■「皆さんを信じてスポンジになったつもりで日々吸収してきました。素敵なニキ・ハリスになれるよう全力で挑みます」(櫻坂46・菅井友香)
城田優が演出と主演を務めるミュージカル『カーテンズ』が2月26日、幕を開けた。
会見で城田は演出・主演を務めることについて「日々後悔(笑)。新作で両方を手がけるのは実に大変でした。台本も10回くらい直し、美術や演出の打ち合わせと並行しながら膨大な台詞量との戦いで、 帰宅したらヘロヘロ。1月3日と今朝の体重を比べたら9キロ減りました。でもやり甲斐がありますし、あらたな挑戦をすることでこの先もミュージカルシーンを盛り上げていきたいです」と意気込みを語った。
ミュージカル初挑戦の菅井友香(櫻坂46)は、「ついに挑戦できるという気持ち。今も夢じゃないかと思うくらいです。自分の実力の足りなさを痛感してトレーニングしてきましたが、お稽古では心を解放することすら難しいと思いました。皆さんを信じてスポンジになったつもりで日々吸収してきました。素敵なニキ・ハリスになれるよう全力で挑みます」。
同じく初挑戦の三浦翔平は「ワクワクとドキドキが止まりません。正直こんなに大変なんだなと。台詞をきっかけに音楽が始まる、音に合わせての振付などミュージカルならではの新しい刺激を勉強しました。先輩キャストは本当にうまくて化け物だなと思いますし、まだ自分は実力が足りないと実感していますが、一生懸命取り組みます」。
城田はそんなふたりを「本当によく頑張ってくれて、彼らは僕のモチベーションでもありました。公演中でも成長するでしょうから、千秋楽が楽しみです」とエールを送った。
【公演レポート】
まず幕開きから不穏だ。薄暗い空間に照明が一灯、大きく揺れている。
その下に佇むキャストたち。ホラー? サスペンス? とドキドキしていると幕が閉じて、明るいオーバーチュアが始まった。
再び幕が上がると、そこはボストンの劇場、新作ミュージカル『ロビン・フッド』の世界。「Wide Open Spaces Opening/ここはカンザス」が華やかに歌い踊られるが、 主演女優ジェシカは台詞を忘れる、きっかけを間違えることで周りをハラハラさせてばかり。
その割に偉そうだと思っていたら、突然倒れ、運ばれてしまう。
この新作でブロードウェイを目指しているが、新聞に乗った劇評はひどいのなんの。劇評に一喜一憂するプロデューサーのカルメン(原田薫)や演出家べリング(宮川浩)、作曲家アーロン(岸祐二)らが実にリアルだ。
ジェシカが亡くなった知らせを受けて、カンパニーはパニックに。そこに現れたのが警部補フランク・チョフィ(城田優)。なんとジェシカは殺されたのだという。
ミュージカルオタクでもあるチョフィは、 捜査の傍ら『ロビン・フッド』の創作にたびたび口を出し、ともすれば本業より情熱的。どことなくミュージカルに熱い城田本人と重なるのが面白い。
カンパニーから逃げ出そうとする俳優たちを、Show Must Go Onだと説得する「Show People/ショーピープル」は見応えたっぷり。ブロードウェイの薫りたっぷりなこのビッグナンバーに隊列を組む振付を施し、インパクトの強い名シーンとして仕立てている。
結局、元女優で作詞家でもあるジョージア(瀬奈じゅん)が代役を務めることに。
ジョージアはアーロンとカップルだったが今は振付家ボビー(三浦翔平)とラブラブ。三浦は初ミュージカルながら、頭身を生かしてダンスあり、ソロ曲ありと大注目。
チョフィは新人女優ニキ(菅井友香)に一目惚れ。菅井もしなやかなダンスで魅了、天然でチャーミングなニキを好演している。カルメンは娘バンビ(中嶋紗希)とギクシャクして口喧嘩が絶えない。
複雑な人間模様のなか、『ロビン・フッド』はブラッシュアップされていくが、同時に第2、第3の殺人が起こり、カンパニーの人々はお互い疑心暗鬼に。
しかし捜査は意外な展開を迎える…。
舞台好きの人はバックステージものとして、トライアウトからブロードウェイを目指す人々の情熱に共感できることが多いだろう。
母娘、夫婦、カップルと人間関係の綾も絶妙で、群像劇としても楽しめる。何より誰が犯人か、推理するワクワク感たるや。
ネタバレ禁止の笑いどころもたっぷり。大いに笑ってハラハラして、明日からの元気をチャージしよう。
公演情報
『カーテンズ』
原作:ピーター・ストーン
脚本:ルパート・ホームズ
演出:城田優
出演:城田優、菅井友香(櫻坂46)、三浦翔平、原田薫、岸祐二、中嶋紗希、宮川浩、瀬奈じゅん/
中西勝之 米本学仁 高橋卓士/井上花菜、小山侑紀、坂元宏旬、竹内真里、茶谷健太、常住富大、
伯鞘麗名、福田えり、堀江慎也、横山達夫
02/26(土)~03/13(日) 東京・東京国際フォーラムホールC ※19回公演
03/18(金)~03/22(火) 大阪・新歌舞伎座 ※7回公演
03/26(土)、03/27(日) 愛知・愛知県芸術劇場 大ホール ※2回公演