■「ジャンルも時代も横断して、ただただ心地よい音楽を届けようとする彼女のスタンスが、ライブの構成からも明確に伝わってくる。」(本文より)
流麗なメロディと滑らかな歌声、そして安定したバンドアンサンブル。確かなスキルに支えられながら、決して頭でっかちにならない熱いパフォーマンス。ライブの最初から最後に至るまで、“音楽と一体になって遊ぶ楽しさ”が溢れ出してくるかのような素晴らしいステージだった。
6月27日、LIQUIDROOM ebisuにて行われた『竹内アンナ BAND TOUR 2021 at TENDER』の東京公演。この日のライブは、彼女の音楽的なポテンシャルとフレッシュなキャラクターが存分に発揮されたものとなった。ソフトロック風のカラフルなイントロが印象的な「RIDE ON WEEKEND」で会場を一気に引き込んだかと思えば、ライブ中盤にはTLCやジャネット・ジャクソンのカバーも盛り込んだメドレーを披露。ジャンルも時代も横断して、ただただ心地よい音楽を届けようとする彼女のスタンスが、ライブの構成からも明確に伝わってくる。
竹内アンナが「ジャンルも時代も横断」した音楽を生み出すにあたって重要な役割を果たしているのが、パフォーマーとしてのフィジカルな魅力だろう。「20 -TWENTY-」での日本語と英語を自在に遊泳するフロウ、「I My Me Myself」における渋みのあるアコースティックギターのプレイ、さらにはギターを置いて情感のこもった歌い回しを見せる「If you and I were,」など、ステージに立つ竹内アンナには「音楽と戯れている」なんて表現がしっくりくる。1曲の中で歌の表情を巧みに変えながら、曲のエモーションを強めていく「TOKYO NITE」のパフォーマンスからは、「表現力の高さ」というひと言では語り尽くせないアーティストとしての分厚さを感じ取ることができた。
「好きなように、自由に楽しんでください」。MCでオーディエンスにこう語りかけていた彼女だが、「自由に作られていない音楽」を聴きながら「自由に楽しむ」ことは難しい。その点において、竹内アンナのライブは気兼ねなく「音楽を自由に楽しむ」ことができる空間になっている。その開放的なムードは、今後もっと多くの人々に求められていくのではないか。そんな余韻を残しながらこの日のステージは幕を閉じた。
なお、7月10日にはUMEDA CLUB QUATTROにて、6月12日に実施予定だったライブの振替公演が行われる。この日のステージを経てさらにブラッシュアップされるであろうパフォーマンスを楽しみにしたい。
TEXT BY レジー
PHOTO BY Kazushi Hamano
リリース情報
2021.06.26 ON SALE
DIGITAL SINGLE「ALRIGHT -Acoustic Session-」
竹内アンナ OFFICIAL SITE
https://takeuchianna.com/