グループ魂のライブBlu-ray『グループ魂 一年ぶりの再結成!中野サンプラザ』がリリースされる。
結成25周年を迎えた2020年末に突如として解散→2022年の再結成&新春ライブ開催を発表したパンクコントバンド、グループ魂。本作には2022年1月21日中野サンプラザで開催された再結成ライブを完全収録されている。さらにブックレットには初公開となる再結成ライブの台本を掲載。特典映像としてリハーサルの模様や座談会も収められている。
THE FIRST TIMESでは、暴動(宮藤官九郎)、港カヲル(皆川猿時)にインタビュー。本作『グループ魂 一年ぶりの再結成!中野サンプラザ』を中心に、結成から25年を超えたグループ魂の現在と今後について聞いた。
INTERVIEW & TEXT BY 森朋之
PHOTO BY 関信行
■解散を挟んだことで、メンバーでグループLINEを始めた
港カヲル(以下、港):“THE FIRST TIMES”さんは(YouTubeチャンネル)『THE FIRST TAKE』と関係あるの?
──そうなんです。グループ魂は2021年の元旦にTHE FIRST TAKEに初登場、代表曲「君にジュースを買ってあげる♡」をパフォーマンス。大きな注目を集めました。
暴動:解散前の最後の仕事だ。アッという間だな。
──ここ数年の活動を振り返ると、2020年の年末にアルバム『神々のアルバム』をリリースし、すぐさま解散を発表。今回発売されるライブBlu-ray『グループ魂 一年ぶりの再結成!中野サンプラザ』には、2022年1月に行われた再結成ライブの映像が収められています。
港:ワンマンライブ自体、3年半ぶりだったのよ。
暴動:その前は2018年9月だからね。その後アルバムのレコーディングをやってたから、活動してた気になってたけど、人前にはほとんど立ってなかった(笑)。
港:コロナもあったしね。
暴動:2020年が25周年で、破壊(阿部サダヲ)が50歳になる年だったから、それに合わせて大々的にツアーやろうと思ってたんだけど、全部できなくなって。そのときから今年の1月に中野サンプラザで再結成ライブをやるのは決まってたんですけどね、じつは。
港:あ、そう。25周年でちゃんと盛り上がってから解散したかったなぁ(笑)。
暴動:解散を挟んだことで、メンバーでグループLINEを始めたんですよ。そしたら、むしろ密に連絡を取るようになって、「最近、何やってんの?」って近況を報告し合ったり。
■解散してるときのほうが仲がいい
港:おかしな話ですよ、あなた。解散してるときのほうが仲がいいっていうね(笑)。
暴動:そのグループLINEで、再結成ライブに際してまず、メンバーにやりたい曲を送ってもらったんです。そしたら破壊さんだけなぜか“やりたいくない曲”も送ってきたんで、その曲もセットリストに入れました。
港:どの曲?
暴動:「サ!セ!テ!イタダイテマス」。覚えづらかったみたい。
港:あれは覚えるの大変ですよ(笑)。俺のやりたい曲は「ケーシー高峰」とか。ちゃんと入っててうれしかったなぁ。
暴動:皆さんにお伺いを立ててセットリストを作って、去年の10月くらいからリハーサルをやって。そのときによってメンバーが揃ったり揃わなかったりでしたけど、「ある程度余裕を持ってリハをやれば、ちゃんとライブができる」ということがわかりましたね。中野サンプラザのとき、あまりミスしてないよね?
港:あ、そう?ごめん、あんまり覚えてないや。だって俺はねえ、リハで膝がぶっ壊れたんだよ。本番までに1日あったから、もうね、やれることは全部やりましたよ。整骨院ハシゴして、〆に催眠術…。大変だったんだから!
暴動:本番中は催眠術にかかってたんだ(笑)。
港:うん!実はバイト君(村杉蝉之介)も催眠術にかかってるんですよ。「助演男優賞を取る、CMが来る、とにかくモテる」っていう。
暴動:(笑)。演奏や歌も大きなトラブルはなくて、コントやMCも狙ったところでウケて。「大変だったんですよ」ということが少ないから、取材でしゃべることがないんですよ。今回、モメることもなかったし。昔はよく「この曲、わかんない」とか、一悶着あったけど。
港:そんなことありましたっけ?
