメージでデビューしたAile The Shotaが「プロローグ」を終えた次の章では、あらたなスタンスで物語を紡いでいくことを示すよう。“前例がない”存在として、あらゆるシーンをクロスオーバーさせてJ-POPのど真ん中に立つという夢は、もうすでに「夢」ではない。Aile The Shotaは大きな歩幅で突き進み始めている。
12月5日には東京・豊洲PITにてワンマンライブを開催することが決定。その日へと続くストーリーが、今日からまた一遍ずつ紡がれていく。
TEXT BY 矢島由佳子
PHOTO BY ハタサトシ
リリース情報
2023.07.05 ON SALE
DIGITAL SINGLE「No Frontier」
Aile The Shota OFFICIAL SITE
https://ailetheshota.tokyo/