■「hideの遺した音楽や芸術を、こうして世の中に語り継いでくれることに感謝します」(YOSHIKI)
7月8日公開の映画『TELL ME ~hideと見た景色~』の完成披露上映会が新宿バルト 9にて行われ、主演の今井翼をはじめ、塚本高史、JUON、塚本連平監督が登壇。本作の原作『兄弟 追憶のhide』の著者であり、hideの実弟・松本裕士もサプライズ登壇した。
X JAPANのギタリストとして、ソロアーティストとして、時代を超えて支持されるロックのカリスマ“hide”。本作は、hideのマネージャーを務めた実弟、松本裕士による著書『兄弟 追憶のhide』(講談社文庫刊)をもとに、『今日も嫌がらせ弁当』(19)の塚本監督が、遺されたhideの音楽を弟と仲間たちが世に送り出す希望の物語を描く。
イベント冒頭、X JAPANのリーダーでhideの盟友であるYOSHIKIから「hideの遺した音楽や芸術を、こうして世の中に語り継いでくれることに感謝します。YOSHIKI」とコメントが届いたことが明かされると、主人公・hideの弟、松本裕士役を演じ、自身もX JAPANのファンである今井は「hideさんはもちろんですけど、僕はX時代からYOSHIKIさんのこともすごく好きなので、(hideの)1番近くでたくさんの時間をともにしたYOSHIKIさんからこのようなお言葉をいただけて感無量ですね…。嬉しいです」と感慨深げに語った。
また、本作で映画初主演を果たした今井は「今回(大好きな)hideさんにまつわる作品かつ、裕士さんに焦点を当てた作品ということで、ありがたい思いと同時に、しっかりと自分なりに意志を持って描いていきたいと、そう思いました」と胸の内を語り、責任も重大だったのではないかと声をかけられると「僕以上に、hideさん役を演じたJUON君の勇気というのもすごくあったと思うんです」とJUONを称え、会場からは温かい拍手が起こった。
これにhide役を演じるJUONは「(髪の毛は)映画が公開するまではピンク色でいようと思っているんですが、hideを演じるにあたって、自分も同じギター&ヴォーカリストということで、非常に光栄なことでしたし、1秒1秒、愛しい時間が撮影中にも流れていたので、hideのことを毎日思いながら過ごしていくのは、非常に貴重なことですし、僕もミュージシャンとしてこの上ない喜びでした」と吐露し、精神面はどんな感じだったのか追求されると「冷静になればなるほどプレッシャーを感じちゃうものなんですが、不思議とプレッシャーをそこまで感じなかったというか、嬉しい気持ちがそれを優った感じがしています」と語った。
そして、hideの共同プロデューサーI.N.A.役を演じ、自身も熱烈なhideのファンである塚本について今井は「高史くんの存在は役者としてはもちろんなんですが、これだけhideさんを愛して、崇拝しているからこそ、衣装にしてもギターにしても、細かいところに高史くんの意見があって、極力、忠実にというところに向かって行けたのは、高史くんの存在の大きさを感じています」と語り、塚本は「現場でも監督にいろいろ言っちゃいましたけど、僕がこの作品を受けさせてもらって、1番の僕の中のテーマは、hideちゃんのファンに嘘のないように、僕が見てきたずっと好きな人のファンの人を裏切らないものにしたいというのが僕の中にありました」と吐露。
I.N.A.と裕士が記者会見をするシーンで、撮影場所の関係上、ふたりが会場に入ってくる方向が本来とは逆だったところ、塚本の提案により本来と同じ方向から登場するシーンになったそうで、塚本は「それを監督が現場ですんなり受け入れてくれて、それも採用してくれた監督の懐の深さだったり、柔軟に対応していただいたおかげで、僕も翼くんも現場で多くを語らず芝居で会話ができてよかったなと思います」と監督に感謝した。
また、どこに焦点を当てて映画作りをしていったのか尋ねられた塚本監督は、原作を何度も読んだり、ドキュメンタリーを見たりしてかなり調べた結果「カリスマとしてのhideさんというよりは、普通の人、普通の兄弟という部分のhideさんが気になって、そこに思いを強く持ったかなと思います」と打ち明けた。
さらに、hideにまつわる思い出や想いを聞かれた今井は「ファン想いな人だったと思います。それから、弟でパーソナルマネージャーである裕士に厳しいんだけど、そこにも愛があって、憎めないユーモアのある方で、だから今もファンの方はhideさんが生きがいになっているんだなと思いました」と答え、本作のオファーが来る前にhideが生前、よく通っていたバーに行くことが度々あったそうで「彼との縁もそうなんですけど、その空間で過ごした時間というのもhideさんをすごく感じることがあって、今、客席を見ても海外のファンの方がいらっしゃるように、海外からそのお店に来るファンの方がいたりして、hideさんがたくさんの人に愛されていたことを感じました」とコメント。加えて「横須賀にあるお墓に、クランクインする前に今回やらせていただくことをご報告させていただきましたが、そこでより身の引き締まる想いになりました」としみじみと語った。
イベント後半には、原作の松本裕士がサプライズ登壇し、今井に花束を贈呈する一幕も。自身の役を演じた今井と初対面した松本は「大変な役をやっていただき本当にありがとうございます。感謝しております。ありがとうございます。やっと会えました。お三方、本当に大変だったと思います。監督もありがとうございます」と何度も感謝を伝え、今井は「なかなかお会いする機会がなくて、僕は裕士さんの原作本を読んで自分なりに準備をして、台本をいただいて、監督に支えていただき、いろんな役者さんとともにこの撮影を歩み抜くことができました。自分で言うことじゃないんですけど…」と涙で声を詰まらせ、「この役を演じるのはすごく難しくて、複雑で、当時、裕士さんが抱かれたつらさとか、そういうことを考えれば考えるほど“これでいいのかな”とか不安になったりしましたが、自分なりに裕士さんが当時感じていた思いをどこまで描けるかわからないけど、とにかく丁寧に演じたいという思いで演じさせていただいたので、今日お会いできたことはもちろんですが、このようなお言葉をかけていただけて、本当にこの作品に巡り会えてよかったなと思っています」と語り、涙を拭った。
これを受け、松本は「試写でマスクをして、始まった途端に号泣し、忘れかけていた思い出がたくさん蘇って、初めから終わりまでずっと号泣でした。本当にありがとうございました」と頭を下げた。
会場にはキャスト陣への割れんばかりの拍手が鳴り響き、イベントは盛況のうちに終了した。
映画情報
『TELL ME ~hideと見た景色~』
7月8日(金)全国公開
出演:今井翼 塚本高史 JUON 津田健次郎 ほか
監督:塚本連平
原作:松本裕士「兄弟 追憶のhide」(講談社文庫刊)
原案協力:I.N.A.「君のいない世界~hideと過ごした2486日間の軌跡」(ヤマハミュージックエンタテインメントホールディングス刊)
配給:KADOKAWA
製作:映画「TELLME」製作委員会
(c)2022「TELLME」製作委員会
映画公式サイト
https://movies.kadokawa.co.jp/tellme/