2023年1月からTVアニメが放送中の多次元アイドルプロジェクト『UniteUp!(ユナイトアップ!)』に登場するアイドルグループの中から毎回、1組をピックアップし、2次元のアイドルと3次元の声優の魅力に迫る連載企画。
第3回目は個々のスキルが高いダンスボーカルグループ、LEGIT(レジット)。それぞれが磨き上げた“ホンモノ”のパフォーマンスでてっぺんを目指す実力派の役柄を背負った3人が臨む未来とは──。
■自分たちが声を吹き込んだキャラクターたちをやっと皆さんにお届けできるんだって
──アニメ放送が始まったときの心境から聞かせてください。
助川真蔵(以下、助川):先行上映会で全員同じタイミングで見たんですけど、本当に感動しましたね。準備期間が長いコンテンツだったし、僕たちは絵コンテのタイミングでアフレコをさせていただいてて。そこにアニメーションの動きが付き、音楽が付き、どんどん肉付けされていって。自分たちが声を吹き込んだキャラクターたちをやっと皆さんにお届けできるんだって感じたときは本当にうれしかったですし、シンプルに感動しました。どうですか?
坂田隆一郎(以下、坂田):途中でコロナの影響もあったので、果たして本当にアニメは流れるのだろうかと不安になったこともあったんですけど、実際に作品として、アニメで自分の演じたキャラクターが動いて、俺の声で話しているというのが生まれて初めての経験だったので、うれしくも不思議な気持ちになって。…なんだろうな、本当にアニメになってるよっていう感じで、まだ実感がないのかもしれないですね(笑)。ただ、話数が進むにつれて、“もっとこうすれば良くなるな”という課題も見えてきたなというのが正直な気持ちです。
森蔭晨之介(以下、森蔭):僕も実感してるのかしてないのかわかんないぐらい、完成形を見て感じることが多いですね。例えば、アフレコをしたラフ画の状態では細かい表情までは描かれてないので、放送されたときに初めて知ることもたくさんあって。「はい」という短いセリフでも、その表情に合わせた「はい」のニュアンスをラフ画の状態でもどんだけイメージできるのかが必要なんやなって思いましたね。
■声優は喉だけでやってるって思ってたんですけど、結構、スポーツ並みに全身運動なんです
──皆さんは舞台や映画に役者として出演してきましたが、声優業は初挑戦ですよね。改めて、本プロジェクトのオーディションに受かったときはどんな心境でしたか。
助川:何よりもうれしかったです。こういう形で、初めての声優にチャレンジさせていただけるのは本当にうれしいことだなと思ったので、そのオーディションに合格したタイミングで、僕はできることは始めようと思ってて。普段は漫画ばかりで、そんなにアニメを見るタイプではなかったんですけど、多少詳しくなれるように、アニメを見たりし始めましたね。
森蔭:合格したときは、よくわかってなかったですね。事務所の人に「本当にできるか、お前は?」って聞かれて、そのときの気持ちで、自分の中で解釈して、「はい」って言ったんですけど、全然わかってなかったと思います。そのあとに、レッスンが始まって、わりと急ピッチで声優に必要なことを学んで。初心者に教えるには、ちょっと多すぎるくらいの情報量だったんですね。私生活から見直すというか、気に掛けないといけないことがあまりにもたくさんあって。これも直さなあかんし、あれも直さなあかん、みたいな。そこに真面目に取り組んでみて、とにかく細かく気を使う部分が多い仕事なんやなと知って。声優は喉だけでやってるって思ってたんですけど、結構、スポーツ並みに全身運動なんですよ。自分が出してると思ってる声と、実際に録音した声が全然違っていたりもする。そういう作業を自分でしていかなあかんから、大変でしたね。
坂田:僕はもともと声優をやってみたいと思ってて。幅広くいろんな活動してきたんですけど、声優はやったことがなかったので、多次元のプロジェクトがあるということで、マネージャーさんと絶対受かりたいっすねって話をしてて。歌とお芝居のオーディションがあって、歌は得意だったので、声優としてどうキャラクターになりきれるのか。普通のお芝居とはまた違うので、チャレンジの意味で頑張ってやってみて。実際に合格して、めちゃくちゃうれしかったです。26年間住んだ福岡から、すぐに上京するって決めて。やっと東京で活躍できるのかっていう期待も込めて出てきたんですけど、あの頃はずっと不安ではありましたね。声優はやったことがないし、東京はやっぱり怖い印象あるじゃないですか。
助川:怖いとこっすよ(笑)。僕は東京出身で、ふたりが生まれ育った京都と福岡にはあまり足を運んだことがないので行ってみたいですね。
坂田:このプロジェクトは全国的にやってるから、まぐ(助川)を俺らの地元に連れて行きたいですね。いろんな出身のメンバーが多いので、イベントとかで地方に行けたらうれしいな。
■(3人で顔を合わせたとき)最初は探り合ってたと思います
──3人で最初に顔を合わせたときのほうを覚えてますか。
森蔭:レーベルの打ち合わせ?
