■The Street Slidersのツアー『ROCK’N’ROLL』は9月1日埼玉・三郷市文化会館からスタート!
1月23日に、The Street Slidersのデビュー40周年を記念してオフィシャルサイトが立ち上がり、トリビュートアルバムとオリジナルアナログマスターをリマスタリングしたオリジナル盤の2枚組『On The Street Again -Tribute & Origin-』が、3月22日にリリースされることが告知された。
そして、その4日後の1月27日に、5月3日に日本武道館にて、The Street Slidersが解散以来22年ぶりにライブ『The Street Sliders Hello!!』を行うことが発表になった。
数多のバンドが、解散もしくは活動休止したあと、年月を経た末に再始動してきたなか、もっともそれを望まれる存在でありながら実現しなかった、The Street Slidersの再集結。
HARRY(村越弘明)と蘭丸(土屋公平)のユニットであるJOY-POPSは、2018年にThe Street Sliders解散以降では初めてのツアーを開催し、その後も2020年、2022年とライブを行ってきたし、音源のリリースもあった。
しかし、そのアクションがThe Street Slidersにつながることはなかった。それをファンは皆知っていただけに、このたびの再集結は、日本中のファンに、まさに驚きをもって迎えられた。
この日の日本武道館は、ステージの真後ろまで含む360度、2階のてっぺんまで……いや、さらにその最後方の立ち見スペースまで、オーディエンスで埋まった状態。
個人的に、武道館で360度観客を入れているライブは、過去にも何度か経験があるが、この日のように、全角度が2階のてっぺんまでびっしり入っているのを見たのは初めてだった。
この日のステージは、2階の最後部まで人を入れても極力見切れがないように、ステージの両端を幕で覆ったりせず、天井と床が完全に分離した、特殊なデザインが採用されていた。申込者の数分の一だったという、チケットを手にできた幸運な14,000人(普段の武道館はマックスでも9,000〜10,000人ぐらい)が、この歴史的瞬間に立ち会った。いや、生中継で立ち会った人を含めると、その数は何十倍、何百倍にも及んだであろう、と思われる。
この日、The Street Slidersが演奏したのは、本編15曲、アンコール2曲の全17曲。
開演前のBGMが鳴っている時点で、もうハンドクラップや歓声が起こっていた場内は、客電が落ち、JAMES(市川洋二/ベース)、ZUZU(鈴木将雄/ドラムス)、HARRY(村越弘明/ボーカル&ギター)と蘭丸(土屋公平/ギター)の順にメンバーが登場すると、22年待ち続けていたファン達による、会場が揺れる程の歓声が日本武道館を包んだ。
1曲目は「チャンドラー」(1984年)、2曲目「BABY BLUE」(1995年)、次は『天使たち』(5thアルバム/1986年)のリードシングルで、リミックス・バージョンもよく知られている「Angel Duster」、4曲目は「Let’s go down the street」(1985年)──。と、前半は様々な時期のアルバムからピックアップされたミドル〜スローな曲が中心になった構成。
そして「one day」「すれちがい」「Pace Maker」と、初期の曲が続いたその流れは、「ありったけのコイン」で最初のピークを迎えた。
なお、「チャンドラー」でステージのセンターでギターソロを決め、その後HARRYの傍らに行って弾いた蘭丸は、それ以降も何度もHARRYと向かい合ってプレイした。
「ありったけのコイン」を歌い終え、「サンキュー」と笑顔を見せたHARRYは、「それじゃあ、新しいやつを」と、「曇った空に光放ち」と「ミッドナイト・アワー」の2曲を聴かせる。前者は2021年、後者は2022年に、JOY-POPSで発表した曲である。言うまでもなく、この4人で鳴らされるのは初めて。
