■「今日はみんながみんなバトンを渡し合っていて、すげぇいいな、こんな集団、他にないなって思いました」(DISH//・北村匠海)
超特急やM!LKなど、数多くの人気ボーイズグループを輩出している若手アーティスト集団・EBiDANが、8月20日・21日に東京ガーデンシアターにてライブイベント『EBiDAN THE LIVE 2022 ~EBiDAN AWARDS~』を開催した。
所属アーティストが集結する恒例の一大イベントとして、2013年から毎年夏に行われてきた『EBiDAN THE LIVE』(通称“エビライ”)だが、コロナ禍のため2020年、2021年は見送りとなったために、今回が実に3年ぶりの開催に。オープニングアクトを含めて史上最多の15グループが出演し、恒例のシャッフルユニットも4組登場したのに加え、同期の超特急と共にEBiDANを引っ張ってきたDISH//が本公演をもってEBiDANを卒業。異なる個性をぶつけ合い、互いに切磋琢磨するさまをひとつのステージに凝縮させて、最高の餞(はなむけ)の舞台を創り上げた。
■オープニングアクト
メインアクト9組のほか、8月20日の初日、21日の2日目ともに、開演前にはオープニングアクトが各3組出演。初日は“エビライ”初出演組が勢ぞろいし、まずは小学生限定選抜育成プロジェクト、CZ’22が、オシャレなR&B曲「Into You」をラップやフェイクも交えて披露。達者なダンスと声変わり前のハイトーンボーカルで、年齢詐欺な大人びたムードを振りまく一方、7人組パフォーマンスユニット、えびポンは“えびポン♪ えびポン♪ えびポンポン”と元気に入場するや、「証明するよ」のキャッチーな振りつけでオーディエンスを巻き込み、客席のペンライトをポップに揺らす。また、エイベックスとEBiDAN が所属するスターダストプロモーションによる初の共同プロジェクトとして、今年誕生した男女混合10人組ONE LOVE ONE HEARTは、デビュー曲「Now or Never」をパフォーム。葛藤にまみれた10代の心象風景を写し取るようなストーリー性あるダンスと、性差を感じさせないボーカルのトーンには、観る者の胸を締めつけるようなセンチメントと不思議な魅力があり、男女の対比というよりも融合体としての独特な存在感で強い印象を残した。
対して2日目のオープニングアクトを務めたのは、若くして比較的キャリアの長い面々。ZeBRA☆STARは「Shining Fire」でシックな大人の魅力と青い若さを掛け合わせると、「FREEDOM」で駆け抜けたEDAMAME BEANSは、伸びやかで洗練された歌唱に緩急の利いた機敏なダンスで、ポテンシャルの高さを感じさせる。「EBiDAN盛り上がっていくぞ!」と拳を突き上げたSTA*Mは「Hooper」で元気に跳ねたかと思いきや、「Let Me」では勢いあるラップ&ダンスでスリリングに魅せて、持ち時間フルでパフォーマンス。オープニングアクトの時点で、EBiDANのバラエティ豊かな多士済々ぶりは明らかだ。
■オープニング
開演時刻になるとステージのLEDモニターには、『EBiDAN THE LIVE 2022 ~EBiDAN AWARDS~』のタイトルロゴが黄金に輝いて、出演グループが順にステージに。それぞれ代表曲のオーケストラバージョンを背に現れる面々は、どのグループもフォーマルなスーツなど、普段とは違うセレモニアルなスタイルで“男前度”を爆アゲさせて、場内を格調高い空気で満たしていく。8月8日に4人の新メンバーが発表されて9人の新体制となったばかりの超特急と、今回の“エビライ”をもってEBiDANを卒業するDISH//に至っては、なんとアリーナ席後方の扉から登場! 手を振りながらオーディエンスの間を練り歩く彼らに客席のテンションも急上昇したところで火花があがり、タカシ(超特急)の“Let’s get started!”という朗々たる歌声から開幕を告げたのは、3年前の“エビライ”でお披露目された「New day! New wave!」だ。各グループのボーカル陣とラッパー陣がマイクを繋ぎ、メインアクト9組・総勢68人が一所に集って歌い踊る様は“壮観”のひと言。場内のペンライトが勢いよく振られるなか、タカシが最後に歌い上げる“Never give up! 進もう! 未来へ!”のフレーズは、ある意味EBiDAN自体のスローガンでもあると言えるだろう。
ここで超特急のリーダー・リョウガから、今回が3年ぶりの“エビライ”開催となること、DISH//がEBiDANを卒業することが改めて報告され、DISH//メンバー4人がコメント。EBiDANが出来たばかりの頃、カフェの前で路上ライブをやっていた思い出を語った橘柊生は「今後とも何かあったらよろしくお願いします」と挨拶し、泉大智は「EBiDANに入ったのは中2のとき。最後なんで悔いが残らないようにライブできたらなと思います」と意気込みを語る。「思う存分楽しんでやっていこうかなと思いますので、ぜひ皆さんも楽しんでいってください!」と矢部昌暉が配信の視聴者にまで明るく振る舞えば、24歳の北村匠海は「僕が12歳のときにEBiDANは始まったんで、人生のピッタリ半分をEBiDANで過ごしてきました」と告白。同期である超特急メンバーと一緒に舞台のチラシ配りから始まった下積み時代の思い出を語り、「EBiDANを超特急や力強い後輩たちに託し、ルーツであるEBiDAN に背中を押してもらう形で、これからDISH//として新しい歴史を作っていこうと決断しました。何もかも全部出し切るんで、楽しんでもらえればなと思います」と、EBiDANとして最後の2日間に誓いを立てる。
