■「みんなで一緒に踊れてバッチリでした!」(飯島颯)
SUPER★DRAGONが、スペシャルライブ『Move On!!!!!!!!!』を9月25日に東京・豊洲PITで開催。本稿ではオフィシャルレポートを掲載する。
9月23日の大阪・なんばHatchと共に東西を代表する最大規模のライブハウスで行われ、全公演が完売した今回のライブでは、これまでに彼らが培ってきた多彩なスタイルを惜しみなく散りばめ、驚きの演出も加えて新たな地平に向かって動き始める様を描写。2部制となったこの日のライブのうち最終公演となった2部では、今年の目標として掲げていたパシフィコ横浜でのワンマンも発表し、BLUEと呼ばれるファンに幸せな記憶と、未来への期待を刻みつけた。
ヘビィロックを基軸にしたミクスチャー曲で、これまで攻撃的なイメージを押し出してきたSUPER★DRAGONだが、現在進行中の連続リリースではさまざまなジャンルに挑戦。スパドラ史上最高にポップな「Brand New Music」を皮切りに、より爽やかに、はたまた艶やかに、ようやく平均年齢が二十歳を超えたタイミングだからこその大人びたムードも醸して、音楽的キャパシティを無限に押し広げてきた。今回のライブでは“スペシャルワンマン”の名に相応しく、その成果をいかんなく発揮。肺気胸の療養のために古川毅がライブ欠席となったものの、衣装プロデュースという形で参加し、ステージ上は8人でも紛れもなく9人分の想いを届けた。
開演時間ピッタリに幻想的でシックなSEが流れ出すと、ステージの各所にくつろいだ様子のメンバーが順に現れ、クールな夜のムードを演出。そして全員が一列にそろうや、なんと天井から降下してきた臙脂色のジャケットを各人が羽織るという、想定外すぎるオープニングに続いたのは、8月にリリースされた新曲「So Woo」だ。“求愛”を意味する“Woo”のワードの通り、情熱的な想いをぶつけるファンクチューンで、1曲目から観る者のハートを鷲掴み。新旧のスタイルを併せ持った躍動的なダンス、ファルセットまで自在に操るソウルフルなボーカル、ジャン海渡と松村和哉の個性豊かに艶めくラップ、田中洸希の豪快なヒューマンビートボックスと、今のSUPER★DRAGONが持つ武器を余すところなく詰め込んで、ワンマンの幕開けを鮮やかに飾る。さらに6月リリースの「Cruisin’」では、軽快なテンポでBLUEを涼やかな波に乗せて、夜の海へとエスコート。グループカラーである青を灯した客席のペンライトともシンクロして、爽快な空気を生み出していくのは、彼らのライブでは新鮮な心地よさだ。
池田彪馬のクリアなボーカルを軸に、芯のあるラップとダンスも交えて未来への飽くなき野望を込めた「Pioneer(Keep it Real)」から自己紹介を挟んでは、なんと30分にわたるメドレーという挑戦も。田中が切なく歌い始めた「Jacket」でメンバーが順にステージ2階に上り、チェアに腰かけて曲名に沿ったジャケットプレイで妖しいムードを醸すと、今度は舞台そのものが前方に移動し、分割するという文字通りの“Move”で客席をざわめかせる。志村玲於や飯島颯のアクロバットが映える「My Playlist」に「Ringing, Love」と、執着心を覗かせるラブソングをオシャレに表現できるのもSUPER★DRAGONの強み。彼らならではのグループ内ユニットもしっかり活躍し、年少組のサンダードラゴンがレゲエ調の「Caravan」で前進を後押しする渇いた風を呼べば、ふたつに割れたステージの真ん中から現れた年長組のファイヤードラゴンが大きなMoveで「On My Way」を小粋に贈る。
