地球という惑星に生きる人々、すなわち私たち一人ひとりの今にフォーカスして鳴らされる切実なる音楽。ASIAN KUNG-FU GENERATIONから実に3年3ヵ月ぶりに届けられた10作目のオリジナルアルバム『プラネットフォークス』に息づいているのは、のっぴきならない現状を受け止めたうえで、それでも乗り越えようと前を向くあくなき希望のエネルギーだ。多彩なゲストを迎え、いっそう豊潤さを増したサウンドクリエイション、バンド結成から25年の時を経て今なお瑞々しい音楽衝動と新しい扉を果敢に開いてさらなる先へと歩を進めるミュージシャンとしての貪欲な姿勢にも目をみはらずにいられない今作について、4人の率直な胸の内を聞いた。
INTERVIEW & TEXT BY 本間夕子
PHOTO BY 関信行
■3年3ヵ月の成長が感じられる面白い作品
──約3年3ヵ月ぶり、10枚目となるオリジナルアルバム『プラネットフォークス』ですが、まずは皆さん感じている手応えを聞かせてください。
伊地知潔(以下、伊地知):実は今回、既発曲以外の8曲は制作タームのラスト1ヵ月半くらいで録ってるんですよ。去年の11月、12月でプリプロしてレコーディングっていう。シングルを3年ぐらいかけて、ちょこちょこ出してきて、最後にまとめてバーッと録ったので、なんとも言えない感覚があるというか…もちろんバラエティには富んでいるんですけど、最後に録った8曲にはひとつのタームとしての統一感を感じる一方で「Dororo」とか「解放区」とかはすごく懐かしく感じたり。
──シングル曲として出してきた曲たちと、アルバム用の楽曲ではどこかニュアンスが違う、みたいな?
伊地知:そうですね、音の作り方やアプローチの仕方が全然違うので。そういうところに3年3ヵ月の成長が感じられる面白い作品になったなと思います。
山田貴洋(以下、山田):それこそ「Dororo」とか「解放区」のリリースが3年前で、そのときとはやっぱり気持ち的にもまったく違いますからね。そういう意味でのバラエティにも富んでるというか、気持ち的なバリエーションもあるというか。特にこの2年間はコロナ禍っていう自分たちではどうしようもない状況の中、いろいろあったけれども、それぞれが音楽とじっくり向き合い続けてきたからこそ、なんとか結集できた…よくやり切ったなっていう想いもあるんですよ。自分たちにとっても出来立てホヤホヤなので、まだ客観的になり切れてはいない時期というか、今、しみじみアルバムを味わっているっていう感じなんです。
──1ヵ月半で一気に8曲録るっていうこと自体、これまでにはあまりなかったことですよね。
山田:そうしようと思っていたわけではなかったんですけどね(笑)。ただ、どのタイミングで曲作りやレコーディングに気持ちを持っていくか、そういうところでメンバーやスタッフとの間で探り合ってたところがあって。特に去年1年はそうだったんじゃないかな。結成25周年でもあったし、いろいろ盛り上げたい気持ちはそれぞれにあったと思うんですけど。
■4人で団結して発売を待つ感じは過去最高
──でも結果として良いものができた手応えはあるわけですよね?
