今年の4月に日本デビューを果たしたスー・ルイチ―が、中国ソロアーティストとして初めて『THE FIRST TAKE』に登場。神秘的なたたずまいの中、時折見せる笑顔に22歳の等身大が感じられる彼女、“一発撮り”の感想から、今後の活動の抱負、彼女のキャラクターを探るべく話を聞いた。
■足が震えつつも、絶対成功させたい!って気持ちで歌ってました
──THE FIRST TAKEに出演されたスー・ルイチーさんですが、まずは率直な感想を聞かせてください。
THE FIRST TAKEはLiSAさんの「紅蓮花」の映像を最初に見たんですが、そのとき鳥肌が止まらなかったんです。これはほんとに一発撮りなの?って、クオリティの高さが信じられなかったですね。その『THE FIRST TAKE』に、まさか自分がオファーをいただけるなんて、とても驚きました。実際に出演して、ほんとに一発撮りだったのがわかりました(笑)。とてもプレッシャーが大きくて、LiSAさんやこれまで出演された方たちはすごいなって改めて思いましたし、私もそうした重圧の中でも常にいいパフォーマンスを披露できるように今後がんばっていきたいと思いました。
──撮影現場に入ったときは、どんな思いになりましたしたか。
スタジオに入った瞬間も歌ってるときも、ずっと足が震えてました(笑)。今までこうした形式の収録はやったことがなかったですし、中国のソロアーティストの初の出演ということもあってすごいプレッシャーでした。足が震えつつも、絶対成功させたい!って気持ちで歌ってました。
──緊張をほぐす方法などはありましたか。
ずっと、フ~~って深呼吸をしてました。あと、なるべく体を動かして緊張をほぐしてました。体を動かしつつ、頭の中でずっと“大丈夫、リラックスして、自分はいける!”って自分に言いかせてました(笑)。
──そうした緊張の中で「《燎》(The Phoenix)」は、どれくらい感情を込めて歌えましたか。
もちろん、よくできた部分もあればもうちょっとの部分もあったとは思いますが、でもトータルで言えばとても楽しかったですし、いいパフォーマンスができたかなと思います。抑揚をつけるために、前半は弱く歌ってサビで盛り上げるってイメージなんですけど、緊張したせいか、逆に普段よりもよくできた気がしました(笑)。ほんとに一発撮りだったので、自分のテンションもいつもと違いましたね。そうした経験も含めて、全てが新鮮でした。
──終わった直後、スーさんはどんな状態でしたか?
ほーんとにホッとしました。重圧から一気に解放されたことが隠せず、ずっと踊ってました(笑)。周りのスタッフからも「急にテンション高いよ」って言われました(笑)。
──(笑)。プレッシャーを乗り越えて、いいパフォーマンスができたんですね。
ハイ、そう思います。
■小学生の頃からSUPER JUNIORがとても好きに
──では、ここからはスーさんのこれまでの歩みについて聞かせてください。もともと歌やダンスはどのようなきっかけで始められたんですか。
私は、小さい頃から民族系の歌や踊りを習っていたんです。親も応援してくれていて、小さい頃はよく家族でカラオケにも行きました。そのあと、小学生の頃からSUPER JUNIORがとても好きになったんです。それがきっかけで、ポップ系のダンスに興味を持って自分でもやっていくようになりました。ポップ系の歌は、事務所に入ってから習うようになりました。
──SUPER JUNIORのどんな部分に惹かれたんですか。
たぶんいちばん有名な曲は「SORRY,SORRY」だと思うんですが、私は「It’s You」というちょっとゆったりとした曲のダンスバージョンのMVがあって、それにすごく魅了されたんです。振り付け自体はそんなに難しくはないんですが、それぞれの振りにちゃんと自分のテイストが入ってるんですよ。一見簡単そうに見えるけど、とてもかっこいいし、作ってないナチュラルな感じがあってとても好きになりました。それまで民族系の踊りをやっていた私にとって、こういうのもありなんだってとても刺激を受けました。
──なるほど。中国でスーさんは10代の頃から芸能活動をされていたそうですが、どんな活動をされていたんですか。
どちらかというとアイドル路線で、グループを組んで活動していたんです。その頃のメンバーはみんな昔から知ってる子たちばかりでしたし、活動自体はとても楽しかったです。ただ比較的かわいいコンセプトで、もちろん経験としてやってよかったなと思うんですが、自分の個性を出し切れてなかったなというのはありました。もっと頑張って、ソロでも活動できるようになりたいなって気持ちはありましたね。