ここから、さらに個々の持ち味と個性がアピールされることとなり、まずは舞台の頂上に池田がひとり立って「夢で逢えたら」を歌唱。いつもは古川とふたりで歌うラブソングを今回はソロで届け、透き通った歌声で“君が好きだよ”と究極の甘さを醸して拍手喝采を受けた。入れ替わりに、ストリートな服装に着替えた田中が登場すると、低音の響きと破壊力が増したビートボックスをテクニカルに轟かせ、「Put your Hands up」の言葉にBLUEの青いペンライトは大きく上下。そこにジャンと松村が現れ、リアルな想いを赤裸々に書き下ろしたバースを放ち、田中を加えたスパドラの3MCが「Set It Off」でラップの炎をあげる。そしてサイレンの音が鳴ると、ライフルを振り上げる志村、チェーンを振り回す柴崎楽、一斗缶に足を掛けた伊藤壮吾、鉄パイプ片手の飯島と、ダンサーチームが危険なヴァイブスいっぱいにダンスブレイク。ピエロマスクを投げ捨てる仕草といい、モンスター化した“ヤバい”4人のアジテーションは、MCでの田中いわく「激アツ」で、東京公演の1部では暴れすぎた飯島がヘッドセットマイクを見失うハプニングもあったほどだ。そこから「Monster!(Remix Ver.)」で再び全員がそろい、自らレーザー光線を操ってダンスとシンクロさせるパフォーマンスが見応え十分の「PANDORA」、コミカルな“サムライダンス”を繰り出す「SAMURAI」と、人数の多さを活かしたフォーメーションダンスで魅了。最後は「まだまだ踊り足りないんじゃないですか!?」(志村)と、メンバー自身で振り付けた「Bad Day」で締めくくり、「みんなで一緒に踊れてバッチリでした!」と飯島も笑みをこぼした。
全13曲30分と、これだけの曲数をブッ続けで披露したのはスパドラ史上初。まさに“スペシャルライブ”の名にふさわしい見ごたえ満点のメドレーでポテンシャルの高さを証明する一方、ファンへの想いをしっかりと表明するのも彼らのポリシーだ。9月に配信された最新曲「Indelible Magic」はスタイリッシュの極みとも言えるナンバーで、全員でピシリとそろえるポーズの一つひとつも美しく、スパドラの新境地を開拓しながらも、客席に向かって“また見つめてよ”と希うジャンの声が熱く、切ない。また「Purple Moon」では3つに分割したステージの上に、はたまた狭間から、メンバーが代わるがわるに現れては踊り、歌うという目くるめくファーメーションで、観る者の心を沸騰。ライブという場で“我ら”REDに、ファンであるBLUEを掛け合わさって生まれるPurpleの美しさを、紫のライティングも交えながら訴えた。かつてなく素朴なボーカル&ラップで、何気ない日常の喜びと“いつか会える”という未来への約束を誓う「Distance」では、舞台上に咲く花畑からガーベラをそれぞれ摘み取るというロマンティックな演出も。ガーベラを大きく振るメンバーに客席のペンライトも同じ動きで応えて、多幸感いっぱいの一体感があふれ出すが、古川の歌声がしっかりとステージに流れていたのも、“9人のSUPER★DRAGON”としての誠意を届けたいという想いの表れだったに違いない。
しかし終盤は一転、ソロからペア、トリオと、さまざまな組み合わせによるアグレッシブなダンスインストをスリリングに繰り広げるや、天井から突如チェーンが振り下りて、囚われ人のようなイメージを創出。以降、初期からの人気曲「BAD BOY」を皮切りに、燃え立つようなヘヴィロックで、“ザ・スパドラ”とも言えるダイナミックなパフォーマンスで魅せてゆく。「かかってこい、いくぞ!」(田中)と怒りの感情を爆発させる「BADASS」から「黙って叫べ!」と松村が繋いだ「Shut up, Shout out」と、ラップメインに攻め立てる中で頭上のチェーンを引きちぎり、大いなる解放を描くのもドラマティック。「タオル振れ!」(飯島)と雪崩れ込んだ全英詞の「Dragonfly」では、バチバチに照明が焚かれるなかタオルが掲げられ、ジャンから「お前ら最高だよ。ラスト、ブチ上がっていくぞ!」とお褒めの言葉が授けられる。そして投下された「SWEET DEVIL」では、メンバーがステージ上を端から端まで駆けてBLUEを煽動。「最後にお前ら、俺たちに最高の青い景色見せてくれ!」と請う松村に応え、大きくペンライトを振り上げる客席には「最高じゃん」の台詞が返り、後にジャンも「後ろの方まで拳掲げてくれて凄かった!」と賞賛してみせた。ロックチューンで休みなくトバし、容赦なくオーディエンスを煽り立て、古川のパートもこのブロックばかりは田中や池田らで分け合って担当。その瞬間に発せられる生歌で届けることに徹したクライマックスの心意気は、膨大なエネルギーを創り出して、池田の言った通り「最高の熱」を生み出した。
