■「魔法の言葉というものはないかもしれない。言葉自体が魔法なんですよね」(Vaundy)
Vaundyが、モリサワが展開するクラウド型のフォントサービス「Morisawa Fonts」とコラボレーション。本コラボのために書き下ろされた新曲「置き手紙」のMVが、Vaundyの公式YouTubeチャンネルにて公開された。
楽曲は、「魔法の言葉」をキーワードに、思いを伝えたい男女の様子が描かれている。
MVは、あらゆるフォントが一覧できる「見本帳」を起点に物語が展開され、77種類ものフォントを使用した歌詞がMVを彩る。映像制作は、NHK朝ドラのオープニングや「らくがきAR」を手掛けるWhateverが担当。独創的な作風で知られる映像ディレクターの牧野惇を監督に迎え、“クラフトモーション”を使った演出で、フォントの魅力と疾走感あるメロディを際立たせている。
■新曲「置き手紙」MVについて
これまでのリリックビデオとは一線を画する、「フォントの見本帳(Fonts Specimen)」のように多様なフォントで歌詞を彩るFont Specimen MV。
現実世界で距離を置いて座っている男女が「フォントの見本帳」の中にイラストとなって登場し、ゴシック体や明朝体をはじめとした77種類ものフォントで表現される歌詞とともに、駆け出したり、手を伸ばしたりと自由に動き回る。歌詞が持つ意味や重み、儚さ、強弱などに合わせて多様なフォントを使い分けることで、躍動感溢れるMVに仕上がっている。
演出には、牧野監督が今回あらたに編み出した”クラフトモーション”が使われている他、紙を破いたり、重ねたり、くしゃくしゃに丸めたりと、様々な技法で世界観を演出している。
■コンセプト
Morsawa FontsとVaundyのコラボレーションから誕生した楽曲「置き手紙」。フォントは、伝えたい言葉に込められた想いを強めたり、時には変えてしまうような魔法の力を持っている。「置き手紙」という歌で繰り返される「魔法の言葉」を巡る物語を、そんなフォントの力を借りて映像化。Vaundyのパワフルな歌声と、それを可視化した様々なフォントたちの、書体見本帳を舞台にした共演を楽しもう。
■Vaundy インタビュー
――オファーをもらったときの感想を教えてください。
(モリサワと)関われると思ってなかったんですよ、正直。いつもモリサワフォントを“使う側”だったので、今回は“使ってもらった側”に近いと思っていて。使っていたもの、使っていた会社とか企業と一緒に仕事ができるというのは、やっぱりワクワクしますよね。僕の友達も、知り合いでもデザイナーでも、モリサワと言ったら、「あ~あのモリサワ!?」みたいな反応になるので、そういう意味でも「俺、モリサワと仕事したんだ…!」という気持ちです。――楽曲のこだわりポイントについて教えてください。
もともと「置き手紙」という曲を作っていて。ワンコーラスしかなかったので、今回のお話をもらって最終的に完成させたという感じです。なので最初のイメージとは全然違うものになってるんですよ。もちろんこのお話をいただいてから仕上げたので、「ん~このエンドだと普通過ぎてつまんないな」と思って、最初に考えていたエンドからはまったく別のものに変えて、不老不死のふたりの話になりました。もともとは、もっと平凡なふたりの話で、ふたりがお互いに言葉にできない様子を思い描いていたのですが、それよりもうちょっと言葉で遊んでみたいなと。やっぱり絵本とか本とか、アンリアルを描くものに文字は必要だと思っていて、説明的になるというか。なので、(この楽曲は)メルヘンである必要があるなと。(不老不死の設定になったのは)「不死の病」とかパンチラインになる言葉も必要だと思ったのもあります。意外とそういうものがモノづくりには大事だったりするので、ちょっと「ん?」ってなるけど読んでみたら「あぁ~なるほど」ってなるような、第一印象が“良い悪い”じゃなくて、第一印象が“強い”文字が必要だな、というところを意識して、歌詞の中にちょいちょい入れたりしました。――楽曲名の「置き手紙」に込めた思いについて教えてください。
実は歌詞で、「綴り切れないよ」って言ってるんですよ。思いを置き手紙にしてるんだけど、結局呼吸するたびに君に伝えたいことがある、それほど伝えたい文字が多くて、置き手紙くらいじゃ収まらないわ、という気持ちを「綴り切れない呼吸の数だけ生えた思いが溢れ育ってた」という歌詞でDメロにあたる部分、サビの部分で歌っています。僕の中では、最後は文字がぐちゃぐちゃになって、「あぁ~もうやめてしまおう」と、「もう思いを伝えずにこのまま終わろう」って、文字にもせずにたぶん終わるんですよね、このふたりは。そこが文字で書くことの儚さに繋がってくるかなと思って。
「置き手紙」というタイトルは、そこまで意味があるわけではなくて、ツールでしかない。第一印象で「置き手紙の話なんだな」と思わせるためのタイトルという感じです。でも、ちゃんと歌詞を読んでみたら、「あれ、もしかしてこれ置き手紙、結局いらなかったってオチじゃない?」みたいな。そう思わせるために多分、当初の僕はそれを書いたんだと思います(笑)。――歌詞に「魔法の言葉」というフレーズが、たびたび登場しますが、Vaundyさんにとっての「魔法の言葉」は何ですか?
