■「RIP SLYMEで仲良くなったふたりだから、対バンできるのは感謝しかありません」(chelmico)
2022年12月より全国7ヵ所7公演で行われたchelmicoの全国ツアー『chelmico (ほぼ)平日ツアー』。iri、Lucky Kilimanjaro、鈴木真海子、tofubeats、STUTS、中村佳穂と、各公演にゲストを迎えたツーマンとして開催された本ツアーの、その最終日となる1月12日のZepp Haneda公演は、2022年4月よりRYO-ZとILMARI、そしてDJ FUMIYAの2MC&1DJとして再始動したRIP SLYMEを迎えた対バン形式で行われた。
ライブはRIP SLYMEのパフォーマンスからスタート。「楽園ベイベー」や「JOINT」といったポップミュージックシーンに燦然と輝くクラシックから、「Human Nature」や「Rightnow!」などの新体制で制作された新曲群まで、幅広い楽曲を織り交ぜたライブを展開し、観客を大いに盛り上げる。おかもとえみとWISEというサポートも華を添えたライブは、ベテランの妙味と同時に、あらたな展開も予感させるフレッシュさを感じさせる構成となった。
その熱気も冷めやらぬまま、chelmicoのバックDJを務めるTOSHIKI HAYASHI(%C)がDJブースに登場し、続いて興奮気味に登場したMamikoとRachelは、RIP SLYME楽曲の流れを汲むようなドラムンベース/ブレイクビーツチューン「To Be continued」でライブをスタート。そのまま「switch」に展開し、会場の空気をchelmico色に染め上げる。
「MC Rachelだよ」「MC Mamikoだよ」「chelmicoだよ!」という、おなじみの挨拶に続いて、RIP SLYMEのライブの感想を話し合うふたり。「私たちの大好きなRIP SLYMEのライブはどうだった!?」という観客への呼びかけや、「RIP SLYMEで仲良くなったふたりだから、対バンできるのは感謝しかありません」というMCからは、RIP SLYMEに対する大きなリスペクトを感じさせた。そしてMamikoの「まだまだ盛り上がる曲をやりましょう!」という言葉から、ライブは「Player」、そして「Highlight」と、chelmicoの代表作が惜しみなく披露され、曲の最後はなぜかダイアンのポーズで締められた。
「デビューする前にふたりでRIP SLYMEのライブを観に行ったよね。“デビューしたらもう最前列で観られないよ!”っていちばん前で観たんだけど、今日は袖で観られたね」と、感慨深くRIP SLYMEとchelmicoとの思い出を話すMamiko。そしてアニメ『映像研には手を出すな!』のOP曲に起用された「Easy Breezy」を聴いたエルヴィス・コステロからのラブコールを通して実現した「Magnificent Hurt (chelmico Remix)」から、振り付けもかわいらしい「三億円」とライブは進んでいく。
「次はしっとり踊る感じでいきましょうか」というRachelの言葉に続いて、切ない心情が歌われた「Balloon」、ツアーの中で日替わりでパフォームされ、この日のエクスクルーシブとなった「午後」と、緩やかな空気が会場を包み、楽曲と表現力の幅をしっかりとライブを通して表現したchelmico。そして「今回はアルバムツアーじゃないから、普段はやらない曲も入れたの。踊ろう」というRachelの言葉に続き、「3rd Hotel」「ラビリンス97’」と、2016年リリースの1stアルバム『chelmico』に収録された、ふたりのベーシックとも言える楽曲を披露。そこから「Disco (Bad dance doesn’t matter) 」への展開にはふたりが歩んできた道や、状況の移り変わりを感じさせられる。
そしてロッキッシュなビートに乗せて、ポジティビティやフレンドシップを歌う「bff」で一体となった会場に、さらにその熱を高めるように「Easy Breezy」が披露され、会場の一体感はピークに達し、その興奮を帯びたまま、ふたりはステージを降りた。
アンコールを求める手拍子が響くなか、暗転したステージにはRIP SLYMEのDJブースが運び込まれると、このあとの展開への期待に、さらにその手拍子は大きくなる。
そして再びステージに登場したRachelとMamikoの「今日のアンコールは頑張って準備したの、みんなを楽しませたくて」「ゲスト呼んでいいですか?」という言葉に導かれるようにDJ FUMIYAが登場。「この日のために新曲を作っちゃいました。新曲やっちゃっていいですか!」という呼びかけに続いて、初披露となる「GOOD GAME」がパフォームされた。DJ FUMIYAプロデュースによるトライバルなダンスビートに、chelmicoのタイトなラップとユニゾンが絡み合うこの曲は、これからchelmicoのライブには欠かせないパーティーチューンになることが、初披露にもかかわらず大きく盛り上がる会場の様子からも感じ取ることができた。そして同じくDJ FUMIYAプロデュースの「O・La」には、RYO-ZとILMARIも登場しコーラスに参加。この日ならではの特別な掛け合いに、会場から大きな拍手が巻き起こった。
「今日はこれだけじゃないんですよね?」というchelmicoの呼びかけに、RYO-Zが「chelmicoのふたりが好きな曲があるんだよね」、ILMARIも「ツアーでちょっとやっただけの珍しい曲をやるよ」と答え、そこからRIP SLYMEの「気の置けない二人」に、chelmicoがラップを乗せた特別バージョンを披露。そのクオリティと、リリックに流れるchelmicoのRIP SLYMEへの愛情には、「このバージョンいいじゃん!」とRIP SLYMEも太鼓判を押した。そのままchelmicoライブのエンディングの定番である「Love Is Over」にもRIP SLYMEが参加し、会場は大きな拍手と幸福感に包まれた。
「“健康第一、chelmicoとRIP SLYME第二”のピースで失礼します」という言葉で締められたこの日のライブ。お互いに対するリスペクトと愛情が溢れるライブは、こうして幕を閉じた。
なお、新曲の「GOOD GAME」は1月13日より配信リリースされる。
TEXT BY 高木“JET”晋一郎
PHOTO BY 横山マサト
リリース情報
2023.01.13 ON SALE
DIGITAL SINGLE「GOOD GAME」
『chelmico (ほぼ)平日ツアー』セットリストプレイリスト
https://chelmico.lnk.to/hoboheijitsu_tour_setlist
chelmico OFFICIAL SITE
http://chelmico.com/
RIP SLYME OFFICIAL Twitter
https://twitter.com/ripslyme_com