■EBiDAN NEXT
今年の“エビライ”は、各グループがEBiDAN AWARD審査委員会によって各賞を授与されるという形式で進行。“Best Growth Group”、つまり最も向上心に優れたグループ”に選ばれてトップバッターを飾ったのは、EBiDAN研究生選抜育成プロジェクトであり、今年が初のメインアクト出演となるEBiDAN NEXTだ。この夏はオーディションで選ばれた16名がTEAM AからCの3チームに分かれ、オリジナル楽曲のみならず原因は自分にある。らを輩出した選抜育成企画“BATTLE BOYS”の歴代楽曲カバーを配信リリースしており、“エビライ”にもその16名が登場。BATTLE BOYSの過去楽曲のほかオリジナル曲も披露し、初日の「poolside romance」ではTEAM Aの4人を中心に夏の恋へと誘惑オーラたっぷりにエスコート。2日目にTEAM Bが届けた「Run on this my way」は変則的なビートをプリミティブに刻む、とんでもなく難易度の高いナンバーながら、平均年齢15歳とは思えない果敢なパフォーマンスで、オーディエンスの目を奪いつくした。最後はEBiDANメンバーが多数出演するメディアミックスプロジェクト『FAKE MOTION』より初日は「疾風迅雷」、2日目は主題歌の「FAKE MOTION」で締めくくり。『FAKE MOTION』のライブイベントに出演経験のあるメンバーも多いだけにダンスの切れも良く、ラップや歌い繋ぎも堂に入ったもの。思う存分客席をヒートアップさせて、EBiDANの次世代を背負っていくのだという覚悟を感じさせた。
■BUDDiiS
続いて“Best DIY Group”を受賞した2020年結成の10人組ダンス&ボーカルグループ、BUDDiiSは、楽曲制作から振り付けまでをメンバー自ら手掛けることで確立した独自のスタイルを、待望の“エビライ”初出演でしっかりアピール。リーダーFUMINORIの「3年ぶりですよね、一緒に楽しんでいきましょう!」の号令からステージを幕開けた初日の「YO HO」など、ボーカルのKEVINが作詞・曲を手掛けたナンバーは、爽やかなポップネスを備えて実に魅惑的だ。張りのあるKEVINに透明感豊かなMORRIEと、ボーカル2トップの歌声も好対照で、初日に披露されたデビュー曲「CLICK ME」でもふたりの歌声を軸に、息の合ったダンスパフォーマンスで10人という数の強みを発揮。リーダー・FUMINORIの「最高に暑い夏にしていきましょう!」という煽りのとおり、夏にピッタリのカリプソな3rdシングル「Under The Sea」では、MORRIEの実弟SHOOTやSHOWもボーカルを取って、ラップサイドではSEIYAに加えてFUMIYAも実兄であるONE N’ ONLYのHAYTO譲りの鋭いフロウを聴かせるのが頼もしい。2日目では兄MORRIEのフェイクに乗せて弟SHOOTが歌う「ENCHANT」に、「HOT CHEESE」ではTAKUYAもボーカルに加わったりと、それぞれの能力や特技、成長をすかさず楽曲に落とし込んでいく柔軟さは、間違いなく自分たちで作る“DIY”の為せるワザ。2日目のラストには、8月24日にリリースされる最新シングル「SM:)LE」をひと足早く公開し、メンバー同士微笑み合ってペンライトの黄色い光でいっぱいの客席を笑顔で満たして、タイトルを具現化してみせた。
■原因は自分にある。
“Best Avantgarde Group”――つまり、最も前衛的と評された、原因は自分にある。は、タフなメドレーに彼らならではの映像演出を加えて場内を席捲。初日は授賞式仕立てのステージにふさわしいショー風ナンバー「夢に唄えば」で幕開け、続く「嗜好に関する世論調査」の曲中映像でメンバー紹介をするという展開も上手い。セルフタイトルのデビュー曲「原因は自分にある」を挟んでの「キミヲナクシテ」でメンバー7人のアバター風キャラが登場したり、映像の中に歌詞が意味深にあしらわれたりといった視覚効果は、二次元と三次元を行き来する彼らならでは。2日目はまったく別メニューとなり、抜け出せない闇の底へとシニカルに沈み込む「柘榴」を皮切りに、一転「シェイクスピアに学ぶ恋愛定理」でロマンチックに弾けたかと思いきや、ラップ飛び交うダンスチューン「0to1の幻想」、軽快に切ない「キミヲナクシテ」と七変化。だが、そういった演出面の斬新さのみならず、メドレーで駆け抜けることのできるグループとしてのたくましさや、パフォーマンス力の向上も見逃せないポイントだ。