アーティストであり、2PM、TWICE、Stray Kids、ITZY、NiziU等数々の人気アーティストのプロデューサーとして知られるJ.Y. Parkが、1月28日・29日に約7年ぶりの単独日本公演『J.Y. Park CONCERT ‘GROOVE BACK’ IN JAPAN』を行なう(横浜・ぴあアリーナMM)。韓国では12月に4日間行ない、“踊りまくる” J.Y. Parkにファンは熱狂した。日本公演はどんな内容になるのか、そしてスペシャルゲストとしてアナウンスされているNiziUについてなど、オンラインインタビューで様々な話を聞かせてもらった。
■ああ、ひとつになれてるな”と思った瞬間があってすごく感動
──今回7年ぶりの単独来日公演になりますが、2016年1月17日のNHKホールでのライブを思い返して、特に印象的だったことを教えて下さい。
僕のファンの方は少し年齢層が高い方々が多いので、リアクションに照れがあるのでは?と最初は思っていました。でも終盤、皆さんが情熱的にリアクションしてくださって“ああ、ひとつになれてるな”と思った瞬間があってすごく感動しました。それがとても記憶に残っています。
■「Nizi Projectを見て感動しました」って言ってくださるんです
──7年前と比べると日本でのJ.Y. Parkさんの知名度はまったく違っていると思います。7年前とは比べものにならないくらいの一体感が期待できそうです。
『Nizi Project』を通して、私のことを知ってくださった方も多いと思いますが、街を歩いているとき、日本のファンの皆さんが気づいてくださることが、最も大きく変わった点です(笑)。そのとき、本当にありがたいなと思ったのが、みなさんが「Nizi Projectを見て感動しました」って言ってくださるんです。「面白かった」だけではなく「感動しました」と言ってくださって、それがうれしかったです。街で声をかけられるようになったのですから、コンサート会場ではどんな反応になるのか、やっぱり期待はあります。
■私が夢中になった80年代のそういうグルーヴというものが、今はあまり感じられなくなった
──「Groove Back(グルーヴ・バック)」というキーワードですが、「Groove Back」という曲の中で“鈍くなったグルーヴの本能を呼び覚ます”という歌詞があります。これは今の音楽にはグルーヴが足りない、というJ.Y. Parkさんからのメッセージでもあるのでしょうか?
“余裕”というものを感じていた、80年代の音楽と文化への恋しさだと思います。やはり最近の大衆音楽、大衆文化には、“余裕”や当時の音楽に感じていたグルーヴ感というのが欠けていると感じています。私の会社の所属アーティストの音楽を聴いてもそうです。いろいろなアーティストが様々な音楽性を感じる楽曲をリリースしていますが、全体的に言えるのは、私が夢中になった80年代のそういうグルーヴというものが、今はあまり感じられなくなったということです。なので、グルーヴを愛するミュージシャンJ.Y. Parkとしても、そういう音楽、グルーヴが戻ってきてほしいという気持ちが強くなったということです。
■全世界にグルーヴがあまりにも不足している
──「Groove Back」では、世界を巡りながら様々なアーティストとコラボし、展開しているダンスチャレンジがSNSで話題ですが、世界中の人と踊ろうと思ったきっかけもやはり“グルーヴが足りない”という思いからですか?
