1992年11月のデビューからちょうど30年。めまぐるしく変化する音楽の世界にあって、accessは今なお多くのファンに支持されながらさらなる高みを目指し続けている。そして、その長きにわたる活動を振り返るには、30周年というのは絶好のタイミングだろう。ニューリリースとなるBlu-rayボックス『30th ANNIVERSARY MUSIC CLIPS COLLECTION BOX』は、デビューから2017年までのシングル曲のミュージッククリップや、1stツアーのライブの模様をぎっしり詰め込んだ映像作品だ。デビュー当初の映像でありながら、2022年の新たな情熱をはらんで、今作は世に出る。
さて、浅倉大介と貴水博之、当の本人たちはこの30周年の節目に際して何を思うのか。
とにもかくにも久しぶりのインタビュー。作品についてはもちろん、コロナ禍で音楽の行方が見えなかった時期のことを含め、いろんな意味での(?)オトナの話をたっぷりと聞いてきた。
■クリックひとつで公私が分けられるという手軽さは、なかなか悪くないですよね
──最近は取材もオンラインが主流になっていまして、こうして直接インタビューできるのはとてもうれしいです。
浅倉大介(以下、浅倉):そうですよね。僕もオンラインでのやりとりが本当に多いんですけど、accessの打ち合わせは基本的にHIROと顔を突き合わせてやっているんです。HIROはだって、ZOOMとか使わないでしょ?
貴水博之(以下、貴水):うん、使わないね。あれって録画もできるんでしょ?なんかイヤだなって思って、仕事でもそうだし、いわゆるオンライン飲み会みたいなのに誘われたときも断ってた、イヤだ!って(笑)。
浅倉:それはネット社会を生きるうえではむしろ大事なことかもしれないよね。ただ、ライブ配信なんかもそうなんだけど、クリックひとつで公私が分けられるという手軽さは、なかなか悪くないですよね。まぁ、うちにいるゴールデンレトリーバーがフレームインしてくるのを防ぎながらなんですけど(笑)。
──ミーティング中だけ別の部屋にいてもらうとか…。
浅倉:あ、そういうのはかわいそうだからしません(笑)。
──さすがです(笑)。
貴水:今日はでも、あれでしょ、30周年の話をするんでしょう?
浅倉:思い出せないかもしれない…。
貴水:たしかに。一生懸命記憶をたどらないと。
──あっという間のようで、だけどやっぱりいろんなことがあって。コロナ禍で音楽のあり方、伝え方まで揺るぐような事態にもなりました。
浅倉:そうですよね。それこそ30年前はSF映画の世界でしか見聞きしなかったような、パンデミックなんて言葉を使う世の中になったんだから。僕らも予定していたツアーを中止せざるを得なくなって、ありえないことって起こるんだなって、そんなことを思っていた気がします。
貴水:受け止めきれなかったよね、正直なところ。経験のないことが突然目の前に現れて、不安の極致でしかなかった。
浅倉:本当にそうだったよね。ライブを楽しみに待っていてくれた人たちにどんな言葉を発したらいいのかもわからないし、それ以前に自分たちがどうすればいいのかすらわからないという。
■音楽って、どんな状況でも光に向かっていく瞬間があるなって再確認できました
──でも、配信ライブという手段がありました。そういえばaccessはそもそもこういうの得意じゃない?なんて改めて思ったりして。
貴水:しばらく世の中の様子を見つつ、じゃあ配信をやってみようかというところだったんだけど、こういうときに僕らができることって何かなと考えたとき、やっぱり音楽を届けることしかできないねって。音楽を通じてみんなの気持ちが一瞬でも和んでくれたり、癒されたりしたらいいなってことだったんです、単純に。僕ら自身もはじめての試みだったので、どうなるかわからなかったんだけど、やってみたら自分たちも救われた気持ちになったしね。音楽って、どんな状況でも光に向かっていく瞬間があるなって再確認できました。あの無観客ライブはすごく小さな一歩ではあったんだけど、みんなとの絆も改めて強くなったんじゃないかなって。結果としてやってよかったよね。
