2023年1月からTVアニメが放送中の多次元アイドルプロジェクト『UniteUp!(ユナイトアップ!)』に登場するアイドルグループの中から毎回、1組をピックアップし、2次元のアイドルと3次元の声優の魅力に迫る連載企画。
第2回目は元アイドルの4人とシンガーソングライターの楽翔によって結成されたバンドスタイルのアイドルグループ、JAXX/JAXX(ジャックジャック)。前回の取材終わりに、PROTOSTAR(プロトスター)の3人に言われた「JAXX/JAXXは動物園ですよ」という言葉を念頭に置きながら、メンバーそれぞれの個性に迫った。
■バンドだからこそ奏でられる音がたくさんあると思う
──本プロジェクトへの参加が決まり、劇中でバンドを結成することになったときの心境から聞かせてください。
下前祐貴(以下、下前):バンドっていうスタイルがうれしかったですね。
masa:僕はシンガーソングライターとして音楽活動をしている身なので、ソロじゃなくてみんなで活動していくっていうことに対しての興味や好奇心、今までとは違う面白さを感じてました。年齢はわりと違うんですけど、皆さんと出会って、心が通じ合う部分があって。この先、このメンバーでやっていくっていう未来が見えたし、長いことやっていきたいなって思いましたね。
坪倉康晴(以下、坪倉):オーディションに合格した直後は正直、まだあんまりどういうプロジェクトかっていうのがわかってなくて。声優のレッスンをしていた期間でいろんな曲が出来上がっていったんですね。JAXX/JAXX、PROTOSTAR、LEGIT、Anelaと、全部違った色があって。仕事で音楽に触れたことはあんまりなかったんですけど。いざ触れてみると、すごく楽しいなっていうワクワクが止まらなかったですね。
高本学(以下、高本):PROTOSTARがアイドルで、LEGITがヒップホップ系で、僕たちがバンドっていう差別化ができているのもいいなと思いました。バンドだからこそ奏でられる音がたくさんあると思うので、アニメ好きだけじゃなく、バンド好きな人にもどんどん発信していきたいと思います。バンドだからこその問題も起こってくるかもしれないですけど、それも絆を深める良い機会じゃないかなと思うので、みんなのこれからに期待してます。
masa:プロデューサー目線やん。
高本:みんな、がんばってね。
馬越琢己(以下、馬越):(笑)バンドって、やっぱり仲良くないとできないものじゃないですか。ビジネス的に集められただけだと、音楽としてもバンドとしても成り立たない。楽器を通したコミュニケーションだと思っているんですけど、このメンバーは普段からわちゃわちゃしてるので、すごく面白い音楽を伝えられるようになるんじゃないかなと思い、最初からワクワクしてました。また、演技、声優、歌、楽器と、それぞれが新しく始めることも重要な部分なので、そこの成長も見ていただきたいなと思います。
■JAXX/JAXXのみんなで冒険できるっていうのがすごく楽しくて
──masaさんから「心が通じ合えた」とありましたが。
高本:そうっすね、これからですね。
masa:あははは。まだだった(笑)。でも、僕は最初からあんまり気を遣わずに思ったことを言えるなって感じてて。それに、1年間ひとつのことに対して長いことレッスンをしていって、だんだん打ち解けた感じもありますね。
高本:(笑)そうだね。やっぱり「UniteUp!」をたくさんの人に届けたいっていう思いはみんな一緒だから。レッスンを始めたときから、JAXX/JAXXはすごく仲良かったですし、やっぱりひとつの目標にみんなで向かうこと自体が仲良くなる秘訣なのかなって思いましたね。
坪倉:『UniteUp!』が大きくなってほしいという目標は同じで、そこに向かうルートがいくつかあるので、JAXX/JAXXのみんなで冒険できるっていうのがすごく楽しくて。プレッシャーはいろいろあるんですけど、みんなで話し合うことで意識がどんどん高くなっていったし、みんなのモチベーションも上がってくる。みんなでわちゃわちゃしながらも、ひとつの目標に向かって全力で頑張るっていうのは、ある意味、JAXX/JAXXっぽいなと思いました。時にふざけ合ったりしてという感じなので。
下前:僕たちは声優経験がない人が集まったグループなので、その点は共通しているなと感じてますね。かつ、masa以外の僕ら4人は彼よりは先輩なので、この世界の難しさを知ってるし、仕事の向き合い方も多少はわかってる。そんな僕らがmasaをセンターに置くっていう。そのバランスがとてもいいと思うんです。芸歴は関係ないんですけど、芸歴が浅い彼が無邪気にわがままにやってくれてるのを僕らが支えてるっていう。
masa:あははは。ほんとにそうだと思います。
■(劇中と)バランスが同じだと感じた瞬間に、これはもう世界取れるぞって
──劇中と一緒ってことですよね。
下前:そうです。ほんとに重なってますね。そのバランスが同じだと感じた瞬間に、これはもう世界取れるぞって思って。
坪倉:おいおい、大丈夫か?
