■「今日はスタートラインだと思ってます」(Myuk)
Myuk(ミューク)の初ワンマンツアー 『first concert tour Myuk』 最終公演が、東京・自由学園明日館講堂にて6月11日に開催された。
会場は重要文化財に指定された1920年代の建築物となっており、神秘的な雰囲気をまとった中で取り行われた。
ライブ開始の定刻を過ぎるとSEが流れ出し、ピアノ、バイオリン、チェロのサポートメンバーとともにMyukがステージ上に姿を現した。一曲目に披露されたのは「シオン」。重厚なストリングスから放たれた旋律とともに、Myukの等身大で温かいボーカルがのびやかに広がる様はなんとも幻想的だ。ストリーミングヒットを連発するアーティストEveによって作曲された本楽曲だが、原曲とはまた違い、ピアノ、バイオリン、チェロという音数の少なさから儚さを感じられるアレンジになっている。そのまま続くのは「星に願いを」。こちらもライブ用にリアレンジされ、しっとりしたピアノの音色が印象的だ。
ピアノの伴奏とともにMCが入る。歌っている時の何かに憑依されたようなすごみと、MCをしている時の素朴で無垢な印象のギャップもまた、Myukのライブで感じられる面白味のひとつだろう。
マイクからアコースティックギターに持ち替えて披露されるのは「あふれる」、「Blue Bird」といったさわやかなナンバー。そのまま、絢香「みんな空の下」、尾崎豊「Forget me not」といったカバー曲を披露していく。言わずと知れた名曲だが、瞬く間に自分のものにしていく様が会場を一気に引き込んでいく。これらはMyukのオフィシャルTikTokアカウントでも注目を集めているカバーシリーズだ。
ピアノの伴奏とともに語りが入る。次に演奏する 「あの日夢を」のイントロダクションとして、歌詞のストーリーを伝えるような言葉の断片を聞いていると、まるで時代を超えて歌を届ける吟遊詩人のような雰囲気すらも感じる。
そのまま流れるように、反戦のメッセージを届ける「⻘空なんて⾶びたくなかった」、ギターカッティングが子気味良い「夜の舞踏会」、「ラブソングの衝動」を駆け抜けていく。
続けて始まったのは「Snow」。雪が深々と降り積もるように、ピアノ、弦楽器たちのスタッカートが重なり合い、さらにサポートメンバーのコーラスが主旋律を高めていく。会場全体がチルでリラックスしたムードに包まれていったのち、「そのままの自分でいい」と強いメッセージを込めた「アイセタ」でクライマックスを作り出していく。
コロナ過でワンマンツアーが延期になり、約1年越しのライブとなった今回。MCでは歌えずにふさがっていた想いを「聴いてくれる誰かが目の前にいないと、歌っていても幸せに感じられなくて。けど、今夜やっとツアーという夢がひとつ叶って、本当にうれしい。関わってくれた全員に感謝したいです」と語った。
アンコールの拍手の中で、時計の秒針の音が淡々と響き、最新曲「Pancake」に繋がれていく。軽やかに歌われる中で、会場は多幸感で溢れていった。ラストには、TVアニメ『約束のネバーランド』 Season2 EDにも起用された代表曲「魔法」を壮大なスケールで披露した。
「今日はスタートラインだと思ってます。(メジャーデビューなど)いろんなことがあったけど、まだまだ叶えたい夢があるんです。こんな私ですが、これからもどうぞよろしく」と幕を閉じた。
【セットリスト】
01. シオン
02. 星に願いを
03. あふれる
04. Blue Bird
05. みんな空の下(絢香 カバー)
06. Forget me not(尾崎豊 カバー)
07. あの⽇夢を
08. ⻘空なんて⾶びたくなかった
09. 夜の舞踏会
10. ラブソングの衝動
11. Snow
12. アイセタ
-ENCORE-
EN1. Pancake
EN2. 魔法
Myuk OFFICIAL SITE
https://myuk.jp/