nobodyknows+がベストアルバム『ALL TIME BEST』をリリースした。
2022年6月にYouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』に出演し、2004年にリリースした「ココロオドル」をパフォーマンス。動画再生数3200万回を突破し、大きな注目を集めた彼ら。サブスクでも7000万再生を超えるなど、見事に再ブレイクを果たした。全キャリアを網羅した本作『ALL TIME BEST』を聴けば、ヒップホップを幅広い層に浸透させたnobodyknows+の功績を改めて実感できるはずだ。
THE FIRST TIMESではメンバー全員にインタビュー。再ブレイクを果たした2022年を振り返りつつ、ベストアルバム『ALL TIME BEST』について語ってもらった。
■若い世代に届いて、楽しんでもらえてるのはよかったな、と
──2022年6月に『THE FIRST TAKE』で「ココロオドル」をパフォーマンスしたことをきっかけに、nobodyknows+に再び大きな注目を集めました。この半年を振り返って、どんな印象がありました?
ホクロマン半ライス!!!:ライブが増えましたね。コロナで2〜3年動けなかったんですけど、『THE FIRST TAKE』に出たことがきっかけになって、全国のイベンターさんが声をかけてくれて。いろんな場所でライブをやれたのもうれしかったですね。コアなお客さんはずっとライブに来てくれてるんですけど、久々に来た人も多かったみたいで。“「コココロオドル」待ち”みたいな感じもありましたけど、すごく盛り上がってくれて。
DJ MITSU:娘が中学生なんですけど、友達から「『ココロオドル』(の動画)見たよ」と言われることが結構あったみたいで。若い世代に届いて、楽しんでもらえてるのはよかったな、と思います。
Crystal Boy:今日もテレビの音楽番組に出演するんですけど(取材日は『FNS歌謡祭』が放送された12/14)、忙しくさせてもらっていて。ここ数年もなかったし、ありがたいですね。僕、若い子にラップを教えているんですけど、生徒も前のめりで「『ココロオドル』、見ました!」って言ってくれることが増えましたね。
ノリ・ダ・ファンキーシビレサス:この半年、すごく忙しくて。声をかけられることも増えましたね。ただ、普段は別の仕事もやってるので、そっちが滞ってるんですよ(笑)。年を越せるかどうか…。
ヤス一番?:これだけ注目してもらえて、『THE FIRST TAKE』で間違えて本当によかったです(笑)。
全員:ハハハハハ!
──ヤスさんが思い切り間違えて、メンバー全員が笑顔になって(笑)。
ヤス一番?:仲の良さが出ちゃいましたね。「大事なときは間違えろ!」というテーマで講演しようかな(笑)。
■背伸びしたガキんちょが少しずつ大人になっていくのがわかる
──(笑)そしてベストアルバム『ALL TIME BEST』がリリースされました。「ココロオドル」はもちろん、「エル・ミラドール〜展望台の唄〜」(『モード学園』CF曲)、「シアワセナラテヲタタコウ」(映画『カンフーハッスル』日本版イメージソング)、「Hero’s Come Back!!」(アニメ『NARUTO -ナルト- 疾風伝』OPテーマ)、さらに自主レーベルを立ち上げた2010年以降の楽曲も収録されています。
DJ MITSU:ソニー時代の楽曲と自主レーベルの曲をまとめてみました。
Crystal Boy:メジャーレーベル時代の曲はリリース順に収録していて。その後の自主レーベルの曲を含めて、聴いてると泣いちゃいますね…。
ホクロマン半ライス!!!:自分で泣くんだ(笑)。
Crystal Boy:そうそう(笑)。背伸びしたガキんちょが少しずつ大人になっていくのがわかって。ベストアルバムとしても、ばっちりまとまってると思います。
ノリ・ダ・ファンキーシビサス:俺は全く泣かないです!というか、振り返っている余裕がない(笑)。
ヤス一番?:CDのリリース自体が久しぶりなんですよ。友達が「買ったよ」と連絡くれたり、ありがたいです。
──名古屋のレーベルからリリースした楽曲をじっくり聴けるのも素晴らしいですね。「Hold My Hand feat.SEAMO, HOME MADE家族」は2013年にiTunes HIPHOPチャートで1位を獲得した曲。