山田:もちろんその実感はありつつも、やっぱり大変でしたよ(笑)。だからこそ感慨深さもひとしおというか。
──喜多さんはいかがですか。
喜多建介(以下、喜多):手応えはすごくあります。今まででいちばん発売が楽しみで。最後、一気にみんなで仕上げたっていうのもあるんですけど、4人で団結して発売を待つ感じは過去最高なんじゃないですかね。全14曲という過去最多の収録曲数になりましたけど、ちゃんと1枚のアルバムとしてまとまってると思うんですよ。そこはゴッチ(後藤)がいつも最後にいい形にまとめてくれるおかげなんですけど。アルバムを作り始めた当初は既発曲を全部入れるのかどうか決まってないところもあったんですけど、最終的に全曲入れることができて、しかも良い感じでまとまった、いちばん幸せな形の作品になったなって。
──アルバム1枚で60分に達するのも初めてですよね。
喜多:さすがに60分いきましたか。でも、そのわりには意外とサラッと聴けるなって思ってるんですけどね、僕個人の感想だと。僕のアジカン愛が強いからなのか(笑)、そんなに長さは感じないなって。
──そうなんですよ。ほんと一気に聴けますし、何回もリピートしてしまうからこそ、こんなにボリュームがあったのかと気づいて驚くといいますか。
喜多:ははははは!なら、よかったです。
──後藤さんはどうでしょう、完成した『プラネットフォークス』について手応えや感じていることなど。
後藤正文(以下、後藤):僕はまだ、このアルバムがどういうふうにみんなに届くのか、あんまり想像がつかない感じなんですよ。世に出すからにはこう言わせたい、みたいなのってあるじゃないですか。例えば前作『ホームタウン』だったら、めちゃめちゃロー(低音)が出てるって感じてほしいとか、『Wonder Future』のときには、フー・ファイターズのスタジオまで行って録ったアメリカンロックのあのカッコ良さが伝わったらうれしいとか、そういう気持ちがあったけど、今回はそういうのがないんですよ。これが伝わったらいいな、みたいな狙いが自分でもよくわからなくて。もちろん作品として良ければいいと思って作ってはいるんですけど、こんな評価を得たいとか、そういう野望があんまりないんですよね。
■テーマを絞って立てたわけでもないし、むしろとっ散らかっていい
──狙いや野望のない、純粋に作りたいものを作ったということでしょうか。
後藤:そうなのかもしれないです。特にテーマを絞って立てたわけでもないし、むしろとっ散らかっていいというか、みんなの個性が出たらいいなとは思っていましたけど。だから、なんらかのコンセプトがないわけじゃないけど、どういうふうに捉えられるのか想像がつかなくて。いつもだいたいインタビューを受ける段階までには、なんとなく自分の中でどういう作品なのか批評できてるんですけど…相対化というか。今回はそれがちょっとできてないんですよ。
──完成してまだ日が浅いからとか…?
後藤:いや、でも作ってるときから、自分も一人のリスナーとしてすごく聴いてるんですよ。それでもちょっとよくわかんない、みたいな(笑)。
──でも、“なんらかのコンセプトがないわけではない”んですよね?
後藤:そうですね。社会を映すことと、もうひとつは、人々の繋がりに対して視点を用意すること。私たちはすべてにおいて決裂しているわけではないっていうことを言いたいっていうか、どこか通じ合えるんじゃないか、みたいな視点は持っていたいので。
──それは作品全体からひしひしと感じます。
後藤:ありがとうございます。喜多くんが頑張ったからだと思います(笑)。
喜多:いやいや、僕はそんなに頑張ってないと思うんですけど(笑)、今回は山ちゃんの曲がいつになく多くて、次々にデモを送ってくれたので、そこに自分でギター入れをしてまた山ちゃんに戻したりとか、そういう作業は多かったです。ゴッチからもどんどんデモが上がってくるし、なかなか楽しくも考えることはいっぱいあって、そこは頑張りました。
■できることをやっていかなきゃいけない、立ち止まっちゃいけない
──たしかに今回、シングル曲も含めると山田さん作曲の楽曲が5曲収録と過去最多ですよね。何か理由があるんでしょうか。
山田:2020年になった途端に活動が思うようにできなくなってしまって、いろんなことが延期とか中止になっていったじゃないですか。いつ再開できるかわからない状況の中、それでも活動を止めちゃいけないな、みたいな想いはやっぱり持っていて。どうなっていくかわからないけど、できることをやっていかなきゃいけない、立ち止まっちゃいけないっていう。結局のところ、曲を作ったり練習したりするしかできなかったんですけど、それが結実したという感じですかね。曲を作るときは没頭するから、あんまりいろんなことを考えなくて済むっていうのもあったのかもしれない。いろいろ考えすぎちゃって気持ちが落ちていくだけなときもありましたし。
後藤:無趣味だしね、我々。潔以外は(笑)。
山田:ははは、そうそう(笑)。
後藤:趣味としての音楽でもあるから、俺たちにとっては。
──完成したデモはとりあえずメンバーに投げよう、みたいな感じだったんです?