下前:いや、ほんとにそう思ってます!
馬越: 楽曲が出来て初めて聴いたときに、masaのボーカルを世界中に広めたいなって素直に感じたんです。masaのボーカルを支えていきたいなって心から思ったんですね。だからこそ、ひとつの方向を向けてるのかなって。メンバーはみんな一緒なんじゃないかなと思うんですけど、masaのカリスマ性に惚れた部分がありますね。
masa:…泣くぞ。
坪倉:泣けよ。
下前:“masa号泣”って書いてくれるよ。でも、ありがとね、いつも。
masa:(桂)ほまれっぽいな。うるっときちゃうよ。
──メンバー一人ひとりの個性を知りたいので、隣の方を紹介していただけますか。まず、馬越さんから下前さんをお願いします。
馬越:下ちゃんは、隠れ熱血ですね。ひとつのことに集中すると周りが見えなくなっちゃうぐらい集中力がある人なので、意外と支えてあげないといけないなっていう部分があって。そのときの集中力は誰にも負けないぐらいの天性のものがあるんですけど、キャラクターのほまれとはわりとギャップがある人なのかなと思ってます。
下前:…満場一致?
masa:うん!ほまれさんとはちょっと違うかな。
下前:ほまれさんはグループの中ではお母さんポジションなんですけど、実際は、馬越くんと高本くんがしっかりもので、お父さんとお母さん。masaが末っ子で、坪倉くんがお兄ちゃん。…で、僕は犬かなって。
masa:あはははは。めっちゃ面白い。
高本:たしかにそれだね。
下前:ワンワンワンワン!ク〜ン…みたいな。犬だなって。だから、みんなの言ってることは理解してます。
馬越:自分のこと見えてたんや。俺、ただ駆け回ってるだけやと思ってた。
下前:(笑)僕は犬かなって気付いてました。坪倉くんは一見クールそうなんですけど、内面的にはキュートで天然なんですよね。僕、尊敬している部分があって、坪倉くんが演じている役の若桜潤とちょっと重なってるんですけど、嫌なものは嫌、好きなものは好きってちゃんと言うんですよ。自分の好き嫌いがちゃんとはっきりしてるし、できるものはできる、できないものはできないって言う。自分はそういうところを隠す癖があるんで、そこは尊敬してますし、プロ意識も高くて、ちゃんと仕事熱心な人だなって思ってます。あと、僕らは同い年なんで、最初から親近感があったし、大好きです。
高本:家族構成で言うと、子供がひとり、犬が二匹ですね。
坪倉:なんでや!
masa:犬というよりは猫っぽくないですか?
坪倉:そうですね、祐貴が最初に言ったんですけど、天然なんですよ。何も狙ってはないけど、ちょっとずれてるんですよね。
masa:5人で話してると思ってるときでも、康晴さんは「今、何話してた?」って言いますからね。ひとりだけ違う世界に入ってることがありますよね。
坪倉:あるね。僕から見た学くんは、最初は祐貴が僕に言ったことと同じ。クールに見えるけど、全然そんなことないんです。ほんとにお兄ちゃんのように、いろいろと相談にのってくれますし、いろんな話に対してちゃんと熱い。これは優しさのほうで、masaがいちばんおちゃらけるっていうか、ひたすらはしゃいでるんですけど、それにいちばん食いつくのが学くんなんですよ。誰にでも分け隔てなくいけるタイプで、あんまり嫌われるようなタイプじゃなくて。
高本:そんな嫌われる前提で言うのやめてよ(笑)。おれ、世間に嫌われてないよ。
masa:ぱっと見がクールだから、とっつきにくいってことだよね。
高本:むずっ。
坪倉:僕が言いたいのはそこじゃなくて。最初に出たのがクール。でも、優しさや真面目さもあります。で、おちゃらけっていうかわいい一面もありますっていう。多面性がめちゃくちゃあるんですよ。唯一…あるんじゃないかなって。
高本:何が?日本語忘れたんか?
下前:天然が入ってきてる?
坪倉:ワタシ、ニホンゴワカリマセンケド、コレは…すごいじゃん!いろんな面があるから。
高本:(笑)僕は真面目にいきますよ。masaは才能があるなといつも思ってます。僕は自分自身が好き嫌いがはっきりしてて、素直に物事を言っちゃうんですけど、そのままで素直に会話できる子だなと思いますし、純粋無垢で何事にも真っ直ぐに全力でやる姿勢も素晴らしくて。歌も上手で、声優としては初挑戦であり、演技自体が初挑戦なんですけど、すごく一生懸命取り組んでるし、実際に放送されたものを見ても、やっぱりすごい才能あるなと感じてて。一緒にいて楽しいなと思いますし、会話しててもそんなに年齢差を感じさせない。僕もどっちかっていうとふざけたがりなので、すごく気が合う友達だなと思いますね。いいところがいっぱいあるなっていつも思ってます。
坪倉:要は多面性があるってことですね。
masa:あはははは、話戻した。最後は僕から馬越さんですね。馬越さんは名前がいいですよね。
馬越:薄い薄い!
