■「映画を観てくださっているみ皆さんの後頭部を見ながら、映画を楽しみました」(稲垣吾郎)
映画『窓辺にて』の公開御礼・全国生中継つき舞台挨拶が11月17日、TOHOシネマズ 六本木ヒルズ スクリーン7で行われ、主演の稲垣吾郎、稲垣が演じたフリーライター・市川茂巳の妻・紗衣役に扮した中村ゆり、そして今泉力哉監督が登壇した。
Twitterで様々な感想が届いていると笑顔を浮かべる稲垣は、実際に映画館に足を運んだそうで、「映画を観てくださっている皆さんの後頭部を見ながら、映画を楽しみました」とうれしそうに振り返った。
顔バレしなかったのかというMCの質問には「バレなかったです。変装していたので」と回答。イベント冒頭に、MCが稲垣の演じるキャラクターの職業・フリーライターを「フリーターの…」と紹介したことを踏まえ、「フリーターみたいな雰囲気で座っていたので…」と説明すると、会場は大きな拍手に包まれた。
上映前のイベントのためネタバレはできないと気遣う稲垣だが、会場に来ていた観客のほとんどがリピーターと知ると、「観てくれてありがとうございます」とニッコリ。
主人公の市川茂巳については「あまり共感してもらえる役ではないかもしれないけれど、僕が演じることで感情移入して観ていただいているように感じています」と、寄せられた感想から観客が抱いた思いを推測していた。
今泉監督と稲垣の相性の良さを指摘されることも多いそうで、「そういう映画ファンの声もすごくうれしいです」と微笑んだ。
中村は「知り合いのライターさんが、(映画を観て)当時、自分が気づかなかった気持ちがわかり涙が出たと言ってくれました。そういう映画体験をしていただけたことをうれしく思います」と語った。中村は「感想を見るのがすごくうれしいそうで、「この映画(の Twitter)はかなり見ています」と会場を見渡しながら報告した。
同じく Twitter の感想をチェックしているという今泉監督は、気になった感想をメモしてきたと話し、内容を読み上げた。その感想を聞いた稲垣は「すごく、うれしい…」としみじみ。
茂巳のことを理解できないと言われることも多いそうで「『なんで怒らないの?』『どうしてなの?』ってインタビューとかでライターの人たちに本当によく怒られます」と熱烈な感想をもらっていることも明かした。
劇中にはインタビューシーンなども登場する。これまでの(仕事の)経験が活きているのかという質問に稲垣は「最近はMCをやったりまたラジオなどでゲストの方とお話ししたり、作家の方や映画監督と対談する仕事も増えています。そういう仕事は増えるのはすごくうれしいです。昔は 5人組のいちばん端っこで前髪を気にしているミステリアスな感じというイメージが強かったようで、最近は『意外とよくしゃべるね』と言われます(笑)」と照れ笑い。
茂巳役があまりにも稲垣のイメージに近いせいか、「演じてないのでは?」と言われることも多いと話し、「役者として最高の褒め言葉です。今、ここで僕がしゃべっているような感じで、映画では茂巳がしゃべっていますので」とこれから作品を鑑賞する観客へ呼びかけていた。
撮影で印象に残っていることについて中村は「何度か話してきましたが…」と前置きし、「予想していなかった役の感情を稲垣さんに引き出してもらったことが印象深いです」とこの日のイベントでも稲垣との掛け合いシーンの感想を明かた。
今泉監督は稲垣の出演シーンで個人的に気になっているシーンをふたつ挙げ、「パフェを食べるシーンとトランプのシーン。パフェを食べながら静かに揺れる稲垣さんを編集時には『ダンサブル吾郎』と名づけていました」とニヤリ。
また、トランプを持った手がリズムを刻んでいたと指摘された稲垣は「あーーー」と反応し、頭のなかで音楽が流れているのかを問われると、「記憶にないけれど、そんな指摘されることは多いです。中村さんがABEMA の『ななにー』に出てくれたときも、パフェのシーンについて(香取)慎吾くんが『パフェ(のグラス)をおさえながら食べてるのって、まんま吾郎ちゃんじゃん!』と話していて。勝手にやっちゃっているんだと思う。パフェのシーンもそうだけど、ダンサブル吾郎が出ちゃうほど、素だったんだと思います。演じていないのかも」と照れ笑いしながら、「踊れと言われると踊りたくなくなるけれど」とニヤニヤ。稲垣のこの姿に会場のあちこちから笑い声が漏れていた。