坂田:音楽的な話を聞いたときがいちばん最初だ。何が好きなのかとか、個人的な部分をお互いちょっと知るっていう回があって。そこで初めて顔合わせて。ふたりとも年下なんですけど、どっちもやんちゃしそうだなって思いましたね。
助川:あはははは。
坂田:まぐはキャップを被ってて、ヒップホップの感じの印象があって。特に音楽の話をしてるときに、ヒップホップが好きでっていう話をしてて。好きなアーティストさんの話も王道っていうより、詳しいとこまで話してたような印象があるから、“やばい、こいつに負けられんな”っていう変なスイッチが入って。のすけ(森蔭)はのすけで、すましてるというか、あんまり食いついてやるタイプでもなかったので、彼は気取ってんのか?みたいな(笑)。最初は探り合ってたと思います。
助川:それはみんなあったのかなと思います。のすけ君と僕は専門学校が同じで、一方的に知ってて。当時は彼、尖りまくってたんですよ。中身は知らなかったんすけど、服はトゲトゲが出てて尖ってるし、雰囲気も尖ってるし。
坂田:もう見た目から尖ってたんや。
助川:レディー・ガガしか履かないような厚底のブーツを履いてたからね(笑)。隆くんは、年齢がいちばん上という事前情報も知っていたので、最初から優しいお兄ちゃん感が出てました。頼れる兄ちゃんなんやろなって。でも、そのときはそんなに喋ってないですよね。ほんとに顔合わせだけで、しっかり仲良くなったのは、レッスンが始まって、ご飯を食べ行ったりするようになってから。
森蔭:レーベルの打ち合わせで初めて会ったとき、僕は資料やアーティスト写真がなくて。普通のインスタであげてる写真がアーティスト写真として載ってたんすけど、背景が真っ赤で、頭は金髪で、ネイルもガチガチで、胸元もガッツリ開いてるような写真やったんですよ。それだけ見ると、「こいつ、今日、こーへんちゃう?」みたいな感じになってたらしく、僕が普通に時間通りに行ったらなんか褒められて(笑)。あと、初めて会ったときは、ふたりはもう見るからにイケメンなので、イケメンやなと思って。…僕、イケメン、ちょっと嫌やから。
坂田:態度に出てたぞ!
森蔭:あははは。このふたりと、やっていくんかってよりかは、打ち合わせみたいな感じやったんで。そんときは別に、ちゃんとした印象はなかったんですけど、そのあとにまぐちゃんとご飯に行って、喋って。そのときに専門学校が一緒っていうことも知って。そこですぐに距離が近くなって。坂田くんとは、レッスンが始まってからかな。
坂田:他の仕事があって先に出ちゃったんですけど、俺を置いてふたりで飯に行ってて。だから、次に会ったときに、距離感がもう違ってたんですよね。ふたりだけが一歩進んでたから、俺はちょっと孤独を感じてました(笑)。でも、ちょっとずつお芝居に関しても話したりとか、もともとどんなことやってたとか、会話をするようになって。いい子たちでよかったなって思いました。
──(笑)「まぐ」「のすけ」「隆くん」とあだ名とか呼び合うようになったきっかけはあったんですか。
森蔭:僕は「坂田くん」ですけどね。
助川:僕も最初は「坂田くん」って言ってて。でも、「かしこまってんのやめろよ」って言われて、そこから「隆くん」呼びになった。
坂田:下のふたりがあんまり気を遣わないように。べつに敬語を使わなくていいし、言いたいことは言えよっていうのだけは言ってて。「坂田くんって、苗字で呼ばないで。ちょっと寂しいから」みたいな。
森蔭:「隆くんって呼んでよ」って言われたんですけど、僕の中でめっちゃ気持ち悪いんですよ。「隆くん」って何?って。
坂田:何?この小学生みたいなやつ(笑)。
森蔭:あははは。僕、名字で人を呼ぶのが好きなんですよ。「坂田くん」って、めっちゃ似合うじゃないですか。だから、「坂田くん」と呼んでますけど、そんなに気は遣ってないですね。
──自分たちがLEGITになったなって感じた瞬間はありましたか。
助川:僕はまだ感じてないかもしんないっすね。もちろん、話数が進んでいくごとに、感じることはあるんですけど、完全に自分でLEGITじゃんっていうのはまだなんです。自分的にはなるのかもわかってないですし、もしかしたら自分の実力不足でなれない可能性もあるんで。
森蔭:なれないっていう結果もあるの(笑)。
坂田:やめなさい。なるんだよ。なろうぜ!