浅倉:そうだね。accessは常に何かしら新しいことにチャレンジしてきたけど、その環境に置かれたからこそ生まれたものもたしかにあるんですよね。ステージ上でHIROと僕が背中合わせになることがよくあるんだけど、配信ライブに限ってはそれはないほうがいいんじゃないか、と、舞台監督から提案があって。それで等身大のパネルを監督が作って、それぞれそのパネルと絡んだんですよ。それがユニークなシーンになっていて(笑)。苦肉の策ではあったんでしょうけど、結果いいものができたという。
──浅倉さんはインスタグラムでもライブ配信をしていましたね。
浅倉:夜な夜なピアノを弾いていましたね。1ヵ月ぐらい続けたんじゃなかったかな。なんかこう、みんなのもとに弾きに行くことはできないけど、SNSを使ってちょっとでも発信できたら、と。なんかね、インスタライブをやって、繋がれている安心感みたいなものを感じたんです。ライブもイベントもできないなかでも、双方向でアクセスできるツールがあるって、ありがたいなと思いましたね。
──世の中が一旦ストップしたような状況だったので、生活面でも変化せざるを得ないところがあったと思いますが。
貴水:僕はとりあえずずっと家にいました。絶対に感染しないように一歩も外に出ないということを、一生懸命にやっていました(笑)。普段は政治についての番組はあんまり見ないんだけど、その時期は見ましたよね、やっぱり。世の中の動向を知っておかないと、みたいな。
浅倉:僕はコロナ禍で自炊ができるようになったんですよ。
──おおお、それはすごいトピックじゃないですか!
浅倉:ずっと外食専門だったのに。お店が閉まっちゃってたから、仕方なくというところもあったんですけどね。
■大ちゃんは30年前からは激変してヘルシー志向になってきましたよ
──30年前は肉しか食べなかったのに。ファンのみなさんも「大ちゃんの栄養状態」については心配だったのではないか、と(笑)。
浅倉:ツアーに行っても肉しか食べないって、よくインタビューでも話していましたよね。でも最近はさすがにカルビはきつくなってきました…って、そういう話かい!?みたいな感じだけど(笑)、やっぱり赤身がちょうどよくなってきました。めちゃめちゃヘルシーな食生活になりましたよ。もともとHIROが健康にこだわって、料理を始めたりしてたから、僕もやってみようかなという気になったのもあるんですけど。
貴水:やっぱり音楽を続けるにも健康第一ですからね。今はね、糖質オフできる炊飯器にハマっていまして(笑)。でもそう、大ちゃんは30年前からは激変してヘルシー志向になってきましたよ。
浅倉:ほら、それこそこの30年で、好きだった海外のミュージシャンが次々にベジタリアンになっていく姿を目の当たりにしてきたわけです。タバコやめました、ランニング始めました、みたいな。若かりし僕は、なんでそうなるんだろう?と。僕は絶対これからも肉を食べ続けてやる!と思っていたんだけど、気づいたら健康に気をつかうように…っていうような話をするインタビューなの、これは(笑)。
──いいんです、30周年なんだから(笑)。
浅倉:おかげさまで体調もよくて、今さらながらですけど、食生活って大事なんだなって。というわけで、30年前と違うのは、カラダのことを気をつけるようになったこと(笑)。
貴水:いいことなんだよ、大ちゃん。それはすごくいいこと。やっぱり、カラダが資本ですからね。
──そして今回、30周年記念ということで、6時間にも及ぶ映像が作品化されました。その名も『30th ANNIVERSARY MUSIC CLIPS COLLECTION BOX』。
浅倉:もう観てくれたんでしょう? どうでした?
