櫻坂46がニューシングル「何歳(いくつ)の頃に戻りたいのか?」をリリースした。前作「承認欲求」から4ヵ月ぶり通算8枚目となるシングルの表題曲の選抜メンバーは、結成以来初となる、二期生と三期生だけ構成されている。二代目キャプテンで二期生の松田里奈と、前作に引き続き選抜入りを果たした三期生の山下瞳月はどんな心境で本作に挑んだのか。今年2月に国立代々木競技場第一体育館で行われた卒業コンサートで一期生の小林由依を見送った心境から話を聞いた。
──本題に入る前に今日のおふたりはどんなコンビって言ったらいいですかね。
松田里奈(以下、松田):珍しいよね。
山下瞳月(以下、山下):初めてですね。ふたりで取材を受けるのは。
松田:何かある? 共通点。好きな食べ物とか。
山下:ラーメンとお肉とお寿司。
松田:そうだった。私、焼き鳥だもん。
山下:焼き鳥では何が好きですか?
松田:普通に、ももか、砂ずり(砂肝)が好き。
山下:あ、私も砂ずり好きです。
松田:じゃあ、砂ずりコンビだね!!
山下:あはははは。
──(笑)渋すぎませんか?
山下:ふふふ。今日、まつり(松田里奈)さんとペアって聞いたときに、私、すごく楽しいって思っちゃって。
松田:いやいや、こっちもだよ。
山下:まつりさんは、本当に優しいんですよ。だから、もし私が言葉につまずいたとしても、絶対に温かく見守ってくださるだろし、いつ何どきでも笑顔で「大丈夫だよ」って笑ってくださるから、本当に安心するんですね。私だけじゃなく、三期生はみんな、本当に感謝してます。
松田:そんな! 恥ずかしい…でも、うれしい(笑)。
■由依さんが意図して、三期生に1年間、その背中を見せてくださってたんじゃないかなって
──(笑)改めて、櫻坂46「小林由依 卒業コンサート」を終えた感想から聞かせてください。
松田:めちゃめちゃ寂しいんですけど、全体での稼働が今日の取材まであんまりなかったんです。だから、逆に、由依さんの卒業を実感できない自分がいて。まだ、その寂しさがどっかに埋もれていて、見えないふりをしてるっていう現状です。ライブ自体はやっていてすごく楽しかったですし、由依さんの姿が最後までカッコよくて。その最後の瞬間をメンバーとファンの皆さんと一緒に送り出せたことはうれしかったです。
山下:私もやっぱ寂しいです。卒業されるって聞いたときから、後悔しないように話しかけようと思ってたんですけど、寂しさが勝っちゃうのが嫌で、逆に避けちゃってた自分がいて(笑)。でも、改めて、ありがたいなって感じました。三期生が加入してちょうど1年になるんですけど、由依さんが意図して、三期生に1年間、その背中を見せてくださってたんじゃないかなって。そう思うと、すごくありがたいなって思いましたし、それを悲しいで終わらせるよりは、三期生がいただいたものをちゃんとグループに貢献できるようにしなきゃなっていう覚悟が決まった日でもありました。
──山下さんは何を受け取りましたか?
山下:個人的にはすごく優しさをいただきました。私がちょっと不安そうな顔してると、「できなかったの?」って言ってくださったり、甘えさせていただいた部分が多かったです。初めて私が表題曲に入らせていただいたときも、一緒にレッスンしていて、バミリがずれてると、「ここのバミリ違うよ」って、後ろから私と(谷口)愛季に教えてくださったりとか。私たちは自分のことで精いっぱいなんですけど、由依さんは視野がすごい広くて、周りを常に見て、行動してらっしゃるなとすごく感じました。
──松田さんにとってはどんな存在でしたか。
松田:由依さんはカッコよくて、そこにいるだけでグループが引き締まる存在だったし、櫻坂のパフォーマンスを底上げしてくださってたような方だったなと思います。そういう面で憧れてるメンバーが多かったですし、パフォーマンスに対する熱意や賭ける思いの大切さを身をもって教えてくれたので、これからもずっと引き継いでやっていきたいなって思いますね。
■過去は見るな、先の未来を見ろって言ってる、前向きな歌
──小林由依さんが卒業した後のタイミングで、「何歳の頃に戻りたいのか?」を受け取ってどう感じましたか?
松田:この曲は、過去を振り返ったりしながらも、最終的には、過去は見るな、先の未来を見ろって言ってるので、前向きな歌だと思います。私自身は、“あのときああだったな”って思い出すタイプだし、“昔はめっちゃ楽しかったな”って思う時期もあったりもするし。いや、でも、そんなことばっかじゃなくて、“楽しくなかったな”って思い出すときもあって…。
山下:私は今までの人生の中で、何歳の頃に戻りたいなって思ったことがなくて。私はまつりさんと逆で、過去を振り返らないタイプというか。
松田:かっこいい!