森蔭:ま、LEGITになったなっていう実感はたしかにまぐちゃんと一緒の感覚だと思うんですけど、3人でいる時間がなんだかんだ1年ぐらいあるし、アニメも始まって、キャラクターもはっきりしてきて今でもやっぱ気づくことしかないから、徐々に感じてる部分あるかもしれないです。LEGITというグループと、キャラクターのことと、演じてる中の人のことを毎日知っていく作業をそれぞれがしているし、じわじわと感じてるのかもしんないです。
坂田:LEGITは、それぞれがいろんな活動していて、集まったグループなんですけど、LEGITらしさの全容を知るのはまだ先かもしれないですね。ただ、アフレコで、(高尾)大毅と(二条)瑛士郎の喧嘩を見てる(東郷)楓雅のシーンがあって。アフレコ現場でも実際にふたりが言い合ってて、僕はそれを待ってるっていうか、聞いていたんですね。そのときに、こういう日常がLEGITの中であるのかなと感じて。あのアフレコの雰囲気はアニメのLEGITまんまでしたね。
■正面を向きながらブチギレるっていう。画面見ながらブチギレて、それを聞いてブチギレるみたいな
──おふたりはそのアフレコを覚えてますか。
助川:難しかったっすね。やっぱり体を動かす芝居ばかりしてきたんで、声だけで表現するってのは難しかったです。それに感情を乗せて、プラス、キャラクターを作らないといけない。僕たちは、「マイク前に立つと、会話してる感がない」ってずっと言われて。「ひとりで喋ってる感じに聞こえる」っていうのは僕たちの中で課題だったので、対策というか、アフレコブースの中でも一旦面と向かって、相手の目を見てからマイク前に立ってやってみたりしていて。そこがうまくいったのかどうなのかですけども、OKをいただいたので。でも、自分で聞いて恥ずかしかったですね。
──ぶつかり合ってる感が出てましたよ。
助川:いや~、恥ずかしかったですね。
森蔭:僕は普段、感情的に怒ることはあまりないんですけど、イメージはできる。でも、瑛士郎は声を荒げて怒ってはいけないっていう冷静さがあって。それでも大毅とぶつかり合えるぐらいの熱量や声の圧があるので、そこが難しかったですね。現場でも大毅に飲み込まれて、日和っちゃうんですよ。でも、絶対に日和っちゃいけないキャラクターなんで、どうやって圧で大毅を押すかっていう勝負だった。それを顔を見合わせずに、横並びのマイクでやってるっていうのが、今、思えば独特やなと思って。
助川:あの回はね、結構長い時間やったんですよ。ずっと怒り続けて。集中力を保ち続けるのも大変だったし、これを一発でしていらっしゃる方たちは本当にすごいんだなっていうふうに思いました。
森蔭:正面を向きながらブチギレるっていう。画面見ながらブチギレて、それを聞いてブチギレるみたいな。
助川:すごい難しいですね。
坂田:あと、3話で3人のライブステージがあったときに、僕はLEGITになったのかなって感じたんですよ。実際に僕らがリアルでやってるわけじゃないですけど、キャラクターとして、僕らの歌声でライブをやってるLEGITの姿を見たときは、こうやってLEGITになっていくのかなっていうのが見えた気がした。
──いつか生身のライブステージがみたいですね。
助川:やりたいですね。
坂田:…ただ、ダンスが。「天才っていいよな。またあいつが賞とったらしいぜ」って言われてたし。
助川:バッキバキですからね。あの表彰状とトロフィーを見たら、プレッシャーがやばいですよ。でも、いつかライブはやりたいですね。
──ちなみに、ヒップホップグループだという点はどう感じてましたか。普段聴いてる音楽も教えてください。
助川:僕は普段から聴いているので、抵抗なかったですね。唾奇、CHICO CARLITO、CHOUJI、TOCCHI、仙手、Awich…。沖縄のラッパーばかり聴いてますね。この間、『THE FIRST TAKE』でAwichがフィーチャリングしていたSugLawd Familiarも好きで、「Longiness」という曲をよく聴いてます。
■LEGITは、ちょっとJ-POP離れしてる感じがある
──かなりコアなところまで聴いてますね。
坂田:知ってる人もいるし、何それみたいなところもあるから、クソって思って、いちいち調べたりしてます(笑)。最近はK-POPが好きですね。Stray KidsやBTS、ITZY、LE SSERAFIM、NMIXX、XGとか。K-POPはラップもあるし、歌い上げのもあるし、ダンスも激しかったりするので、LEGITとも近い要素もあるのかなと思って、ちょっと研究したりもしたました。どんどんカッコいいグループが出てくるし、LEGITもそこにちょっと介入できるぐらいになれるかなと思って。LEGITは、ちょっとJ-POP離れしてる感じがあるから。
助川:いつか『MAMA』(Mnet Asian Music Awards)に出てるかもしんないっすね。
坂田:やばいね、出たいですね。堂々と歩きたいな。
森蔭:僕は高校生の頃からラッパーの友達が多くて、二十歳くらいの頃に友達のラッパーのバックDJやったりしてたんで、結構、身近にありましたね。ただ、僕、例えば、洋服も好きなジャンルがなくて。ブランドは知ってるけど、名前覚えないんです。感覚だけで選びたいから、変に知識を入れたくないんですね。っていうのと、普通に覚えられないっていうのがあるんですけど(笑)、音楽も「何聴いてんの?」と言われたら、パッと答えられないかもしれないです。
坂田:最初に会ったときも「僕、あんまり聴かない」って言ってました。
森蔭:「聴かない」って言いつつ、ずっとイヤホンしてるんです、毎日。
──あはははは。
坂田:流れてないの?