その通りです。全世界にグルーヴがあまりにも不足していると感じたからです。最近のダンスを見ていると、主に腕と脚だけを使う感じのものが多くて、アイドルのダンスを見ていてもほとんどそうです。でも今回「Groove Back」のMVでダンスを見ていただくとわかると思いますが、体全体で、体を回すような動きがたくさん出てきます。実際に80年代、90年代はそういうダンスが中心でした。
■同期(事前に録音した音源)は一切使わない
──そのグルーヴをより感じてもらうために、コンサートは生バンド演奏を楽しむことができるとお聞きしました。
そうです。同期(事前に録音した音源)は一切使いません。生バンドであっても、同期を流すと、例えば即興で少しテンポを速くしたり、構成を変えたいというときに対応できなくなります。でも、その日のその時の気分で、テンポを速くしたり少しゆっくりしたり変えたり、いきなりサビを繰り返したり、そういう即興も含めて、グルーヴをたくさん作りたいと思っています。
──コンサートで客席の皆さんも一緒に「Groove Back」を踊りたくなると思います。
その場でできる動きをレクチャーしますので、皆さんと一緒に踊りたいです。
■KUWATA BANDなどの曲も入っているかもしれません(笑)
──ダンスも含めて、このコンサートで特に楽しんでほしいポイント、注目ポイントを教えて下さい。
まず、12月に韓国で行なったものを、そのまま日本でやるのではなく、日本公演のためだけに9曲準備しています。私が音楽人生で影響を受けた曲をぜひ歌いたい。その中には大好きなKUWATA BANDなどの曲も入っているかもしれません(笑)。リハーサルを一からやり直して、日本のファンの皆さんのための公演として、真心を込めて準備しました。
■“同僚”なんだよという気持ちを、彼女たちも認識できる、そういう機会になってほしい
──このコンサートはNiziUがスペシャルゲストとして登場することも見どころのひとつだと思いますが、彼女たちは昨年末、日本でアリーナツアー、ドーム公演を成功させましたが、現在のNiziUはJ.Y. Parkさんの目にはどう映っていますか?
彼女たちがこんなに早く大きな支持を得るなんて、想像していませんでした。それはまず、日本で新人グループがスターになる過程というのは、ある程度時間がかかるということを知っていたからです。もうひとつは、海外のプロデューサーが日本のアーティストと組んで、何かをするということについて、皆さんがどんなふうに受け止めているのかということに確信がなかったので、本当にコケさえしなければいいな、それだけでありがたいな、という気持ちで臨んでいたからです。今回、彼女たちと同じステージに立つことについては、例えばこれまで私が手がけてきた、godやRAIN、2PM、Wonder Girlsと一緒にステージに立った時と同じような気持ちですが、いちばん大きいのは“誇らしいな”“よくやった”という気持ちです。もちろん私が、彼女たちがグループとしてデビューすることをサポートしましたが、もうこれからは“同僚”なんだよという気持ちを、彼女たちも認識できる、そういう機会になってほしいです。その認識をきちんと彼女たちにも持ってほしいです。ファンの皆さんにも、今は私たちが同僚として同じステージに立っているということを感じてもらえる、その感動を届けたいという気持ちが強いです。どんな分野でも先生が、自分が教えたお弟子さんと一緒に何かをやることになったときには、きっと同じ感慨を持つはずです。
■僕が日本語が上手だと勘違いして、街で会ったとき日本語で声をかけてくれるのですが、それが困ります(笑)
──NiziUを生んだ「Nizi Project」では、J.Y. Parkさんの日本語があまりにも上手で、ビックリしている人がたくさんいました。どうやって日本語の勉強をしていたのでしょうか?
「Nizi Project」をやる前は、単語の意味などはまったくわからない状態で、日本でどこかお店に入ってもお水もお願いできませんでした。でもコンサートでご挨拶をするMC部分については、日本語を丸暗記して臨んでいました。そんな状態で「Nizi Project」をやることが決まって、最初は拙い日本語で進行することによって、相手に感情がうまく伝わらないでのは?と僕も周りの方たちも心配しました。でも準備期間が一年あったので、日本語を徹底的に勉強してみようと。まず読み書きはいったんあきらめて、番組で自分が使いそうな言葉や文章や用例をシミュレーションして、120個くらい用意しました。それをハングルで書き取りしながら音声を覚え、すべて暗記しました。そうやって覚えた文章中の単語を組み合わせて、日本語を話すことを続けていたら、なんとなく話せるようになりました。でも日本のファンの皆さんは、僕が日本語が上手だと勘違いして、街で会ったとき日本語で声をかけてくれるのですが、それが困ります(笑)。
■私を応援してくれているファンの皆さんよりも、自分はもっと勤勉であるべき
──J.Y. Parkさんは来年ソロ歌手デビュー30周年を迎えますが、常々「60歳になってもダンス歌手を続けたい」とおっしゃっています。今年はアーティストとして、どんな一年にしていきたいと思っていますか?
