■「ずっと君に会いたかったのに、コロナのヤツが邪魔して、なかなか会えなかった」(藤井フミヤ)
藤井フミヤが、全国ツアー『ACTION』の千秋楽公演を7月10日にパシフィコ横浜国立大ホールで行い、2時間20分超にわたって22曲を演奏。ソーシャル・ディスタンス(1席おき)での実施ではあったが、会場に集まった満員(ソーシャル・ディスタンスで収容人数の半分で実施)の2,100人のオーディエンスを沸かせた。また公演の模様はインターネットを通じて生配信もされた。
藤井フミヤの全国ツアー『ACTION』は昨年10月31日に大阪フェスティバルホールでスタート。本来なら3月の福岡公演で終了予定であったが、新型ウイルス感染症拡大のなか、中止や延期が重なり、この日の横浜公演が最終公演となった。
開演前、場内に流れるのはツアータイトル『ACTION』にちなんだ洋楽ロックナンバー。スウィートの「アクション」に続き、ザ・フーの「レッツ・シー・アクション」がひときわ大きく鳴り響くと場内がざわつき始める。ステージにはクールなブラック・スーツに身を包んだ6人のメンバーが集結。
フミヤの「さぁ! 始めようか? バンド、スタンバイ! Come on Action!!」を合図に、バンドが轟音を弾き出す。オープニングナンバーは最新アルバム『フジイロック』に収められた「BET」。
バンドはリーダーの大島賢治(Dr)を中心に、山田“Anthony”サトシ(Ba)、沢頭たかし(Gu)、SUNNY(key)、藤井尚之(sax)ら5人のメンバーが結集。いずれもフミヤとは年齢も近く、職人肌の腕を持つ強者揃い。盤石の演奏サポートを得て、冒頭3曲はファンクを貴重とした骨太のロック・サウンドを聴かせる。
「ずっと君に会いたかったのに、コロナのヤツが邪魔して、なかなか会えなかった」と客席に呼びかけ、今日は君に会いに来たよ! と4曲目の「Style」に続ける。
フミヤの3rd アルバム『TEARS』に収められた楽曲で、歌詞の“君に会いに行こう/LOVEを見つめていたい”の部分がオーディエンスの胸に染み入る。チェッカーズ時代のナンバー「100Vのペンギン」では、間奏の藤井尚之のバリトンサックスソロに合わせ、フミヤはコンテポラリーダンスのようなパフォーマンスを披露。前半のハイライトとなった。
「ここから先は皆さんをタイムマシンにお乗せして、1980年代のバブル時代に戻ります!」と演奏したのは、作詞・売野雅勇&作曲・芹澤廣明コンビの「星屑のステージ」(1984年)「ジュリアに傷心」(1985年)。さらにフミヤが作詞しメンバーが作曲を手掛けた「WANDERER」(1987年)に「I Love you,SAYONARA」(1987年)と、80年代バブル期のチェッカーズナンバーを畳み込む。
これまでフミヤのコンサートでは、いわゆるアイドル時代のチェッカーズ曲は歌われることがなかった。コロナ禍の中、不自由な思いを続けてきたファンのために、なんとか応えたいと長らく演奏してなかったチェッカーズ初期のヒット曲を大放出。これには、もちろんオーディエンスも大喜び。マスクの下からの歓声と興奮が伝わり、場内は一気にヒートアップ。
熱気で満たされた客席に向かって「どうでしたか? タイムマシンの乗り心地は?」と語りかけ、続いてのバラードコーナーでクールダウンに誘う。
「Another Orion」(1996年)に「TRUE LOVE」(1993年)というバラードヒットの惜しみない連打は、もはや反則級で観客はノックアウト寸前。広い会場の隅々まで響き渡るフミヤの美しい声に、場内も息を潜めてじっくり聴き入る。前のコーナーでの怒涛のアップチューンを畳み掛け、ここでは静かなバラードと、緩急自在のステージ構成は見事に尽きる。
一転して静けさに包まれた会場を見わたし、「すごいシ〜ンとしてる(笑)」とつぶやき、「コロナ禍の中、声を出せないコンサートはシュールだよね」と嘆きつつ、「こんな中でも、どうやって盛り上げられるかを考えました!」と自身の考えを客席に提案。
「やっぱり、単純なロックンロールなんだよね」と、各客席の両サイドが空いてることを逆手にとって、「左右に身体を自由に動かしてください!」と促し、“1・2・3・4 !!”のカウントでロックンロールナンバー「WE ARE ミーハー」になだれ込む。
