■「森さんを見てしまったら、『森さん以外ありえない』とオーディション途中で気がつきました」(是枝裕和)
是枝裕和総合演出による初のNetflix作品、Netflixシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』が、1月12日より全世界独占配信。このたび、本作の配信記念プレミアイベントが1月9日の成人の日に開催された。
イベント前に3話まで本編を鑑賞したファンが集まった会場。本作の舞台となる、舞妓たちが住む屋形の縁側をイメージしたステージに、森七菜、出口夏希、蒔田彩珠、橋本 愛、是枝裕和監督が登壇し、盛大な拍手が送られた。
ひょんなことから屋形の「まかないさん」となったキヨを演じた森七菜は「皆さん3話までご覧頂いたので緊張します。でも楽しい時間を過ごせるようにたくさんお話できたらいいなと思います」とコメント。“100年に一度の逸材”として将来を期待される、すみれ役を演じた出口夏希も「今日は『舞妓さんちのまかないさん』の魅力がもっともっと伝わったら良いなと思います」と笑顔で挨拶した。
屋形の女将「梓(あずさ)」の娘・涼子(りょうこ)を演じた蒔田彩珠は「一昨年の冬に4ヵ月くらい撮影した作品が、ついに今週配信となることがすごくうれしいです」とコメント。すみれが憧れる人気No.1の芸妓・百子(ももこ)を演じた橋本 愛は「予告編を観たときから、知らず知らずのうちに泣いてしまっていて、胸にジンワリ響く素敵な作品です。配信したら最後までご覧になってください」と語った。
そして、本作の総合演出を務めた是枝裕和監督は「この4人と並んでると自然と微笑んでしまうのは、ただのおじさんとして娘たちの晴れ姿を見ている感覚もあるんですが、作品を観ていただいてどこか心が温かくなるような、そんな作品の魅力が少しでも伝わって続きを観て頂ければと思います」と挨拶した。
それぞれの衣装は、劇中でも衣装を担当した伊藤佐智子により本イベントのために用意された着物となっており、森は「キヨは1話でしかお稽古しておらず、そこでは浴衣を着ただけだったので、今日は着物を着させてもらえてうれしいです。テーマは”もしキヨが着物で買い物したら”というテーマでした。いつもと違うおめかし用のリボンをつけてます」とキヨのイメージをアピール。出口は「この衣装は6話の作中で、実際に着た着物で、舞妓さん仕様の着物になります。すみれは私服でも蝶々柄をたくさん着るので、すみれっぽい着物で来ました。久々に着られてうれしいです」と衣装の感想を述べた。
蒔田は「私、実は今日成人式があったので、そのおめでたい日に着物を着て、素敵な方々と素敵な舞台に立てることは、すごく貴重なことだと思います。ありがとうございます」とコメント。橋本は「この着物は7話で百子さんが着てたというんですけど、見つけられなくて…。現場で一緒だった着付けさんとふたりで『着てないよね~?』と言っていて、私としては今日初めて着た気持ちですが、ぜひ、本作で探してみてください! 百子(ももこ)ということで桃色です」と語った。
本作は全編京都で約3ヵ月をかけて撮影を実施。その中でもいちばん思い出に残っている撮影エピソードについて聞かれた森は「京都をいっぱい見てきたので選びきれないんですけど、キヨが愛宕山を登るシーンがあるのですが、『実際にやらなきゃ、一人前のまかないさんになれない』と思って山に登りにいきました。今は自分の家にお札を飾ってます」と当時のエピソードを語った。
“100年に一度の逸材”と呼ばれるすみれ役を演じるにあたって、役作りについて聞かれた出口は「頭の先からつま先まで、本当にすべて直していく作業から始まったんですけど、視線だったり、舞も覚えないといけなかったり、違う現場にも扇子を持っていって普段の生活に取り入れてました。それでも舞の稽古が厳しくて、お師匠さんも怖くて、本当に慣れないことが多かったんですけど、その中でも自分でなんとか気持ちを保って頑張ろうと思って必死にがんばりました」と当時の撮影の苦労を語った。
また、百子役の橋本愛との共演について聞かれると「お稽古を近くで見させていただいたんですが、その日の夜に教わったものを、次の朝には自分のものにされていたのがすごく心に残っています。劇中で黒髪を舞うシーンがあるんですが、寒い中、本当に綺麗で、いちばん近くで見させていただいて圧倒されるばかりです。かっこよかったです!」と話し、隣で聞く橋本も照れた様子だった。
そんな橋本は「出口さんとのシーンが多くて、逆に私はすみれから学ぶことが本当に多くて、いつも明るくて、大変な現場のときでも変わらず笑顔でいてくれたことで、みんながホッとするような安心感があったと思います。特に私がいちばん隣で元気づけられていました」と語った。
京都の撮影エピソードを聞かれた蒔田は「涼子は意外と自分と近いテンションの役柄だったので難しいことはなかったんですけど、舞妓のみんながキヨのご飯を食べるシーンで、涼子は積極的に参加するタイプではなかったので、食べたかったと思うシーンがいっぱいありました」とオリジナルキャラクターを演じた当時の思いをコメント。
橋本の舞は京都指導の井上師匠からもお墨付きをもらうほど完璧だったとのことだったが、役作りについて「すみれは覚える曲数が多いのに比べて私は少なかったので、一曲一曲の舞の精度をあげられるというのもありました。おいど(腰)をおとすことを長い間続けて舞をしなければいけないので本当に足が震えて、前モモがすごい筋肉痛になりましたが、それでも百子さんの技量に半年で追いつかなきゃいけないというプレッシャーに背中を押してもらいました」と当時の撮影を語った。