山田:完成してなくても、途中段階で建ちゃんや潔に投げてさらにブラッシュアップしたりとか、着地点が見えないままやってましたね。レコーディングもいつからできるかわからなかったし、バンドで次にどういう作品を作るかっていうところにもいけていなかったので。なんとなくみんなの意識が制作のほうへとまとまり始めたのはヒロアカ(映画『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』)の主題歌という話をいただいて、その作業に入り始めた頃かもしれない。
──「エンパシー」のタイミングですね。ちなみに伊地知さんは山田さんから送られてきたデモに対してどうやってアプローチしようと考えていらしたんでしょう。
伊地知:コロナ禍という状況ではありましたけど、山ちゃんと建ちゃんとはよく一緒にスタジオに入っていたんですよ。今まではゼロの状態で建ちゃんのギターリフから広げていったりすることが多かったんですけど、最近は山ちゃんがめちゃくちゃ曲を作ってくるので、なんにもないままスタジオに入ることが一切なくて。山ちゃんのデモにはドラムパターンが入っているものも多いんですけど、それをスタジオで聴きながら、自分もその場でパターンを考えて「こんなの、どう?」「いや、それだったらデモのほうがいい」みたいなダメ出しをされたりしながら、一緒に作ってましたね。山ちゃん、昔より厳しくなったんですよ(笑)。昔は「潔の好きなように叩いてくれたらいいよ」って言ってくれてたのに、最近の山ちゃんは“これがいい”っていうリズムパターンがもとから入ってたりするんです。特に1曲目の「You To You(feat.ROTH BART BARON)」とかそうでしたね。
──そこでドラマーとして主張したりはしないんです?
伊地知:これがいいって思うときはちゃんと言いますけど、ほとんどないです。作曲者の“どうしても!”っていう熱い感情に乗っかりますね、僕は。
──スタジオには結構まめに入っていらしたんですか。
伊地知:そうですね、コンスタントに。と言っても週イチくらいですけど。
後藤:週イチくらいで威張ると炎上するぞ(笑)。
伊地知:だよね(笑)。でも、その間にも各自でいろいろ作業はしていたので。山ちゃんは曲を書いてくるし、建ちゃんはギターフレーズを考えて録音してきたり。
後藤:僕はそのデモをもらって、組み直したものをまたみんなに送って、それをみんながまたセッションしてくれて、みたいな。こういう状況なので、それでも昔よりはデータのやり取りが増えた気はします。
■リリースの話がしっかりまとまってきたのは2021年の秋頃
──先ほど、アルバム制作に取り掛かるまでにはお互いの探り合いもあったと伺いましたが、コロナ禍で思うように活動ができなかった期間とかコミュニケーション自体はよく取っていらしたんですか。
後藤:そうですね、LINEの既読スルーはよく見かけました(笑)。それをコミュニケーションと呼ぶのならば取れていたんじゃないでしょうか。
一同:(爆笑)
後藤:コロナ禍になる前は、次のアルバムはロンドンで録りたいねってみんなで盛り上がってたんですけどね。でも、それが難しい状況になったので、どうしようかっていう。結局、リリースの話がしっかりまとまってきたのは2021年の秋頃ですかね。ちゃんとリリース日とかが出てきたのは。
──本当に最近なんですね。
後藤:ほんと「エンパシー」の作業が終わったくらいですよね。「エンパシー」の段階ではまだアルバムの全体像とか見てなかった気がします。
──とはいえ2021年は結成25周年という大きな節目の年でもあったわけで、アニバーサリー的な動き方とかリリースの仕方、バンドとしての見せ方みたいなものを考える瞬間はそれなりにあったと思うんですよ。
後藤:それもツアー(「ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2020 酔杯2 ~The Song of Apple~」)が中止になった時点で、考え直さざるを得なかったというか…その後もなかなかスケジュールが組めなかったですからね。予定が一旦、まったくのゼロになっちゃったところからのスタートだったし、作るにしても最初はリモートでのやり取りだったので「みんなで集まって作ろうよ」っていう感じにはなかなかならなくて。アジカンはやっぱりバンドですから、バンドはどうしたって集まらなきゃいけないわけですよ。ひとりじゃできない、できることって言ったら曲作りくらいしかなくて。そこで山ちゃんが頑張ってくれたわけですけど。
──では、そうして完成した『プラネットフォークス』の、特にここに注目して聴いてほしいというポイントをひとつだけ挙げていただくとしたら?
