■「平和と皆様の健康を願って…。たまや〜!!」
10月22日、3年ぶりの開催となる『茅ヶ崎サザン芸術花火2022』が開催された。
サザンオールスターズの楽曲にシンクロさせて世界最高峰の芸術花火が打ち上がるこのイベントは、サザンオールスターズ40周年の祝砲を兼ねて2018年に初開催、茅ヶ崎市で実施されたイベント史上最大となる3万5千人の動員人数を記録。翌2019年にも第二回が開催され、2018年・2019年で総勢7万人を超える観客が極上の夜を味わい、続く2020年度の開催を望む声も多く寄せられていたなか、新型コロナウイルスの猛威が世界中を襲った。
それから沈黙の3年間の時を経てついに、これまでの実績とコロナ禍での新たな楽しみ方を前提に、より安心安全な環境が作り上げられ、待望の第3回『茅ヶ崎サザン芸術花火2022』の開催が実現。
8月末に開催が発表されるとたちまち話題になり、開催を待ち望んでいたサザンオールスターズファンや地元・茅ヶ崎市民から、チケット先行受付の段階で規定数を大幅に超える応募が殺到。
一般発売日を迎えてすぐに即完し、プレミアムチケットに。
3年ぶりの開催となった今回も、同イベントが打ち立てた茅ヶ崎市史上最大動員数と並ぶ3万7千人の動員を記録した。
【オフィシャル・イベントレポート】
天候にも恵まれた10月22日、時刻は19時。
開演直前には、10月19日に31年ぶりとなるオリジナル・ソロアルバム「婦人の肖像 (Portrait of a Lady)」をリリースしたばかりの原 由子がメンバーを代表して映像コメントで登場し、観客を大いに沸かせた。
「2018年、2019年にお越しくださった方はいらっしゃいますか?」との問いかけにはたくさんの手が挙がり、多くの人が再会を待ち望んでいたことが窺えた。
開催が叶わなかった3年間のそれぞれの苦労を労いながら、「平和と皆様の健康を願って…。たまや〜!!」と、原 由子による“開幕宣言”で大きな拍手が上がった。
ショーの口火を切った楽曲はサザンオールスターズ「希望の轍」。
冒頭のイントロとともに会場には大きな拍手が巻き起こり、3年ぶりにサザンオールスターズの楽曲にのせて打ち上がった大輪の花火が茅ヶ崎の夜空を鮮やかに染め、『茅ヶ崎サザン芸術花火2022』は幕を開けた。
茅ヶ崎漁港の堤防から打ち上げられる花火は、花火競技会で総理大臣賞を受賞するレベルの屈指の花火師達が全国から集結し作られた、世界最高水準の花火玉。
東京都内の花火大会では、保安距離の問題で使用することが出来ない尺玉も、『茅ヶ崎サザン芸術花火』では観ることが出来ることも醍醐味だ。
続けて海辺に響いたのは、2021年に発表された桑田佳祐の「炎の聖歌隊 [Choir(クワイア)]」。この楽曲には“開演お待ちどうさん/ご来場 大変ご足労さん”“舞台の幕が開きあなたと共に歌う/世の中に 光が溢れるように”といった歌詞が綴られており、コロナ禍によって生活が一変し不安に満ちたそれぞれの日々を乗り越え、この場に集った3万7千人の瞳に美しい光景を映し出す。
桑田佳祐の出身地であるこの“茅ヶ崎”での再会を祝すような楽曲と花火のコラボーレーションに、多くの観客が喜びの涙を流した。
今年の『茅ヶ崎サザン芸術花火』では、10月6日にデビュー満35周年を迎えたばかりの桑田佳祐のソロ楽曲もふんだんに使われており、「明日晴れるかな」「Soulコブラツイスト~魂の悶絶」「SMILE~晴れ渡る空のように~」など、11月23日にリリースされるベストアルバム『いつも何処かで』に収録される楽曲群もこのイベントに華を添えた。
なかでも会場の感動を誘ったのは、今年5月に緊急配信リリースされ大きな話題となった最新曲「時代遅れのRock’n’Roll Band feat. 佐野元春, 世良公則, Char, 野口五郎」。
2020年に突如世界を一変させた新型コロナウイルス、各地で多発する未曾有の自然災害、そして2022年2月に海の向こうで勃発し今なお続く歴史の過ちを繰り返す惨劇──。
悲しみが世界中を覆うなか、“次の世代に向けたエール”と“平和のメッセージ”を届けたいという想いが込められた、2022年を象徴するこの楽曲とともに、明るい未来と平和への祈りが込められた希望の花火が打ち上げられた。
