■「バンドのメンバーとか、80年代、90年代から関わってくれたみんなに『今回の1回だけでいいから、カメラの前で今まで言えなかったことも語ってほしい』って、僕から伝えました」(フィッシュマンズ・茂木欣一)
ドキュメンタリー映画『映画:フィッシュマンズ』が、いよいよ7月9日より新宿バルト9、渋谷シネクイント、アップリンク吉祥寺、池袋シネマ・ロサほかにて全国公開される。
公開を間近に控え、本6月20日、クラウドファンディングで応援してくれたファンに向け、最速上映の完成披露が東京・ユーロライブにて行われた。
【オフィシャルレポート】
7月9日より新宿バルト9、渋谷シネクイント他にて公開される『映画:フィッシュマンズ』のクラウドファンディング支援者限定の完成披露上映会が、6月20日、東京・渋谷のユーロライブで行われ、FISHMANS・リーダーの茂木欣一、監督を努めた手嶋悠貴が登壇した。
今年デビュー30周年を迎える孤高のバンド、FISHMANS(フィッシュマンズ)。楽曲のほぼすべての作詞・作曲を担当していたボーカル・佐藤伸治が1999年に急逝してから今年で22年。現在も活動を続け、音楽シーンに多大なる影響を与えており、海外での評価も高まっている。
そんなFISHMANSのドキュメンタリー映画となる本作。2019年2月の『闘魂2019』のリハーサルから撮影が開始され、明治学院大学ソング・ライツ部室、渋谷La.mama、渋谷クラブクアトロ、三軒茶屋クロスロードスタジオ、VIVID SOUND STUDIO、日比谷野外音楽堂など、メンバーのゆかりの地を訪れインタビューを敢行。今まで多くを語ることがなかった現・旧メンバーがカメラの前で当時のことを振り返り、貴重な話がライブシーンとともに織り交ぜられている。また、関係者が大切に保管していた100本以上のVHSなどの素材をデジタイズ化した本邦初の映像を多数収録し、音楽ドキュメンタリーとしては異例の、172分におよぶ渾身の作品となっている。
クラウドファンディングを通じて、2年前から本作を応援してくれた人々を前にした茂木は「いやあ…、感無量ですよね」としみじみと語り、「2019年2月からスタートしたものが、ここまでたどり着くまでに、僕は監督がどれだけの思いで、ここまで撮影と編集をしてきたかを、目の前で見てきました。監督の愛の深さ、そして関わっているスタッフの皆さんの愛の深さが本当に大きかったんですが、クラウドファンディングの皆さんの協力がなければ、血と汗と涙のこの作品は完成することがなかったです。皆さんが協力してくださったからこそ、全力の作品が仕上がったので、感謝しかないですね。皆さんがいてくださったことで、3時間の濃密な映画が完成したということに感謝しかないです。本当にありがとうございます」と頭を下げた。
また、クラウドファンディングで本作を作ると聞いたときに「FISHMANSのメンバーとしてできることはなんだろう」と考えたという茂木は、「クライアントが『こういう映画を作ってくれ』って言っているわけではないので、本格的なFISHMANS公認のものを作るしかないなと思ったので、バンドのメンバーとか、80年代、90年代から関わってくれたみんなに『今回の1回だけでいいから、カメラの前で今まで言えなかったことも語ってほしい』って、僕から2019年1月に仲間たちに伝えました」と打ち明け、「今までカメラの前で1度も語ったことのないような気持ちが、この映画で初めて語られている場面がたくさんあるので、クラウドファンディングで協力してくださった皆さんに、何か答えられるような形で映像になったんじゃないかなと思っています」と仕上がりに手応えをにじませた。
そして、クラウドファンディングで作品を作ることが初めてだったという手嶋監督は「どこからかお金をいただいて作る商業映画ではなくて、本当に観たい方たちや、本当にFISHMANSを愛している方々がお金を出してくれることで、いい意味で逃げ場がないというか、“絶対にいいものを作るしかないな”という強い気持ちがありました」と吐露し、「茂木さんをはじめ、メンバーの方たちや関係者の方たちが全力で応援してくれて、気付けば撮影だけでも1年間近くやっちゃったんですが、関わったスタッフのみんながFISHMANSを愛していたので、最後まで付き合ってくれました。編集も1年以上かかっちゃいましたけど、素晴らしい作品ができたなと思います」と胸を張った。そして「元をたどれば、クラウドファンディングのファンの方たちの力があったからこそ、最後まで手を抜かずに、ちゃんとFISHMANSと向き合えたと思います。本当にありがとうございます」と支援者に感謝した。