■メンバーみんなそうなんですけど、お芝居がわからなかったときにアドバイスをくれる
masa:(笑)メンバーの中でも、いつもくだらないLINEをくれたりするし、日常会話をいちばんするのは馬越さんですね。メンバーみんなそうなんですけど、お芝居がわからなかったときにアドバイスをくれるんですよ。あるレッスンで、ちょっとできなかったなって思ったときがあって。ちょっと悔しいなと思ってたときに、馬越さんが気づいてくれて。「大丈夫だったよ。次はこうしてみたらどう?」って言ってくれて。日々、僕を気にかけてくれてる人だと思います。あと、馬越さんでいいなと思ったのは、初見でこの人いじれるって思ったんです。いい意味で、すぐ仲良くなれるっていうか。歳は結構離れているんですけど、すぐ親しい会話ができたり、「なんでやねん!」って突っ込めたりするのは馬越さんのいいところだなと思いますね。最後に、これは音楽の話なんですけど、歌も上手なんですよね。「ライアー」で、僕が主旋律を歌って、馬越さんが下ハモを歌ってるところのマッチ度がよくて。僕はハイが強くて、馬越さんはローがしっかりしてる。そんなふたりの成分が重なったときに、“僕たち、めっちゃ合うやん”って思いました。演技については、教えていただいている立場なので、僕から言えることはないんですけど、本当に日頃からお世話になってる先輩です。
馬越:芝居に関しては教えられることは全部教えたいなって思ってます。音楽に関しては、もともとグループに所属していたので、今までやってきたことを全部還元していきたいなという思いもあって。みんなをハモリで支えていけたらなと思う次第です。
masa:結構、カッコいいんですよ。レコーディングでも僕が歌ったあとに、「俺が全部、下ハモで支えるから」って。
下前:カッコいい。
masa:それがあるからこそ、僕の声が心地よく聞こえてくるっていうのがありますね。
──今、音楽の話が出ましたが4曲入りのEP『SuperStar EP』がリリースされました。
masa:表題曲の「SuperStar」は、僕が作詞作曲をしたんですけど、最初は“はる賀”名義で歌ってて。(春賀)楽翔くんってすごく元気じゃないですか。いつも元気なんですけど、元気になるまでには何かあったんだろうなと思って。そのタイミングというか、ターニングポイントを抜けた後に書いた曲だなと僕的には思っていて。
──“消したくてたまんない傷”や“最低の毎日から”というフレーズがあります。
masa:そうですね。僕自身、小学生のときにいじめられていて。そこから音楽に出会って、スターの輝きに憧れて、シンガーソングライターとしての活動を始めたんですね。そこは楽翔くんと同じ気持ちなんだろうなと思って書き始めたのが、はる賀バージョンの「SuperStar」だったんです。これは、9話でわかるんですけど、楽翔くんは、中学2年生くらいで「お腹すいた」って道端で倒れてるんです。それは最低の毎日だなと思って(笑)。でも、そこからみんなと出会って、JAXX/JAXXとして大きなステージを目指していく。それは、楽翔くんとしては2度目のターニングポイントで、再スタートになってる。だから、JAXX/JAXXバージョンの「SuperStar」を聴くと、また違った魅力が出てるんじゃないかなと思います。
──“僕らの夢が走り出した”と“僕ら”として歌ってますもんね。
masa:はる賀としてSNSにアップしていた曲をどうしてみんなで歌ってるのかは、物語が進むとわかるんですけど、はる賀として活動していたときより、もっと広い世界を目指し始めたんだなっていう思いが伝わるといいなと思いますね。
──「ライアー」も春賀楽翔の作詞作曲になってます。
坪倉:僕、個人的に「ライアー」がめちゃくちゃ好きなんですよ。でも、JAXX/JAXXがライブする姿を見たら、「STORM’s EYE」にはJAXX/JAXXの夢が詰まってるなって胸に刺さってきて…。僕はいちばん、「STORM’s EYE」が好きです。
高本:…どっちやねん!「ライアー」が好きって言ってたじゃん。
坪倉:いや、好きな曲がふたつあったから。
■楽翔くんは才能溢れた天才だけど、この4人のメンバーじゃないと大きい風を起こせないっていう。JAXX/JAXXそのもの
──(笑)「ライアー」はラブソングですよね。