山田:聴いてほしいっていうか、改めて建ちゃんのギターはかっこいいなって思います。今回、最後のほうでギターがかっこよく出てくる曲が多いなと思っていて、僕はそれに惹かれますね。潔が言うには「余韻が長い曲が多い」らしいんですけど(笑)。アウトロとか特にいいですよ、曲を簡単に終わらせないっていう意気込みに溢れてる感じが。「De Arriba」とかめちゃめちゃかっこいいと思いますね。
喜多:ありがとうございます!あと「C’mon」のアウトロではトークボックスを使ってるんですよ。初めての試みだったので、かなり練習してから本番に臨んだんですけど、ゴッチが一発OKを出してくれて。それがうれしかったです。ああいう雰囲気の音を入れたいってゴッチからリクエストをもらったんですよ。
■歌が少ないぶん、別のボーカルを用意する、みたいなイメージ
──ロボっぽいというか、ちょっと無機質で近未来的な質感がすごく新鮮でした。
後藤:「C’mon」は歌詞がそんなに多くなくて歌のパートが少ないので、それに代わるような音がほしいなと思ったんですよね。トークボックスってチューブを通して一旦、ギターの音を口の中に取り込んで鳴らすエフェクターなんですけど、それによって面白い効果が得られるんじゃないかなって。歌が少ないぶん、別のボーカルを用意する、みたいなイメージ。今回、ギターソロの曲が多いんですけど、全部が同じ構造だと聴き飽きるだろうし、ちょっと変化をつけたいなという気持ちもあって。
──曲としても面白いですよね。突き抜けた清々しさの中にもちょっと懐かしさを感じさせるというか。
後藤:建ちゃんと山ちゃんがニヤニヤしながらやってた「デイ・トリッパー」(ザ・ビートルズ)の引用が効いてるんじゃないですかね。言ってしまえばパクリですけど(笑)。
山田:いや、言い方(笑)。
喜多:オマージュだから(笑)。
後藤:ははははは!だからか、今回のジャケットがそれこそビートルズの『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』みたいなイラストなんですよ。今回も中村佑介くんが描いてくれたんですけど、山ちゃんだけがビートルズ風の衣装を着せてもらえていて、潔は板前で、建さんは警察官なんですよ。潔は料理が好きだから板前ってことらしいんですけど、建ちゃんが警察の服を着てるのは「早く捕まえて」っていうメッセージらしいです、中村くんいわく(笑)。
喜多:なんでだよ(笑)、そんなこと言ってたんだ?