暴動:「歌の入り方がわからない」とか。主に破壊さんだね。「じゃあ、やめようか」って、そのままやらなくなった曲もあるでしょ。
港:あ、そう(笑)。なんだろうねえ。その曲が嫌いだったんだろうね。
暴動:というか、身体が拒絶するんだろうね(笑)。
■長尺のコントをやったのも久しぶり
──(笑)。『グループ魂 一年ぶりの再結成!中野サンプラザ』は「君にジュースを買ってあげる♡」「チャーのフェンダー」「もうすっかりNO FUTURE!」など、代表曲やシングル曲が中心のベスト的なセトリですよね。
暴動:そうですね。久しぶりのライブっていうのもあったので。新譜の曲も結構うまくできて。
港:峯田くん(峯田和伸/銀杏BOYZ)も来てくれたよね。
暴動:峯田くんに作曲してもらったんです。(「モテる努力をしないとモテないゾーン」)。もともとは作曲だけの予定だったんだけど、「レコーディングに遊びに行きたい」って言ってくれて、社交辞令かもしれないけど「歌唱指導しに来てください」とお呼びして。現場で「1回歌ってみてもらっていいですか?」ってお願いして、そのテイクを隠し録りして、そのまま使ったんです。結果、破壊と峯田くんのツインボーカルになって(笑)。
港:ひどいよねえ(笑)。
暴動:自分が先輩にやられたら絶対に断るパターン(笑)。でも、ちょうど『いだてん』(宮藤官九郎が脚本を手がけたNHK大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』)撮ってた直後だから、断りづらいだろうというのもあって。峯田くんはナイスガイだから、ライブにも来てくれることになって。だったら、せっかくだしコントもやってもらって。
港:コントと言えば、長尺のコントをやったのも久しぶりだったんじゃない?
■25年経ってもあまり変わってない(笑)
──荒川良々さんも出演した「長老が倒れなすった!」。1stアルバム『GROOPER』に収録されていたコントの2022年バージョンですね。
暴動:再結成ライブだし、昔やってたコントをもう1回やってみようかなと。荒川くんが大人計画に入ったばかりの頃にやったコントなんです。久しぶりに参加してもらったんだけど、当時と同じようにやっててすごいなと(笑)。
港:25年経ってもあまり変わってない(笑)。
暴動:今のグループ魂はバンドのスタイルだけでもやれるんだけど、あえてコントを入れることで自分たちのルーツを知ってもらいつつ、エンタメとして楽しんでもらえるんじゃないかと。ライブを作るのもだいぶラクになりましたね。
──ライブBlu-ray『グループ魂 一年ぶりの再結成!中野サンプラザ』には、ライブの台本も収録。暴動さんが書いた台本を公開するのは、これが初めてですね。
暴動:LPサイズの豪華な装丁だから、何か特典を付けないとダメだなと思って。今さらオジサンたちのオフショット写真もどうかと思うし(笑)、出してないものって何かな?と考えて、台本を公開することにしました。ただ、ほとんど台本通りにやってないんですよ、ハッキリ言って(笑)。
港:何かしらハプニングも起きるしね(笑)。
暴動:なので台本を読んでもらって、“あ、こんなふうに変わるんだ”と思ってもらえたらなと。破壊さんがMCでひどいこと言ったりしますけど、僕はあんなこと書いてません(笑)。「中村屋」は意外と台本通りなんですよ。ライブ本番の最後のほうだから、みんな疲れちゃって。
港:疲れた途端に台本通りになっちゃう(笑)。
■ルールを守りながら羽目を外すという感じ
──盛りだくさんの内容で、演奏もコントもばっちり決まって。映像にも映ってますけど、会場に足を運んだファンの皆さんもすごく楽しんでましたよね。