──個人的には懐かしさも感じつつ、30年前の作品が音楽として色褪せていないことに驚きました。メロディなのか、サウンドの骨格みたいなものなのか、その理由は定かではありませんが、accessをaccessたらしめる一貫した何かがたしかにあるんだな、と。
浅倉:そう感じてもらえるのはうれしいですね。なんていうかDNAみたいなものを、この30年のすべての楽曲にちゃんと残してこられてるのかもしれないね。
──「Disc 1」(MUSIC CLIPS COLLECTION)がシングル曲のミュージッククリップ集です。当時はよくシューティング現場に取材に伺ったんですよね。今ほどCGが使われていなかったからなんでしょうけど、撮影が本当に長丁場で。
浅倉:PV撮るときがいちばんつらかったかもね。平気で朝6時集合だし、終わるのが翌朝なんてこともしょっちゅう。なんで2日に分けて撮れないんだろうとか思ってた(笑)。
■火にあたりながら氷を舐めるっていう(笑)
──「JEWELRY ANGEL」は、寒い中、ドラム缶で火を焚きながらの撮影でしたよね。
浅倉:廃工場みたいなところでね。寒くて火を焚いてて、何かのセットに燃え移って、消せ!消せ!みたいな(笑)。
貴水:あのとき、はじめて本格的なロケ撮影で、僕は実はすごいテンション上がってたの。楽しかったの覚えてるなぁ。
──吐息の白さが映らないように、口に氷を放り込まれていたでしょう。本当に寒いなか“HIROかわいそう”って思っていました。
浅倉:そうそう、今なら後からモニター上で処理できることなのにね。火にあたりながら氷を舐めるっていう(笑)。
貴水:え、そんなことあった?全然覚えてないや…。
──私の“かわいそう”を返してください(笑)。
貴水:僕自身そんなにつらくなかったのかも(笑)。
浅倉:ほんと懐かしいね。ただ、シングル2作目からそんなに凝った作品を作らせてもらえてたんだなぁ。そういう時代だったんだろうね。今は逆にこういうPVないですもんね。
──特に印象に残っているクリップはありますか?
浅倉:なんだろうね…実は僕もあんまり覚えていないかも(笑)。
貴水:やっぱり当時すごい過密スケジュールだったせいもあるのか、記憶が断片的だよね。ただ、「MOONSHINE DANCE」はL.A.でハリウッドのスタッフさんたちで撮って、ものすごい経験をさせてもらったなって。
浅倉:そうだ、映画みたいだったよね。
■PVって、そのとき置かれた環境だったり、時代だったりをすごく反映してる
──accessに寄せられた期待の大きさがもちろんそうさせたんですが、お金をかけられる時代でもあったんですよね。
浅倉:だって海外でPV撮影ですもんね。今では考えられない。馬も出てきたもんね?
貴水:何頭も出てきたよ(笑)。
浅倉:ただ、僕らの場合は、音源を海外でミックスするついでに撮影もしてきたっていう感じだったんじゃないかな。今は全部オンラインでのやりとりで済むようになって、海外に出向くこともなくなりましたからね。最初のアルバム3枚までは、出来上がったトラックを持ってL.A.に行って、エンジニアのフィル・カッフェルにお願いして。そうそう、1コ思い出すと次々に思い出してきた。僕、何がうれしかったかって、L.A.に行ったついでにアナハイムのディズニーランドに行けたこと!
貴水:あー!行ったけど終園間際だったやつ(笑)。
浅倉:そう、あれは一生忘れない(笑)。同行してたスタッフさんたちがもう疲れたから帰ろうっていう感じになって。滞在していたホテルまで車で1時間ぐらいかかったから、さすがに僕ひとりで残るわけにもいかず。
貴水:考えてみるとPVって、そのとき置かれた環境だったり、時代だったりをすごく反映してる気がするね。
浅倉:「TRY AGAIN」はサッカー場で歌ってなかった?
貴水:そうそう、サッカーのスタジアムで。
浅倉:ちょうどJリーグが盛り上がってたときで。
──Jリーグ開幕が1993年。なんと、accessのデビューのほうが早かったんですね。
貴水:そう言われるとものすごくこう…歴史が重い(笑)。でも、その時代の流れをaccessはPVで表現できてたってことなのかな。
浅倉:うん、あの時代だったからできたことだよね。「DRASTIC MERMAID」からの三部作はストーリー仕立てで、HIROはその世界観をPVで表現して、僕はスタジオにこもってリミックスして、みたいな。
貴水:ああ、そうだった。かなりこだわって作ってたんだよね。少しずつ思い出してきた(笑)。
──当時はビデオクリップが流れる番組もたくさんありましたし。
浅倉:今はそもそもテレビ持たない人も多いじゃないですか。
──若い人はCDプレイヤーも持っていないと聞きますね。
浅倉:そういえばこの間、家で『LOOKING 4 REFLEXIONS』のレーザーディスクを発見したよ(笑)。
貴水:それ、まだ観られる?
