■「初めて(北村匠海演じる)息子のアキラが反抗してくるシーンは、本当に現場で1日中悲しかったです。匠海くんに怒られているような気持ちでした」(阿部寛)
幾度途切れても必ず繋がってゆく親子の絆を描いた重松 清著『とんび』。
この不朽の名作を、多くの深遠な物語をエンターテイメントとして昇華させてきた『64 -ロクヨン-』『糸』などを手掛ける、瀬々敬久を監督に迎えて映画化、4月8日に公開となる。
主人公の、破天荒ながら愛すべき父・ヤス役には、『テルマエ・ロマエ』『下町ロケット』などの大ヒット作で、圧巻の表現力と存在感を放つ阿部 寛。ヤスの息子・アキラ役には、若手実力派の中でも突出した才能を発揮する『君の膵臓をたべたい』『東京リベンジャーズ』の北村匠海がそれぞれ演じる。
阿部×北村のあらたな“とんびと鷹”によって、いつの世も変わることのない親子の不滅の絆を描いた“家族の物語”が今、あらたに映画『とんび』として誕生する。
そしてこのたび、2月17日に、完成披露舞台挨拶が開催され、主演の阿部寛、北村匠海、薬師丸ひろ子、杏、安田 顕、大島優子、麻生久美子、そして本作で監督を務めた瀬々敬久が、盛大な拍手の中、登壇した。
【舞台挨拶レポート】
ようやく観客に映画を届けられることになった気持ちを聞かれた阿部寛は「去年、岡山という人が暖かい場所で、皆で全力を尽くして撮影してました。親子の話ですが、街ぐるみで子供を育てる大きな家族の話でもあります。ぜひ楽しんでほしいです」と喜びの表情。
今回、映画化の企画が上がった際、主演の阿部自ら、瀬々敬久監督にお願いしたいとラブコールを送ったそうで、阿部は「とんびという作品は、過去に何度か映像化されている作品なので、出演させていただくか悩んだのですが、瀬々さんだったらぜひやらせていただきたいと思いました。(これまでの作品と)違う切り口から描いてくださると思い、また久々にご一緒したいと思い、ラブコールさせていただきました」と、その思いを赤裸々に話すと、瀬々も「ラブはなかったと思うんですけど(笑)。2000年の頃から一緒に仕事をしているのですが、また一緒にできてうれしいです」と、少し照れ隠し交じりに喜びの表情をみせた。
本作では、阿部演じる破天荒ながら愛すべき父親のヤスと、北村匠海演じるヤスの息子・アキラの親子の物語が描かれるが、「つねに温度が高い、街をかき回していく役だったので、現場でエネルギーは失ってはいけないと思って演じました」と阿部。共演の北村について聞かれると、「本当にとんびが鷹を生んだような……取材でも僕が片言で言ったことを、サッとまとめてくれる。本当に父親想いで、鷹だな。と思いました」と、まさしく劇中の関係性そのままのようだったと話す。
息子を演じた北村も、「阿部さんの胸に飛び込んでいく毎日でした。この作品への熱量と、ヤスとしての愛情を肌で感じたので、正直毎日全力でぶつかりに行きました。本当の父のようなおっきい背中でした」と、父親への愛を語った。
また、思い出に残るシーンを聞かれた阿部は、「初めて息子のアキラが反抗期に反抗してくるシーンは、本当に現場で1日中悲しかったです。匠海くんに怒られているような気持ちでした」と、赤裸々に告白していた。
阿部演じるヤスと、北村演じるアキラ。この父と息子の親子家族の物語を描く本作にちなみ、キャスト陣の家族との思い出が詰まった写真をスクリーンに投影しながら、当時のことを振り返ったトークパートでは、それぞれの家族の温かなエピソードが披露された。
まず、スクリーンに映し出されたのは、母と3人の子供が写るモノクロの家族写真。これは阿部が幼少期に父が撮った写真だという。「兄弟3人なんですけど、兄と姉と母親です。父はエンジニアで寡黙な父親です。現在95歳になるのですが、子供のときよりも、今のほうがなんでも親父に積極的に聞いています。今も生きていてくれてうれしい。ありがたいと思っています」と今でも続く、父親との温かい関係性を明かした。
次にスクリーンに映し出されたのは、北村が幼少期に父と釣りに来たときに撮られた1枚。父の趣味が釣りで、よく家族で磯遊びをしていたという。「僕の名前の“匠海”も、海がついているんですけど、父が釣り好きだったので、海がつきました」と自身の名前の由来も語った北村だが、「同じ11月に生まれたB型で、よき飲み仲間という関係です。ファッションや映画、音楽など、全部両親から影響を受けてきました」と、両親との仲の良さを嬉しそうに語った。
最後に会場に駆け付けた観客に向けて、瀬々監督は「映画『とんび』は繋がりをテーマにして描いた映画です。今、人と人がダイレクトに繋がることが難しい状況ですが、そんななかでも人と人が出会って、悲しみや喜びを共有する。そんな大事なシーンがたくさんある映画です。ぜひ、このような状況のなかでも人との関係性を感じてもらいたいです。この映画は間違いなく面白いです。期待してください!」と熱い思いをコメント。
主演の阿部は「監督がそう言ってくださるのは初めてで、すごくうれしいです。瀬々さんとやれてよかった。誰もが親になった瞬間から1年生で、いろんなことを悩んで楽しいこともあれば、大変なこともある。時には泣いたり笑ったりすると思うんですけど、僕が演じたヤスという男は、周りの力も借りながら、がむしゃらに子供を愛し一生懸命に育てる。そういう姿が、人の心を打ち、感動してもらえたらうれしいです」と強い想いと作品への自信と期待を伝え、温かな雰囲気の中、イベントは終了した。
映画情報
『とんび』
4月8日(金)全国公開
出演:阿部 寛
北村匠海 杏 安田 顕 大島優子
濱田 岳 宇梶剛士 尾美としのり 吉岡睦雄 宇野祥平 木竜麻生
田中哲司 豊原功補 嶋田久作 村上 淳
麿 赤兒 麻生久美子 / 薬師丸ひろ子
原作:重松 清『とんび』(角川文庫刊)
監督:瀬々敬久
脚本:港 岳彦
配給:KADOKAWA イオンエンターテイメント
(C)2022『とんび』 製作委員会
映画『とんび』作品サイト
https://movies.kadokawa.co.jp/tonbi/