山下:あははは。恥ずかしい。終わってしまったことを後から思い出すことも、後悔することもなくて。曲調がアップテンポで、踊ってて楽しかったです。
──松田さんは何歳の頃に戻りたいんですか?
松田:私も言ってしまえば、今がいちばん楽しいんですけど、強いて言うなら、10代の頃に戻りたいです。18歳ぐらいかな。今の記憶があるままで、オーディションを受けたときに戻って、もう1回、グループ活動を頑張りたい。昔に比べたら、あのときよりは少しはダンスを踊れるようになったので、今の記憶のままで戻ったら、そこから3年後の今には更にダンスがうまくなってる気がする(笑)。
──山下さんは一度も考えたことない?
山下:そうですね。何歳のときも自分だったので、後悔はあまりないです。もちろん、あのときはああすればよかったって思うことはたまにありますが、結果オーライ型なので、今が楽しければすべていいと思っています。
松田:本当に今、楽しいからね。みんなと一緒に入れて、みんなで活動できてることが楽しいし、幸せなことが本当にいっぱいある。たぶん、そう思ってるメンバーが多いかもしれないですね。今を楽しんでるっていう。
■個人的には、グループとしての目標として、ドームツアーをしてみたいなっていう思いがあって
──未来のことは考えたりしますか?
山下:私はなりたいものを昔からあんまり作ってこなくて。口にすると、叶わなかったときに、一生夢になるような気がして。だから、言わないようにしてるし、あんまり目標やなりたい人物像を作らないようにすれば、自分に自信なくなったときに自分に悲しくならないといいますか。あんまり嫌な気持ちにならないので、そういうふうにしてます。
松田:私もグループの目標だったら口に出すんですけど、やっぱりファンの方に何よりも楽しい日々を過ごしてもらいたいので、今年も、わくわくするお知らせができるような活動をしたいなって思っています。個人的には、グループとしての目標として、ドームツアーをしてみたいなっていう思いがあって。ドームを2日間やるだけでもすごいことだし、アリーナツアーもありがたいことなんですけど、さらにその上の景色をファンの皆さんと見てみたいって思うので、そんな未来がいつか叶ったらいいなっていう思いがあります。
──それはグループ全体の夢としてみんなで掲げたものですか?
松田:いや、私が勝手に言ってるだけで、グループの目標としてるわけじゃないので、個人個人思うこともあるかもです。
山下:私もオーディションに合格してから、今の三期生のメンバーで、セカンドツアーの最終公演の東京ドームを見に行かせていただいたんです。いちばん上の席から見てたんですけど、やっぱりすごい広いので、モニターでしか先輩方の顔を見れないぐらい距離が遠くて。でも、そのあと、ZOZOマリンスタジアムの会場に立ったときは皆さんの顔がちゃんと見えた。その対比をこの1年という期間に体験することができたので、私たち三期生が加入してからの櫻坂で一緒にドームに立てる日が来たら、私もすごいうれしいです。
■自分自身も大きく変わった期間だったので、その分、不安も大きくて
──表題曲は初めて二期と三期だけになってますが、メンバーとしては何か感じるものってありますか。
松田:もちろん一期生の存在って大きいんですけど、あんまり期生で考えたことなかったので、一期生さんがいないということに重きを置いてるわけではないです。それよりは、今回のこの楽曲、ダンスをどう頑張ろうかって思ってる感じだったので、あまりそこは意識したことなかったです。
山下:そうですね。私たち三期生は、今回、5人を選んでいただけて。私は前回のシングルで選抜に選んでいただいて、三期生として活動しているときとは意識がすごい大きく変わって。そのことを前回、選んでいただいた4人のメンバーで話すことも多くて。その意識を三期生のほうにも持っていくことができたらいいねっていう話をよくしていたんです。自分自身も大きく変わった期間だったので、その分、不安も大きくて。ちゃんとしなきゃいけないのはずっとなんですけど、先輩方と一緒に活動させていただくと、自分の足りてない部分をすごく実感するんですよ。努力しても追いつけない経験値の違いはあるんですけど、それをマイナスの方に捉えないで、自分に吸収できるように頑張ろうっていう期間に今回はできたらいいなと思いますし、少しでも自分が力になれたらいいなと思います。
──MVは、小林由依さんのソロ曲「君がサヨナラ言えたって・・・」とも繋がってますよね。「何歳の頃に戻りたいのか?」の花柄ワンピのメンバーの足元だけ映ってました。
山下:由依さんのMVの最後に2列目のメンバーが前に進むみたいなシーンを撮ったんです。そのときは由依さんのMVの企画を私たちは全然知らなかったので、どのように使われるのかわからなかったんですけど、完成した映像を見て、そういうことか!と思いました。
松田:うん。由依さんがいなくなっても前に進んでいくよっていう表現になってると思います。
■「承認欲求」と「Start over!」のフリが入っています
──さらに、本作のMVには櫻坂46のこれまでの曲の振りが入ってようにも感じました。
松田:2サビのみんなが円になってるところは「承認欲求」と「Start over!」のフリが入っています。
──どんなテーマで撮影したんですか?