浅倉:プレイヤーは1台まだ取ってあるんだけど、最近再生してないから使えるかどうかはわからないなぁ。僕はディズニー映画が好きで、当時はVHSかレーザーディスクだったから、必然的にLDになっていたんです。
──その昔はカラオケもレーザーディスクでした。
浅倉:レーザーカラオケが最先端だったんだよね(笑)。アナログ盤からCDへの流れもそうで、ジャケットが大きいほうがカッコよかったんだけど、だんだん便利さを優先してしまったという…うわぁ、こんなこと言ってるのって昭和のジジィだよね(笑)。
──音楽ソフトがCDに大きく舵を切ったのが昭和の終わりでしたね。
浅倉:だから、accessはレコード盤がないんです。デビューしたときから、CDだけだったんですよ。
貴水:その『LOOKING 4 REFLEXIONS』がこの「Disc 2」?
──そうです、今回の「Disc 2」(LOOKING ALL THE REFLEXIONS)は、クリップを4曲ずつまとめてパッケージ化した『LOOKING 4 REFLEXIONS』シリーズをすべて網羅しています。
貴水:なるほど、なるほど…ってことは、「Disc 1」と「Disc 2」は同じようなものってこと、なのかな(笑)。
浅倉:ちょっと!それ僕が今聞きたかったけど聞けなかったこと(笑)。
──いやいや、違うコンセプトでリリースされたものなので、作品としてそれぞれ独立していますから。なおかつ今回はBlu-rayなので、LDやVHSプレイヤーが壊れてしまったファンにも喜んでもらえるはずです。
貴水:だって僕が欲しいもん。Blu-rayだといつでもどこでも観られるしね。あれ、これって僕らはもらえないのかな?
浅倉:もらえるでしょ、さすがに(笑)。
■荒削りなんだけど、それはそれでいいのかなって
──そして「Disc 3」(LIVE SELECTION 1992-1993)が1992年11月25日、デビュー前日の原宿ルイードでのライブのドキュメンタリーと、翌年の1stツアー『FAST ACCESS TOUR ’93』の中野サンプラザ公演の模様です。
浅倉:ルイードのライブは鮮明に覚えてる。舞台作ってくれるチームが、花道を作っちゃおう!とか、すごい情報量をステージに注ぎ込んだんですよ。それが次から次へと出てきて、ステージがいっぱいになっちゃって(笑)。
貴水:画面から伝わるエネルギーがすごいと思うんですよね。みんなが一丸となって爆進するエネルギーがすごいなって。今改めて見ると、逆に勉強になるなって思いますね。
浅倉:ルイードのライブが終わったあと、HIROがすごく気にしていたことがあって「前にいた人の手を踏んでしまったかもしれない」と。覚えてる?ライブハウスだからお客さんと近くて、最前列のお客さんが手を伸ばしてたところを踏んでしまったかも…って。「あの人大丈夫だったかな」ってずっと言ってたよね?