まず、今こうして生きていられるということに本当に感謝しています。そして応援してくださるファンの方にも感謝の気持ちでいっぱいです。それは私のファンだけではなく、所属アーティストを応援してくださるすべてのファンの方への気持ちです。だから、私を応援してくれているファンの皆さんよりも、自分はもっと勤勉であるべきで、そんな生き方をするべきだということを、いつも胸に刻んでやってきました。そうやって勤勉に頑張って生きてきた証として「60歳まで、最高のステージをお見せします」ということを、ファンの皆さんに約束しました。そんな私をファンの皆さんにお見せすることで、皆さんに元気を与えたい、パワーを感じてほしいという思いがあります。60歳まであと9年です。今までは遠い将来のこととしてどこか漠然としていました。でももうそれが現実のものとして、自分に近づいてきていて。だからといって焦るのではなく、今まで通りファンの皆さんとの約束を守り通けることが大切だと思います。
■私自身の生き方やその姿を見てもらうこと
──JYP所属のアーティストには、いちばん大切なこととしてアーティストである前に、人間であれという教訓を徹底していますが、それをJ.Y. Parkさんが身をもって示しています。
NiziUも含めて、若いアーティストたちにひとつの道を見せたいという思いが強いです。プロの歌手としての道を歩み始めるということは、様々な混乱に直面します。人気があっても、あまりなくても混乱するし、人気がありすぎても混乱することもある。そんなときに必要な言葉をかけることも大切ですが、それ以上に私自身の生き方やその姿を見てもらうことで、それを感じて、困難を乗り越えてほしい。だからこそ健康であること、規則的であること、正しい生活態度を持つこと、それがどれだけ大切なことなのかを、自分自身にも徹底しています。
■何事も長い目で見ることが大切
──プロデューサーとして、たくさんの人の夢を叶えるお手伝いがしたいと語っているJ.Y. Parkさんが思う、夢を叶える秘訣を教えていただけますでしょうか。
私も夢を持ってデビューしてから、一生懸命努力してきましたが、決していつも最高のポジションにいたわけではありません。世の中はいつも不公平です。これは仕方ありません。でもそこであきらめないで、長い目で見ていると、不公平さも少しずつ是正されていきます。だから何事も長い目で見ることが大切だと思います。
INTERVIEW & TEXT BY 田中久勝
ライブ写真 ©JYP Entertainment
楽曲リンク
リリース情報
2022.11.21 ON SALE
SINGLE「Groove Missing」
ライブ情報
J.Y. Park CONCERT ‘GROOVE BACK’ IN JAPAN
1/28(土)横浜・ぴあアリーナMM
1/29(日)横浜・ぴあアリーナMM
https://jypj-store.com/pages/jyp-gbj
プロフィール
J.Y. Park
パク・ジニョン/作詞、作曲、プロデューサーとして制作した65曲が韓中日の主要音楽チャートの1位を獲得。2015 Mnet Asian Music Awardsで「ベスト・プロデューサー賞」を受賞。Will Smith、Maseなど、アメリカのメジャーアーティストと作業した初の韓国ミュージシャン。また、自ら作詞/作曲し、ヒットしたデビュー曲「Don’t leave me」で1994年にアーティストデビュー。2015 Mnet Asian Music Awardsで「男性歌手賞」を受賞。オーディション「Nizi Project」を手掛け日本でも一躍有名となった、プロデユーサーでありアーティスト。
J.Y. Park OFFICIAL SITE
https://www.sonymusic.co.jp/artist/jypark/