──スーさんの存在が世界的に広まったのは、やはり『GIRLS PLANET 999:少女祭典』の出演でしたが、ガルプラで得たものを聞かせてください。
まずは、たくさんの海外のファンの方が増えたことが大きかったです。ほんとにたくさんの方に応援していただけて、すごくうれしかったですね。あと自分的に得たものは、自分自身の成長、心の向き合い方、ステージでの経験がとても大きかったと思います。私は、中国のオーディション番組にもいくつか出演したことがあったんですが、多くの場合、先生が考えたダンスのアレンジを踊るって感じだったんです。でもガルプラではほとんど自分で考えないといけないので、そういう部分はとても鍛えられました。
■今までの活動は無駄じゃないなって改めて思いました
──ガルプラを経て、昨年12月に本格的にソロ活動を開始されましたが、今年4月には「《燎》フェニックス・ジャパン・スペシャル・エディション」で日本CDデビューを果たしました。
まさか自分の楽曲がフィジカルで日本でリリースできるなんて信じられなくて、日本のファンの方にとても感謝してます。まず日本でCDをリリースしたあと、ファンのみなさんが私のCDが置かれてるところで撮った写真をSNSで見たんです。すごくうれしかったですし、インターネットでたくさん応援のメッセージをいただいてとても感動しました。あと、今までの活動は無駄じゃないなって改めて思いましたし、ちゃんと努力が報われたって思いました。これからもっと自分を磨いてがんばって、たくさんの曲をリリースして成長していきたいって気持ちが強くなりました。これからもフィジカルをどんどん出せるように頑張っていきたいなって思ってます。
──そもそも日本デビューに対しては、どのような気持ちがありましたか。
正直、想像もしていなかったことだったので、今まで考えたことがなかったんです。なのですごくうれしいんですが、未だに“これは現実なのかな?”って思ったりもします(笑)。あと、日本でのCDデビューのニュースを見て、中国の周りの友だちもとても注目してくれてほんとにたくさんのメッセージをもらったんですよ。しばらく連絡を取っていなかった友だちからも「よかったね、長年の努力が報われたね」ってメッセージをもらったりしてすごくうれしかったです。
──では、楽曲の「《燎》フェニックス」について紹介してください。
この曲は、生まれ変わって涅槃になるという不死鳥を例えにした内容なんですが、私はガルプラの番組が終わったとき、正直結果がそこまで良くなくてちょっと落ち込んでいたんです。そのとき、ゲーム好きな私は、eスポーツのゲームバトルの番組を見てたんです。そしたら全然期待されていなかったチームが逆転してグランプリを取って、その姿にとても心が打たれたんです。私もそういう風に逆転できるチャンスがあるんじゃないかな?私も生まれ変わりたいなって思ったんです。ちょうど曲のデモをいただいていたので、そのままの勢いで歌詞を書きました。
■少年マンガの戦う系のストーリーが大好き
──歌詞には、信念を持って魂を燃やして羽ばたいていくというスーさんの今の思いが描かれています。歌詞もそうですし、これまでのインタビューを読んだりすると、スーさんはすごく熱い人だなという印象を受けたんですが。
そうですね(笑)。私は少年マンガの戦う系のストーリーが大好きなんです。負けそうになって無理だなってところから立ち上がったり、逆転していったりって話がとても好きです。“僕たちならできる!何かのために戦う!”って話にすごく惹かれますね。私も生活していく中で、常にそういう精神で生きていたいと思ってるんです。なので、よく友だちから「あなたは厨二病だよね」って言われます(笑)。超能力とかの話も好きですね。
──小さい頃から熱いタイプだったんですか。
ハイ、小さい頃からそういう性格だったかもしれないです。
──逆に、落ち込んだときはどのように自分の気持ちをアップさせていきますか。
もちろん状況によって違いますけど、基本はゲームをやることがいちばん多いです。オーディション番組に出た場合は、設備の関係でゲームが持ち込めなかったりするので、そのときは本を読みます。あと、私は活動してきた中で大きな挫折を経験したことがあったんです。自分を見失ってひどく落ち込んでしまいまって、そのときは親の言葉に救われました。芸能のお仕事は諦めようかなと思ったんですけど、親に「あなたはまだ最後まで頑張れてないんじゃないの?私たちもファンの皆さんもまだ応援を諦めてないよ。それなのに自分が諦めちゃダメだよ。自分が信じた道を突き進んで」と言ってくれて、その言葉にとても勇気をもらいました。
──親からいい言葉をかけてもらい、夢に向かう気持ちが燃え上がったと。