後藤:ちなみに僕はオアシスっぽいジャージを着てます。それについても今回はUKっぽい曲が多いからそうしたかったって中村くんが言ってましたね。でも、やっぱりポイントは山ちゃんだけがビートルズの格好をさせてもらえたってところで。
山田:光栄です!(笑)
後藤:山ちゃんがいちばん頑張りましたからね、ネタ出しの面で。それが中村くんにも伝わったんじゃないかな(笑)。
■いい音で録るってこんなに大事だし、楽しいし、豊かなこと
──かく言う後藤さんはどこを聴きどころとされますか。
後藤:ひとつだけって難しいけど…やっぱり録り音がいいところじゃないですか。特にドラムとか、どういう音で録るかがめちゃくちゃ重要なんですよ。後からいい音に調整したりとかできないですからね。そういう録音の楽しさみたいなものは今回、改めて感じました。いい音で録るってこんなに大事だし、楽しいし、豊かなことなんだなっていう。さっきアルバムとしての狙いがよくわかってないって言いましたけど、一音一音はちゃんと狙って作ってるんです。ここはこういうスネアの音で、とか。それなりに狙いを持って録音に取り込めたところは聴いてもらえば伝わるんじゃないかなって。世の中、打ち込みが多い中、意地で録音していったみたいなところも楽しかったし、よかったです。僕としては。
伊地知:なんかゴッチに言われちゃったな(笑)。でもほんと比べてみたらわかると思いますけど、ドラムは全曲で音を変えているんですよ。1曲の中でも例えばAメロとサビではドラムセットごと変えたりとか、いろいろやってるんです。エンジニアさんも今回、3人の方にお願いしていて、1枚のアルバムと考えるといちばん多いんですよね。ゲストも含め、いろんな方と一緒に作れたアルバムなんです、『プラネットフォークス』は。ゴッチの希望で曲ごとにクレジットが細かく記載されていますので、ぜひCDで買っていただいて、そこに注目してみていただきたいですね。
■少しずつアジカンの新しい角度が出せた
──シングルリリースされた「触れたい 確かめたい(feat.塩塚モエカ)」の塩塚モエカさん(羊文学)を始め、「You To You(feat.ROTH BART BARON)」ではROTH BART BARONの三船雅也さん、「星の夜、ひかりの街(feat.Rachel & OMSB)」ではRachelさん(chelmico)、OMSBさん(SIMI LAB)と多彩なゲストを迎えているのも今作の大きなポイントですよね。「エンパシー」「フラワーズ」では下村亮介さん(the chef cooks me)が、「星の夜、ひかりの街」「Be Alright」ではGuruConnectさん(skillkills)がそれぞれ編曲&プロデュースで参加されていたりと外からの血が入ることで、より楽曲に幅が生まれた気がします。
後藤:せっかくバラエティに富んだものを作ろうとしてるのに自分たち4人だけでやっちゃったら、あんまり広がらないと思うんですよ。4人でやるとどうやったってアジカンサウンドになるので、やっぱり。ゲストが入ってくれることによって、少しずつアジカンの新しい角度が出せたんじゃないかなっていう感じはしてますね。
──それも踏まえたうえで、今回『プラネットフォークス』を作って、改めてASIAN KUNG-FU GENERATIONというバンドやメンバーに対して感じたこと、思うところはありましたか。
後藤:僕はもっともっと話し合いたいなって思いました。みんなが何をやりたいのかを知りたいし、どうしたいのかを聞きたいし、アイデアは出し合ってなんぼなので。もちろん既読スルーしていいぐらいには俺のことを頼りにしてくれてるだろうとは思ってるんですよ?僕もみんなを信頼してるし、慣れてもいるからそれも飲み込めるけど、本当はみんながどこに感動してるかとか知りたいんですよ。だって気を許しているからこそ自分の作った曲をいちばん最初に聴かせてるわけじゃないですか。一緒にものを作ってる瞬間も楽しいけど、過程であれこれ相談し合って共有できたときがいちばん楽しいから、だから俺はもっと話がしたいんだって常々言っていきたいなって、改めて。
喜多:以前に比べると4人でいろいろ話し合えるようになってきたし、既読スルーもだいぶ減ってきてる気がするんですけどね。でもゴッチが話し合いが好きなことはよくわかったので、ちゃんと応えられる準備をしていかないとなって。
後藤:もうアルバム作っちゃったけどね(笑)。
喜多:これからはもっと、っていう(笑)。
山田:コミュニケーションもそうだし、サウンドクリエイトに対しての意識はやっぱりゴッチが先を行っている感じがあるんですけど、少しずつメンバーそれぞれも担える部分が増えてきてると思いますし、そこをさらに広げられたらもっと面白いものができていくだろうなっていう、そんな予感がするアルバムができたとは思うんです。ある種、到達感がある作品だけど、この先ももっと楽しく続けていけそうな予感がするというか。
伊地知:僕もまだまだバンドが成長してるのを感じます。アジカンってひとつのスタイルを確立して、それをずっと続けていくっていうバンドではないと思うんですよ。毎回、新しい引き出しを開けたり、何かしら刺激を持ちながら新しい作品が作れていると思っていて。そうやってどんどん進化していかないとダメだし、それが止まったときにバンドも止まるんじゃないかなと思うんですけど、まだまだそんな感じじゃないので。
■いろんな人のいろんないい顔を見られるように
──むしろここからという気がすごくするアルバムだと思います。さて、5月28日からは今作を携えたツアー『ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2022 「プラネットフォークス」』がスタート、現時点では前半戦のスケジュールが発表されていますが、意気込みをぜひお聞かせください。
伊地知:久々に全国を回れるのがすごく楽しみです。ただ、まだどういう編成で回るか決まっていないですし、今回のアルバムはゲストも多く参加してくださったので、それをどう再現するか、これからみんなで練らなきゃいけないんですけど、それも含めて楽しみです。何よりツアーができるっていうこと自体、幸せですよね、本当に。
山田:ホールツアー自体、3年ぶりですからね。ようやくできるようになったっていううれしさでいっぱいですし、ちゃんと予定通り敢行できたらいいなと願ってます。
喜多:久々に山ちゃんの地元近くとか(静岡・富士市文化会館)、私の地元の神奈川県民ホールとかも入ってるんですよ。あと、日比谷野音が17年ぶりだったりとか。
後藤:え、そんなに!?
