■スペシャルライブの映像は岩井俊二監督が監修、11月13日まで見逃し配信中
岩井俊二監督による映画『スワロウテイル』公開25年周年を記念して、この映画の主人公グリコを演じたCharaと、音楽を担当した小林武史プロデュースによるバンド、YEN TOWN BANDの1日限りのライブ 『YEN TOWN CLUB presents 映画「スワロウテイル」25th Anniversary YEN TOWN BAND SPECIAL LIVE in KURKKU FIELDS』 が、11月6日に開催された。
会場は、千葉県木更津市にあるサステナブルファーム&パーク「KURKKU FIELDS」(クルックフィールズ)。
オープニングでは、JQ from Nulbarich がyen town club bandとともにゲスト出演、その後、小林武史 with 沖祥子+福井綾による映画『スワロウテイル』劇伴の演奏に続いて、YEN TOWN BANDが登場し、代表曲「Swallowtail Butterfly ~あいのうた~」など全12曲を披露。待望のライブに集まった観客約1400人を盛り上げた。
また、この日の映像は岩井俊二監督が監修。11月13日23時59分まで、U-NEXTで見逃し配信ライブ視聴を存分に楽しむことができる。
【ライブレポート】
YEN TOWN BANDには“特別な空間”がよく似合う。
都市の喧騒から離れた野外の不思議な磁場が“架空のバンド”が持つマジックを倍増させる。改めてそう痛感したライブだった。
これまでも大地の芸術祭や瀬戸内国際芸術祭の犬島など数少ない機会でパフォーマンスを見せてきたYEN TOWN BANDだが、映画『スワロウテイル』公開25周年を記念して開催された今回のライブの舞台となったのは、小林武史が設立した千葉県木更津市のサステナブルファーム&パーク、クルックフィールズ。ステージの向こう側には農園やソーラーパネルが、振り返ると牛や羊やヤギの姿が目に入る解放感に満ちたフィールドだ。
多国籍感あるフードエリアも含めて、その場が持つムードは、映画『スワロウテイル』に登場する“円都”の雰囲気に通じ合うものがある。資本主義社会の経済合理性に対するカウンター精神という意味でも映画とのリンクを感じる。
開演時刻を迎えると、まずはゲストアーティストのJQ from Nulbarichが登場。小林武史、名越由貴夫、金子ノブアキ、キタダ マキ、平岡恵という“Yen town club band”のメンバーとともに「TOKYO」や「Kiss You Back」など代表曲を歌い、続いて登場した小林武史with沖祥子&福井綾は、ピアノ・ヴァイオリン・チェロの編成で映画『スワロウテイル』劇中音楽を披露。映画のシーンを思い起こさせる幻想的なサウンドが会場に広がる。
そして、いよいよChara=グリコが登場し、YEN TOWN BANDのライブがスタート。序盤から「Sunday Park」「上海ベイベ」などアルバム『MONTAGE』収録の楽曲でオーディエンスを盛り上げ、一方で「小さな手のひら」「My Way」といったバラード曲では歌の繊細な響きが胸に染み渡っていく。
ゆっくりと日が暮れていくなか、後半は「my town」や「EL」などセカンドアルバム『diverse journey』収録曲を続けて披露。
そしてクライマックスになったのは、あたりがすっかり暗くなり幻想的なライトに照らされてパワフルに歌った「She don’t care」、そしてラストの「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」だった。
鳴り止まない拍手のなか、深い余韻を残してライブは終了。しばらくすると会場は真っ暗になっていた。
今回のステージは、岩井俊二監督の映像監修のもと11月13日まで見逃し配信もされている。そちらを観るとまた違った味わいを感じることもできるはずだ。
まるで現実と幻想が混じり合うかのような、とてもスペシャルな体験だった。
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