■ミューズ、プレミアムチャリティ公演でファン垂涎のレア曲を多数披露!
UKの国民的なロックバンドのひとつであり、フェスのトリをつとめるなど日本でも大人気のミューズ。8月には待望の新作アルバム『Will of the People』の発売も控える彼らが、「ウォー・チャイルド」と「国境なき医師団」が主催するチャリティライブに出演した。
5月9日の会場は、Eventim・ハマースミス・アポロ。チャリティーの主旨もありチケット代は60ポンド(約1万円)や140ポンド(約2万3千円)と高めの設定。とは言え、キャパ5,000人のホールでミューズのライヴを目撃するというのはファンにはたまらない体験だ。会場には過去のツアー・Tシャツを身にまとったアツいファンが大勢集結していた(会場付近ではミューズが表紙の『Big Issue』の特別号も販売していた)。
500メートル近く伸びたソールド公演の長蛇の入場列に驚きつつ、入り口をくぐると、そこには黄緑色をベースにしたハマースミス・アポロのフューチャーノスタルジックなエントランス空間が広がる。1階、そして2階のバーとも曲線の美しさを活かしたデザインで、SF映画のセットに迷い込んだような気分。マーチ売り場には、大勢のファンで巨大な人だかりが出来ていた。
一方、ライブ会場のホール内は、深緑色を基調としたシックな空間、そのギャップが生み出すスペクタル感もこの会場の魅力なのかもしれない。1950年代から様々なアーティストが出演してきたハマースミス・アポロはUK音楽の「聖地」のひとつだが、クイーンのライブアルバム『オデオン座の夜〜ハマースミス1975』の舞台でもある。クイーンとミューズと言えば、ロックをはじめオペラやディスコなどの幅広い音楽性を取り入れつつ、チャートでも大成功を収めたUKロック史のモンスターバンドという共通点を持つ2組。格式を感じるホール内では、そんな歴史を超えた繋がりにもつい思いを馳せたくなる。
そんな会場の雰囲気も楽しみながら迎えたミューズのライブ。「Won’t Stand Down」や「Compliance」といった新作からの先行曲で早くも大合唱が巻き起こるのはもちろんのこと、ディープなファンが集まることを見越してか、レアな選曲も多数披露。2006年のシングルのB面だった「Assassin(”Grand Omega Bosses edit” version)」やキャリア曲の人気曲の「Space Dementia」、さらに2002年のリリースながら、この日20年越しでのライブ初披露となった「The Gallery」(流石のマシューも演奏前「通の中の通の曲」と紹介)等のレパートリーでファンを驚喜させた。
ライブ後半は「Starlight」「Plug In Baby」「Supermassive Black Hole」など誰もが拳を振り上げずにはいられないライブアンセムをこれでもかと投下。会場は終始大合唱でフロアを揺らし、それに応えた。そして、もちろん最後は壮大な「Knights of Cydonia」のサウンドで、貴重なチャリティ公演の幕を締めくくった。
寄付の目的のため舞台セットも照明のみとストイックで演出が控え目な分、ハードでエモーショナルなロックバンドとしてのミューズの魅力を、存分に堪能することができた珠玉の1時間半。果たしてこの日のステージが、彼らの新作の方向性を占うものなのかどうか、とても気になるところ。まずは熱い演奏を通してバンドが伝えた平和への思いを胸に、アルバムを聴くその日を楽しみに待とう。
PHOTO BY Hans Peter van Velthoven、Yuta Sato
リリース情報
2022.08.26 ON SALE
ALBUM『ウィル・オブ・ザ・ピープル』
ミューズ 日本 OFFICIAL WEBSITE
https://www.sonymusic.co.jp/artist/muse/