Crystal Boy:SEAMO、HOMEMADE家族とはもともと仲が良かったんですけど、それまで楽曲を一緒にやったことがなくて。形にできたのはよかったですね。
DJ MITSU:近年のライブではナシ(ホクロマン半ライス!!!)がMICRO(HOME MADE 家族)の真似をして彼のパートを歌うんですよ(笑)。
ホクロマン半ライス!!!:“半身が自分、半身がMICRO”という衣装を着てやってます(笑)。
Crystal Boy:すごくいい曲なんだけど、ライブでは全員笑いっぱなしですね(笑)。でも改めて音源を聴くと感動して。こんな良い曲だったんだな、と思い出しました(笑)。
DJ MITSU:「愛のテーマfeat.中村耕一」もぜひ聴いてほしいですね。矢野きよ実さん(名古屋を中心に活動しているタレント/書家)にとてもお世話になってるんですけど、矢野さんが中村さんを紹介してくれて。一緒にやれて良かったです。
──「イマイケ_サンバ(Intoro ver.)」はnobodyknows+のライブに欠かせない楽曲です。
ホクロマン半ライス!!!:いい曲ですよね。
DJ MITSU:ベストアルバムに入っているバージョンは初収録!ってなってますが、イントロを付けただけで、あとは同じなんですけどね(笑)。よりライブバージョンに近い感じになっています。
■「この歌詞を書いたときは、こういう気持ちだったな」って思い出したり
──「いい歳こいて」にもグッときました。時期によってリリックの内容も変化していて。
DJ MITSU:そうですね。まあ、そのときそのときで一生懸命やってるだけなんですけど…。
ホクロマン半ライス!!:それしかできないですからね。
ヤス一番?:ベストを聴くと、「この歌詞を書いたときは、こういう気持ちだったな」って思い出したりしますけどね。自分の場合、じっくり考えるというより、その場で浮かんだことをラップするタイプなので、余計に「こんなこと考えてたのか」と思うのかも。
■仕事をして、生活があるからからこそ、身近なトピックスを歌詞にできる
──ベストアルバムからは、2010年以降の活動の充実ぶりも伝わってきます。活動のスタイルを変えてからの10年はどうでした?
DJ MITSU:(飲食店、セレクトショップなど)それぞれ仕事をやっていて、いろんな経験をしてきましたからね。それが曲や歌詞の中にも滲み出てるんじゃないかな、と。
ホクロマン半ライス!!!:本当にいろんな経験しましたね(笑)。年齢を重ねることで変化するところもあるし、それを新曲に落とし込んできて。音楽一本でやってたら同じようなルーティーンになりがちだし、引き出しも増えなかった気がするんです。仕事をして、生活があるからからこそ、身近なトピックスを歌詞にできるんだと思います。
ヤス一番?:結婚したり子供がいたり、いろんな変化があって。若いときにMITSUさんが大人っぽい曲を作ってくると、「よくわかんないな」と思ったりしてたんだけど(笑)、自分も年齢を重ねてきて、だんだん“なるほど、こういうことか”とわかってきたり。
DJ MITSU:(笑)そんなこと思ってたんだ(笑)。
ノリ・ダ・ファンキーシビレサス:自分は音楽以外の興味あるいろんなことに手を出した10年でしたね。
■自分たちとしては止まっているという感じはない
──ノリ・ダ・ファンキーシビレサスさんはレスラーとして活動していたこともあって。
ノリ・ダ・ファンキーシビレサス:プロレスもそうですが、ここ最近は広げてきたことを片付けて、だいぶスマートになってきましたね(笑)。ただ、nobodyknows+としてはずっとライブをやっていて。自分たちとしては止まっているという感じはなくて、生活も活動もずっと同じように続けてきたんですよね。
──やはりライブが中心だった、と。
ノリ・ダ・ファンキーシビレサス:そうですね。自分の場合は、ライブ中、メンバーにウケることしか考えてないんですけどね。ステージでメンバーが笑ってくれたら、“よし!”って(笑)。
Crystal Boy:たしかにライブはかなりやってきて。コロナの時期はメンバーと何ヵ月も会わなかったり、精神的にもだいぶキツかったですね。ライブの貴重さを改めて感じたし、気持ちも引き締まりました。
■妥協せず頑張ってやってきてよかった
──nobodyknows+が活動をスタートさせた00年代の初めは、ヒップホップがそこまでメジャーシーンに浸透してなくて。今はかなり状況が違いますよね?