形に残るものが愛情を表現するというシーンにちなみ、ラブレターの思い出を訊かれると「そりゃ~ね~」と微笑んだ中村は「若かりし頃はピュアな心を綴っていました」と告白。「え? ない…」とちょっぴり驚いた表情を見せた稲垣に「これから、書きましょう!」と促した。
この中村の提案に「そっか、でも、実際に言葉ではっきり伝えたほうが手っ取り早いかな…」とモゴモゴする稲垣は「(自分の書く)字にコンプレックスがあるので…」とラブレターを書かない理由を説明。
ラブレターやファンレターはもらうことが多いという稲垣は「残るし、うれしいもんです。手紙はいいですもんね」としみじみ。すると、小学生のときにもらったラブレターを思い出したようで、「もらったことはあるけれど…中身を見てなくて。(本人から)渡したというのを聞いたのですが、僕のふたつ上の姉が本人に返したそうなんです。その理由は訊いていないけれど…、迷宮入りですね」と首を傾げながら話した。
「監督は美しい文章で書きそうですよね」という稲垣の言葉に、今泉監督は「いつ渡そうか迷いに迷っていたら泥酔してしまって…。泥酔状態で渡したことはあります」と照れながら、「でも、その手紙は(相手の方が)今でも持っていると聞いています」とラブレターのその後についても触れていた。
夫婦の物語を描く本作。理想の夫婦像を訊かれた稲垣は中村と顔を見合わせながら「独り(身)だから、あまり説得力ないよね…」と苦笑い。「友達みたいなのがいいです。なんでも話せるけれど、よりかかり過ぎず、お互い自立している感じ。機嫌の悪さも出し合わない感じがいいです」という中村の回答に稲垣は「そっか。機嫌の悪いことも全部伝えられるような人がいいのかなと思うこともあるけれど、難しいよね」と微笑むと、中村は「大人同士だから」とすかさず答えた。
稲垣から「今から結婚したら、すごく気を遣っちゃうと思います。無邪気でいられる?」と訊かれた中村は「無邪気でいられる人がいい」と即答。稲垣は中村の話を噛み締めながら「僕もそういう形がいいかな。ちゃんと距離感を保ちながら、家族だけど他人としても認めあうような。家族だからみたいなベタベタもないような、お友達のような」と理想を語りながら、「僕たち気が合いますね」とキリッとした表情を見せた。
「お話を引き出すのが上手だから、ペラペラしゃべっちゃった」と話す中村に「いや、同じ考えを持っているのかなと思って…。しつこい? ぜひ、よろしくお願いします」と微笑む稲垣が、徐々に中村のほうに寄っていくような仕草を見せるとステージ上は劇中の夫婦関係とは違うほっこりとした雰囲気に包まれた。
夫婦の理想のデートについて「好きなこと、趣味は共有できたほうがいいかな。スポーツとか、映画を観ることもそうだし…。食事の趣味とか部屋の温度とかもね。27度と22度じゃ違うから」という稲垣のコメントに中村は「ほっこりなのがいいですね」と笑顔。
「一緒に何かを乗り越えるようなデートはどう?」という稲垣の問いかけに「山登りとか? 機嫌悪くなりそう…。富士山に登ったことがあるのですが、自分のことで精一杯で(相手を思いやれなくて)」と中村は苦笑い。すると稲垣は「夫婦二人三脚じゃなくていいの? 一緒にゴールしようみたいな感じでいいの?」とグイグイ質問し、再び中村に近づくような仕草を見せて笑わせた。
この日のイベントは全国生中継つきイベント。稲垣は時折「中継ってこと忘れちゃう。ちゃんと手を振らなくちゃ…」とカメラ目線になる場面もあった。
映画情報
『窓辺にて』
2022年11月4日(金)より絶賛公開中
出演:稲垣吾郎、中村ゆり、玉城ティナ、若葉竜也、志田未来、倉 悠貴、穂志もえか 、佐々木詩音 / 斉藤陽一郎、松金よね子、
音楽:池永正二(あらかじめ決められた恋人たちへ)
主題歌:スカート「窓辺にて」(ポニーキャニオン/IRORI Records)
監督・脚本:今泉力哉
配給:東京テアトル
(C)2022「窓辺にて」製作委員会
『窓辺にて』公式サイト
https://www.madobenite.com/