■「AAAという大きいグループを動かしながら、深夜にクラブでラップをブチかましていた」「ラップの力ももちろん、生き方や考え方みたいなところにお客さんがついて行っている」(Creepy NutsによるSKY-HI、Awichについてのコメント)
ニッポン放送の『Creepy Nutsのオールナイトニッポン』内の「日本語ラップ紹介のコーナー」をフィーチャーしたHIPHOPライブ『祝・日比谷野音100周年 Creepy Nutsのオールナイトニッポン presents 日本語ラップ紹介ライブ2023』が4月22日、日比谷野外大音楽堂にて開催。『Creepy Nutsのオールナイトニッポン』シリーズ5年間の感謝をこめて開催された同イベントでは、Creepy Nutsたっての希望でゲストにSKY-HIとAwichを招き、日比谷野音の100周年を“ぶちアゲ”て幕を閉じた。
【ライブレポート】
『Creepy Nutsのオールナイトニッポン presents 日本語ラップ紹介ライブ 2023 in 日比谷野音』はCreepy Nutsの「板の上の魔物」でスタート。イントロに合わせて響くリスナーの手拍子に歓迎されてステージに登場したR-指定とDJ松永は、1曲目から華麗な早口ラップ&ターンテーブルさばきを披露し、早くも総立ちとなった会場のボルテージを上げる。さらに「今日は飛び跳ねるのも声を出すのも合法らしいです!」との掛け声で、2曲目「合法的トビ方ノススメ」へ。「飛び跳ねろ!」「声上げろ!」の煽りで、リスナーのテンションを一気にぶちアゲた。
オープニングから絶好調の2人だが、トークでは若干クールダウンさせ、DJ松永が「もう3月末から1ヵ月も経つんですか…」と語り出す。イベントタイトルにもなっている『Creepy Nutsのオールナイトニッポン』は3月末で終了しており、「“ただいま”って言っていいかわからん(笑)」「どんな顔でトークすれば…」と苦笑い。R-指定も、同じ日比谷公園内で4年ぶりに開催となったニッポン放送のリスナー感謝イベント「ラジオパーク in 日比谷 2023」が行われていることに触れ、「リハーサルで音漏れして邪魔していたらしい(笑)」など冗談交じりに話し、リスナーの笑いを誘っていた。
■SKY-HI
トークのあとは最初のゲスト、SKY-HIの紹介へ。SKY-HIはCreepy Nutsの先輩だが「同期みたいな感じがある」とR-指定もDJ松永も語り、さらに「AAAという大きいグループを動かしながら、深夜にクラブでラップをブチかましていた」「彼のおかげで深く潜っていたシーンの風通しが良くなった」など大絶賛。
「そんなSKY-HIの神髄を味わってほしい」とステージに呼びこまれたSKY-HIは、2022年12月12日に自身の誕生日を迎えると共にリリースした6作目のオリジナルアルバム『THE DEBUT』のリード曲「Happy Boss Day」や「Name Tag Name Tag」という勢いのある楽曲を立て続けに披露。さらに「髭のない頃から知っている」と気心の知れた関係のR-指定とコラボレーションした「Turn Up」では、ふたりとも対決し合うように早口でラップをまくし立てた。この選曲にはSKY-HIの意図が込められているようで「バチバチした曲が冒頭から続きましたが、まだまだバチバチで行きます!」と宣言。会場を沸かせた。
その後も、同調圧力による社会的排除が散見される世の風潮に疑問を投げ掛けるリリックが胸に響く「何様」をはじめ、「Walking on Water」「Dramatic」「Dive To World」「D.U.N.K.」「MISSION」「To The First」「The Debut」という計11曲を一気に歌い上げた。そんなSKY-HIの勢いにバッチリついて行くリスナーたちは、SKY-HIの「踊れ!」「揺れろ!」という要望に応え、文字通り会場を揺らすと共に歓声で熱狂を伝えた。
曲間のMCで、「Creepyのふたりと出会った20代の頃は、こんな(ラップミュージックが第一線になる)世界があるなんて、期待はあったけど、思ってなかった」「アイドルがHIPHOPなんて無理だと言われてきた」と過去の苦労を語っていたSKY-HI。Creepy Nutsを迎え入れてのトークでは、客が誰もいない時期を経験しながらも「好きだからやってたわけだし、好きなもののなかで輝ける自信があった」とSKY-HI節を発揮し、R-指定やDJ松永は「かっけー!」と尊敬の念をぶつけていた。
■Awich