masa:そうです。楽翔くんはどういう恋愛をしているのかなって考えながら作って。15歳のキャラクターなので、僕だったら、ストレートに言いすぎだろって思うようなワードも恥ずかしげもなく書いてる。ちょっとかわいいなって思うくらいの言葉で直接歌にして届けるのが楽翔くんぽいのかなって思います。康晴さんが好きって言ってくれた「STORM’s EYE」はBURNOUT SYNDROMESの熊谷(和海)さんが作ってくださって。“誰だってGiftedだが/独りでは そよ風”っていう歌詞があるんですけど、楽翔くんは才能溢れた天才だけど、この4人のメンバーじゃないと大きい風を起こせないっていう。JAXX/JAXXそのものを表した曲だなと思います。
──バンドのアンセムのような曲なので、ライブで聴きたいですね。熊谷さんはもう1曲、8話のエンディングテーマとして流れた「A.P.P.L.E.」も提供しています。
下前:僕は昔から熊谷さんの音楽を聴いてたので、一緒にお仕事できて、なおかつ楽曲提供していただいてっていうところですごく感動して。かつ、「A.P.P.L.E.」は僕らの性格や声質、すべてを把握したうえで作ってくれた曲なんですよ。
masa:僕らとたくさん会話をして、みんなの性格をわかったうえで曲を書いてくださったんです。本当にJAXX/JAXXのことを親身になって気にかけてくれてて。いつもいちばん心配してるのは下前くんのことで、会うたびに「下ちゃん大丈夫?」って聞いてくれるんですね。そのくらい、JAXX/JAXXのことを好いていただているし、メンバーの内面も知ってくれていて。
下前:そう。自分はファルセットが太めに強く出るから、ファルセットを固めようとか。そういうのも全部入れてくれてるんですよ。
masa:「STORM’s EYE」をレコーディングしたのは結構前だったんです。最後のレコーディングが「A.P.P.L.E.」だったので、年月を経て、考えてくれてっていう感じですね。
下前:JAXX/JAXXに対する熊谷さんの思いも詰まっているから僕は大好きですね。この曲もライブでやりたいな。
■9話のセリフが「STORM’s EYE」の歌詞と連動してたりするし、いろいろ考察できるようになってる
──クラップしたいですね。全4曲のEPをどう届けたいですか。
高本:『UniteUp!』は歌とアニメが連動してるのがすごく魅力的だなと思うんで、ぜひアニメーションを見てもらってから、このCDを聴いてもらいたいなと思いますね。
馬越:それこそ9話のセリフが「STORM’s EYE」の歌詞と連動してたりするし、いろいろ考察できるようになってるんですよね。アニメを見て、曲を聴いて、ダブルで楽しめるし、こういう気持ちで楽翔は歌ってるんだなとか考えながら、絵を思い浮かべながら聴けるんじゃないかなって思います。
高本:改めて、みんなが全力で歌っている姿を見てもらいたいなって思いますね。JAXX/JAXXは噛めば噛むほど味が出るグループだと思うんですよ。清瀬明良、PROTOSTARから始まって、『UniteUp!』の輪がどんどん広がっていって。JAXX/JAXXも盛り上げる一員になればいいなと思いながらアフレコをさせてもらいましたし、好きなキャラを見つけてもらいながら見るのが楽しいかなと思います。
masa:他のユニットとはライバルとして切磋琢磨していくのは間違いないですけど、その中でJAXX/JAXXが一番人気になりたいですね。
馬越:そうだね。準備の期間で寝かせに寝かして、熟成させた感じで、今、動き始めたんですけど、まだまだスタートなんで。これから成長していく姿も見てもらって、最終的にはみんなから愛されるようなグループになったらいいなって思ってます。
INTERVIEW & TEXT BY 永堀アツオ
PHOTO BY 大橋祐希
楽曲リンク
リリース情報
2023.3.22 ON SALE
EP『SuperStar EP』
プロフィール
JAXX/JAXX
ジャックジャック/シンガーソングライターとして活動していた楽翔と、元アイドルの4人がひょんなことから出会い、バンド結成。インディーズで活動していたところを“Anela”にスカウトされた。自分たちで楽曲制作も行うバンドスタイルのアイドルグループ。春賀楽翔(はるかがくと)15歳/高1=masa(まさ)、桂ほまれ(かつらほまれ)20歳/大3=下前祐貴(しもまえゆうき)、香椎一澄(かしいいずみ)22歳=馬越琢己(まごしたくみ)、若桜潤(わかさじゅん)17歳/高3=坪倉康晴(つぼくらこうせい)、森ノ宮奏太(もりのみやかなた)17歳/高3=高本学(たかもとがく)。2023年3月22日に、『SuperStar EP』をリリース。
UniteUp! OFFICIAL SITE
https://uniteup.info/