それに対して、是枝監督は「本当に所作が美しいと普段から感じていたんですが、それを活かそうとしていました。3話以降、少しづつ百子の違う一面が見れて、いろんな面から橋本愛という女優の魅力を描けたと思っています」とコメント。また、森、出口、蒔田をそれぞれオーディションにて選んだことについて聞かれると「森さんを見てしまったら、『森さん以外ありえない』とオーディション途中で気がつきました」と語った。
それを聞いた森は「最初のオーディションのときは、渋谷を泣きながら歩いて帰りました。キヨにどれだけ近づけるかというノルマ”を達成できなかったので、どうしようかなと思っていたんですが、2回目のオーデションの際に、監督に『もう泣かないで帰っていいからね』と優しく声をかけていただいたので、キヨを演じるにあたっての気持ちを豊かさを育ててくれました」とキヨ役への執念を述べた。
続いて、来場者から事前に募集した質問に答えるコーナーでは“20歳になる前にやっておいたほうがいいことは?”という質問に森は「私まだ21歳なので、1年目にして感じたことは、19歳までにできないことを楽しむことです。20歳になると遊びが変わってくると思います。エモさをいっぱい感じてください」とコメント。
“この作品に出演して、何か変化があったか”を聞かれた出口は、「以前は、自分のやることに自信がないことが多くて、この作品をやってから前向きになれるようになりました。是枝監督はじめスタッフさんに『成長した』と言われることが増え、そこから自信に変りました」と自身の変化を語った。
蒔田は“撮影で印象に残っているエピソード”を聞かれると「舞妓さんが住んでる屋形の一階にあるバーが、リリー・フランキーさんの存在感も相まって素敵なセットになっていて、20歳になったらこういうバーで飲みたいなって思いました」と語り、会場から拍手が送られた。
“本作で特に自分で意識したこと、作品に対して感じて欲しいことはなにか?”を聞かれた橋本は、「どの瞬間を切り取っても、“百子はトップなんだな”と説得力をみたいなものを感じてもらえたらいいなと思っていました。ただ、舞と京言葉が大変すぎて、見直したとき、もうちょっと頑張ればよかったという反省点はあるんですけど、京都の方が観ても違和感ない演技を心掛けていました」とコメント。
続いて“20歳の頃の自分に向けたメッセージ”を問われた是枝監督は「遠い昔ですね……このドラマは自分の居場所をみつける物語と思っているんですけど、20代ってそういう場所が見つからないんです。『焦るな、居場所は見つかる』伝えてあげたいです」と説得力あるコメントをした。
締めの挨拶に森は「キヨとすみれとスタッフのみんなと一生懸命頑張って作りました。皆さんにはキヨがいっぱい料理を作って『どれでも好きなもの何個でも食べて良いよ』と言っているように、受け取りたいものを受け取って幸せになれる作品になっていますので、ゆっくり観てください」とコメント。出口は「この作品は美味しいまかないだったり、舞妓さんを支える繋がりだったり、本当に優しい人たちでできている作品なので、もっと魅力が伝わるとうれしいです」と挨拶した。
さらに、蒔田は「このドラマは監督が4名いて、それぞれの監督の個性が、完成した映像にも映っていて、そこも楽しみ方のひとつだと思います。誰が監督なんだろうと気にしながら是非観てください」、橋本は「この作品の魅力のひとつとして、キヨとキヨが作るご飯の変わらない味が胸に響くように、このドラマの存在自体が立ち戻れるような存在になったらすごく素敵だなと思いますし、気に入っていただけたらぜひ何度でも観ていただけるとうれしいです」とそれぞれ作品の魅力を話した。
そして最後に、是枝監督が「いろんな楽しみ方ができるドラマになっていると思います。食事だったり着物だったり音楽だったり、ふたりの少女のバディものとしても見られる。いろんな楽しみ方をしてください。このドラマを作り始めたとき、最初に京都に行って、コロナ真っ只中で、取材を始めました。その状況は非常に狭い世界の中で濃密に人と人が支えあった共同体だったんです。この原作が人が生きていくうえで何を大切にしているのか、それを考えながら演出をしました。私たちが次の価値観をどういうふうにもって、人と関わっていければいいか、考えるひとつのヒントが、いろんなところに散りばめられているので、そんなところも観ていただければと思います」とこれから本作を観る人へのメッセージを語り、イベントは大盛況のなか幕を閉じた。
番組情報
Netflixシリーズ『舞妓さんちのまかないさん』
01/12(木)Netflixにて全世界独占配信
出演:
森七菜 出口夏希
蒔田彩珠 城桧吏 福地桃子 若柳琴子 南琴奈
リリー・フランキー 北村有起哉 尾美としのり 古舘寛治 戸田恵子 白石加代子 / 松坂慶子
橋本愛 松岡茉優 井浦新 常盤貴子
原作:小山愛子「舞妓さんちのまかないさん」(小学館「週刊少年サンデー」連載)
総合演出:是枝裕和
企画:川村元気
監督:是枝裕和 津野愛 奥山大史 佐藤快磨
脚本:是枝裕和 砂田麻美 津野愛 奥山大史 佐藤快磨
音楽:菅野よう子
(C)小山愛子・小学館/STORY inc.
リリース情報
2023.01.11 ON SALE
DIGITAL ALBUM『「舞妓さんちのまかないさん」オリジナル・サウンドトラック』
2023.01.11 ON SALE
DIGITAL ALBUM『「舞妓さんちのまかないさん」オリジナル・サウンドトラック (Extra Track ver.)』
2023.01.18 ON SALE
ALBUM『「舞妓さんちのまかないさん」オリジナル・サウンドトラック』
※2023.01.11、菅野よう子オフィシャルWEBSHOPにて先行発売開始
作品サイト
http://www.story-inc.co.jp/makanai/
Netflix作品ページ
https://www.netflix.com/舞妓さんちのまかないさん