■グランドピアノの演奏のみによる歌唱で、“僕は僕の道へ”と歩み始めた切ない心境を綴る
CHEMISTRYが3月6日(月)に東京・中野サンプラザにて、ワンマンライブ「CHEMISTRY Live 2023『Just One Night』」を開催し、Da-iCEの大野雄大と花村想太がサプライズ登場した。
ライブの翌日となる3月7日(火)は22年目のデビュー記念日であり、3月8日(水)にはDa-iCEとのコラボレーション楽曲「スパロウズ」を表題としたニューシングルをリリースするCHEMISTRY。今年7月での閉館が決定している中野サンプラザのステージに登場した堂珍嘉邦と川畑要は、「スパロウズ」の前日譚とも言える失恋バラード「You Go Your Way」のorigami PRODUCTIONSによる最新のリアレジバージョンでライブをスタートさせた。グランドピアノの演奏のみによる歌唱で、“僕は僕の道へ”と歩み始めた切ない心境を綴ったあと、ニューシングルのカップリングに収録されている、フィーチャリングやリメイクではない楽曲としては3年半ぶりの新曲「akatsuki」で、ファットなベースとタイトなドラムがファンキーなビートを叩き出すと、観客は自然と総立ちとなり、盛大なクラップが鳴り響いた。さらに、再始動後初の楽曲で、デビュー曲「PIECES OF A DREAM」のセルフ・アンサーソングとなっているブギーファンク「ユメノツヅキ」から夏の風を感じるポップなエールソング「空の奇跡」へとシームレスにつなぐと会場の熱気は一気に上昇した。
■ふたりが声を重ねればCHEMISTRY色に染め上げられる
最初のMCでは堂珍が中野サンプラザのステージに何度も立ってきたことを感慨深げに語ると、川畑は「特別な日なので、最後まで楽しんでください」と挨拶。そして、ふたりの歌声が空高くへと飛翔していくR&Bナンバー「Wings of Words」からは、どんなジャンルの楽曲でもふたりが声を重ねればCHEMISTRY色に染め上げられるという、強さと自信を感じさせる時間が設けられた。妖艶な歌謡曲とセクシーなスロウジャムを交差させながら、ジャズの4ビートにも展開する「It Takes Two」。過去に引っ張られる歌詞に合わせるかのように可能な限りレイドバックしていく「Monologue」。さらにビートは後ろに引っ張られ、メロウで気高いソウルスピリットを感じる「Horizon」では、最後のフレーズでふたりが声を重ねた瞬間に、観客の感情が高まり、大きな拍手が沸き起こった。続く、ミュージカル調の「C’EST LA VIE」で、“僕は僕の〜道を歩く”というフレーズを印象付けると、ラップのような速いパッセージの「my Rivets」では“僕はずっと歌うよ”という決意を熱くエモーショナルに歌唱。フリーフォームのジャズバンドのような音楽に豊かさも感じさせてくれた「Running Away」では、ステージの1階と2階に分かれながらも息の合ったハーモニーを響かせるなど、改めて、唯一無二の個性を存分に味わわせてくれた。
■Da-iCEの大野雄大と花村想太を呼び込み、「スパロウズ」をライブ初披露
ここで、Da-iCEの大野雄大と花村想太を呼び込み、「スパロウズ」をライブ初披露。声出し解禁となった客席からの大きな歓声に「鳥肌がやばい」とこぼした花村は堂珍と肩を組み、大野は川畑と目を合わせながら歌唱。堂珍から花村、大野から川畑へと歌い継ぎ、「You Go Your Way」で別々の道へと進んだ“あの日の続き”を生きる主人公の“今”を丁寧に綴ると、Da-iCEのふたりは深々とお辞儀をして、全力疾走でステージを後にした。
10歳以上歳の離れた後輩との和やかな交流を経て、場内のムードは一変し、大切な人との永遠の別れをテーマにした重厚なバラード「最期の川」へ。運命を受け入れて強く生きていこうとする自分。残していく家族のことを考えて切なさに満ち満ちしてしまう自分。キャリアと年齢を重ねるごとに深みが増しているのはもちろん、ひとりの男の心の中の葛藤を描き切れるのはボーカルとして異なる声色と性格を持っているふたりならでは。Skoop On Somebodyとのコラボ曲を最新のサウンドにアップデートした「My Gift to You」では、ゴスペルのようなアレンジで愛をたっぷりと放出し、地図にない道を歩みながら、振り返って、“あの日の僕ら”に目を細めるファンクポップ「Us」からは、怒涛の後半戦に突入。「Dance With Me」ではミラーボールが周り、デビュー曲に最新アレンジを施した「PIECES OF A DREAM」の最後のサビではシンガロングが実現。さらに本編ラストの「Let’s Get Together Now」では、川畑が「この曲を一緒に歌いましょう」と呼びかけ、クラップとともに、会場全体が一体となってラララの大合唱が巻き起こり、この日一番の盛り上がりを見せた。そして、“僕たちが道をつくっていく”というフレーズを歌い上げたふたりは、最後に顔を見合わせてフェイクを重ね、一夜限りのプレミアムなライブの幕は閉じた。
■ピアノの弾き語りだけで、Da-iCEのヒット曲「CITRUS」を4人で歌唱
アンコールでは、川畑が「盛り上がったね」とうれしそうに語ると、堂珍も「ただならぬハッピーな雰囲気」と顔をほころばせた。さらに、スベシャルゲストの大野と花村が再登場。大野が「感動ました」と素直な感想を口にすると、花村は「何回か僕、泣きそうになった」と吐露。堂珍が「後にも先にもこの1回しかない、一夜限りのコラボレーションをしよう」と提案し、ピアノの弾き語りだけで、Da-iCEのヒット曲「CITRUS」を4人で歌唱。最初は4人のアカペラで歌い、サビのハイトーンを堂珍と川畑が見事に歌いきると、後輩のふたりは後ろで感嘆の拍手を送っていた。
そして、ライブの最後に歌われたのは、再始動後のライブのアンコールでも数多く歌われてきた4thシングル「君をさがしてた」。“ずっとずっと君のそばで〜僕は君を守り続ける”というファンへの思いを込めた楽曲に22年分の応援への感謝を込めて熱唱する姿には、23年目も変わらずにCHEMISTRYとしてふたりで道を歩んでいくという決意と覚悟が滲み出ているように見えた。
TEXT BY 永堀アツオ
PHOTO BY 冨田味我
CHEMISTRY Live 2023「Just One Night」
2023年3月6日 中野サンプラザ
セットリスト
1.You Go Your Way
2.akatsuki
3. ユメノツヅキ
4. 空の奇跡
5. Wings of Words
6. It Takes Two
7. Monologue
8. Horizon
9. C’EST LA VIE
10. my Rivets
11. Running Away
12. スパロウズ
13. 最期の川
14. My Gift to You
15. Us
16. Dance With Me
17. PIECES OF A DREAM
18. Let’s Get Together Now
EN1. CITRUS
EN2. 君をさがしてた
CHEMISTRY OFFICIAL SITE
https://chemistry-official.net/