また、9月より放送開始する『仮面ライダーギーツ』のメインキャストに抜擢されて、長期撮影のため現在グループ活動を制限中の杢代和人も映像の中から参加。もともと彼の歌割りはキメ台詞的な箇所が多いだけに、期せずして抜群の視覚アクセントとなって、げんじぶらしさを増幅させるのみならず、“7人でげんじぶ”というグループ愛を感じさせる結果になっていたのがエモい。両日とも最後を飾ったのは7月の結成3周年記念日にリリースされた「原因は君にもある。」だったが、しかも2日目は「最後はこのステージから7人で感謝をお届けします!」という長野凌大のコールで、なんと杢代和人がモニターからリアルの舞台にサプライズ登場! まさかのフルメンバーに場内はハチの巣をつついたような騒ぎになったうえ、クライマックスでは“明らかにエビライ、君たちのせいだ”と歌詞を歌い替えてニヤリ。歴代楽曲の音や振りを盛り込みながら、この3年間自分たちを押し上げてくれた君=ファンである観測者への愛を歌う得意のピアノロックで、“まだシネナイ”と歌う長野が映るモニターに“生きたい”という文字が被る映像効果も上手すぎる。次元を越えたアバンギャルドな表現手法に、時代を超えても変わらぬグループ愛を併せ持つ、そんな彼らの魅力が目いっぱい詰め込まれた2日間だった。
■ONE N’ ONLY
“Best World Wide Group”は、先日ブラジルでのライブを成功させたばかりのONE N’ ONLY。コロナ禍を逆手に取ったSNSを通じての活動で全世界にファンを獲得し、TikTokフォロワー数は日本人アーティスト第1位の450万人を超える彼らは、例えるなら“黒と白”または“陰と陽”と評せる対照的な魅力を2日間で叩きつけた。黒サイドの初日は危険なムード香る「What’s Your Favorite?」に、香水ダンスがセクシーな「Breathe」と妖しさの漂う楽曲を並べ、「EBiDAN THE LIVEまだまだ盛り上がっていくぜ!」とKENSHINが咆哮してからは、YouTubeでMVが340万回再生を突破した「Category」に雪崩れ込んでハードに爆発。ゴリゴリの重低音チューン「YOUNG BLOOD」でも殺傷力満点のタフなダンスとラップで、モニターに飛ぶ火花が本物に思えるほどの熱気を放出してみせる。そんなカロリー消費の高いメドレーメニューでも歌唱はブレることなく、時に珠玉のハーモニーで心震わせてしまうクオリティの高いパフォーマンスは、ボーカル/ラップの巧みな役割分担と地道なトレーニングの成果だろう。
フィジカルでねじ伏せる圧倒的な手腕で拍手を呼びながら、2日目は眩しい“陽”のワンエンを貫いたのも見事。リリックの大部分を英詞が占める最新曲「LUCKY」で、日常に潜む幸せを愛らしさの覗くダンスで表現し、サビでは客席の白いペンライトが6人と一緒に大きく揺れる。続く「Video Chat」でも「一緒に踊ってください、ひとつになりましょう!」(KENSHIN)と、EIKU発案のダンスを踊って歌詞の通り“思いっきりhappy”な時間を演出したうえ、ラストに贈られた「My Love」で多幸感は頂点に。TETTA、REI、EIKUの3ボーカルが柔らかな歌声を響かせるなか、NAOYAは「EBiDAN ラブ!」と腕でハートを作り、歌うTETTAをバックハグしたKENSHINは「愛してるよ」と囁いて、ひたすらに“My Love”を届けていく。キュートなダンスと甘いメロディ、何より6人の心からの笑顔は、観る者の心を蕩けさせずにはおかないもの。彼らのワンマンでもラストを飾ることが多い人気曲なのも納得だが、アグレッシブなイメージの裏にこんな曲をキラーチューンとして成立させられることこそ、彼らの懐の大きさの証に違いない。
■さくらしめじ
一転、アコースティックギターの音色で場内の空気をガラリと変えたのが、“Best Matsutake Duo”のさくらしめじ。初日は超久々となる1stシングル「いくじなし」で幕開け、2人のアコギと高田彪我(高は、はしごだかが正式表記)が首にかけたタンバリンの音色だけでハートウォーミングな空間を創り上げる。最後は“LOVE U.”とハートを投げるや、田中雅功は「“エビライ”だからやったんだぞ!」とツンデレに言い訳。ちなみに、この曲は2016年の“エビライ”で、DISH//の北村匠海と超特急のタカシがシャッフルユニット“干ししいたけ”として披露したナンバーであり、「やるなら今日しかないだろう」ということでセットリストに組み込まれたという。一方、2日目も初日と同じスタイルで代表曲の「ひだりむね」をふたりで弾き語るが、こちらは2018年の“エビライ”で矢部昌暉が高田役としてシャッフル参加した曲。客席のクラップを受けて2人で紡ぐハーモニーは、経てきた年月のぶんだけ温かさを増し、その心癒すヒーリング力に場内からは大きな拍手が湧き起こる。