■「私がいます、私が歌っています、イヤホン越しでも、遠くにいても、近くにいてもずっとずっとみんなのことを音楽で照らしていきます」(eill)
eillが6月22日、東京・EX THEATER ROPPONGIでデビュー5周年記念ライブ『eill 5th Anniversary Live “MAKUAKE”』を開催した。
2022年秋に全国ライブハウスツアー『Solo Trip -9-』を開催して以来、2023年初のeillの単独ワンマンライブとなっており、フルバンドでのライブは3月に日本で初開催された『Billboard JAPAN Women In Music』でのパフォーマンス以来となる。
eillの5年間を一気に振り返るオープニング映像が流れ、ブルーの照明のなか、eillが登場。1曲目の「MAKUAKE」をワンコーラス歌いあげ「これがeillのMAKUAKEだー!」と叫び、ライブがスタート。オープニングから「FUTURE WAVE」「プレロマンス」のアップチューンを続けて披露すると、会場の空気も一気に温まり、大きな拍手と歓声に包まれた幕開けとなった。
「5周年ということで今日はお祭り! 声出しもOK! 最後までみんなで一緒に楽しんでいきましょう! 一緒に踊ろう!」とeillが観客に呼びかけ「FAKELOVE/」へ。eillにとって声出し解禁のワンマンライブはコロナ禍以降、今回が初めて。
デビューから5年間で提供曲も含めて作った楽曲は60曲以上にも及ぶというeill。SNSで事前に募集していたリクエストコーナーに突入し、ファンから集まった懐かしのライブ定番曲TOP3の「ONE」「HUSH」「Fly me 2」をメドレー形式で歌い上げた。
「Fly me 2」はライブでタオルを回したいと思って作った曲だったが、実は今までタオルを回したことがなかったということで今回初めて挑戦することに。「どうやってタオル回すの?」と笑顔で問いかけながらも観客と一緒にタオルを回すeillの姿が、この日のハイライトとなった。
リクエストコーナーが終わると街中に入り込んだような会話が聞こえ「次の曲撮影OKらしいよ」という声につられ無数のスマホが宙を舞う。「これが日本のギャルたちだぜ」とeillが声を上げるとステージ上にはたくさんのギャルが登場。各々スマホで撮影したり自由にダンスをしたりとeillと一緒に「ただのギャル」のステージを盛り上げた。
ライブも中盤に差し掛かるとJazz / HIP-HOPなアレンジを施した「メタモルフォーゼパラマジーノ」を歌いながらeillが登場。その後、しっとりとクールなアレンジを施したメドレー形式で「((FULLMOON))」「Into your dream」「初恋」を披露し、会場内が再びeillの歌声に酔いしれる。
今回初めてライブで披露された新曲「happy ending」は、リリックビデオ(Animation by BORIS)の映像とともに場内を赤く染めた。eillらしいR&Bを彷彿するビート感が特徴の本楽曲は、ライブアレンジによって、よりグルーヴィーに進化し、eillにとっても大事な1ピースになることを確信させた。
「いちばん最初に書いた曲、17歳のときに書いた曲を歌いたいと思います」とキーボードの前に座ると、「スキ」を弾き語りで披露。ピュアな恋心がストレートな歌詞でリアルに表現されているのが特徴的な「スキ」だが、歌い終わったあとには「17歳のときに書いたからちょっと歌詞が…」と恥ずかしそうにコメント。その後ギターのカイトとふたりでステージの縁に座りながら「ONE LAST TIME」をギターver.で披露。しっとりとしたアレンジで観客を魅了した。
余韻に浸っているとキーボードを弾くeillにスポットライトが当たり、「片っぽ」の弾き語りが始まった。気持ちが込められた伸びやかな歌声に大きな拍手が送られ、カラフルな花の形の照明に包まれた姿が美しくも儚かった。
ライブも後半戦に突入し、eillが話し始める。
