■「どうか新しい超特急の未来を目指して一緒に走っていってほしい」(超特急・リョウガ)
5人組ダンス&ボーカルグループの超特急が、全国11都市18公演に及ぶ全国ツアー『Progress』の初日公演を、4月23日に川口総合文化センター・リリア メインホールにて開催した。
昨年末に結成10周年を迎えた彼らにとっては正真正銘のアニバーサリーなツアーであり、超特急としては実に3年ぶりのホールツアーとなるだけあって、チケットは即日完売。
“前進”や“進化”を意味するツアータイトルや、大地を蹴って大きく前へと跳躍するウサギがデザインされたツアーロゴが表すとおり、予想外のビジュアルやファン待望の楽曲初披露で挑戦的な“超特急らしさ”を全開にして、8号車と呼ばれるファンを沸騰させた。
さらにライブの終盤には、“次の10年”に向けて新メンバーオーディション『超特急募』を開催することも発表。
あくまでもポジティブな挑戦と意志が満ちたステージで、11年目に向けての新たなスタートを切ってみせた。
オープニング映像に続いて、「『Progress』始まりました! 8号車のみんな、楽しんでいこうぜ!」というリーダー・リョウガの合図で5人が登場するなり、喜怒哀楽の振り幅が激しすぎる超特急ならではの感情ジェットコースターへと客席をご招待。
表情豊かなパフォーマンスとシームレスで畳みかけられる予想のつかない展開に、8号車も色とりどりに輝くペンライトと同じく色めき立つ。
客席からステージまでの密接な距離感はホールだからこそで、久々に味わう感覚にメンバーも「近いね!」と興奮気味。
以降も、10年で培ってきたダンススキルをハードかつセクシーなナンバーで爆発させたり、“早くライブで見たい”と待ち望まれていたナンバーやお久しぶりの人気曲を次々披露して、8号車の鼓動を高鳴らせ続けた。
温かく真摯な想いを切ないメロディに乗せて歌い上げるタカシの伸びやかなボーカルからも、8号車と再会できた喜びがあふれ出しているのが熱い。
ちなみに今回のステージセットはテーマパークがモチーフになっており、ゴールドからメンバーカラー、そして黒ベースへとチェンジする衣装とウサギをあしらったツアーロゴは、タクヤのプロデュースによるもの。
中盤ではそのウサギがフィーチャーされ、白とピンクのモコモコパーカー&ウサ耳という出で立ちの、リョウガいわく「けもけもした」5人が“ぴょん特急”として現れた。
キュートなビジュアルを活かした超スペシャルなパフォーマンスやコミカルなショットで8号車を熱狂させながらも、そこに見た目を裏切るクールスなダンスをブチ込んで生み出す摩訶不思議な世界観は、彼らにしか為しえないもの。
一方、テーマパークならではのアトラクション感も、映像とのコラボも交えながら体当たりで表現し、場内を完全なる“Bullet Train World”へと変貌させてゆく。
8号車とひとつになれるナンバーでラストスパートをかけ、超特急名物とも言える変顔も相変わらず炸裂。コミカルだろうとシリアスだろうと、どの方向にも全力で振り切ることができるのは、間違いなく超特急の大きな武器だろう。
そしてライブが終わりに近づくと、「超特急から大事なお知らせがございます」というリョウガの言葉から、ステージ中央のモニター上で映像がスタート。
メンバーの“ワクワクしてる”“面白い化学反応が起きるんじゃないか”といったコメントに続いて、“新メンバー募集オーディションを開催します”の文字が映ると、場内からこらえきれない驚きの声があがった。
その後、それぞれに想いを吐露した5人が異口同音に伝えたのは、この決断が“超特急がさらなる進化を果たし、もっと前に、もっと上に進むため。そして、8号車にもっといろんな景色を見せるためのものである”ということ。
先陣を切ったタクヤは「応援してくれる皆さんのためにも一緒に東京ドームに立ちたいです。だからといって、この5人では力不足というわけではないので。ついてきてほしいなって、僕は素直に思います」と話し、8号車にペンライトを振ってもらい、「この景色を見るために僕たちは10年やり続けています。この先も、もっと先も、その素敵な景色を僕たち超特急に見せてください、よろしくお願いします」と頭を下げた。
タカシは「これから先も長く続けるためには、グループとしてもっとパワーアップしたい」と語って、「8号車のみんなも絶対に誰一人置いていきたくないし、そんな後悔させるようなグループじゃないって絶対証明してみせる」と力強く宣言。
カイは「ぶっちゃけ僕は賛成でも反対でもなくて、ただ、僕たちが『あ、上に行けるな』っていう確信が持てる出会いがあるといいなという想いで発表させていただいた」と赤裸々な心情を告白し、「10年以上やってきて僕自身は8号車の皆様に嘘をついてきたことはないので。僕の、僕たちの言葉を信じてついてきてくれればうれしいなと思います」と念押しする。
ユーキも「僕は正直メンバーが7人じゃなくなった瞬間から、このことを考えてました。今まで8号車のみんなと創り上げてきた“メインダンサー&バックボーカル”というコンセプトを絶対に崩したくないんですよ。大切なものだからこそ、僕は変化じゃなくて進化するために、このオーディションをやりたい」と言葉に熱を込めた。
最後はリョウガが「このオーディションに対して否定的な考えを持ったメンバーはいないよっていうのを知っていただきたい。ただ、具体的に何ができる人を選ぶかというのも、これから決めていく段階なので、ホントに何が起きるかわからん!」と告げ、「これから僕たちが壁にぶつかるかもしれないときに、きっと支えてくれるのが僕たちの今までの軌跡を知っている皆さんだと思いますので、どうか新しい超特急の未来を目指して一緒に走っていってほしい」とラストナンバーへ。
今回の選択が、超特急という名の果てない旅路を、よりスピードを上げて、さらに先まで進むためのものであること。そして、これから開く新しい扉の向こうに何があるのか? 彼ら自身が期待に胸躍らせていることは、その後のアンコールの選曲からも伝わってきた。
“君の笑顔が終着駅”をキャッチフレーズに活動してきた超特急が、10年を経て提唱した“君との笑顔が終着駅”というワード。そこには、あくまでも8号車と“ともに”歩んでいくのだという彼らの願いが籠っている。
春になると、ほかのどの動物よりも早く活動を開始することから、ウサギは春の訪れを象徴すると同時に“新生”のシンボルとしても捉えられている。
そんなウサギをキービジュアルに掲げて『Progress』と名付けられたツアータイトルは、このツアーでの前進を誓うのみならず、来るべき大きな“変化”を確たる“進化”にしてゆくのだという彼ら自身の決意表明でもあるのだろう。
大地を力強く蹴り上げるrabbit’s foot(=ウサギの後ろ脚)は、世界中で幸運を呼ぶと信じられている。
7月17日に仙台で行われるツアーファイナルまで、残り17公演。そこで彼らが成し遂げる“Progress”の足跡を、そして、その先に訪れる新たな出会いを、しかと見届けていきたい。
TEXT BY 清水素子
PHOTO BY 深野輝美
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