続く「GIRIGIRI ナイト」はバンドマスター大島賢治との共作曲で、オールディーズムード満載のロックンロール。この流れでフミヤの「ONE MORE ROCK’N ROLL!!!!」のシャウトで始まったのはチェッカーズの「NANA」(1986年)。
いつもなら大歓声が飛び交うが、この日のオーディエンスは左右に大きく身体を動かし応える。極めつけは、チェッカーズのデビュー曲「ギザギザハートの子守唄」(1983年)。もうどうなってもイイ! というぐらい、客席は大感激。声を出せない不自由な環境の中、可能な限り両腕と身体を揺らせて盛り上がりは最高潮に達したところで本編は終了。
興奮冷めやらぬ状態の中、場内はアンコールを求めるクラッピングで満たされる。そこへ、黒いTシャツ姿に着替えたメンバーがステージに再登場。
「皆さんのおかげで、無事、アンコールまでこれました」と先ずは客席に一礼。「昭和、平成、令和と3つの時代で歌ってきてます。なにせデビューはレコードとカセットテープですから(笑)」と話し、「超アナログな歌をプレゼントします! ダイヤルを回します!!」と、チェッカーズのセカンド・シングル「涙のリクエスト」(1984年)の冒頭アカペラコーラスをメンバーが歌い出す。
いよいよ始まるというタイミングでいったん止め、「普段だったらここで大合唱なんですけど、心のなかで歌ってくださいね!」とお願いして、一気呵成になだれ込む。各々の観客が腕にはめた光るブレスレットが飛び交い、会場内もきらびやか光景に包まれる。
そして、ラストは1994年発表のバラード曲「エンジェル」。両腕を胸にクロスさせて、朗々と歌い上げるフミヤはエンジェル(=天使)が降臨したよう。その姿に観客もうっとり眺め聴き入る。
10ヵ月に及んだ長いツアーが、何事もなく今日(最終日)を迎えられたことを改めてオーディエンスに礼を告げ、「また一緒に遊ぼうぜ!」と、全員での一本締めでステージを締めた。
このあとは舞台の左右に行き、深々とお辞儀。「また、お会いしましょう! じゃぁな! ありがと!」と告げてステージを降り、2時間20分に及んだ藤井フミヤ『ACTION』ツアーの千秋楽公演が終わった。
全国ツアー『ACTION』は、この日で全日程が終了したが、『One more ACTION』というタイトルで急遽、追加公演が決定。
8月9日に大阪城ホール、8月21日には横浜アリーナで開催される。チケットの先行受付は7月19日よりスタート。詳細は藤井フミヤ公式サイトでチェックしよう。
『FUMIYA FUJII CONCERT TOUR 2020-2021 ACTION』
7月10日(土)パシフィコ横浜 国立大ホール
<セットリスト>
01.BET
02.TOKYO CONNECTION(※)
03.UPSIDE DOWN
04.Style
05.この空の真下で
06.Rolling my Stone(※)
07.100Vのペンギン(※)
08.星屑のステージ(※)
09.ジュリアに傷心(※)
10.WANDERER
11.I Love you,SAYONARA(※)
12.ティーンネイジ・ドリーマー(※)
13.Another Orion
14.TRUE LOVE
15.ALIVE
16.WE AREミーハー
17.GIRIGIRIナイト
18.NANA(※)
19.ギザギザハートの子守唄(※)
ENCORE
20.涙のリクエスト(※)
21.言葉しかないLove Song
22.エンジェル
(※)=チェッカーズ・ナンバー
バンド・メンバー:藤井フミヤ(Vo/Gu/Harp)/大島賢治(バンドマスター/Dr)/山田“Anthony”サトシ(Ba)/沢頭たかし(Gu)/SUNNY(Key)/藤井尚之(Sax)
ライブ情報
『FUMIYA FUJII ARENA CONCERT 2021 “One more ACTION”』
08/09(祝・月)大阪・大阪城ホール
08/21(土)神奈川・横浜アリーナ
藤井フミヤOFFICIAL SITE
https://www.fumiyafujii.net/