■「キャラクターのちょっとした変化は、2回目、3回目だからこそ気づける変化かなと思います」(大西流星)
9月17日に東京・新宿バルト9にて、映画『この子は邪悪』の大ヒット御礼舞台挨拶が行われ、主人公の女子高校生・窪花を演じた南沙良、花の幼馴染・四井純を演じた大西流星(なにわ男子)と、本作を手掛けた片岡翔監督が登壇。世にも奇妙な作品らしく(?)3人に共通する3のキーワードも上がった。
リピーターが多いことでも評判になっている本作。MCが「3回以上鑑賞の方!」と観客に声をかけると、50人ほどの観客から手が上がった。そして続いて南、大西、片岡監督が登場すると、衝撃のラストを味わったばかりの客席からは大きな拍手が沸き起こった。
今回の舞台挨拶にあたり、公式Twitterで質問を募集。いくつかの質問に答えていくことに。まずは「もしも窪花役と四井純役を交換してやることになったら、どのシーンに苦戦すると思いますか?」との質問に南は「お父さん(玉木宏)と純くんが取っ組み合いになるシーンがあるんですけど、気持ちの流れ的にもアクション的にも難しそうだと思いました」とコメント。
対して大西は迷いながら「どのシーンも花ちゃんの表情が大切になってくると思うんですけど、お母さん(桜井ユキ)のほくろを取るシーン…」と話し、会場からは鑑賞後だからこそわかる笑いが漏れた。そして、「驚きの演技とかもかなり大事になってくるので、花ちゃんの気持ちの変化が表れていくシーンだと思いますし、そこかなと」と理由を加えると、隣で聞いていた南は「あそこはびっくりしました」とほほ笑んだ。
続いて「自分以外の役で好きな役、もしくは演じてみたい役を選ぶとしたら?」との問いには、南が「私は純くんです。窪家を客観視したお芝居になるので、楽しそうだなと」と窪家のなかにいる身としての回答。
大西はかなり悩んだ末に「(花の妹役の)月(ルナ)ちゃんとか」と答えると、会場からは「ええ~!」と驚きのリアクションが。その理由を「仮面をつけての演技というのは、表現するうえで動作とかも限られてくると思うので、その難しさも乗り越えてみたい」と話すと、会場も南も納得の様子。
しかし片岡監督からは「大西さんを観にきたのにほとんど仮面をつけていたら、ファンの方ががっかりされるのでは?」と鋭い突っ込みが入り、大西が「たしかに。目の部分を大きく開けていただいて」と返すと、会場からも笑いが漏れた。
オリジナルで本作の世界を生み出した片岡監督には「いちばん時間が掛かったシーンはどこですか?」との質問があり、片岡監督は「やはりクライマックスのシーンですね」と振り返りつつ、「特にラストカットは、丁重に扱わないといけない俳優さんが出てらっしゃるので時間がかかりました」と含みを持たせた答えをすると、そのシーンに出ている南もうなずいていた。
「この映画を観た周りの人たちの反応でいちばん良い感想を言ってくれた人は誰ですか?」との質問に、大西はこういったジャンルが苦手な友達に「ファンタジーで、うさぎがたくさん出てくるかわいい映画に出てるんですよ」とおすすめしたそうで、見事、その友達に観てもらうことに成功。
しかし案の定、「『うそつくなや!』と怒られました。かわいらしい映画だと思っていたから、より驚いたみたいで。『怖い映画じゃないんだよ』と伝えたかった結果、そうなっちゃいました」と明かすと、片岡監督からは「でもそのおすすめの仕方は間違っていないと思います。僕は全部かわいいと思ってます。出演者もうさぎもぬいぐるみも。『不思議の国のアリス』みたいな。うさぎから始まる物語ということで」と、監督ならではの分析を披露。
さらに、終始不穏な空気が漂う本作には、大西の友達のように足を運ぶことに迷っている人がいる一方、歪んだ家族の姿が浮き彫りになっていくさまや、ラストでの伏線回収とその衝撃度などにすでに「5回観た!」という強者も出現。
「ラストのオチを知ってから、伏線を確かめにもう一度映画を観たくなる」「不穏さがクセになる」とSNSでも考察や分析に大盛り上がり中で、南も「母親が3回観てくれた」と告白。すると、大西も「僕の母親も3回観てくれました!」と続け、さらには片岡監督も「僕も父親が3回観てくれました」と驚きの偶然の一致が。
そして、「次に観る際は、ここも観てね!」と、さらに注目してほしいポイントがあるか尋ねられると、南は「月のぬいぐるみの中に鈴が入ってるんです。撮影中には気づいてなかったんですけど、あとで監督に聞いて」と、そこにも注目してほしいとアピール。
この日の昼に映画館で2回目を観たという大西は「キャラクターのちょっとした変化は、2回目、3回目だからこそ気づける変化かなと思います」と話し、MCから「ご自身のシーンもしてやったりだったのでは?」と聞かれると、「いや、それは編集の力です」と謙虚に話しながらも、その表情は自信たっぷりだった。
最後は主演の南が「数回観てくださっている方もいると思うんですけど、何回も楽しめる映画だと思うので、面白いと思っていただけたら、周りの方に勧めていただけるとうれしいです」と挨拶。
大西からは「この作品は、観終わったあとに『気持ちよかった』とか『すっきりした』とかじゃなくて、『心がざわつく』感じが、スリルがあって面白い映画だと思います。1回観てくださった方々が、またちょっと時間空いて、『これどういう意味やったんやろ』と答え合わせみたいな感じで観ていただくとより作品の深いところまで知れると思います』とメッセージ。
片岡監督も映画が公開されると、「楽しみにしていたのにもう公開してたんだ、もう終わっちゃったんだという声が聞こえたりしますが、ぜひ周りの方に声をかけていただいて。みんなで頑張って作った映画です。スクリーンで上映される機会というのは、この時しかありません。スクリーンの大画面で映える作品なので、どうぞよろしくお願いします」とプッシュした。
映画情報
『この子は邪悪』
9月1日(木)より新宿バルト9他にて全国ロードショー
出演:南沙良 大西流星(なにわ男子) 桜井ユキ 渡辺さくら 桜木梨奈 稲川実代子 二ノ宮隆太郎 玉木宏
監督・脚本:片岡翔
配給:ハピネットファントム・スタジオ
(C)2022「この子は邪悪」製作委員会
映画『この子は邪悪』作品サイト
https://happinet-phantom.com/konokohajyaaku