ハイ。その言葉を聞いた瞬間に、ほんとにそうだなと思いました。私を応援してくれてる人たちも諦めてないのに、なんで私は諦めるんだ?って思いました。
──なるほど。では話題をチェンジして、スーさんが日本のカルチャーで好きなものを聞かせてほしいです。
私は日本のアニメが大好きです。『ドラえもん』から始まって、小学校の2〜3年のときに『しゅごキャラ!』が好きになったんですよ。「あたしのココロ、アンロック!」(日本語で『しゅごキャラ!』の決めゼリフを言う)。そのあと小学5〜6年生のときに『FAIRY TAIL』が好きになりました。今は、『進撃の巨人』『呪術廻戦』『東京喰種』とかが好きです。キャラクターは強いキャラがとても好きで、『FAIRY TAIL』はメストが好きです。そこまでメインのキャラじゃないんですが、強いところに惹かれますね。あと『進撃の巨人』はリヴァイ、『呪術廻戦』だと五条先生が好きです。
──アニメは結構見るんですか。
ハイ。基本的に戦う系が好きで日常系はそんなに見てないんですが、『神様はじめました』とかは見ますね。あとは吸血系のアニメも見たりします。日本のアニメは小学校から見ているので、私はかなり影響を受けてます。私の同世代の子たちもみんな日本のアニメを見ていたので、好きな人が多いです。あとは、ゲームが大好きです。
■見たことがないような感じになると、とても達成感がある
──かなり男子感ありますね(笑)。アニメやゲーム以外で、普段どんなものにハマってますか?コスメとか服とかあったりしますよね。
う〜ん、ちょっと女子っぽいものは少ないかもですね(笑)。でも、服のコーディネート、組み合わせを考えるのは好きです。例えば、急に全然着てなかった服を引っ張り出して、最近買ったものと組み合わせたらすごくハマるかも?って考えるのは好きです。見たことがないような感じになると、とても達成感があります。
──普段のスーさんは、基本中学生男子マインドが強いってことで合ってますか?(笑)
合ってます。友だちにもよくそう言われます(笑)。ゲーム友だちもアニメ好きが多いので、ずっと日本のアニメの話をしてたりします。あと、キャラクターの絵を描いて「これ誰か当ててみて」ってことをよくやってますね(笑)。
──(笑)。では、アーティストとしてのスーさんの思いを聞きたいです。歌やダンスなど、表現やパフォーマンスを向上させるために自分がやっていることはなんですか。
基本的に、私はステージのパフォーマンス映像をたくさん見るんです。他のアーティストのパフォーマンスももちろん見ますが、一番は、自分が今まで出演したステージをよくチェックするんです。オフィシャルの映像だけじゃなく、ファンの方が撮ってくださった映像も見ます。それは、いろんな角度から自分のステージングを見たいからなんです。それを見ることで、客観的に自分は何が足りてないのか、今後よりよいパフォーマンスを届けるためにどこを改善すればいいのか、そうしたことがいちばんわかるんです。
──熱心に研究して自分のスキルを磨いていると。さて、今後日本での活動が期待されるスーさんですが、日本でどんなことをやってみたいですか。
まずはやっぱり、直接日本のファンのみなさんとお会いしたいです。できるのであれば、有観客でのライブだったり、ファンミーティングをやってみたいです。
──日本のファンへ直に歌や思いを伝えたいってことですね。
そうです。日本のファンの皆さんは、いつも私を応援してくださってるんですよ。ほんとにありがとうございます。皆さんのためにも、もっともっと頑張りたいなと思います。ぜひ、近いうちにお会いできたらうれしいです。そして、私が頑張った『THE FIRST TAKE』での姿をたくさん、たくさん見てください!
INTERVIEW & TEXT BY 土屋恵介
PHOTO BY 藤城貴則
楽曲リンク
リリース情報
2022.04.06 ON SALE
SINGLE『《燎》フェニックス・ジャパン・スペシャル・エディション』
プロフィール
スー・ルイチー
中国四川省出身、2000年生まれ。日中韓オーディション番組『Girls Planet999:少女祭典』に出演し、カリスマ的魅力で視聴者の注目を集めた。最終選考では総合13位を記録し、惜しくも番組内でのデビューは叶わなかったが、昨年12月から満を持してのソロ活動を開始。4月にリリースした日本デビューCDは4/5付オリコンデイリーセールスチャート12位を記録した、幼い頃からダンススキルを磨いてきた実力派であり、日々ボーカル、ラップ、ダンスの練習をこなしながら、日本語の勉強にも取り組んでいる。
スー・ルイチー OFFCIAL SITE
https://www.sonymusic.co.jp/artist/surysu/