「ミッドナイト・アワー」を歌い終えたHARRYは、右手の人差し指を掲げるおなじみのポーズを、三回続けてやってみせた。HARRYによるメンバー紹介を経て、「公平が歌うぜ!」と叫んで「天国列車」へ。蘭丸のサイケデリックな声による“はしれ はしれ”が武道館に響く。間奏とアウトロでは、HARRYがギターソロ。
そして「OK、JAMESが歌うぜ!」と始まったのは「Hello Old Friends」。ボ・ディドリー・ビートにのってJAMESが力強く歌うこの曲では、HARRYがソロを奏で、蘭丸がそれを引き継ぎ、最後にZUZUが独奏を聴かせた。
いよいよライブも後半、13曲目は「So Heavy」。1983年リリースのセカンド・アルバム『がんじがらめ』のリード曲である、軽快でアッパーでアグレッシブなリリックが載ったこの曲で、オーディエンスが一斉に爆発。
HARRYの歌声は、サビの終わりの“So Heavy!”のリフレインのところ、この歌の最高音部まで、悠々と届いている。その熱い空気は、続く「Back To Back」でさらに昂り、女性客の悲鳴のような歓声も、男性客の怒号のようなメンバーを呼ぶ声も、いっそう大きくなった。
が、歌い終えたHARRY、「じゃあ最後の曲」。大半が大人のオーディエンスとは思えない「えー!? 」という声が武道館を満たす。そんな素敵に大人げない大人たちに、最後に「風の街に生まれ」が贈られた。
アンコールは、「のら犬にさえなれない」。イントロが鳴った瞬間に、14,000人が「きたっ!」という空気になった。マスクの上からでもわかるくらい、多くの人が一緒に口ずさんでいる。
そして、この再集結に関わったすべてのスタッフとオーディエンスへのHARRYの感謝の言葉を経て、ラスト・チューンは「TOKYO JUNK」。場内が明るくなり、「So Heavy」から「Back To Back」のとき以上の熱気が武道館を満たす。演奏を終えた4人は、楽器を下ろしたあとも、しばしステージに留まり、自分たちをぐるりと囲んだ14,000人に挨拶し、別れを惜しんだ。
HARRYが蘭丸と肩を組むと、ワッと歓声が上がる。4人が去ってエンドSEが流れた後、ステージの四方を囲む形で突如白い幕が落ちる。そこに手書き文字で書かれていたのは、
「ザ・ストリート・スライダーズ 秋・ツアーやるゼィ!」
おそらく、誰もが予想だにしなかったライブツアーの発表で、興奮と歓喜の大きな歓声と拍手に包まれる中、22年ぶりの日本武道館公演は幕を閉じた。
TEXT BY 兵庫慎司
【セットリスト】
M01 チャンドラー
M02 BABY BLUE
M03 Angel Duster
M04 Let’s go down the street
M05 one day
M06 すれちがい
M07 Pace Maker
M08 ありったけのコイン
M09 曇った空に光放ち
M10 ミッドナイト・アワー
M11 天国列車
M12 Hello Old Friends
M13 So Heavy
M14 Back To Back
M15 風の街に生まれ
〜ENCORE〜
EC1 のら犬にさえなれない
EC2 TOKYO JUNK
ツアー情報
『The Street Sliders TOUR2023 「ROCK’N’ROLL」』
09/01(金)埼玉・三郷市文化会館
09/09(土)福岡・キャナルシティ劇場
09/22(金)名古屋・名古屋市公会堂
09/29(金)東京・LINE・CUBE・SHIBUYA(渋谷公会堂)
10/06(金)仙台・トークネットホール仙台(・仙台市民会館)
10/21(土)神奈川・KT・Zepp・Yokohama
10/26(木)大阪・フェスティバルホール
リリース情報
2023.05.03 ON SALE
Blu-ray+CD『天国と地獄 LIVE AT BUDOKAN 1987 40th Anniversary Edition』
40th Anniversary Site
https://tss40th.com
The Street Sliders OFFICIAL SITE
https://www.sonymusic.co.jp/artist/TheStreetSliders/