この日で卒業する先輩、DISH//への想いの籠もったメニューに続き、「僕らのイメージが中学生のままで止まってる人が結構いると思うんで、今の僕らを皆さんの耳と目と心に焼きつけて帰りたいと思います」(初日)、「今の気持ちだったり、届けたいという想いを全部2人で歌にした曲があるので……先輩にも捧げます」(2日目)と贈られたのは、7月に配信リリースされたばかりの「辛夷のつぼみ」。百人一首をモチーフに書き下ろされた曲は高田と田中のふたり、歌詞は田中によるもので、モニターに映し出される手書きのリリックからは、“今は離れても未来できっと共に歩ける”というメッセージが読み取れる。ある意味、道を違えても互いに歩み続ける友へのエールとも捉えられる曲の最中で、今日この日に「先輩に届きますように」とポツリ田中に呟かれると、思わずホロリ。一方で“2人で生きたいんだ”というフレーズは彼ら自身とも重なり、さらに、涙を振り切って“前へ”とひたすらに繰り返されるラストは彼らのみならず、今のEBiDANのシチュエーションともシンクロして、オーディエンスの胸を熱くした。
■シャッフル企画
ここで毎年恒例、“エビライ”でしか見られないファン待望のシャッフル企画が“EBiDAN AWARDS SPECIAL LIVE”としてスタート。華やかなビッグバンドジャズをBGMに、まず初日はSUPER★DRAGONのシャッフルユニット“GIRA GIRA★DRAGON”のメンバーが発表され、スパドラの人気曲「Untouchable MAX」のイントロが鳴ると、客席は一気に沸騰する。松村和哉役の吉澤要人(原因は自分にある。)が「お前ら盛り上がってるか!?」と、自分のグループでは絶対にしないシャウトをすればステージからは火花が迸り、志村玲於役のFUMIYA(BUDDiiS)、伊藤壮吾役の山中柔太朗(M!LK)、柴崎楽役のFUMINORI(BUDDiiS)らも、普段は見せることのないハードなダンスを展開。アグレッションには耐性のあるONE N’ ONLYのKENSHINも飯島颯役として加わって、身も心も激アツな空間を演出する。男らしいボーカルの古川毅役に歌声が甘い武藤潤(原因は自分にある。)、クリアな声を持つ池田彪馬役にハスキーボイスのEIKU(ONE N’ ONLY)と、本家とは異なるボーカル陣の持ち味もシャッフルらしい聴きどころな一方、ジャン海渡役のHAYATO(ONE N’ ONLY)や吉澤は水を得た魚のように活き活きとラップ。また、田中洸希役を務めた田中雅功(さくらしめじ)は「足りねーよ!」とギラついた表情で咆哮し、間奏のスクラッチに挑戦したものの、最後には「洸希、教えて!」と助けを求めて場内を笑わせた。クライマックスも9人で隙なく踊り上げ、最後に“Untouchable!”と叫び上げた武藤はカメラに向かってウインクし、本家ではあり得ない予想外のアクションで客席に屍の塁を築くことに。「以上、俺たちがGIRA GIRA★DRAGONでした!」と締めてから、全員でバッキューン!とオーディエンスを撃って、シャッフルの醍醐味を存分に味わわせてくれた。
超特急のシャッフルユニット“超快適”は本家のカラースーツを纏って、メンバーのなりきり具合プラスαが見どころ。ボーカルのタカシ役を務めるMORRIEは全英詞の「Dance Dance Dancing!」を涼やかな歌声で軽々と歌いこなせば、カイ役の桜木雅哉は笑顔でハートを作り、リョウガ役のREIはここぞとばかりに色気を振りまいて、投げキスまで贈る。ユーキ役の塩崎太智(崎は、たつさきが正式表記)がセンターで楽しそうにダンスを引っ張ると、タクヤ役の田中洸希は独特のオーラを放ちながらカメラ越しにはにかんでオーディエンスの心を鷲掴み。オリジナルを忠実になぞりながらも、それぞれの特徴を反映した完成度の高いパフォーマンスに、感嘆のため息と拍手が湧く。しかし、最後に「僕たちが超快適でした!」と、自らを仰ぐ“超快適”ポーズをキメると一転、客席からは“かわいい!”の声が。徹頭徹尾“カッコいい”は貫かない、そこも超特急にならったところかもしれない。
2日目には、M!LKのシャッフルユニット“HOT M!LK”が「恋がはじまる」をパフォーマンス。全身ピンクで微笑む意外な面々に、場内の照明もオーディエンスのハートもピンク色に染まって、曽野舜太役の飯島颯(SUPER★DRAGON)や山中柔太朗役のNAOYA(ONE N’ ONLY)など、普段はメロディを歌う姿を観る機会の少ないメンバーがソロボーカルまで聴かせるのだからたまらない。クライマックスのソロパートを担ったNAOYAは、ウインクで客席を色めき立たせる場面も。佐野勇斗役の長野凌大(原因は自分にある。)に塩崎太智役(「崎」は、たつさきが正式表記)の大倉空人(原因は自分にある。)、吉田仁人役のKEVIN(BUDDiiS)と歌唱力の高いメンバーも交え、“君が好きだ”のユニゾンでオーディエンスをノックアウトし、アイコンタクトも交わしながらキュートな笑顔で観る者を魅了した。