大阪公演と東京の2部では90年代の名曲カバーで話題を博した「君は1000%(Vantage Remix)」、東京の1部では夢に向けて固く結ばれた絆を歌う胸アツソング「SOUL FLAG」で始まったアンコールは、一緒に踊れるポップチューン「Brand New Music」へと続き、BLUEと笑顔を分かち合って終了した。が、なんと東京公演の2部では、ここで古川毅がサプライズ登場!「(外からスパドラのライブを観れるなんて)人生でこんな機会ない。BLUEの気持ちになってライブを観ることできたんですけど……お前ら最高だった!」と仲間たちに明かすと、ジャンは「この9人が最高。この9人で今回を超えるライブがしたい」と語る。そして、来年3月25日にパシフィコ横浜でのワンマンライブ『Persona』が決定したことを発表すると、SUPER★DRAGONにとって史上最大キャパシティの会場であり、連続リリースの目標としても設定していた場所でのワンマンに大きな拍手が! ちなみに“仮面”を意味するライブタイトルはメンバー自身が考案したとのことで、これまで彼らが手に入れてきた、さまざまな姿を楽しむことができそうだ。
「竜のごとく、もっと駆け抜けていけるように、皆さんの青い光で照らしてもらって頑張っていきたい」と池田が告げて、スペシャルライブ『Move On!!!!!!!!!』の幕を下ろしたのは「-Tweedia-」。道を分かつても消えることのない想いや繋がりーー。そんなメッセージを想いの籠もった手の動きに乗せて歌い上げるナンバーに、満場のBLUEもジッと耳を傾け、最後に万雷の拍手を贈った。夢の舞台に向けて、確かな手応えを感じられた今回のライブ映像は、10月1日にHuluストアで独占配信。翌10月2日にはメンバーと共に映像を振り返るライブTVチャットの生配信も行われる。来年3月まで半年と考えると長いが、最後に古川からは「まだまだ楽しいこといっぱいあるから安心して!」といううれしい言葉も。むしろ半年の間に、さらにグレードアップした9人に今度は出逢えることだろう。
【セットリスト】
M1 So Woo
M2 Cruisin’
M3 Pioneer (Keep It Real)
M4 メドレー
Jacket
My Playlist
Ringing, Love
Caravan / サンダードラゴン
On My Way / ファイヤードラゴン
夢で逢えたら
Beat Box~Set It Off
Monster! INTER (Dance part)
Monster! (Remix Ver.)
PANDORA
SAMURAI
Bad Day
M5 Indelible Magic
M6 Purple Moon
M7 Distance
M8 Dance inst
M9 BAD BOY
M10 BADASS
M11 Shut up,Shout out
M12 Dragonfly
M13 SWEET DEVIL
ENC1
1部:SOUL FLAG
2部:君は1000%(Vantage Remix)
ENC2 Brand New Music
ENC3 2部のみ:-Tweedia-
TEXT BY 清水素子
PHOTO BY 相澤一茂
リリース情報
2022.09.09 ON SALE
DIGITAL SINGLE「Indelible Magic」
SUPER★DRAGON OFFICIAL SITE
https://super-dragon.jp/