■「ここからまたスタートできるなという気持ちになれました」(サカナクション・山口一郎)
サカナクションが12月11日、愛知県・Aichi Sky Expoより全国6都市14公演のアリーナツアー『SAKANAQUARIUM アダプト TOUR』をスタートした。
この公演は2020年2月に新型コロナウィルスの感染拡大の状況を踏まえ全国ツアーが中止となってしまって以降、サカナクションとしては約1年10ヵ月ぶりとなる有観客ライブ。
ツアーに先行して11月20日・21日の2日間にわたって行われたオンラインライブ『SAKANAQUARIUM アダプト ONLINE』のコンセプトを、実際の観客がいるライブに移したもので、オンラインライブ同様約13メートル・4階建てビル相当の「アダプトタワー」という巨大なセットを導入した。
オンラインライブに続き、ライブの総合演出を映像ディレクターの田中裕介が担当。アダプトタワーを舞台として、舞台、映像、ライブが混然一体となった独自の世界観をもつエンターテイメントショウを作り上げた。また、スピーカーの配置箇所を増やして、音響的な死角を減らすことを目指したサカナクションオリジナルのサウンドシステムである、SPEAKER+(スピーカープラス)も初導入。大音響かつ高水準のサウンドを観客は体験した。
ライブの前半では、各方面から注目を集める若手女優の川床明日香が女性キャストとして登場。サカナクションの演奏と並行してアダプトタワーを舞台に女性の物語が進行。楽曲と女性が登場する物語が時に交錯しながら、同時進行していく。
ステージの両サイドに設置されたサービスモニターの大型画面もビジュアルエフェクトとして最大限に活用し、実際のライブと映像の中の世界がまるでパラレルワールドのように展開。大音量のサカナクションサウンドとともに、田中裕介によって仕掛けられた演出に観客は魅了された。
またライブでは、オンラインライブ同様、3月30日にリリースされるコンセプトアルバム『アダプト』に収録予定の新曲を多数披露。12月3日に配信された新曲「プラトー」は実際の観客の前では初披露となったが、観客は山口の歌とバンドの演奏の一音一音をしっかりと受け止めた。
その後はきらびやかなライティングをメインとしたエンターテイメントショウへと移行。「みんな心の中で歌って」と山口が呼びかけ「アイデンティティ」を披露。会場につめかけたオーディエンスは、声を出せないなかで、思い思いの身振りでバンドの演奏に応えた。
さらに『劇場版 ルパンの娘』主題歌として話題となった「ショック!」をこちらも有観客のライブとしては初披露。古舘佑太郎や嶋田久作らが出演する架空の情報番組『Shock!』が、会場に設置された2面のサービスモニターに映し出され、その番組から派遣された女性レポーターのるうこがメンバーにインタビューを試みるという、ライブ会場がTV番組の中継先になる奇想天外な設定に。新曲ながらもサカナクションらしいぶっ飛んだ演出に会場は大きく沸いた。その後も有名曲を多数披露し、コロナ禍のライブエンタテイメントの表現領域を拡張するサカナクションのあらたな表現を観客は最後まで堪能した。
アンコールでボーカルの山口は「ただいま~。ステージに立って1曲目を歌った瞬間から、帰ってきたという感情が沸いてきて泣きそうになっちゃいました」「なんとかみんなの前で表現できて、ここからまたスタートできるなという気持ちになれました。本当にありがとうございます」とコメント。万雷の拍手のなか、感無量のメンバーは何度も頭を下げた。
『SAKANAQUARIUMアダプト TOUR』は今後、全国で開催。会場によってはまだチケット購入が可能だ。そして、来年3月30日には、新曲「プラトー」を含むコンセプトアルバム『アダプト』が届けられる。
PHOTO BY 横山マサト
リリース情報
2021.12.03 ON SALE
DIGITAL SINGLE「プラトー」
2022.03.30 ON SALE
ALBUM『アダプト』
「プラトー」配信リンク
https://jvcmusic.lnk.to/sakanaction_plateau
『アダプト』スペシャルサイト
https://sakanaction.jp/feature/project_adapt
サカナクション OFFICIAL SITE
http://sakanaction.jp/