松田:私たち3列目はウェイトレスで、仕事を嫌々やらされてるような生活をしてて。だから、最初はウェイトレスのダンスも踊らされてるようなイメージなんですけど、そこに天ちゃん(山崎天*「崎」はたつさきが正式表記)が来てどんどんいい意味で支配されていくっていう。
山下:私たちは、ウェイトレスのみんなが天さんに引っ張られて、この世界も楽しいんじゃないかって思うようになってくるのを、ちょっと気だるそうに見てる。「こんなのつまんないよ」みたいにウェイトレスのみんなを倒す振りもあったりして。あの世界観の中での対比になってました。
──特に印象に残ってることは何かありましたか。
松田:2サビはみんなで円になって、私たちは天ちゃんの周りでノってるんですけど、すごく楽しかったです。フリーでノリ方も自由でやってたのが楽しかったです。
山下:外の撮影で時間も長かったので、すごい寒くて。しかも、今回、ちょっと薄めの衣装の人が多かったので、ヒートテックを中に着込めなくて。めっちゃカイロ貼ってたんですけど、あのMVで、普通にかっこいい顔してる(田村)保乃さんが、あの中にカイロを14枚も仕込んでるって言ってて。面白いなと思いました。
松田:14枚ってすごいよね。そんな隙間あるかな?
──(笑)ここ見てほしいっていう見どころを教えてください。
松田:私はまず、ラストのシーンです。みんなが感情をバーって出してて、楽しかったので、そのシーンのみんなのひとり一人の表情に注目して欲しいです。あと、1サビ前の天ちゃんがソロでちょっと笑ってから、1サビを踊るっていうシーン。その天ちゃんの表情がすごい好きなので、そこを注目してほしいです。
山下:私、今回の衣装がすごい好きで、ウェイトレスの衣装もかわいいですし、ひとり一人のスタイリングの衣装もすごいかわいくて。天さんが見たことないようなお洋服ばかり着てらっしゃって。それが何パターンもたくさん出てくるので。
■すごくかっこいいスタイリングなのでお洋服が好きな人にも伝わったら
──走りながらどんどん変わっていく映像もありました。
山下:あれもたぶん全部お着替えなさってるので、その天さんの頑張りと(笑)、すごくかっこいいスタイリングなのでお洋服が好きな人にも伝わったらいいかなって思います。
──カップリングも少しだけ聞かせてください。選抜メンバー「泣かせて Hold me tight!」には“故郷の風景”というフレーズはありますが、故郷はどんな存在になってますか。
松田:家族が「いつでも帰ってきていいよ」って言ってくれているので、私には、たとえ駄目になっても帰る場所があるからって思える、心の安心材料です。
──三期生曲もありますよね。
山下:三期生はまだ加入して1年で5曲目をいただけて。これがいつまで続くのかわからないですし、みんな毎回、これが最後だと思ってやってる部分もあると思うのですが、三期生にしては珍しい曲調というか。私の中で勝手に三期生は、パフォーマンス重視の曲やMVが多いイメージですが、この曲は歌詞が「マモリビト」ぐらいストレートというか。
■あまりにもストレートな歌詞すぎて、いったいこれをどう表現すればいいのかってことはすごい悩みました
──好きすぎて眠れない曲ですよね。
松田:かわいいなー。まず、「何度 LOVE SONGの歌詞を読み返しただろう」っていう題名が気になりますよね。
山下:今まであんまり恋愛の歌を歌わせていただいたことがなかったので。三期生は毎回、みんなで話し合いをするんですけど、この歌の解釈はみんな苦戦していて。苦しい感情のほうに持っていくのはみんな得意なんですけど、あまりにもストレートな歌詞すぎて、いったいこれをどう表現すればいいのかってことはすごい悩みました。
──センターは?
山下:村山美羽が務めてます。私のイメージでも、ファンの方のイメージでも、美羽は曲に没頭するというか、感情がぐっと前に出るタイプなので、もちろん、その美羽も見れるんですけど、ちょっとかわいい美羽も見れると思います。
松田:楽しみだね。
山下:でも、たしかに美羽ちゃんだって思うと思います。
■グループとしてユニット曲が増えるのはいいなと思っている
──ユニット曲もありますよね。
松田:私も「On my way」の次をやってみたいと思っちゃうところはあるんですけど(笑)、それ以上に、グループとしてユニット曲が増えるのはいいなと思っていて。今回は3人ずつなので、新しい感じではあるので、ワクワクがありますね。
──キャプテンのほうはどんな組み合わせに見えてますか。
松田:森田ひかる率いるチームは「承認欲求」でもシンメでやってたので、ちょっとかわいいね…なんて言われてたっけ?