続いてのゲストは、沖縄出身のHIPHOPクイーンAwich。彼女について、「ラップの力ももちろん、生き方や考え方みたいなところにお客さんがついて行っている」「ラップはもちろん、人としての強さやカマシ方が際立っていて、まさに姐さん的な人」と紹介したR-指定。しかし、そんな紹介と共に登場したAwichは「Remember」「Longiness Remix」という2曲を披露したあとのMCで「私のハードル上げすぎじゃない?(笑)」と冗談交じりにクレームを訴える。
だが、ハードルを上げすぎではないということを、続く楽曲で見事に体現したAwich。「どれにしようかな」「口に出して」「Revenge」「TSUBASA」「琉球愛歌 Remix」「WHO RU?」「GILAGILA」「Link Up」といったメッセージ性の強い曲調・歌詞に負けないほどの力強い歌声、そしてシャウトを会場中に響かせ、最後はR-指定とこのイベントのために特別にコラボレーションした「洗脳」でリスナーを熱狂させた。
最後、DJ松永も加わり、Awichのステージについてトークを展開。DJ松永は「ふたりでバースしてんの、めっちゃかっこよかった!」と言い、R-指定は「光栄でした」と感謝を伝える。Awichも「私もめちゃ楽しかったです、またコラボしましょう」と応えていた。
■Creepy Nuts
ここからは「こんな素晴らしい2組のライブを見たんだから、俺らもしっかり!」と気合を入れなおしたCreepy Nutsによる、イベント最後を飾るライブ。「声ガッツリ出せる状態で、我々Creepy Nutsのライブ、楽しんでもらえますか!?」というR-指定の掛け声で突入した「2way nice guy」では、リスナーはダンサブルな曲調に飛び跳ねたり、手を左右に揺らしと、会場一体となって楽曲を楽しむ。
続く「堕天」でも、サビの“yeah,yeah,yeah,yeah,yeah”という箇所で、リスナーにコールを求めたりと一体感抜群。“無敵のゾーン状態”をテーマに描き下ろした「dawn」では、DJ松永のテクニカルなDJプレイが映え、ますます会場の熱気を上げていく。
比較的明るい曲調が続いたが、ここでライトが赤黒く転調。ベースの重低音が響く「顔役」、有名な怪談「耳無し芳一」にラッパーとしてのR-指定をなぞらえた「耳無し芳一Style」で自身の歌声に熱いメッセージを込める。さらに、『Creepy Nutsのオールナイトニッポン』最後のゲストとして出演した菅田将暉とコラボレーションした楽曲「サントラ」、Creepy Nuts初のストリーミング累計1億回再生を突破した「のびしろ」を力強く歌い上げた。
アンコールでは、この日のゲスト、SKY-HI、Awichと共に「Bad Orangez」を一緒に歌唱。オレンジ色の照明に染まったエモーショナルなステージに4人が揃う豪華なコラボで、会場を歓喜に包み込んだ。そして、イベントのラストを飾る楽曲は『オードリーのオールナイトニッポン10周年全国ツアー』の公式テーマソングであり、『オールナイトニッポン』とも関わりが深い曲「よふかしのうた」。リスナーからはこの日いちばんの大歓声が送られ、会場の熱気は最高潮に達した。
歌い終わったあと、DJ松永は「5年の歳月を経て、“リアルお開き”だな」と、とうとう『Creepy Nutsのオールナイトニッポン』の歴史が幕を閉じることに寂しさを感じている様子。しかし、ふたりは「またいつか、ね」「いつかまたやれたら良いね」とまた『オールナイトニッポン』に帰ってくる希望を語り、最後にR-指定が「ここで最終回となりますが、これからも人生は続いていきますので、いろんな形で皆さんと会えるようにしたいと思います。5年間、本当にありがとうございました!」と挨拶。
そして、「ここまでのお相手は、Creepy NutsのR-指定と」「俺」という番組恒例の締めのメッセージで、『祝・日比谷野音100周年 Creepy NutsのANN presents 日本語ラップ紹介ライブ2023』は幕を閉じた。
なお、この日のライブは、配信で、4月25日15時から視聴可能。配信チケットの販売は5月7日20時まで。詳しくはニッポン放送のホームページ、もしくはイベントのオフィシャルホームページをチェックしよう。
PHOTO BY umihayato Retouched by Hiroya Brian Nakano
イベント公式サイト
https://event.1242.com/events/creepynutshibiya/
Creepy Nuts OFFICIAL SITE
https://creepynuts.com
SKY-HI OFFICIAL SITE
https://skyhi.tokyo/
Awich OFFICIAL SITE
https://awich098.com