Crystal Boy:そうですね。アニメ『ヒプノシスマイク』(「Bad Ass Temple Funky Sounds」)のリリックを書かせてもらったんですけど、SNSなどで、リリックの意図をしっかり理解した上でコメントしてくれてる方がたくさんいて。そういった意見を見てると“間違ってなかった”というか、妥協せず頑張ってやってきて良かったなと。
ヤス一番?:nobodyknows+を始めた頃は、(ヒップホップは)言ってもまだまだマニアックだったんですよ。俺らも音楽に対しては真面目だったし、それぞれがディグっていて。それはいい部分でもあり、足枷でもあると思うんだけど、今はみんなが気軽にやれるようになっていて、そこはぜんぜん違いますよね。
DJ MITSU:トラックの作り方も変わってきてると思います。20年くらい前はなんというか、そのマナーが厳格で(笑)そこに準じてないとすぐ批判されたりしてたんですよ。今はそんなこと全然なくて、すごく自由じゃないですか。
──nobodyknows+は最初からジャンルを超えてましたよね。ラテンも4つ打ちもやってて。
DJ MITSU:そうなんですけどね。もともとヒップホップはサンプリングもそうですが、より自由なもので、どうあれ出てきたモノがすべてだと思っていたので。
■それぞれの生活や仕事があって、ちょうどいいバランスでやれたのが続けてこれた理由の一つ
──2022年後半の躍進も、活動を止めず、継続してきたからこそ。ここまで続けてこられた理由は何だと思いますか?
ホクロマン半ライス!!:MITSUさんがいたからです。
DJ MITSU:そんなことないです(笑)。さっきも言いましたけど、全員がいろんなものを背負いながらやってきたし、みんなで続けてきたので。それぞれの生活や仕事があって、ちょうどいいバランスでやれたのが続けてこれた理由の一つでしょうね。
Crystal Boy:特に続けたいと思ってたわけじゃないんですよ。辞めなかっただけで。
ノリ・ダ・ファンキーシビレサス:逆に辞めときがわからなくなってます。幕引きしようにも、引っ張る紐がない(笑)。自分の中では“海、川、山、nobodyknows+”みたいな感じです。
■“まだやってるんだ?”と思われるのもいいのかなと
──それくらい自然だと(笑)。
ヤス一番?:そうですね(笑)。10代くらいのときに見たベテランのロックバンドを20年後とかに見て、“まだやってんの?”と思ったことがあって。たぶん、今は自分たちがそう思われてるんだろうなと(笑)。
全員:ハハハハハ!
ヤス一番?:ヒップホップ元年みたいな時期からやってるので、そうなりますよね。そう考えると“まだやってるんだ?”と思われるのもいいのかなと。
DJ MITSU:たまに紹介時とかにレジェンド扱いされたりするんですが、“え?”って違和感を感じますけどね。“年齢的にはそうなのかもな”って受け入れてますけど、もちろん“レジェンドだ”なんてメンバー誰1人思ってないので(笑)。ただ自分たちよりも上の世代の人たちも、「好きなことをやってたら、勝手に周りからレジェンド扱いされるようになった」という感じだったのかなって思ったりはしますね。
■今さら野望ですか?(笑)そうですね…健康第一かな
──今後も活動は続きますが、野望とかありますか?
ホクロマン半ライス!!!:え、今さら野望ですか?(笑)そうですね…健康第一かな。
DJ MITSU:そうだよね。Crystal Boyも腰が良くないし、みんなそれぞれ抱えてるので。
Crystal Boy:MITSUさんにも元気でいてもらわないと。曲はもちろん、スケジュール管理もMITSUさんにしかできないので(笑)。
ノリ・ダ・ファンキーシビレサス:自分は仕事とライブの両立が目標ですね!
ヤス一番?:何にしても体が大事ですよ、ほんとに。昨日もちょっと飲み過ぎちゃたので、気を付けます(笑)。
INTERVIEW & TEXT BY 森朋之
LIVE PHOTO BY キセキミチコ(KISEKI inck) /CURRY&MUSIC JAPAN 2022より
楽曲リンク
リリース情報
2022.11.30 ON SALE
ALBUM『ALL TIME BEST』
プロフィール
nobodyknows+
ノーバディノゥズ/名古屋在住、4MC+1DJからなるヒップホップグループ。2004年、1stフルアルバム『Do You Know?』が80万枚を超える大ヒットとなり、代表曲「ココロオドル」でNHK紅白歌合戦にも出場。HIP HOPアーティストとしては史上初となる全国47都道府県ツアーも実施。2020年、大人気アニメ『ヒプノシスマイク』に楽曲提供した『Bad Ass Temple Funky Sounds』がオリコン他音楽チャートで軒並み1位を獲得。また代表曲「ココロオドル」がスカイピース、kiki vivi lilyなど若い世代に絶大な人気を誇るアーティストによってカバー/リリースされ、2022年YouTubeチャンネル『THE FIRST TAKE』で披露した「ココロオドル」は公開後2ヵ月で2,000万回を超える再生回数を記録するなど、全世代に渡り親しまれるグループに。
nobodyknows+ OFFICIAL SITE
https://nobodyknows-fc.com