貴水:そうそう、覚えてる。やっぱりあの日のライブはそういうことも含めて、細部まで忘れられないんですよ。ほんと、映像を見てもエネルギーが伝わってくるしね。荒削りなんだけど、それはそれでいいのかなって。
■accessって名前に込めた2wayが今は難なく実現できている
──中野サンプラザのライブはほぼフルサイズで収録されていて、accessのライブの原型はここで完全に出来上がっているんですが、やっぱり初々しさはありますもんね。
浅倉:それがいいんですよ。その頃はだって、すべてをそこに集中してやっていて、今見ても恥ずかしくないものがちゃんとできてる。恥ずかしくないっていうとヘンだけど、当時のベストだなと思えますからね。
──このライブの映像は初の商品化となるそうです。
浅倉:そうなんですね。当時は本当に、編集から音のトラックダウンまですごい時間かけてやってたんですよね。30年も経つと、ライブですらリアルタイムで配信できるんですから。カット割りもリアルタイムでできて、それをみんなが自分の家で観られるって、観てる人たちはどう感じているんだろう?同じ時間軸を共有できる率がどんどん高くなっているなと感じるし、発信する側にとっても、今のこの瞬間に伝えたいことが音楽なり映像なりで届けられるというのはすごくありがたいことですけどね。最初の頃は、インタビューしてもらっても、それがファンの皆さんに読んでもらえるのは2ヵ月後とかだったでしょう?そういった意味では、accessって名前に込めた2wayが今は難なく実現できているなと思います。
──音にしろ映像にしろ、もとは同じなのにデータ処理の方法とスピードが格段に進化したわけですよね。
浅倉:もちろんその時々の作品の良さもあるんですよ。YouTubeで偶然懐かしい映像に出くわしたりすると、画質とか色味って時代によって独特でしょう。この間も配信で出す楽曲のデータのチェックをしているなかで、カッコイイなと感じるのがmp3ファイルだったりして。リリースが配信に切り替わったとき、僕は何より音質の変化にすごく神経質になっていたんだけど、時代時代の音っていうのがちゃんとあって、それが圧縮技術が入ったものであってもその時々に似合う音質になってる。今では、そうした感覚も、これからのaccessの音を考えるヒントになるなと感じていますね。
──テクノロジーが進化したことで、過去と現在を簡単に行き来できる楽しさも得られた、と。
浅倉:そうなんです、そこはもう単純に受け手としても楽しいところですよね。今回の作品も今までだったらDVDで出すところでしょうけど、思い切ってBlu-rayだけにしたんですよね。たくさんの情報量が入っていて、それでもディスク3枚が必要だったということですけど、中身は30年前のものですから(笑)。
■30年前の映像を若い人たちが見れば新鮮だったりするのかも
──こうしてパッケージ化されたものを“買う”というある意味アナログなアクションもまた、新鮮なのかもしれませんね。
浅倉:たしかにそうですね。とくに若い人たちにとっては逆に新しいのかもしれない、モノを所有するってこと自体もね。
貴水:そういった意味では今回の作品って、見やすいようにまとめてくれてるんだよね。リマスタリングされているとはいえ、30年前の映像を若い人たちが見れば新鮮だったりするのかもね。
──30周年を迎えて、記念作品もリリースされ、浅倉さんの食生活もヘルシーになったとくれば、この先のaccessにもさらなる期待を抱くわけですが、具体的な展望としては?
貴水:結局はほら、目の前のことを一生懸命やっていたら、なんだか30年経っちゃったの!?みたいな感じなわけで(笑)。これからもきっとそうなんだろうと思うな。
浅倉:そうだよね。だから今やりたいことをちゃんとやる、ぐらいかな(笑)。11月から12月にかけての30周年記念のツアータイトルが『primitive heart』。“初心”とか“原石”という意味で、30周年ということで考えていくなかでふと浮かんだキーワードなんです。よりラフにナチュラルに、accessのありのままを感じてもらいたいなと思うし、音楽を通して同じ時間を共有するという双方向のコミュニケーションを、今改めて見つめ直したいというか。そうして初心に戻ったところで感じられるものを、自分たちも含めて得られたらいいなという思いを込めたんですよね。
■最初の一音を鳴らした瞬間に懐かしさというか、これだなという感覚がある会場
──またここから何かが始まるようなイメージでしょうか。中野サンプラザという会場で30周年のライブを観られるのも、ファンにとってはうれしいことでしょう。