「音楽を始めてから最初の『MAKUAKE』で自分の人生を幕開けるのは自分だ! ってデビューしたけど、自分って何がしたいんだっけ? って思っていた日々でした。その中で、たくさん曲を書いて、ライブして、みんなの前で歌うたびに私はきっと何度もeillになった瞬間があったなと思うんです。たったひとりの自分が、どんどんみんなと一緒にeillになったという感覚があります。いつもそばにいてくれてありがとう。
ずっとみんなに言い続けてることだけど、人生の主人公は誰ですか? それは自分自身です。そしてどんなときも自分のことを救えるのも、変えるのも、自分自身。自分のヒーローは自分の中にいるんだなと気づいた瞬間、とても強くなれました。だけどそうなれない日も当たり前にあります。弱い自分に負けてしまうときもある。どうしようもない自分になってしまうときもある。ただスポットライトにあたってないときも、ヒーローになれないときも、どんなときも自分の味方でいてほしいと思います。
光が当たらない日々もどうか、自分のことを信じて愛してあげてください。そう思ってもらえるように、私がいます、私が歌っています、イヤホン越しでも、遠くにいても、近くにいてもずっとずっとみんなのことを音楽で照らしていきます」
と観客へ優しく語りかけ、「SPOTLIGHT」へ。ステージを端から端まで左右に動きながら歌で思いを伝えていくeillの姿にはグッと心にくるものがあった。
eillというひとりの女性アーティストの成長を物語るかのような「20」から「23」の流れのあとに、「ここで息をして」へ突入。力強いバンドサウンドと共に赤と青のレーザー照明に、客席のブルーローズのリングライトが映える空間の中、eillは華やかに力強く歌いあげた。メジャーデビューという転機に発表された「ここで息をして」を悠然と歌うその姿は、eillが歩んできたこの5年の軌跡と成長が詰まったパフォーマンスだった。
最後は「WE ARE」で観客と一緒に歌い、一体感のある会場の雰囲気に包まれながら「踊らせないで」で本編を終えた。
鳴り止まない手拍子に応え、アンコールが始まると、客席の後ろから「palette」を歌うeillが登場する。予想していなかった展開に客席からは悲鳴のような歓声があがり、そのままeillは観客一人ひとりとハイタッチをしながら再びステージへと進んでいった。
「魔法の力が音楽にはあると思っていて、今日はここにくる前より、ここを出たあとの自分のほうが強くなれているはずだし、その魔法にずっとかかったまま、今日という日を忘れないで、これからもみんなと一緒に歩いて行けたらなと思っています。いつも応援ありがとう!」という言葉を添え、最後に「フィナーレ。」を丁寧に歌い上げた。
幕引きにエンドロールが流れると、「フィナーレ。」を観客が個々に口ずさみはじめ、それが次第に広がっていき大合唱へ。観客からの思わぬサプライズプレゼントに、eillも目に涙を浮かべながらうれしそうにステージに再登場。最後は、観客と一緒に再び「フィナーレ。」を歌い感動に包まれた5周年ライブは締め括られた。
ライブ中には、2023年の夏に新曲をリリースすることも発表された。5周年を迎えたeillのこれからの活躍にさらに期待が高まる。
<セットリスト>
01. MAKUAKE
02. FUTURE WAVE
03. プレロマンス
04. FAKELOVE/
05. メドレー
ONE
HUSH
Fly me 2
06. ただのギャル
07. メドレー
メタモルフォーゼパラマジーノ
((FULLMOON))
Into your dream
初恋
08. happy ending
09. スキ
10. ONE LAST TIME
11. 片っぽ
12. 花のように
13. SPOTLIGHT
14. 20
15. 23
16. ここで息をして
17. WE ARE
18. 踊らせないで
アンコール
EC1.palette
EC2.フィナーレ
PHOTO BY 横山マサト
リリース情報
2023.06.14 ON SALE
DIGITAL SINGLE「happy ending」
eill OFFICIAL SITE
http://eill.info