さらに、先に試写を観てくれたマスコミ・関係者からの反響も大きいそうで、茂木は「この前、神聖かまってちゃんのみんなが見てくれました。FISHMANSもメンバーが脱退していくとかあったんだけど、彼らも(ベーシストの)ちばぎん君が抜けたりして似たような境遇になったりして、彼らも染みていて熱く語ってくれたのがうれしかったですね」と笑顔を見せ、「僕がこの映画を見終わって思ったのは、FISHMANSの映画でありつつ、見ている1人ひとりの、人生の分岐点を思い出させるような映画になっているんじゃないかなって思いました。皆さんの“あのときの判断”とか、そういう1つひとつの積み重ねが人生なんだなって思ったりしました」と感慨深げに語った。
そして、撮影秘話を尋ねられた手嶋監督は、FISHMANSが2ndアルバムを制作していた当時、佐藤が勝手に新潟に行ってしまい、レコード会社での会議に姿を現さなかったというエピソードを挙げ「そういう風に佐藤さんがいなくなると、すごい曲を持って帰ってくるらしくて、そのエピソードが面白いなと思いました。ご実家でお母さんに写真を見せてもらったら、新潟の写真が出てきたんですよ(笑)」と明かすと、茂木は「それは知らなかった」と驚きつつ、「戻ってきたらすごいいい曲とか、いい歌詞を書いてきて、彼には曲作り期間はちゃんと与えることが大事なんだなと、そのときに思ったんだよね」と懐かしんだ。
最後に、FISHMANSとしての今後の予定を聞かれた茂木は「先日、FISHMANSの取材をたくさん受けたときに、若い世代の子たちに『もっとライブをやってほしい』って言われて、それはすごくうれしかったので、ライブを年内にやりたいなという気持ちと、実は今、毎日のように昔からキープしてあった古いライブ音源とかを全部聴き返していて、アンソロジープロジェクトを密かに進めている最中であります」とファンにはうれしい発表も飛び出した。
映画情報
『映画:フィッシュマンズ』
7月9日(金)より新宿バルト9、渋谷シネクイント他にて公開
出演:佐藤伸治
茂木欣一 小嶋謙介 柏原譲 HAKASE-SUN
HONZI 関口“dARTs”道生 木暮晋也 小宮山聖 ZAK
UA ハナレグミ YO-KING(真心ブラザーズ)
原田郁子(クラムボン) こだま和文
監督:手嶋悠貴
企画・製作:坂井利帆
配給:ACTV JAPAN/イハフィルムズ
(C)2021 THE FISHMANS MOVIE
■あらすじ
90年代の東京に、ただ純粋に音楽を追い求めた青年たちがいた。彼らの名前は、フィッシュマンズ。プライベートスタジオで制作された世田谷三部作、ライブ盤『98.12.28 男達の別れ』をはじめ、その作品は今も国内外で高く評価されている。
だが、その道のりは平坦ではなかった。セールスの不調。レコード会社移籍。相次ぐメンバー脱退。1999年、ボーカリスト佐藤伸治の突然の死……。
ひとり残された茂木欣一は、バンドを解散せずに佐藤の楽曲を鳴らし続ける道を選ぶ。その想いに仲間たちが共鳴し、活動再開。そして2019年、佐藤が世を去ってから20年目の春、フィッシュマンズはある特別な覚悟を持ってステージへと向かう――。過去の映像と現在のライブ映像、佐藤が遺した言葉とメンバー、関係者の証言を繋ぎ、デビュー30周年を迎えたフィッシュマンズの軌跡をたどる。
フィッシュマンズチャンネル【公式】FISHMANS OFFICIAL CHANNEL
https://www.youtube.com/channel/UCidxrkly1E665xDoTkaHNaw
『映画:フィッシュマンズ』作品サイト
https://fishmans-movie.com/
フィッシュマンズ OFFICIAL WEBSITE
http://www.fishmans.jp