大事にしていることは「バランス」ですかね。よく言う言葉ではあるけど、すべての事柄はバランスで出来ていると思っています。自然はバランスを、調和を取ろうとするみたいな。なんかそういうものが僕の中にもあります。
ただ、魔法の言葉というものはないかもしれない。言葉自体が魔法なんですよね。そもそもみんな言葉を使わずに生まれてきているわけじゃないですか、人間という生き物は。文字って、いちばん最初のデザインだと思ってるんです。学校とかでもよく文字デザインって究極のデザインだという話をしていて、英語でも日本語でもアラビア語でも、やっぱり文字デザインというのは、僕にとっては人類を繋ぐ、世界中に繋がる魔法だと思っているので、言葉自体が魔法なのかな、と思います。――MVをご覧になる皆さんにメッセージをお願い致します。
監督の血と汗と涙の結晶をぜひご堪能ください。MVを観て、「あぁ~すごいかわいい~!」ということだけでなく、ちゃんと一秒ごとに注意深く観てみればみるほど発見がある、本当に見応えのある作品です。■Vaundy×MV監督・牧野惇×Whatever クリエイティブディレクター・川村真司×モリサワによる対談インタビュー
――MVをご覧になった感想や、制作の裏話を教えてください。
牧野:MVの制作は、“大変”の言葉しかありませんでした。文字を1文字をいくつかのパーツに切り分けてバラバラに撮影したので、文字部分の撮影だけで丸1日。自分で言い出したものの、実際やってみると修行のようでした。撮影日数は3日間で、文字を一遍ずつ動かす素材撮りなど、ブラックライトの下で永遠と文字の撮影を行っていました。Vaundy:今回のMVは、一般的なビジュアルのエフェクトより密度が濃く、しかもコンポーズも素晴らしくて、これがひとつにまとまっていることが本当にすごい。映像制作の経験が少しでもある人なら、このMVが全部撮影で作られていると聞けば、驚きしかないと思います。僕は、これまでの3年間でMVをいくつも出してきましたが、今回のMVは文句なしに過去イチの密度になってると思います。
――それぞれの場面でフォントの個性を生かしていただけたと思います。フォント選びの進め方や、気を遣われた点などお話しいただけますか?
川村:Morisawa Fontsで提供しているすべてのフォントを確認させていただき、モリサワさんとデザインチームと監督でキャッチボールをしまくりました。どの歌詞をどのフォントでどのように表現するかや、どれくらいの頻度でフォントを切り替えればいいかといったことを想像しながら、デザインの印象と歌詞が紐づきそうなフォントを選んでいきましたね。なるべく歌っている言葉の印象を強められるようにしたいよねと話しながら、デザイナーたちと一緒に選定していきました。例えば、星空を見に行く場面のような、印象的で文字が少ないシーンには、インパクトがあり星空を感じるようなデザインのフォントを選んだりしています。Vaundy:ブラックライトを使ったクラフトモーションのシーンで出てきたフォントがいちばん印象に残っています。あのフォントをこう動かすことができるんだ、という発見もありました。特に「会いに行くつもりは」の「会」の字がいいと感じました。「今日は」は、たぶんにじみ系のフォントですよね? 普段から使っているお気に入りのフォントです。「何も」とかすごくいいな。「モアリア」っていうんですね。遊びがあるのに収まっているので、いろんなシーンで使えそうですね。
※詳細はスペシャル対談特設サイトまで
リリース情報
2022.11.14 ON SALE
DIGITAL SINGLE「忘れ物」
Vaundy×Morisawa Fonts「置き手紙」Font Specimen Music Video 特設サイト
https://okitegami.morisawafonts.com/
スペシャル対談特設サイト
https://okitegami.morisawafonts.com/interview/
Vaundy OFFICIAL SITE
https://vaundy.jp/