山下:ちいかわフロント…(笑)。
松田:そうそう。森田、山下、谷口で“ちいかわフロント”チームですね(笑)。山崎、小島(凪紗)、向井(純葉)の3人は年齢が近いし、天と純葉はよく絡んでるイメージもある。
山下:いいですよね。高校生メンバーの3人で、歌詞に“女子高”とか入ってるので、高校生だから元気よく歌えると思います。
松田:ぴったりだよね。学生の子しか歌えないような曲だし。藤吉(夏鈴)、中嶋(優月)、村井の3人は見えないですね(笑)。ちょっとタイプが違く見えるので、どういう化学反応が起きるのか気になりますけど、いろんな曲が入ってるので、何か救いになる楽曲が1曲でも届いたらいいなと思います。
──全7曲ありますけど、櫻坂46にとってはどんな1枚になりましたか。
松田:2024年の一発目のシングルなので、スタートダッシュの1枚にしたいです。
山下:ちょうど去年の今の時期に「桜月」がリリースされたんですけど、「桜月」に収録されてる「夏の近道」が三期生にとって初めての参加シングルで、私は「夏の近道」のミュージックビデオにもまだ登場もできてなかったので、ちょっと思い入れがある時期なんです。このシングルを通して、1年経ったんだなっていう、私にとっても節目のシングルでもあるので、これを機にいいスタートを切れたらいいなと思います。
■毎年、勝負の年ではあるんですけど、特に勝負の年なのかなって
──どんな1年にしたいですか。最後に今年の目標を聞かせてください。
山下:去年は三期生として、グループの力を借りて、先輩方の頑張りに甘えさせていただいてた部分が大きかったと思うので、今年は甘えるんじゃなくて、三期生もどんどん個が強くなっていけたらいいなと思ってます。それぞれがどんどん個性を出しつつ、強くなっていって、それぞれ自分ができる部分でグループを支えていけるような存在になっていきたいです。
松田:2023年はファンの方や周りの方から、「すごく楽しい1年だった」とか、「今年はすごかったね」っていうお褒めの言葉をたくさんいただいたので、だからこそ、私的には今年がちょっと不安というか。毎年、勝負の年ではあるんですけど、特に勝負の年なのかなって思ってて。せっかく去年はすごいいい内容の1年を過ごさせていただいたからこそ、今年もその波に乗って、さらに右肩上がりで行くような1年にしたいなと思ってます。去年は見たことない景色を見れたので、今年もまた違う新しい景色をみんなで見に行けたらいいなって思うし、年の終わりの「今年も最高の1年だったよ」って、皆さんに言っていただけるような1年にできるように頑張りたいですね。
INTERVIEW & TEXT BY 永堀アツオ
楽曲リンク
リリース情報
2024.2.21 ON SALE
SINGLE「何歳の頃に戻りたいのか?」
ライブ情報
櫻坂46「全国アリーナツアー」
3月2日(土)【福岡】マリンメッセ福岡 A館
3月3日(日)【福岡】マリンメッセ福岡 A館
3月12日(火)【大阪】大阪城ホール
3月13日(水)【大阪】大阪城ホール
3月19日(火)【愛知】日本ガイシホール
3月20日(水・祝)【愛知】日本ガイシホール
3月26日(火)【神奈川】ぴあアリーナMM
3月27日(水)【神奈川】ぴあアリーナMM
プロフィール
櫻坂46
サクラザカフォーティシックス/2020年10月14日より櫻坂46の活動がスタート。同年12月に1stシングル「Nobody’s fault」のリリースし、オリコンウィークリーランキング1位を獲得。2021年9月から10月にかけて初めての全国ツアー「1st TOUR 2021」を有観客で開催。10月に3rd Single「流れ弾」を発表, 12月には「1st YEAR ANNIVERSARY LIVE」を日本武道館で開催。そして実力・話題性共に評価を受けて2年連続となる第72回紅白歌合戦に出場した。2022年8月に1stアルバム『As you know?』を発売。2023年1月、三期生メンバーオーディション合格者11名の加入を発表。23年11月25日、26日にZOZOマリンスタジアムにて櫻坂46『3rd YEAR ANNIVERSARY LIVE』を、また同年11月~12月には、櫻坂46三期生「新参者 LIVE at THEATER MILANO-Za」を開催した。
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