浅倉:いよいよ建て替えが始まるようなので、今度こそ僕らの知る中野サンプラザでのライブは最後になると思います。だから余計に感じるものはありますよね。やっぱりね、最初の一音を鳴らした瞬間に懐かしさというか、これだなという感覚がある会場なんです。
貴水:ある意味、原点だもんね。だから運命を感じる部分もあるんですよ、30周年記念のライブであのステージに立てるっていうのは。僕らも今まで応援してくれたファンのみんなへの感謝の気持ちを込めながら、だけど新たな化学反応を起こすつもりで本番に臨みます。それが中野サンプラザへの感謝にもなるかな、と。僕らもaccessに対する純粋な気持ちをぶつけるっていうところで、何が生まれるのかを楽しみにしたいですね。
──せっかくなので、50周年を目指しましょうね。
浅倉:スマホの文字がますます見えにくくなってるんだろうな。
貴水:まぁ、字の大きさの問題については語るべきことがたくさんあるよね(笑)。でも僕は大丈夫なんだよ。大ちゃんから前に有名なルーペもらったから。
浅倉:そうそう、流行ったときにプレゼントしたやつ。
貴水:サプリの裏のさ、成分表とか読めないんだよね。よくもこんなに小さい字にしましたね!?ぐらいの。
──わかる!でも、未来への展望ってそういうことじゃなくて(笑)。
浅倉:そうですね(笑)。まぁ、30年続けてきた経験上、未来もまた何が起きるかわからないというのが今はっきりと言える唯一のことなんですよね。だから、今できることを惜しみなくアウトプットして、みんなと一緒に楽しみたいなっていうのが素直な気持ちで。
貴水:そうだね。僕らも頑張るし、みんなが応援してくれたらうれしいし、今を一緒に楽しめたら最高ですよね。
──30周年なんてまだまだということですね。
貴水:そうだよ、まだ全然。赤子のようなものですよ!
浅倉:え(笑)。今、何て言った?
貴水:赤子のようなものですよ(笑)。とにかく、accessはまだまだ続くので、今のうちにこれまでの30年を復習するための作品が今回出る、と。そういうことですよね?
■応援してくれた人たちが長い時間支え合ってきたことが形として残る
──まさしくその通りです。
浅倉:もともと○周年とかって振り返ることはほとんどないし、周年だから何かしなきゃってこともあんまり考えないんですよね。でも、30周年にもなると、そろそろこういう風に自分たちがやってきたことをきちんとアーカイブして、まとめてリストにしておいたら自分も調べられるしさ、応援してくれた人たちが長い時間支え合ってきたことが形として残るじゃないですか、記念碑みたいにね。
貴水:本当に、こういうタイミングでしか作れない作品だと思うので、ファンのみんなにとって大切なアイテムになってくれたらうれしいですよね。6時間分、楽しんでください!
INTERVIEW & TEXT BY 斉藤ユカ
楽曲リンク
リリース情報
2022.11.05 ON SALE
DIGITAL「新曲M-1」/「新曲M-2」
2022.11.23 ON SALE
Blu-ray『30th ANNIVERSARY MUSIC CLIPS COLLECTION BOX』
ライブ情報
『access 30th Anniversary TOUR 2022 primitive heart』
11/5(土) サンシティ越谷市民ホール
11/26(土) 立川ステージガーデン
11/27(日) 立川ステージガーデン
12/2(金) 中野サンプラザ
12/11(日) 神戸国際会館こくさいホール
12/17(土) 日本特殊陶業市民会館 ビレッジホール
プロフィール
access
アクセス/浅倉大介、貴水博之。1992年11月26日、シングル「VIRGIN EMOTION」でデビュー。デビュー直後から注目を集め、1年後の1993年に は武道館公演が即日完売となる。更に、翌年、1994年には3rdアルバム『DELICATE PLANET』がチャート1位を獲得。デビューから2年の間に3枚のアルバムと11枚のシングルを早いペースでリリースし、熱い支持を得る。1995年から活動を休止するが、7年の時を経て2002年に活動を再開。2007年7月リリースの15thシングル「瞳ノ翼」はアニメ『コードギアス 反逆のルルーシュ』STAGE24&25のテーマソングとなり根強い人気曲となっている。その後もコンスタンスに活動を重ね、常に進化を続ける斬新な音作りとLIVEパフォーマンスを提示し続けている。2022年はデビュー30周年を迎え、現在30周年を記念する全国ツアー中。
access OFFICIAL SITE
https://www.access-web.jp