喜多:らしいよ、アジカンとしては。なので各地を回れる喜びを噛み締めながら演奏したいと思います。
後藤:とにかくツアーができるだけでうれしいですよね、もはや。いろんな人のいろんないい顔を見られるように、しっかり準備して臨みたいな、と。
リリース情報
2022.03.30 ON SALE
ALBUM『プラネットフォークス』
ライブ情報
ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2022「プラネットフォークス」
5月28日(土)埼玉 三郷市文化会館 大ホール
5月29日(日)埼玉 三郷市文化会館 大ホール
6月01日(水)東京 東京国際フォーラム ホールA
6月04日(土)広島 上野学園ホール
6月05日(日)熊本 市民会館シアーズホーム夢ホール
6月10日(金)石川 本多の森ホール
6月12日(日)静岡 富士市文化会館ロゼシアター 大ホール
6月17日(金)愛知 愛知県芸術劇場 大ホール
6月21日(火)神奈川 神奈川県民ホール 大ホール
6月26日(日)香川 レクザムホール 大ホール
7月01日(金)兵庫 神戸国際会館 こくさいホール
7月02日(土)奈良 なら100年会館 大ホール
7月09日(土)群馬 高崎芸術劇場 大劇場
7月15日(金)千葉 市川市文化会館 大ホール
7月18日(祝月)福島 とうほう・みんなの文化センター 大ホール
7月23日(土)東京 日比谷野外大音楽堂
プロフィール
ASIAN KUNG-FU GENERATION
アジアン・カンフー・ジェネレーション/1996年結成。後藤正文(Vo,Gu)、喜多建介(Gu,Vo)、山田貴洋(Ba,Vo)、伊地知潔(Dr)による4人組ロックバンド。03年メジャーデビュー。同年より新宿LOFTにてNANO-MUGEN FES.を立ち上げ、2004年からは海外アーティストも加わり会場も日本武道館、横浜アリーナと規模を拡大。2016年にはバンド結成20周年イヤーを迎え、自信最大のヒット作「ソルファ」の再レコーディング盤をリリースするなど話題を集めた。2018年、BEST ALBUM第2弾となる「BEST HIT AKG 2 (2012-2018)」および、Official Bootlegと位置づけた裏ベスト的な2枚のアルバム「HONE」盤と「IMO」盤をリリース。12月には、3年6ヵ月ぶりにオリジナルアルバム『ホームタウン』をリリース。2021年には『僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッション』の主題歌、挿入歌を手掛け話題となった。後藤が描くリアルな焦燥感、絶望さえ推進力に昇華する圧倒的なエモーション、勢いだけにとどまらない「日本語で鳴らすロック」でシーンを牽引し続け世代を超えた絶大な支持を得ている。結成25周年を迎えてもなお精力的な活動を続けている。
ASIAN KUNG-FU GENERATION OFFICIAL SITE
https://www.asiankung-fu.com