森蔭:基本的に流れてます。音が流れないと嫌だし、無音は苦手なんです。基本的に耳に音楽があったほうがいいんですけど、その日の自分の気分と服装によって聴く音楽は変わりますし、ただ、朝聴く音楽は結構重要かもしれないです。
坂田:決まってはないの?
森蔭:ラップかな。
坂田:じゃあ、アフレコに行く前の朝は何聴いてた?とか。
森蔭:…なんだろ。あ、高校のときに水泳の大会の前に聴いてたのはSPYAIRです。すみません、全然ラップじゃなくなっちゃってました。
助川:アフレコとも関係なくなっちゃったね。
■LEGITとはどんなグループかというのが、このEPに全部に詰まってる
──(笑)そして、4月5日にEP『FIRE EP』がリリースされます。
助川:アニメではフルで出てない曲もあるので、ぜひフルで聴いていただきたいですね。LEGITとはどんなグループかというのが、このEPに全部に詰まってると思います。特に注目してほしいのは、「THE DAY」かな。いろんな人に聴いてほしいし、いっぱい売れてほしいですね。
森蔭:アニメが始まる前から出ていた曲もあって。普通にシンプルに曲を聴くだけでも、いい曲ばっかなんですけど、アニメの中でちょっと流れてたりしてる部分を聴くと、やっぱり、感じ方が変わるんですよね。“アニメのあのシーンで流れた曲やん”“これ、何話のエンディングの曲やん”っていうので、その曲が好きになっちゃったりする。あの現象ってなんだろうと思うんですけど、映像があるからイメージもできるんでしょうし、曲の意味や色がアニメによってより想像できるようになるんだと思う。そういう意味では、このEPを皆さんが、どういうイメージで、どういう気分で、どういうときに聴いてくれるのかすごい気になってワクワクします。それこそ水泳の大会のときに、「FIRE」を聴く、みたいな。
助川:水と火だから、真逆ですけどね。
坂田:気持ちは燃えてるっていう。
森蔭:そうそう、表裏一体。
助川:なんの話?
坂田:あははは。僕らは、LEGITチームのレーベルのスタッフさんともよく話すんですけど、すごく燃えてるんですよね。他のユニットにも絶対負けないし、他の作品にも負けない。本当にアーティストとして曲を出してるんだっていうことが伝わるぐらい、楽曲がカッコよくて。普通に僕、これに携わってなくて、街中で聴いたり、テレビでぱって流れてたら、絶対に調べて買うなって思うぐらい楽曲の強さを感じるんですね。そのくらい楽曲が良いことに加えて、僕らなりにキャラクターに当てはめて歌うことで、より強さが増してる。さらに、今後、ライブがあるんだったら、これからもっともっとカッコよくなるのかなっていう期待もしてもらっていいと思うんですね。僕ら3人のキャストと、支えてくださってるスタッフさんたちのすべての魂が入ってる。本当に止められない、止まる気がない、こっから突き進むぞ、燃え上がっていくっていう1枚になってると思います。
INTERVIEW & TEXT BY 永堀アツオ
PHOTO BY 大橋祐希
楽曲リンク
リリース情報
2023.4.5 ON SALE
EP『FIRE EP』
プロフィール
LEGIT
レジット/“Anela”がかつて所属していた芸能事務所で“Anela”のバックダンサーやソロの音楽活動をしていた3人が、sMiLeaプロダクションの設立を受けて、グループを結成し、自ら移籍。個々のスキルが高いダンスボーカルグループ。高尾大毅(たかおだいき)16歳/高2=助川真蔵(すけがわまぐら)、二条瑛士郎(にじょうえいしろう) 17歳/高3=森蔭晨之介(もりかげしんのすけ)、東郷楓雅(とうごうふうが)20歳/大3=坂田隆一郎(さかたりゅういちろう)。2023年4月5日に『FIRE EP』をリリース。
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