DISH//のシャッフルユニット“MASH↑↑”による「サイショの恋~モテたくて~」のパフォーマンスも、様々な意味でレアなシーンの連続だった。ギターを抱える北村匠海役のTETTA(ONE N’ ONLY)と矢部昌暉役の小泉光咲(原因は自分にある。)を挟んで、橘柊生役の曽野舜太(M!LK)と泉大智役の伊藤壮吾(SUPER★DRAGON)が並び、「みんな、飛べ!」という曽野の号令から、ひたすらジャンプを繰り出す4人に場内は熱狂。歌自慢のTETTAと小泉が掛け合うシーンも貴重だが、何より間奏でラップを決め、じゃれ合う伊藤と曽野に客席はどよめきまくる。最後に髪型を整えるポーズまで、ダンスロックバンド時代のDISH//を完璧になぞるパフォーマンスはお見事。最後は「DISH//先輩! EBiDAN12年間お疲れ様でした! シャッフルができてうれしいです!」とTETTAが敬意を表して、場内から大きな拍手を浴びた。
■SUPER★DRAGON
“Best Powerful Group”に選ばれたSUPER★DRAGONは、今年5月より“踊れるミクスチャー”をコンセプトに、毎月連続で新曲を配信リリース中。今回の“エビライ”でも、そんな爽やかさの勝る夏色な新曲群を惜しみなく投入して、あらたなイメージを他グループのファンにも提示してみせた。「Clap your Hands!」と初日を幕開けた「Summer Party」から、ソウルのエッセンスも加えたチルなダンスミュージックとアンニュイな表情に加え、曲中盤ではセンターを伊藤壮吾が締めたりと、視覚聴覚ともにオーディエンスをアッと言わせる仕掛けが満載。軽快な音に乗せた「Cruisin’」で真夜中の恋を描きながらも、“後少しだけ このままいよう”というリリックは夏も大詰めを迎えた今、しかも時間の限られたライブステージの只中にいるオーディエンスの心情にもリンクする。池田彪馬の高音ボーカルからジャン海渡と松村和哉のラップへと続く流れも気持ちよすぎで、まさに波に乗っているかのような心地。連続リリースの第1弾であり、これまでになく笑顔溢れるMVでファンを驚かせたポップチューン「BRAND NEW MUSIC」でも、「皆さん、見よう見真似で踊ってみてください!」(ジャン)とキャッチーな振りつけで誘いつつ、“何かを諦める 必要なんてないさ”と、心地よいサウンドに響くメッセージを仕込んでいるのがニクい。
2日目はステージに立つメンバー構成が次々変わり、池田のハイトーンボーカルが冴えわたる「Pioneer(Keep It Real)」から、「俺らが最高にカッコいいショーを見せてあげるよ」とジャンが宣言しての「WARNING」で怒りの炎を燃やし、初日とはまったく異なる“熱いスパドラ”を展開。目線からして触れれば斬られそうな危険なオーラを撒き散らしたかと思いきや、青い光が広がる「Cruisin’」に、「My Playlist」では湿っぽい夜の街を思わせるスタイリッシュなサウンドにトロピカルな夏感が滲ませて、志村玲於や飯島颯のアクロバティックなアクションを引き立たせる。観る者の情緒に揺さぶりをかけるように、次々と色を変えるメニューはまるで万華鏡のよう。それも「カッコいい先輩の門出の場で、偉大な先輩に大きなバトンを渡したいんです」と古川毅が語った想いの表れだったのだろう。そして「偉大な先輩に負けないように、恥じないように、僕たちのクリエイティブを見せたいと思います」と松村がタイトルコールしてから、今月リリースされたばかりの最新曲「So Woo」を初披露。リズミカルなヒップホップダンスには野性味があふれ、作詞に参加したジャンと松村によるラップはもちろん、田中洸希のヒューマンビートボックスもふんだんに炸裂し、彼や古川による高音フェイクも圧巻だ。従来とは異なるジャンルにも柔軟に適応し、次々に裾野を広げていけるのは、豊富な音楽的武器とポテンシャルを擁する彼らならではに違いない。
■M!LK
一方で“Best Prince IDOL Group”を受賞したM!LKは、両日通じてアイドルの王道を邁進。初日は黒とゴールドの衣装をまとい、宮殿を映したモニターを背景に幕開けからメジャーデビュー曲「Ribbon」を甘いボーカルで届けて、存在自体からキラキラと光を放つ白の王子を体現する。一転、雷鳴から山中柔太朗が儚い歌声を聴かせる「君の知らない世界へ」では、闇の王子へと5人が変化。暗い森をバックにダークファンタジーな世界を展開し、クライマックスで歌い上げる吉田仁人のエモーショナルなボーカルも狂気をはらんで、圧倒的世界観に目が離せない。マリオネットを思わせるスリリングなダンスブレイクでも魅せ、衣装のマントを脱ぎ捨ててからは、いきなり「ペンライト振り回して盛り上がっていきましょう!」と曽野舜太が呼びかけて「サンキュー!N・D・K」へ。乳牛の種類を次々に歌い並べるシュールな牛乳プロモーションソングへの大きすぎる振り幅には唖然とするばかりだが、考えてみればこんなコミカルな部分も、問答無用でファンを楽しませるアイドルの必須項目かもしれない。初日とは対照的に、2日目はブルーをベースにした衣装で登場して、これまでの道のりとこれからの未来を力強く歌いかける「HIKARI」で胸に迫る壮大な世界観を演出。