■「また会おうよ! また会って、みんなで今度こそ大きな声で歌ってひとつになろう」(ポルノグラフィティ・岡野昭仁)
ポルノグラフィティが約2年半ぶりに開催した全国20ヵ所28公演の全国ツアー『17thライヴサーキット“続・ポルノグラフィティ”』が、12月22日、東京ガーデンシアターにてファイナルを迎えた。
本ツアーは9月リリースの楽曲「テーマソング」を提げてのライブであるが、ここまで続けてきたこと、そしてこれからも続けていくこと、自身の音楽への意志表示・覚悟ともとれるタイトルとなっており、まさにそのタイトルを体現した、音楽に対してストイックに向き合ったふたりの姿が印象的なライブとなった。
ライブは最新シングルに収録されている「IT’S A NEW ERA」からスタート。混沌とした現状を打破し、未来に向けてストレートにメッセージする楽曲は、まさにオープニングを飾るにふさわしい。間髪入れずに「幸せについて本気出して考えてみた」「ドリーマー」と立て続けに披露。客席からは声は出せないものの、息の合ったクラップが。会場の一体感が一気に高まる。さらに「ANGRY BIRD」「今宵、月が見えずとも」とハードロックチューンで会場を沸かせた。
MCにて岡野昭仁が「デビューから23年やってきて、いろいろなことを経験することができた。今年またあらたな刺激的な経験をすることができた。それが『THE FIRST TAKE』です」と語り、アコースティックver.でポルノグラフィティの真骨頂ともいえるラテンサウンドの「ミステーロ」「サウダージ」を披露した。なお、9月に『THE FIRST TAKE』で公開された「サウダージ」のアコースティックver.は、現在1,100万回を超える再生数となっている。
岡野昭仁は「サウダージ」の冒頭をマイクなしのアカペラで歌唱。ホール全体に真っ直ぐに響きわたる歌声に、客席は一瞬息をのむ静寂のあと、割れんばかりの賞賛の拍手で包まれた。
そしてアコースティックから一転、こちらもポルノグラフィティのファン垂涎の「鉄槌」「Fade away」とダークでロックな楽曲へ。まるで生き物のように動く照明演出が重なり、よりディープな世界観に引き込まれた。
その後は「救いのない曲が続いたので(笑)、ここからは愛の歌を歌います」と「元素L」「Winding Road」と立て続けに披露し、ライヴは後半戦に突入。
「この2年で世の中の雰囲気はガラッと変わった。希望を感じることが難しいかもしれない。でも、僕たちには未来があるって信じていたい。今日がその未来に向けての船出の日にしよう!」という岡野のMCから始まったのは「THE DAY」。イントロの新藤晴一のギターソロが始まると、そこから一気に会場のボルテージは最高潮に。
「REUNION」「メリッサ」「ハネウマライダー」と立て続けに披露し、声を出すことができないということを忘れるくらいの熱気が会場全体に伝わった。
本編最後の楽曲は「テーマソング」。今作はユニゾンパートが印象的な応援歌となっているが、今回のライブではお客さんは声を出すことができない。
「みんな声は出せないけど、その分手が痛くなるぐらいのクラップを届けてほしい。そしてその手の痛みを忘れずに、一緒にこの曲を歌える日までの希望にしよう」と岡野は歌唱前のMCで観客に訴えた。ここでも、制約があることが、より観客の一体感を生み出し、クラップは会場全体をひとつにした。
歌詞の“フレーフレーこの私よ、そしてフレー私みたいな人”というフレーズは、会場の誰もが自分のこととして胸に直球で響くメッセージだったのではないだろうか。
「次会うときは、みんなで一緒に歌おう!」という、メンバーのメッセージとともに本編は終了。後半はポルノがライブバンドと言われる所以(ゆえん)を感じさせるような、圧巻のパフォーマンスとなった。
アンコールでは、岡野が「新しい楽曲を皆さんに届けることこそが、『続・ポルノグラフィティ』だと思ったので、新しい曲を持ってきました」と話し、「メビウス」「ナンバー」と新曲を2曲立て続けに披露。
これからのポルノグラフィティの未来を感じさせる、まさにツアータイトル『続・ポルノグラフィティ』にふさわしい楽曲だ。そして恒例のアンコール最後の曲「ジレンマ」でライブは幕を閉じた。
コロナ禍、声が出せないなど、いろいろと制約がある中、メンバーとお客さんとで作り上げてきたライブが完結。こういう状況だからこそ、いつもにも増して、より観客の熱量や思いをしっかり感じることとなった今回のツアーだった。
そしてファイナル公演直後に、今ツアーのまさに“テーマソング”であり、自身を含む、現代を生きるすべての人を鼓舞する楽曲「テーマソング」の、ライブ後のそれぞれの物語の続きを感じさせるMVが公開となった。
コロナ禍のライブ、会場で声を出せない観客を前に、「また会おうよ! また会ってみんなで今度こそ大きな声で歌ってひとつになろう。そのときまで、このみんなの渾身のクラップを忘れずに希望にしよう!」。岡野がライブステージで放った、そのメッセージからMVはスタート。
このMV冒頭のライブ映像は、今回のツアーファイナルの会場、東京ガーデンシアター公演の映像であり、まさにツアー終了から、さらなる物語が続いていくというメッセージが強く込められた作品となっている。
「声が出せない今だからこそ、みんなでユニゾンで歌い合えるような曲を作りたい。そしてそれをみんなで一緒に歌える日までの希望にしたい」。そんな思いで作られた楽曲「テーマソング」。MVでは、それぞれ違う環境で、マスクをしながら、日々葛藤している人たちの生活が描かれている。
何かにつまづいたり、ふと目標を見失いそうになりながらも、今一度、繋がっている空の下、深呼吸して、それぞれが懸命に自分の人生に向き合っていく……そんな日々に、「テーマソング」という楽曲が寄り添いながらも、その胸を熱く揺らす。
自分自身への応援歌であり、そしてみんなのための応援歌でもある今作。ライブツアーのコンセプト楽曲ではあるが、“テーマソング“は続き、ツアー終了後のその先のみんなの人生をも鼓舞する。このタイミングで表現することにこだわって作られた、希望が込められた作品だ。
リリース情報
2021.09.08 ON SALE
DIGITAL SINGLE「テーマソング」
2021.09.22ONSALE
SINGLE「テーマソング」
ポルノグラフィティOFFICIALSITE
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