さらに、今週10月19日にリリースされた原 由子のオリジナルアルバム『婦人の肖像 (Portrait of a Lady)』からは、TV CMソングとしても話題の「鎌倉 On The Beach」も。原 由子の新たな“鎌倉・湘南ソング”を茅ヶ崎の地で聴けるというのも、このイベントならではの“エモい”ポイントだ。
さらに「栄光の男」「勝手にシンドバッド」「真夏の果実」などサザンオールスターズの珠玉の名曲とともに咲く火の花が、茅ヶ崎の秋の夜空を華やかに彩り、歓声の代わりに大きな拍手が鳴り響く。
サザンオールスターズの聖地でもあるこの“茅ヶ崎”は、歌詞やジャケットデザインなどに幾度となく登場していることでも有名だが、そんなゆかりの地で数々の名曲と、世界最高峰の花火職人・花火コレオグラファーによって完全にシンクロナイズされた花火が見事に共鳴。
“音楽”と“花火”が30分の1秒単位でシンクロした音環境を実現し、ここでしか観ることが出来ない特別で芸術的な演出により、サザンビーチちがさきはドーム規模のエンターテインメントショー空間と化した。
最後に「Ya Ya (あの時代を忘れない)」にあわせて大輪の花火を打ち上げたところで、3年ぶりの『茅ヶ崎サザン芸術花火』は終幕。一発一発、イベントの終わりを名残惜しむかのように夜空に咲いた大輪の尺玉が、観客の胸を打った。
花火大会に限らず、多くのライブや音楽フェスティバルなどさまざまなエンターテインメントが厳しい環境に置かれたこの3年間。少しずつ明るい兆しが見えてきた今でも、楽しみ方には多くの制限が課されている。
そんななか、44年にわたって幅広い世代を魅了し続けてきたサザンオールスターズ・そして桑田佳祐と原 由子の音楽に乗せて計13曲・約60分にわたり打ち上げられた花火は、困難に打ち克ち世界を照らす光となり、見上げる3万7千人に希望をもたらした。
平和への祈りのようにも見えたその光景は、この時代のエンターテインメントショーの、ひとつの完成形と言えるだろう。
『茅ヶ崎サザン芸術花火』では花火だけではなく、花火の翌日には恒例となる“世界一たのしいゴミ拾い”と称した、ビーチクリーンイベントを開催することも特徴で、今年も10月23日午前中に実施される。
『茅ヶ崎サザン芸術花火』の元々の成り立ちが、桑田佳祐の故郷でありサザンオールスターズの聖地”茅ヶ崎”で、サザンの曲とシンクロさせて最高峰の花火を打ち上げるというものであったことから、より地域性の高いイベントになっており、これまでの2回も多くの茅ヶ崎市民、そして茅ヶ崎の団体の協力によりイベントは運営され、事後のゴミ拾いも含め多くのボランティアが参加している。
1日に3万5千人もの観客が一挙に押し寄せたにも関わらず、翌日街や海には、ほとんどゴミがなかったというほどに、サザンの楽曲を通して結びついた市民・ファンの絆が存分に発揮された、他に例を見ない、特大規模の地域密着型イベントと評されるほどだ。
詳細はオフィシャルサイトをチェックしよう。
【茅ヶ崎サザン芸術花火2022選曲リスト】
1 希望の轍 / サザンオールスターズ
2 炎の聖歌隊 [Choir(クワイア)] / 桑田佳祐
3 涙のアベニュー / サザンオールスターズ
4 栄光の男 / サザンオールスターズ
5 時代遅れのRock’n’Roll Band / 桑田佳祐 feat. 佐野元春, 世良公則, Char, 野口五郎
6 明日晴れるかな / 桑田佳祐
7 鎌倉 On The Beach / 原 由子
8 Soulコブラツイスト~魂の悶絶 / 桑田佳祐
9 SMILE〜晴れ渡る空のように〜 / 桑田佳祐
10 イエローマン~星の王子様~/ サザンオールスターズ
11 勝手にシンドバッド / サザンオールスターズ
12 真夏の果実 / サザンオールスターズ
13 Ya Ya (あの時代を忘れない) / サザンオールスターズ
リリース情報
2022.10.19 ON SALE
原 由子
ALBUM『婦人の肖像(Portrait of a Lady)』
2022.11.23 ON SALE
桑田佳祐
ALBUM『いつも何処かで』
茅ヶ崎サザン芸術花火2022 オフィシャルサイト
https://southern-hanabi.com/2022/
サザンオールスターズ OFFICIAL SITE
https://southernallstars.jp