順にソロを歌い上げてテンションの坂を駆け上がり、マントを脱ぎ捨てて真っ白の姿になると、水中の映像をバックに「かすかに、君だった」を贈り、繊細な歌声と情熱的な熱唱の絶妙なミクスチャーで、オーディエンスの胸をときめかせる。ちなみに、ゴージャスな衣装は山中のプロデュースで、ライブ演出は塩崎太智が担当。物語の中から抜け出たような完璧な王子様像を、メンバー自身の力で想像できるというのは強すぎる。また、初日には7月にリリースした最新曲「奇跡が空に恋を響かせた」がオリコンウィークリーランキングで初の1位を獲得したことを報告し、リーダーの吉田は「マジでうれしい!」と喜びを露わに。「その感謝の気持ちも込めて」(佐野勇斗)と、両日ともに最後に歌われた「奇跡が空に恋を響かせた」は、MLK史上でも一、二を争う甘いラブソングで、極上にスイートなひと時を味わわせる。“やっと出会えたね”とキメた次の瞬間、おどけて照れ隠しする佐野の“らしい”ピュアネスも愛しいが、反面、最後は“君の全ては 僕の全てだから”と歌い上げて肉食男子の一面もチラリ。紳士的な理想の男子像から垣間見える情熱ほど、女子の心を鷲掴むものはないだろう。
■超特急
ここから12年前の始動時より、EBiDANを引っ張ってきたツートップがついに登場。まずは“Best Entertainer Group”の称号を受けた超特急が、初日はコミカル、2日目はシリアスと両極端のベクトルから攻め立てる。「激おこスティックファイナリアリティぷんぷんドリームわ~るど」から「Don’t Stop恋」と、頭から最強にエキセントリックなナンバーを畳みかけた初日は、会場にシュールな空気を充満させて“ダサかっこいい”の本領を発揮。頭に指でツノを立てたり、タクヤがセンターでビームを打ったりと、ハチャメチャすぎる楽曲を見事なエンターテイメントに変換した直後、それぞれに投げキスを飛ばしてユーキがバク転する「Kiss Me Baby」でダンサブルに悩殺するのだから、その温度差には風邪をひいてしまいそうだ。それを中和するかのように、移り変わる季節の中でも君と過ごしたいと歌うハートウォーミングな「Four Seaons」を挟んでの「Summer love」では、モニターに映る波をバックに「この会場で一つになりましょう!」とカイがウエーブを誘って、しっかり場内を夏色に。鉄板曲の「超えてアバンチュール」でも白目を剝いたリョウガが「お前ら、頭振ってくれ!」と煽れば、推しメンカラーに光るペンライトも大きく上下に振られ、場内のテンションをマックスへと引き上げた。
対照的に2日目は、ダンサー4人が順にラップしてユーキがダイナミックすぎるアクロバットをキメる「Booster」に、メンバー同士で妖しくコンタクトしたあげくカイが「Come on」のウィスパーで8号車のハートを撃ち抜く「We Can Do It!!」と、挑発的ダンスチューンで開幕。さらに、報われぬ愛を歌う妖艶なR&Bチューン「You Don’t Care」と、前日とは対照的すぎる手法で、ファンである8号車のみならず、全オーディエンスを誘惑する。ここでEBiDANの歴史12年を振り返り、DISH//と2グループでバス移動していたエピソードや、音楽ではなく舞台をしていた時代まで懐古。「それぞれのEBiDANとの出会いを思い出しながら聴いてもらえたらうれしい」(ユーキ)と贈られた「FLASHBACK」からは、懐かしい曲を並べて超特急が生まれた頃を振り返っていく。超特急にとって最初の曲である「No More Cry」では“歩き始めた 別々の道”のリリックが今日のシチュエーションにもマッチするが、当時とはくらべものにならないほど研ぎ澄まされたパフォーマンスに“それぞれの道”の重みがズシリ。「No.1」では迷いなく一斉に同じ動きをする満場のペンライトに、この曲がどれだけEBiDANファンに浸透しているかを思い知らされる。それは彼らがEBiDANを引っ張ってきた年月の長さを表すものでもあり、「いつまでも超特急がNo.1!」と叫び上げたタカシは、最後に「DISH//、No.1!」と同期の名を歌い添えた。
両日ともにラストソング「Burn!」のイントロが鳴ると、「新メンバー、カモン!」とリョウガに呼び込まれてバックボーカルのシューヤ、メインダンサーのマサヒロ、アロハ、ハルと、8月8日に加入したばかりの4人が登場。何年もライブで披露され続けてきた鉄板曲だが、オリジナルの振りつけを忠実になぞったり、ボーカルとダンサーに分かれてステージ両端へと交差したりと、昨今では新鮮な光景にオーディエンスもバッテンダンスで沸き返る。ボーカルが2人になったことでユニゾンの厚みは増し、メインダンサー7人が飛び跳ねるステージも迫力と華やかさが倍増。落ちサビでは「EBiDANの未来に、DISH//の未来に向かって、思い切り2人を煽ってください!」というユーキに応え、すさまじい勢いでくるくると回されるペンライトの光を前に、タカシとシューヤが互いに目を見交わしながら歌う景色にホッコリ胸が温かくなる。全力で跳ねるダンサー陣もフレッシュで、特に最年少の17歳・ハルの半端ない跳躍力は、この先の超特急の飛躍を表しているかのようだった。
■DISH//