暴動:そうですね。今年の1月は、コロナの状況がかなり大変だったんですよ。ライブやって大丈夫?という雰囲気もあったし、「観たいけど、今回はやめておきます」という人もいたんじゃないかなと。心配や不安もあったと思いますけど、我々がステージに出て行ったら、お客さんがバーッと立ち上がってくれて。もちろん声は出せなかったけど、皆さん楽しんでくれたんじゃないかなと。
港:皆さん“再結成応援スリッパ”をバンバン鳴らしてくれてね。うれしかったなぁ。
暴動:我々もお客さんも口にはしてないけど、“やっとライブをやれるようになった”とお互いに感じてた気がしますね。最初の3曲は特にそういう感じがあったと思います。
港:石鹸(三宅弘城)もすぐ泣いちゃって。
暴動:感極まるのが早すぎる(笑)。ライブの映像の最初のほうで“この人、この後すぐ泣いちゃうんだよな”と思いながら観ると、さらに面白いと思います。
港:ハハハ(笑)。でも、ちゃんとライブやれてよかったよねえ。
暴動:グループ魂は基本的にふざけてるから、(感染対策などを)余計にしっかりやらないと。
港:破壊くんもスリッパを投げなかったしね。
暴動:ルールを守りながら羽目を外すという感じかな。まあ、スリッパはコロナ前から口酸っぱく注意されてましたけど(笑)。
■“これ、今まででいちばんいいんじゃない?”
──アルバムも楽しいですけど、グループ魂の魅力はやっぱり舞台だと思うので。こうやって映像に残るのはうれしいです。
暴動:楽しんでもらえたらいいんですけど。昔の曲も新しいアルバムの曲もやってるし、懐かしいコントもあって。バランスはいいと思うし、出来上がった映像を観て、“これ、今まででいちばんいいんじゃない?”と思いました。
港:へー!
暴動:「今まででいちばんいい」なんて、アーティストは普通言わないけど。いつも良くないとダメなんだから。でも、真面目に“これはいいんじゃないかな”と。あの時点では次のライブが決まってなかったし、“ここでやれることはやろう”と思ってたんですよ。ホールも久々だったし、“ちゃんとやらないとな”と各々が思ってたんじゃないかな。誰も言わないですけどね(笑)。
港:うん!オジサンたち、たいへんよくできました(笑)。そんなわけで『グループ魂 一年ぶりの再結成!中野サンプラザ』ぜひ観てほしい!
■今後はメンバーの長寿をお祝いするバンドに(笑)
──最後に、今後の活動の予定を教えてもらえますか?
暴動:先が決まってないと言いながら、9月にライブやるんですよ(笑)。その次はいつ集まれるかわからないです。2025年にバイト君が還暦を迎えるから、そこで何かやりたいとは思ってますけどね。藤井フミヤさんが武道館を真っ赤に飾って還暦ライブをやった話を聞いて、それいいなと、真っ赤なバイト君(笑)。
港:今後はメンバーの長寿をお祝いするバンドになっていくわけね(笑)。
リリース情報
2022.08.31 ON SALE
Blu-ray『グループ魂 一年ぶりの再結成!中野サンプラザ』
ライブ情報
「三宅ロックフェスティバルvol.4」
9/5(月) 新宿LOFT(グループ魂、怒髪天 )
プロフィール
グループ魂
グループタマシイ/7人組パンクコントバンド。1995年に破壊(Vo/阿部サダヲ)、暴動(Gu/宮藤官九郎)、 バイト君(大道具/村杉蝉之介)の3人で結成。その後、小園(B/小園竜一)、港カヲル(46歳/皆川猿時)、石鹸(Dr/三宅弘城)、遅刻(Gu/富澤タク)が加入して現在のメンバー編成に。2005年には『NHK紅白歌合戦』に出場。2011年には初の日本武道館ワンマンライブを敢行。2020年に結成25周年を迎えアルバム『神々のアルバム』を発売。同年末には解散と2022年の再結成&新春ライブ開催を同時発表し世間を驚かせた。22年1月に中野サンプラザホールで再結成ライブを行う。
グループ魂 OFFICIAL SITE
https://www.g-tamashii.com