■「これからも僕たちの恋人でいてくれますか?」(さくらしめじ・髙田彪我)
田中雅功(たなかがく)と髙田彪我(たかだひょうが)からなるフォークデュオ・さくらしめじが、結成記念日である6月14日に東京・渋谷duo MUSIC EXCHANGEで『さくらしめじ結成記念ライブ「しめたん」〜8年目。もう20歳だし少しは大人に。苺みたいに甘酸っぱい恋を。〜』を開催した。
本公演は実に3ヶ月連続のワンマンライブとなっており、タイトル通りにコンセプトを“ラブソング”に限定。さらに、全19曲中半分の9曲が新曲、もしくは未音源化の楽曲という意欲的なセットリストで様々なラブストーリーを届け、満員の観客の胸をキュンとときめかせた。
開演前の場内には、J-POPの歴史に刻まれてきた数々のラブソングが流れていたが、定刻を5分ほど過ぎた頃に客電が暗転。200本以上のキャンドルが並べられたロマンチックなステージに登場したふたりは、向き合って気を合わせ、7年前、13歳の時にリリースした1stシングル「いくじなし」で甘酸っぱい恋の物語をスタート。
さらに14歳の時にリリースし、永野芽郁主演の恋愛ドラマ『こえ恋』の主題歌に起用された「ひだりむね」や「はじまるきせつ」と、目が合うだけでドキドキするようなピュアな片想いソングを連発。観客は1曲目から立ち上がり、彪我が首にぶら下げて叩くタンバリンに合わせてクラップを鳴らし、ペンライトを振って盛り上がり、伸びやかな歌声には大きな拍手が贈られた。
ここで、彪我は「今日は全曲恋歌でお送りしていきます。皆さんにはキュンキュンしていただきたいと思っております」と元気よく挨拶。
「自分たちの今の思いも曲にしたいなと思って」と続けたところで、雅功に「恋歌で、今の気持ちって言ったら、それ、誤解されるやつだよ」と突っ込まれると、客席に目をやって、「みんなの気持ちだから」と弁明。歓声と拍手が上がる中で、恋の喜びだけでなく、痛みや苦しさも込めた新曲「素直」を初披露。
さらに、初恋にも失恋にも聞こえる「きみでした」、離れている“君”への想い綴った「天つ風」と、相手のことを思いやる視線を感じるラブソングをステージの左右の端に置かれた椅子に座ってパフォーマンス。女性視点のラブソング「ストーリーズ」では、観客全員がペンライトをピンクにして会場をハッピーなムードで染め上げ、夢の中でしか話しかけられない妄想ラブソング「きのうのゆめ」では爽やかな歌声でオーディエンスを魅了した。
「実は僕、人見知りなんだ。意外かもしれないけど。君を見つけてから、僕は僕なりに変わろうと思ったんだ。僕が変わらないと君が誰かに取られちゃう気がして」
そんな彪我の告白を経て、シンガーシングライターのコレサワ提供の前向きな失恋ソング「届けそこねたラブソング」を熱唱すると、“恋を叶えてくれる月”と呼ばれている六月の満月をモチーフにした「ストロベリームーン」ではふたりともアコギを置き、雅功がタンバリン、彪我がピンクのペンライトを持って客席を煽り、フロアの熱気を上昇させた。
演奏後には雅功が今日、この日がストロベリームーンであることを語り、「好きな人と見たらその恋が叶うって言われてるけど、外は雨っぽいですね。今日は僕たちがストロベリームーンです」と宣言。さらにここから、言葉とは裏腹の気持ちが表出する「大嫌い」、“でもね”を繰り返しながら心の奥底にある言えない思いを語る「でもね」を情感豊かに歌い上げ、「先に言うね」では、告白直前の心境をドラマチックに表現した。
さらに、新曲「推したい」の披露前には、彪我が「“推し活”を始めた思いを歌にしました」と語り、「親には黙ってますが、抱き枕カバーを買っちゃいました」と告白。画面の先にいる“推し”の幸せを願う楽曲を朗らかに歌い、ゆず史上最も“ゆず”らしからぬ夏のエッチな衝撃ポップチューン「いちご」をカバーして観客を驚かせた。
そして、Twitterで募集した甘酸っぱい恋愛エピソードを元に制作した「エピソード」では恋の煌めきを放ち、雅功の二十歳の生誕ライブで披露されたロックチューン「愛はまだ」のさくらしめじバージョンでは、「恋なんて簡単でしょ」と吐き捨てるように歌唱した。
そして、雅功が「本当はもっとロマンチックで、本当はもっと面白くて、本当はもっとカッコよくて、本当はもっとアーティストっぽくて……。って、君の理想通りになるほど、僕は何者でもなくて。君と出会わなければよかった。君を好きにならなければよかった。君に好きだなんて伝えなきゃよかった」と告白。
ルーパーを使ったメロウなR&B「別れた後に僕が思うこと」で失恋後の未練や後悔を吐露。恋の始まりから片想い、恋から愛への変化、そして、別れまでを描いたラブソング集は、「ありがとう。好きだよ。ごめんね」という切ないフレーズで締め括られた。
アンコールでは、8年目にして初となるファンクラブの発足を発表すると、場内から大きな歓声と拍手が湧き上がった。さらに、夏の全国ツアーもアナウンス。
最後に、雅功は「僕らにとってラブソングなのかな? これも一種の愛の歌です」とかなり、解散危機をテーマにした『春じめじのお花し 二冊目』の劇中でふたりで作り上げた「辛夷(こぶし)のつぼみ」を静かに熱く歌唱。「僕は君で君は僕だから」という夏のツアータイトルにもなっているフレーズには、隣で歌っている相方への思いが込められているだろう。
終演後には雅功が「20年目も30年目のみんなと一緒に楽しく生きていきたいと思います」と語ると、彪我は「これからも僕たちの恋人でいてくれますか?」と呼びかけ、「みんなで一緒に歳を重ねていきましょう」と約束し、笑顔で手を振りながらステージを後にした。
なお、7月22日には隔月ワンマンライブの第2弾として、SHIBUYA PLEASURE PLEASUREで『新種しめじの定期便~7月の味覚~』を行うほか、7月30日からは夏の全国ツアー『さくらしめじ2022夏ツアー「僕は君で、君は僕」』もスタートする。
【セットリスト】
M1:いくじなし
M2:ひだりむね
M3:はじまるきせつ
M4:素直
M5:きみでした
M6:天つ風
M7:ストーリーズ
M8:きのうのゆめ
M9:届けそこねたラブソング
M10:ストロベリームーン
M11:大嫌い
M12:でもね
M13:先に言うね
M14:推したい
M15:いちご/ゆず(カバー)
M16:エピソード
M17:愛はまだ
M18:別れた後に僕が思うこと
EN:辛夷のつぼみ
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