■「コロナ、まだ明けてません。でも、ここいちばんという時に、この横浜で歌えるのは、すごく大事なもの感じますね」(矢沢永吉)
矢沢永吉の全国ツアー『I’m back!! ~ROCKは止まらない~』の最終公演が12月25日に横浜アリーナで行われ、13000人の観衆を沸かせた。
今回は2019年の『ROCK MUST GO ON』ツアー(全11本)以来、2年ぶりとなる全国ツアー。10月5日の石川・金沢歌劇座からスタートし、この日の最終公演・横浜アリーナが31本目となった。
開演前、場内には声を出せない代わりに、ハンド・クラッピングでの永ちゃんコールが響き渡る。17時7分、客殿が落とされステージ後方スクリーンには大きな時計が映し出される。針が17を指すと、2017年のライブ映像が映し出される。
そのまま18、19と続き20(2020年)を指すと、ステージにはペストマスクを着用したダンサーが登場。コロナ禍のなか、身動き取れなかったあの時代を描き、針が21を指すと 現在=2021となり矢沢永吉が登場。マスクの下でも場内が騒然としている様子が伝わってくる。
コンサートは1991年にリリースされた「ラスト・シーン」で幕を開けた。このツアーは感染症拡大の時期とも重なり、観客には“声を出せない”“タオル投げできない”といった制約のなかでの参加をお願いした。
矢沢も客席に向かって不自由な思いをさせたことに「本当にすみません」と詫びる一幕も。でもツアーを始めると、改めて「生のステージって僕は大好きです」ということを認識した。
初日の金沢公演では「会いたかったよ! みんなに!」と思わず本音をもたらしたほど。ツアーもこの日がいよいよ最終日。「とうとう来ちゃったよ、31回目のファイナルの夜が!」と感慨深けに話す。
矢沢永吉は1972年、バンド、キャロルでデビュー。「来年、矢沢50周年をむかえることになりました!」とキャロル・ナンバー「最後の恋人」「やりきれない気持ち」やソロデビュー・アルバム収録の「恋の列車はリバプール発」など、懐かしいナンバーを次々に披露。
また、この日はクリスマスということもあり、1983年にリリースしたクリスマス曲「Last Christmas Eve」も演奏。スクリーンには教会の映像が映し出され、天井のミラーボールに照明が当てられ、会場はクリスマス・ムードに。
横浜は矢沢永吉にとっても思い出深い街。「ビートルズになるんだ! と広島から出てきて、東京まで行かず、ここ横浜に降りたんだよね」と振り返る。50歳になった記念に日産スタジアムでもコンサートを行った。矢沢にとって横浜は特別な地だ。
「コロナ、まだ明けてません。でも、ここいちばんという時に、この横浜で歌えるのは、すごく大事なもの感じますね」と感傷気味に話したあと、「ちょっと今日の矢沢変だよね?」と照れ隠しするように「ロックンロール!」とシャウトし、コンサート後半はアップチューンのロックンロール・ナンバーを畳み込む。
曲によっては2人の女性コーラスやホーン・セクションが入ったりと、バランス良いアレンジで本編を構成。アンコールのラストは鉄板ナンバーの「止まらないHa~Ha」。真っ白なパナマ帽を被ってステージに登場した矢沢は、会場内に集まったオーディエンス、ひとりひとりに届くように骨太のヴォーカルを聴かせていく。
パナマ帽を右腕に掲げながら、ゆっくりとステージを降りていくさまは実にかっこいい。終演後、ステージ・スクリーンにはこの日、撮影されたばかりの横浜アリーナのドキュメンタリー映像を上映。エンディングには“矢沢、必ず帰ってきます! また会える日まで!! Merry Christmas!」のメッセージが流れ、2時間超に及んだ矢沢永吉の『I’m back!! ~ROCKは止まらない~』コンサート・ツアー最終日は幕を閉じた。
【セットリスト】
2021年12月25日@横浜アリーナ
01.ラスト・シーン
02.長い黒髪
03.背中越しの I LOVE YOU
04.最後の恋人
05.やりきれない気持ち
06.愛しているなら
07.恋の列車はリバプール発
08.TOKYO ZOO
09.Last Christmas Eve
10.DIAMOND MOON
11.YOU
12.GET UP
13.だから、抱いてくれ
14.夜間飛行
15.BIG BEAT
16.AZABU
17.この海に
18.世話がやけるぜ
19.JEALOUSY
20.PURE GOLD
アンコール
21.サイコーなRock You!
22.止まらないHa~Ha
PHOTO BY 平野タカシ
矢沢永吉 OFFICIAL SITE
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