そして“Best Throw Dishes Group”とモニターに映れば、現れるのはDISH//の4人しかいない。ダンサブルなSEから初日は「Shout it out」、2日目は「DAWN」で幕開け、初っ端から張り裂けんばかりに響きわたる北村匠海のボーカルが、壮大な空気感を生み出していく。特に、新たな旅立ちを決意と共に歌いかける後者は、楽器隊3人のコーラスも加わって、ひとつのアンセムとしてすさまじいパワーを発していた。EBiDANでのラストライブということで、この2日間は特に“想いの強さ”が伝わるステージとなり、「EBiDAN THE LIVE、今日卒業です」と北村の挨拶からは、諦められない未来への想いを歌い上げた胸熱くなるロックチューン「No.1」も。矢部昌暉のギターソロもエモーショナルに炸裂し、指を天に突きたてた北村から語りかけるように放たれる“今よりも高い景色が 見たいから”という歌声の説得力は半端ない。恐らくこの日の事情を何も知らなかったとしても、目の当たりにするだけで泣けるだろうと確信できる熱さは、まさしく“想い”の力なのだろう。
「後輩が繋いでくれたバトンを確かに受け取りました」と古川毅(SUPER★DRAGON)のMCを受けた北村は、超特急が披露した初期曲に「俺たちの青春ですげぇグッときちゃった。12年の思い出を全部吐き出して、今の僕たちをあなたに届けられたらなと思ってラストライブやってます。どうか最後まで楽しんでください。挨拶代わりに」と、橘柊生のピアノが静かに奏でたのは「猫」。自らギターを鳴らす北村のボーカルに、斜め後ろから彼と息を合わせる矢部のコーラスがピッタリと寄り添うことで、詞世界の深みをより感じさせてくれる。そこから泉大智が大きくドラムスティックを振るって雪崩れ込んだ「Get Power」では、全員が溢れ出る熱情のまま身体を揺らし、マイクに向かって声を張り上げて、ステージにあがる火花がペンライトの光と共に眩い光景を観る者の目に映す。“完璧じゃないよ”と繰り返す歌詞にちなみ、曲中では後輩に向かって「完璧じゃなくたってな、前に進んでいけばこんな光景が待ってる! お前ら、もっともっとデッケー景色、俺に見せてみろ!」と心励まされるメッセージも。ボーカルの北村のみならず、楽器隊も積極的にボーカルを入れるのがDISH//の大きな特色だが、「B-BOY」に至っては橘も「ブチかましていこうぜ!」と機材に囲まれた要塞から飛び出して、北村と激しいラップの応酬を繰り広げていく。さらにトドメとばかり始まったのは、荒々しくかき鳴らされるギターの音色が印象的なロックチューン「Seagull」。矢部は歌唱もプレイも丸ごと荒ぶってステージを駆け回り、橘も挑発的なラップを入れて、全力でバスとタムを打ち込む泉も含めて全員でコーラスするという4人一丸となっての総攻撃は、歌詞にもある通りの“派手なロックンロール”に違いない。
最後の曲を前に、北村は12年前のEBiDAN始動秘話を話し、「中1の夏休みを全部削って舞台稽古して、でも、出るのは頭の5分だけ。青春をすべて捧げたのが、このEBiDANでした」と告白。これまでの“エビライ”では勝ちに行くつもりでライブをしていたが、今日は今まででいちばん後輩と喋ったし、他グループのライブをちゃんと観た気がすると語り、「今日はみんながみんなバトンを渡し合っていて、すげぇいいな、こんな集団ほかにないなって思いました。俺たちは卒業しちゃうけど、今度は僕らもみんなと一緒にEBiDANを見守っていくし、俺らもいつまでも奴らの刺激になるようなバンドとしての活躍をして、いつまでも“DISH//すげぇな”って言わせたいし、絶対に負けたくない」と決意表明してみせた。そして「みんなとEBiDANらしく、変顔でバイバイできたらいいなって」と、悲鳴を漏らす客席に贈られたのは8年前のシングル「変顔でバイバイ!!」。“気づけばいつも一緒だった”けれど“仲良しこよしだけじゃない いわば戦友”でもある最高の仲間との別れを歌う力強いナンバーは、まるで予言のように今の彼らの状況にピッタリとシンクロして驚くばかり。メンバーが順にボーカルを取る構成も胸アツで、初日は“仲良しこよしだけじゃない……そうだろ超特急!?”と北村が歌い替える場面もあった。橘もラップパートで“増えた人数で頑張れよ! 大きい舞台に立とうな!”と盟友にエールを贈り、2日目には“思い返せば俺らなんかスカスカの武道館やってんだぜ。その武道館を助けてくれたのはEBiDANのみんななんだよ、本当にありがとう!”と絶叫。“涙がこぼれ落ちぬように”少し上を向いて“Say Good bye”と歌う北村の瞳は潤み、同期との絆がいかに強く、積み重ねてきた思い出がいかに大切なものなのかを、何よりも雄弁に伝えてくれた。
■全グループによるコメント
全グループの出番が終わると、超特急のリョウガに呼び込まれたメインアクトの9組がコメント。EBiDAN NEXTの米尾賢人は「完璧じゃなくても前に前に突き進んでいきたいと思います!」と北村匠海の激励に応え、BUDDiiSのKEVINはPRIZMAXの新メンバーとして出演した3年前の“エビライ”を語り、「先輩に教えてもらったことを胸に、またこのステージに立てて本当にうれしいです」と、EBiDANに受け継がれる血脈の存在を示す。原因は自分にある。の長野凌大は「憧れのステージに7人で来られてうれしいです。先輩を冷や冷やさせられるように頑張ります」と、ONE N’ ONLYのNAOYAも「もっと頑張ってEBiDANを引っ張っていけるように明日から一歩ずつ頑張っていきたいと思います」と下からの突き上げを表明。また、初日に「いつかDISH//先輩と対バンできるくらいになりたい」と宣言した田中雅功(さくらしめじ)は、「メチャメチャ売れて、いつか海辺にでっかい別荘を建てたいと思います!」と、その先の夢で場を笑わせた。先輩の門出の場に特別な想いで臨んだというSUPER★DRAGONの古川毅は、「背中で夢をたくさん見せてくれたので、自慢の後輩であれるように頑張っていきたいと思います」と伝え、俳優としての活躍も目覚ましい佐野勇斗(M!LK)は「僕の中では目標だったり頑張る指針が(北村)匠海くんだったので、すごく寂しい」と心中を吐露。初日に「“エビライ”はただのお祭りじゃなくて、もっともっと成長し合えるような空間にしたい」と望んだカイ(超特急)に続き、タクヤも「DISH//が卒業したとたん、EBiDANグループみんなで、もっと売れようぜ! 売れてDISH//たちに“やめなきゃよかった”って思わせようぜ!」と意気込んだ。
そんな9組の送辞に対する答辞は、DISH//メンバーそれぞれから送られた。「EBiDANでダメだったら北海道に帰ろうかと話してた」という橘柊生は、「ステージの端に立ってた僕が、今、ドセンに立っているのが信じられない。ホントに何が起こるかわからないEBiDANなので頑張るんだぞ!」と後輩たちにエール。矢部昌暉も「ホントにみんなパフォーマンス能力高いし、もっともっと上に行ける。僕らも負けないように頑張ります!」と伝え、泉大智は「DISH//に入れたのもEBiDANがあったから。これからは、より音楽に本気で向き合って頑張っていきたいと思います」とストイックな姿勢を貫く。そして北村匠海は「僕は改めて超特急を誇りに思ったし、後輩たちがホントに力強くて感激してました。EBiDAN全体曲の演奏は、これから(さくら)しめじちゃんに任せます。M!LKとSUPER★DRAGONはお互い刺激し合って、すごいグループになってください。みんなにもっと大きくなってほしいし、コレよりもっと凄い景色見せてくれると思うから、僕らはもっとその先で待っててやるよ! 12年間、ありがとうございました」と頭を下げた。
最後に「残り1曲となりました。楽しむ準備できてますか!?」というリョウガの号令から、初日は「恋心」、2日目は「Believe Yourself」を全員で披露。前者ではM!LKの吉田仁人が華麗にターンを決めて歌い出しを務めたり、「最後はDISH//へ。この曲で送り出したいと思います」とリョウガが前置いた後者の間奏では、超特急の新メンバー4人がダンスで魅せて、タカシとシューヤが互いに目を見交わして歌声を重ねたりと、EBiDANの“これからの未来”を象徴するような場面も。ソロを歌うメンバーを2曲で上手く分け、できるだけ多くの若手にスポットの当たる構成になっていたのもアツい。
■DISH//&超特急
さらに各グループがステージを去り、DISH//と超特急の2組だけが残ると、タカシから同い年の泉大智、ユーキから昔同じユニットをやっていた矢部昌暉、タクヤから公私ともに親交の深い橘柊生、カイからは同じく先頭に立ってグループを引っ張る北村匠海と、それぞれからのメッセージが入った卒業証書が授与される。初日から泣いていたユーキはタオルで涙をぬぐい、「10年超特急をやってきていちども泣いたことがない」というリョウガでさえも「今まで感じたことない感情になって、ちょっと危ない感じがした」と言いつつ、「ひと言だけ。DISH//のみんな……変顔でバイバイ!!」と気合の入った変顔をしてみせるのはさすがだ。ユーキは「後輩みんなスキルや個性を持ってるんだから、もっと目立てる場が必要。みんながもっと輝ける場所を来年には作りたい」と宣言し、北村も「託しました、マジで!」と即答。「超特急、新メンバーも入ってマジで最高だったんで、絶対にEBiDANを引っ張ってくれる最高のトップだと思います」とオーディエンスの拍手を呼ぶ。最後は客席に向かい、矢部が「ありがとうございましたーーーーーーー!」と超ロングトーンで感謝を告げれば、橘は「俺らのライブでまた遊ぼうな!」と約束し、DISH//のEBiDAN卒業ライブは幕を閉じた。
いつしか違う夢、違う未来に向かっても、育んだ絆も思い出も消えることはない。それはEBiDANのDISH//に関わったすべての人にとって、未来への大きな糧となるだろう。
TEXT BY 清水素子
PHOTO BY 笹森健一、米山三郎、小坂茂雄
EBiDAN THE LIVE2022特設サイト
https://stardustrecords.jp/ebidan_live2022/